WE300BよりKT150、170


KT170をずっと聴いていますが、やはりいいです。私の環境と機器、私の良く聴くソースでという限定ですが、どちらがより好ましい音を出すかと言われたら、ウェスタン・エレクトリックの300BよりTUNG-SOLのKT150、KT170です。まず低音に関しては圧倒的にKT150、KT170の方がいいです。十分に低域まで伸びて、しかもダンピングの利いた引き締まった低音を聴かせてくれます。中高音についてはどちらにもいい所がありますが、音の粒立ちの明確さという意味で、KT150、170の方が私好みです。分解能の点でもこのソースにこんな音が入っていたのかという感じです。音場・音像も良く、もっともこれはデュアルモノという構成による部分がありますが、いわゆる「前に出て来る音」です。もちろんアンプによる差というのが大きいですが、私の所ではどちらもエレキットのものをAmtransパーツに一部変え、ルンダールのトランスにしている、という点で同じです。それからコストパフォーマンスでは圧倒的にKT150、170が上回ります。2021年度に出たウェスタン・エレクトリックの復刻300Bはペアで23万円なのに対し、KT170はペアで3万ちょっとです。問題点は、ヒーター電流が大きいので、単純にはKT88用アンプでは使えないということですが、私みたいにデュアルモノでやるとか、あるいはヒーター専用のトランスを足すとか、色々と対策はありますし、何よりこれから色々なアンプが出て来るでしょう。

KT170もポチる


KT150の音がとても気に入ったので、この辺でそろそろ打ち止めにすべきでは、と思ったのですが、好奇心に逆らえず昨年発売されたKT170もポチりました。写真の左からJJ製12AU7、KT120、KT150、KT170、そしてPSVANEのWE300B(サイズの比較用)です。KT170は150から更に形状が変わり、高さは300Bとほぼ同じで、横は300Bより大きい巨大な管になりました。KT120はまだKT88風ですが、ここまで来ると全く別の管です。ちなみにetracerで、KT120用の設定で測定した時のプレート電流は、KT120が140mA、KT150が160mA、そしてKT170が170mAになりました。120→150→170の順で低域の締まりとダンピングが良くなります。ただ170はまだ今日届いたばかりでエージングが出来ておらず、女性ボーカルの艶とかがイマイチです。何度も書いていますが、これらのいわばスーパーKTシリーズはヒーター電流が2AとKT88の25%増しになっていますので、KT88用のアンプにそのまま挿すと最悪電源トランスが焼き切れます。某サ○バ○ーの色んな出力管が使えますと言ってKT150もOKですとしているアンプ、電源トランスのヒーター用巻線の容量は2本で4Aでした。ということは定格ギリギリでかなり危ないです。私がこれらの球でシングルアンプを作るなら、左右独立電源にして、電源トランスは2台にします。6.3Vで5Aが取れる電源トランスは春日無線等で売っています。あるいはヒーター専用のトランスを設けるかです。

河口俊彦の「大山康晴の晩節」

河口俊彦の「大山康晴の晩節」を読みました。最初にこの本が出たのは2003年だったと思いますが、その時読んでいるのでおよそ20年弱ぶりの再読です。この本のことが思い出されたのは、最近羽生善治9段がついにA級から陥落したという報道があり、改めて69歳で亡くなるまで実に44期もA級在籍を続けた大山康晴名人のことが思い出されたのと、その大山名人に風貌が似ているとされる渡辺明名人が王将戦で藤井聡太竜王に敗れたなどで、大山名人のことについて改めて知識を新たにしたいという気持ちがあったからです。
タイトルの「晩節」ですが、この言葉の本来の意味は人の人生の最後の時節ということでニュートラルな表現ですが、「晩節を全うする」という言い方はほぼ死語になりつつあり、一方で「晩節を汚す」は政治家などのスキャンダルなど今でも良く使われる表現です。なのでこの本の記憶は、大山名人がいわゆる番外戦術を駆使したやり方や盤上の露骨なNo.2つぶしなどが先に立ち、どちらかというと「晩節を汚す」的な印象を持っていました。ところが改めて読み直してみて、むしろ死を翌年に控えて順位戦で好成績を残し挑戦者決定戦にまで進んだことや、三度目の癌による入院の直前まで対局を続けた姿に素直に頭が下がりました。確かに加藤一二三と最初に名人戦で戦った時の最終局の最後の場面など、あまりにも露骨で嫌になりますが、おそらく大山名人自身もそのような仕打ちを先輩棋士に受けながら、それを跳ね返して名人になったのだと思います。
今は将棋界は藤井聡太五冠の大ブームの最中ですが、藤井5冠が50歳を過ぎても大山名人のように勝ち続けられるだろうかという点については疑問に思います。AIに人間が勝てなくなった時代だからこそ、大山名人や升田幸三名人の将棋の価値が改めて見直されるのだと思います。

ウルトラQの「1/8計画」

ウルトラQの逆輸入版ブルーレイを買いました。最近、トワイライト・ゾーンとかアウターリミッツを観始めたので、それに影響を受けたウルトラQを再確認したかったためです。取り敢えず「1/8計画」を観ました。子供の時に観たように思いますが、さすがに覚えていません。なんというか由利子が小さくなって電話をかけるシーンにデジャヴ感がありますが、これはアーウィンアレンの「巨人の惑星」で何度も観た風景です。しかし向こうは確か巨人の40分の1くらいの大きさだった筈であり、1/8では合わないですが。(ちなみにウルトラQの方が先です。)後半の淳と一平が1/8になった町に侵入する画面は、要するに特撮用の町のセットをそのまま使っているだけで、円谷プロの特撮としては非常に簡単だったと思います。

NHK杯戦囲碁 余正麒8段 対 山下敬吾9段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が余正麒8段、白番が山下敬吾9段の対戦です。対局前のインタビューで山下9段は「独創的な布石のネタも特に白番のは尽きて来たので、黒番が当たりたい」と言っていましたが、結果は白番でした。しかし2隅で大目外し(星にケイマにかかるそのケイマの位置)と今回も見せてくれました。その白の変則的な位置に、黒がすぐ星の位置にかかったため、右下隅が空き隅のまま競い合いが始まるという不思議な碁になりました。その競い合いで余8段は山下9段のお株を奪うような強気で攻撃的な手を打ち、左辺で戦いになりました。そこで劫になり、黒が白を包囲する手を劫立てに打ちましたが、白は劫を解消しました。黒は当然白を包囲しましたが、白がすぐ切っていきました。白はその切った石から黒の下辺をいじめようとしましたが、結果的には誤算があり、黒は白の4子を取りながら右下隅につながり、下辺がいい地になりました。白は黒2子を抜いて中央が厚くなりましたが、このワカレは明らかに黒良し、でした。そこで白は第2の攻めで左辺から延びる白を狙っていき、その過程で上辺左を抉りましたが、黒もつながって厚くなり不満はありませんでした。波乱が起きたのは、白が右下隅の三々に入った後で、黒は下辺側から抑えていればなんの問題もなかったのを、右辺側から抑えて頑張りました。しかしこれは打ち過ぎで、黒のダメ詰まりを利用して、下辺で取られていた白4子が復活し、劫になりました。黒が左辺の白の活きを脅かす手を劫立てにしたのを白が受けずに劫を解消しました。これによって黒地だった下辺が逆に白地になり、形勢が逆転しました。後は左辺をどう処理するかで、眼の無い石同士でセキになれば白の勝ちでした。しかし駄目詰めの過程で白に疑問手があり、結局黒の取り番の劫になりました。白はどこにもこの大きさの劫立てが無く、仕方なく下辺の黒7子をアタリにしましたが、黒は当然受けず左辺の白20子くらいを打ち抜いて、派手な振り替わりになりました。(写真)白からすると泣けるのは、残された白の左下隅がまだ活きていないことで、白が一手入れれば活きで、黒から打てばセキまたは万年コウということになりました。結局黒は劫材を消してから劫を決行したため、この白は全部取られてしまいました。AIの判定では途中で白が手を入れれば白の勝ちだと言っていましたが、実戦心理としてもし手を入れて半目負けだと切なく、山下9段が抵抗したのは理解出来ます。余8段はこれで準決勝進出です。去年も決勝に進出しています。