NHK杯戦囲碁 六浦雄太7段 対 結城聡9段(2022年7月10日放送)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が六浦雄太7段、白番が結城聡9段の対戦です。左上隅、左辺、左下隅の攻防が興味深く、白が左上隅でツケヒキ定石の最後の手を省略していたのを、通常それを咎めるには3線に横に付けて行くのですが、チキリ飛びのように黒が間を開けて包囲したのが、私は初めて見ました。勢い白は間を出て包囲されたのを切って行ったのは武闘派(?)の結城9段らしい打ち方でした。その後の攻防で、黒が左辺から左上隅に渡るのに、直接3線に渡らず、2線に下がって渡ったのが好手でした。というのは3線に渡るとすぐ切られて、その石は取れますが下がられていわゆる石塔シボリにされ、取られてしまいます。その好手で左辺の手数を伸ばし、左上隅の白に差し込んで、白は断点が2つで両方はしのげず、黒は白の2子を取って9目の地を取って治まり、リードしました。形勢の悪い白は、上辺と下辺の両方で押して行って中央に白模様を作り、なおかつ右上隅で三々に入り忙しく立ち回りました。黒は中央の白模様を消すため、中央の絶妙な位置に石を置きました。これに対して白が受けるとおそらく少し足らないので、黒は外側から打ちました。白は当然白模様に踏み込んで行き、この石の活き死にが勝負となりました。白は白の下方の包囲網の欠陥を付き、中央で利かしを打とうとしました。しかし白も黒が左辺を押したのに受けず、下辺に利かしを先手で打ち、黒からの中央の利かしを無くしました。結局黒は左辺を破って左上隅に渡れましたが、白も上方の黒4子を飲み込み、結局いいワカレになりました。しかしそれは黒のリードのまま、終盤に入ったことになり、白は右下隅の三々に入った後、黒のハネに切っていって頑張りました。しかし右上隅で白が2線に下がったのに受けず、中央で黒が白模様に一間トビで入って行ったのが好判断で、結局攻め合いになり、黒は締め付けるだけでも十分でしたが、一手勝ちで白を取りつつ中央の黒が生還し、ここで白の投了となりました。