本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が六浦雄太7段、白番が結城聡9段の対戦です。左上隅、左辺、左下隅の攻防が興味深く、白が左上隅でツケヒキ定石の最後の手を省略していたのを、通常それを咎めるには3線に横に付けて行くのですが、チキリ飛びのように黒が間を開けて包囲したのが、私は初めて見ました。勢い白は間を出て包囲されたのを切って行ったのは武闘派(?)の結城9段らしい打ち方でした。その後の攻防で、黒が左辺から左上隅に渡るのに、直接3線に渡らず、2線に下がって渡ったのが好手でした。というのは3線に渡るとすぐ切られて、その石は取れますが下がられていわゆる石塔シボリにされ、取られてしまいます。その好手で左辺の手数を伸ばし、左上隅の白に差し込んで、白は断点が2つで両方はしのげず、黒は白の2子を取って9目の地を取って治まり、リードしました。形勢の悪い白は、上辺と下辺の両方で押して行って中央に白模様を作り、なおかつ右上隅で三々に入り忙しく立ち回りました。黒は中央の白模様を消すため、中央の絶妙な位置に石を置きました。これに対して白が受けるとおそらく少し足らないので、黒は外側から打ちました。白は当然白模様に踏み込んで行き、この石の活き死にが勝負となりました。白は白の下方の包囲網の欠陥を付き、中央で利かしを打とうとしました。しかし白も黒が左辺を押したのに受けず、下辺に利かしを先手で打ち、黒からの中央の利かしを無くしました。結局黒は左辺を破って左上隅に渡れましたが、白も上方の黒4子を飲み込み、結局いいワカレになりました。しかしそれは黒のリードのまま、終盤に入ったことになり、白は右下隅の三々に入った後、黒のハネに切っていって頑張りました。しかし右上隅で白が2線に下がったのに受けず、中央で黒が白模様に一間トビで入って行ったのが好判断で、結局攻め合いになり、黒は締め付けるだけでも十分でしたが、一手勝ちで白を取りつつ中央の黒が生還し、ここで白の投了となりました。
ジョー90の”Arctic Adventure”
ジョー90の”Arctic Adventure”を観ました。世界連邦の爆撃機が北極上空でエンジンが故障し、パイロット2名は脱出しましたが、機体は氷山にぶつかって炎上します。そのすぐ近くにはある国(おそらくソ連のイメージ)の潜水艦基地がありました。問題は積んでいた4発の核爆弾が3発は回収されたものの、1発が海に沈んで流されて行方不明になります。それが潜水艦基地側に見つかると外交問題になるため、ジョー90に回収命令が出されます。現在70歳の老海洋学者の脳波パターンをビッグラットで記録してジョー90に移して作戦開始です。ジョーは何とか4発目核爆弾を海底で発見しましたが、その時は相手の潜水艦基地に近付き過ぎて、敵の潜水艦がジョーの乗るミニ潜水艦を撃破にやって来ます。ジョーは爆弾回収に手間取りながらもギリギリでミニ潜水艦を発進させ、途中海底の洞窟に隠れて敵の潜水艦をやり過ごし、何とか無事に帰還します。まあジョー90での典型的なパターンのお話で、意外性は無かったです。
1952年製RCA JANの2A3
ヤフオクで落札したRCA JANの1952年製の2A3が到着しました。JANというのは米海軍事用管という意味で(Joint Army Navy)、本来のデザインから若干機構を簡略化してコストを下げたものです。なのでオリジナルのビンテージ品よりは安く入手出来ます。出品者の情報では未使用品ということです。これはその内測定器で調べて確認します。しかし、1952年ということは70年前で、私よりも長く生きている管です。
音はまだ聴き始めたばかりですが、PSVANEのTiiに比べると高音が自然です。(逆に言うとPSVANEは高音にちょっと強調感、装飾めいた感じがあります。)またボーカルの艶についてはこちらの方がはるかに優れています。全体にとても良い感じで、これは下手すると300Bより上かもしれません。
トワイライト・ゾーンの”Mirror Image”
トワイライト・ゾーンの”Mirror Image”を観ました。ミリセント・バーンズという25歳の女性がバスを待合室で待っています。バスがなかなか来ないので係員にいつ来るか聞いたら「そう何回も聞きに来るな」と言われます。しかし彼女が聞いたのはそれが初めてでした。しかもチェックインされている荷物が彼女のバックと瓜二つでした。それを係員に言ったら「それはさっきあんたが預けたものだろう」と言われました。そんな筈は無いと自分の荷物を確かめたらそれは消えていました。怖くなったミリセントはトイレに行きますが、そこに居た女性に数分前に来たばかりなのにどうしたのか聞かれます。慌ててドアを開けたからトイレの鏡にはさっき自分が座っていたベンチに、もう一人の彼女が座っていました。ベンチに戻った彼女の横に、もう一人男性客がやって来ます。彼女の様子がおかしいので問い質し、事情を聞いてそれは幻覚でしょう、と説明します。しかしバスが来て乗り込もうとした彼女は既にバスの中に自分が居るのを発見して逃げ出します。結局男は友人に車で来てもらうと言い、実際は警察に電話します。ミリセントはパトカーで連れていかれます。しかし残った男がちょっと目を離した隙に自分の鞄が無くなります。それはある男が持って逃げていましたが、その男は男にそっくりで…という話です。いわゆるドッペルゲンガーものかと思いましたが、女性はこれはパラレルワールドにもう一人の私が来て、入れ替わろうとしていると説明しています。ちょっともう一ひねりが欲しかったです。
ヴェーバーの「ローマ土地制度史」の日本語訳の10回目を公開
マックス・ヴェーバーの「ローマ土地制度史」の日本語訳の第10回目を公開しました。ヴェーバーが特に注釈で細かい所をほじくるので、訳すのは大変ですが、個人的にはローマ史のお勉強にはとてもなります。今回の所も、ローマへの穀物供給はどのように行われていたのかの一端が分る内容でした。
B&W 706 S2 の再評価-無帰還アンプとの組合わせ
ちょっと思いついて、使っていなかったB&W 706 S2というスピーカーを物置きから取り出して、2A3無帰還シングルアンプに組合わせてみました。理由はこのスピーカーは音場がスピーカーの後方に広がる傾向があり、特にボーカルがそうでした。それに対し2A3無帰還シングルアンプは逆にボーカルが前に出るんで、組み合わせると丁度いいのではないかと考えました。結果は非常に良く、スピーカーの左右のユニットをつなぐ線よりわずか前くらいにボーカルが定位し、実在感があってなかなかでした。
ただこのスピーカーの欠点としては、音は美しいんですが、スピーカーが自己主張しすぎで、どんなソースを聴いても、このスピーカー独特の美音に変換してしまって、最初はいいですが、次第に飽きが来ます。(それが常用していない理由です。)この点は2A3無帰還シングルアンプとの組み合わせでも、多少マシにはなりましたが解消はされていないようです。
なお、このスピーカーのレビューで箱鳴りがする、と書いている人がいますが、それは単なるバスレフのダクトの共振(ヘルムホルツ共鳴)だと思います。私の試した限りでは、ダクトを完全に解放するより、付属のスポンジの外側だけをダクトに詰めるのがいいようです。全部詰めて密閉型にすると、若干ですが詰まった感じが出てきます。
整流管の品質について
真空管アンプと整流管について。真空管アンプを作る時、オール真空管にこだわる人は、整流に半導体ダイオードではなく整流管(2極管)を使います。その方が音がいいという主張ですが、故上杉佳郎さんも、ぺるけさんもそうい説には疑問を呈しています。個人的に、自分で作るアンプに整流管は使いません。
一番最初に組立てた300Bのシングルアンプが5AR4という整流管を使っていました。これの300BをJJ製に替えた時に、他の真空管もJJ製にしようと思って、整流管もJJ製にしたのですが、替えてすぐヒューズが飛びまくるという不具合が発生し、ヒューズの容量を増やしたりして色々調査しましたが、最後は整流管がビカビカとグロー放電して、明らかに整流管の不具合でした。その後、5AR4のソケットに入る半導体整流モジュールを試したりしましたが、結局ヤフオクで買った松下製の整流管(おそらく1960年代の製造)に替えたら、ピタリと不具合は治まりました。
それで何故現在作られている新品の整流管で不具合が出るのか調べて見ましたが、一説によるとRoHSというEUの環境規制である材料が使えなくなった結果、整流管の電気的耐久性が低下しているという話があります。これの真偽は確かめていませんが、ありえる話だと思います。何故なら私が勤めている会社で作っているスイッチにも同じような話があって、多くの会社で高定格のスイッチには接点部の銀にカドミウムを混ぜています。これがRoHSでやはり禁止なのですが、結局カドミウムを使わないと信頼性が確保出来ないということで、ずっと期限付き免除になっていて、期限が来る度に延長が繰り返されています。整流管にも同じような話があってもおかしくはないです。
今回、ヤフオクで落札した2A3の無帰還アンプが整流管でした。しかも最初に付いていたのは、トラブルを経験しているJJ製の整流管でした。すぐに手持ちの松下製(300Bのアンプに使っていたもの)に替えました。これでちょっと安心で、音質も気のせいかもしれませんが、柔らかくなりました。それで整流管というのは消耗品であり、1年ぐらいで寿命が来てもまったくおかしくないので、予備として東芝製と松下製をもう一本ヤフオクで落札しました。写真の右から2番目はSOVTEK製で、300Bのアンプに最初に付いていたものです。一番右はNational Electronicsというブランドのもの(これも新品ではなく中古品)で、松下製をヤフオクで落札した時におまけでもらったものです。作りは外から見る限りはしっかりしていますが、まだ使っていません。
ということで、結論としては、私は現在製造されている整流管の品質をあまり信用していません。この情報が本当かどうか分りませんが、トライオードの300Bアンプは最初整流管で出しましたが、整流管によるトラブルが続出したため、今は半導体整流に変わったということです。
NHK杯戦囲碁 孫喆7段 対 蘇耀国9段(2022年7月3日放送)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が孫喆7段、白番が蘇耀国9段の対戦です。この碁は布石が少なく、下辺から戦いが始まり、それが最後まで続いた激戦でした。その激戦の始まりは、下辺で、右側に白、左側に黒が展開し、どっちが主導権を取って攻めに回るかが焦点でした。この局面で黒が白2子を利かしではなく、いきなり切ったのが乱戦の始まりでした。しかしそれは短兵急過ぎで、ここから白が巧みに打ち回し白がリードしました。白が中央のダンゴ石を逃げて上辺につながろうとした時に、黒が急所を覗いて行ったのが、勝負手気味でした。しかし白はただつながるだけの手を打たず、逆に覗いた黒を攻めに行きました。ここでの黒の泣き所は右辺で一手かけねばならなかったのを、そこに回ることが出来ていなかったことで、白に上手く右上隅から右辺上方の黒を取る手と、右辺下方の白の策動を見合いにする手を打たれ、結局右上隅から右辺上方の黒が全部取られてしまいました。後は上辺左方から左上隅、左辺にかけての白の一団が活きるか死ぬかの勝負となりました。ここは劫になりました。その劫は一旦黒が謝った後、隅で2段劫になりました。結局劫は黒が勝ってここの白を取りましたが、劫争いの中で白は上辺と左辺の両方で黒地を値切ったので、形勢の逆転にはならず、白の7目半勝ちとなりました。
ジョー90の”Most Special Astronaut”
ジョー90の”Most Special Astronaut”を観ました。ある宇宙ステーションへ物資を補給に行くためのロケットが打ち上げに失敗して途中でコースを逸れて地上に向かい、爆破されます。パイロットは奇跡的に助かりましたが、意識不明の重体です。再度物資を届けるロケットが必要ですが、それを動かせるベテランの宇宙飛行士がいませんでした。そこでWINは瀕死の宇宙飛行士の脳波パターンをビッグラットに記録し、それをジョーに移します。ジョーは新たに用意したロケットに乗り込み、宇宙ステーションに向かいます。打ち上げは成功し無事に宇宙ステーションに接近出来ましたが、中の2人は酸素不足で倒れてしまっており、ドッキングに必要な内部からの誘導が出来ません。地球側では諦めて戻るように言いますが、ジョーはなんとか宇宙船を操って必要物資の入ったコンテナを宇宙ステーションにドッキングさせることに成功します。しかしドッキングの際に、大気圏再突入に必要なコースを決める誘導装置を壊してしまいます。最後の手段はジョー90自身がマニュアル操作で再突入の操作をするしかありません。最初は間違った角度で突入しようとしますが、再突入寸前で角度を修正し、無事に地表に戻ります。
このドラマが英国で放送されたのは1968年の10月で翌年の7月にはアポロ11号の月面着陸ですから、ロケットの打ち上げシーンとかはかなりリアルでした。また当時の少年にとっては宇宙飛行士というのは夢の職業で、そういう期待に応えるような内容でした。
トワイライト・ゾーンの”Elegy”
トワイライト・ゾーンの”Elegy”を観ました。西暦2185年、3人の宇宙飛行士を乗せた宇宙船が隕石の衝突によって場所を見失って宇宙を彷徨い、燃料が無くなったためある小惑星に着陸します。その星の大気は酸素20%で地球と同じで、重力も地球とまったく同じでした。それどころかその風景はまったく地球と一緒で、しかも19世紀の終わり頃のアメリカそのままでした。そこには人もいましたが、奇妙なことに全員固まってしまっていてまったく身動きしませんでした。彼らは3人で手分けしてあたりを探索しますが、どこに行っても凍り付いた人がいただけでした。彼らはこれは時間がゆっくり進んでいるのではとも思いましたが、時計を見たらそこには針がありませんでした。その内ようやく一人の動く老人が登場し、ウィックワイアと名乗ります。3人は奇妙な老人にここはどこかと問い質すと、墓場の中だと答えます。その説明によると金持ちだけの専用の墓場で、そこでは生前の夢が叶えられその幸福な瞬間のまま永遠に過ごすことが出来るというものでした。本物の死体は一つだけで後はセットでした。3人は何故そんなものが地球から6億マイルも離れた小惑星にあるのか問い質しましたが、老人は地球上には永遠に平和な場所は無い、と答えます。実際に1985年に核戦争が起きてその後約200年間は科学が停滞しています。(墓場が作られたのが1973年。)老人は3人に彼らのもっとも行きたい場所はと聞き、3人とも地球に戻る途上の宇宙船の中と答えます。それから老人は3人にワインを勧め「永遠の幸福に」と乾杯します。そのワインには「永遠化薬」が入っており、3人は倒れます。老人は3人をロケットの中に設置し、まさしく3人は地球に戻ろうとする宇宙船の中で永遠にそのままで過ごすことになります。老人はそこの管理用に作られたロボットで、今回の役目を終えた後、また眠りに就き、次に誰かがやって来るのを待ちます。
という内容でなかなかアイロニカルで楽しめる内容でした。なお、宇宙船の中は「禁断の惑星」で使われたものの流用のようです。