百人一首の猿丸大夫の歌「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の 声きく時ぞ秋は悲しき」ですが、一般的には単に秋のもの悲しさを歌ったとされているようです。しかし秋に鳴く鹿(多くは雄)の理由は、雌鹿を求めて鳴いている(ニホンジカの繁殖期はピークが10月頃)ということで、このことは万葉集の昔から良く知られたことでした。であれば、この和歌の本来の意味は「ああ雄鹿が雌を求めて鳴いている。自分が求愛の和歌を詠んだとしても、この山奥では受け取ってくれる人もいない。」といった詠嘆の意味が込められていると思います。他にも以下の西行の歌のように、秋の鹿の鳴き声を歌ったものは多くあります。ちなみに先日私も初めて聞きましたが、鹿の鳴き声はピィー、キィーといった鋭く高い鳴き声です。
山家集(西行)
鹿の声山路に聞けばわが恋も身をひとつだになきと思ふかな
夜もすがら妻恋ひかねて鳴く鹿の涙や野辺の露と成らん
牡鹿鳴く小倉の山の裾近みたゞひとり住む我心かな
夜を残す寝覚めに聞ぞあはれなる夢野の鹿もかくや鳴くらん
妻恋ひて人目包まぬ鹿の音をうらやむ袖のみさをなるかは



スタートレック・TNGの”The Loss”を観ました。エンタープライズ号は突然何かの物体?に引っ張られてそれを振り切ることも出来ないという状態になります。それは結局2次元世界に住む生物でした。しかもその生物は「宇宙の紐」と呼ばれるミニブラックホールにエンタープライズ号を引っ張っていっていました。その生物と遭遇した時からカウンセラーのトロイは激しい頭痛を経験し、その後人の感情を読み取る能力を失ってしまい、ピカードに辞職を申し入れます。しかし結局ピカードは例え感情が読み取る能力が無くなっても、依然としてトロイが必要だと説得し、トロイはその生物の思考を読み取ろうとします。おそらくはトロイの症状はその2次元生物の思考にシンクロして2次元的な読み取りしか出来なくなった結果というのが暗示され、トロイはそれを逆用して、その生物が蛾が光に向かって飛ぶように宇宙の紐に吸い寄せられているのではという仮説を出し、エンタープライズ号にその紐と同じ周波数の音を出してその生物の方向を逸らすことを提案し、結局それに成功してエンタープライズ号は助かります。それと同時にトロイの能力も戻ります。今回は日頃ある意味お高く止まった系のトロイが感情的になってヒステリックにわめくのが見所でした。
ウルトラマンレオの「美しい男の意地」を観ました。またも怪獣にやられる→ゲンがダンに叱責される→特訓する→勝つ、のワンパターン話でした。何故か怪獣がある花を武器にするというのが目新しく、その花をゲンが可愛がっている女の子が両親の写真に供えるのを止められなかったということで、ダンがまたゲンを叱ります。そしてその花は怪獣と合体してブーメラン式の飛び道具になりレオは敗れます。そしてお約束でダンがゲンに対し複数のブーメランを投げつける特訓(と言う名の体罰、いじめ)を行って、結局レオが勝つ、というものです。うーん、一体どこまでこのパターンで引っ張る気なんでしょうか。
スペース1999の”Missing Link”を観ました。コーニック司令官ら4人を乗せたイーグルワンが突然制御出来なくなり、そのまま月面にハードランディングします。2人は意識を回復しましたが、サンドラが重症、コーニック司令官は生命反応が無くなっていました。しかしコーニック司令官は意識の中でムーンベースαに戻りますが、そこは無人で、しかしゼンナイトというエイリアンに出会います。結局イーグルの事故はそのエイリアンによって仕掛けられたもので、目的はそのエイリアンが地球人を研究するためで、それをたくらんだのは人類学者でした。コーニック司令官はそのゼンナイトの星に連れて行かれ、そこで死ぬまで過ごすことになると聞いて反発しますが、次第にその学者の娘を愛するようになります。その状況に驚いた学者は、今度はサンドラを連れて来てコーニック司令官に本来の使命であるムーンベースαの仕事を思い出させるようにして、結局コーニックは無事ムーンベースαに帰り、サンドラも助かります。何と言うかイギリスの人の文化人類学者への批判的な視線が感じさせられる話でした。そしてサンドラが絡むのも彼女がイギリス人とビルマ人のハーフという設定だからかなと思います。しかしどうでもいいけど、1970年代になってもまだ顔の銀塗り・金塗りかよ、とこの点はあきれました。アーウィン・アレンのドラマと同レベルです。
ウルトラマンレオの「男だ!燃えろ!」を観ました。今回もまた前半でレオが星人を倒し損ね、特訓して星人を倒すという話ですが、その特訓がゲンが自分で考案したのは先が尖った丸太2本を揺らしてそれに立ち向かうという、それ自体が既に十分危険なものですが、モロボシダンは「こんなもんじゃダメだ!」と例によってパワハラ丸出しで、何とジープ型の小型車でゲンをひき殺そうする、という特訓ではなくて既に殺人未遂の領域に入っているひどいもので、いくらなんでもこんなの子供向けでいいのかと思います。実際一つ間違えば大事故につながりかねない(スタントマンを使っていません)撮影であり、さすがに問題になったのかこれを監督した人はこの後干されたみたいです。
スタートレック・TNGの”Final Mission”を観ました。クラッシャーがついにアカデミーへの入学を許可され、ピカード艦長は最後のミッションということで、クラッシャーをある鉱山星での争いの調停に連れて行きます。ところがその移動のため鉱山から派遣されてきたシャトルがひどい代物で、しかもその自称艦長がアル中です。途中でそのシャトルはお約束で故障し、3人はやむを得ず目的の星の衛星の一つにハードランディングします。そして判明したのはそのシャトルには非常用の水も食料も積んでいないということでした。その衛星の温度は55℃で、ピカードはともかく直射日光を遮る日陰を求めて近くの山を目指します。そこには洞窟があり、中に泉がありましたが、自称艦長がそれに突撃するとバリアが張り巡らされます。そして自称艦長がそれをフェイザーで破壊しようとすると、何らかの防衛システムが作動し、クラッシャーを助けようとしたピカードが落ちて来た岩に当たって重傷を負います。結局自称艦長がまた勝手をやってやはり防衛機構で何かの繊維でグルグル巻きにされ死にます。クラッシャーは瀕死のピカードの意識を保とうと色々話しかけ、自分は今までピカードが誇りに思ってくれることを一番の喜びとして生きてきたと告白します。やがてクラッシャーは何とか防衛機構をかいくぐる方法を発見し、水を手に入れピカードに飲ませます。そしてある惑星の近くの放射線を撒き散らす廃棄物用宇宙船の処理に手間取っていたエンタープライズ号が何とか駆けつけ2人を救出するという話です。ピカードとクラッシャーの心の交流がちょっと感動的でした。