この1年くらいのオーディオ道楽の最後(にしたい)。ついにTANNOYに手を出しました。とは言ってもAutograph mini/GRですが。銘器Autographの名前は付いていますが、高さで比べると、4.2対1で、容積比だったらほとんど1/100ではないかと。こちらは小形スピーカーで有名なRogersのLS3/5aよりも小さいです。また本物はフロントローデッドホーン+バックローデッドホーンというこれ以上ないくらい凝ったエンクロージャーの構造になっていますが。こちらは単なるバスレフで、フロントローデッドホーンもありません。能率も85dB/W/mです。
ということで、物は試し、という感じであまり期待しないで導入したのでが、これが当たりでした!弦はTANNOYですから当然いいですが、金管楽器が実にきらびやかに鳴ります。またこのサイズからは信じられないようなスケール感のある音です。また10cm同軸2ウェイというのは、ボーカルには最適で、まさしく目の前で歌手が歌っている感じで定位します。もちろん本当の意味での100Hz以下の低音はほとんど出ていませんが、サブウーファーで補っているので問題ありません。単なるクラシック音楽がいいというだけでなく、いわゆるオーディオ的にいい音源の再生も見事にこなします。
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グーセンス指揮ロンドン交響楽団のアンティル「コロボリー」他
ユージン・グーセンス指揮ロンドン交響楽団の、アンティル「コロボリー」とヒナステラの「パナンビ」のLPを入手。
長岡鉄男教徒は、このジャケット見ただけですぐ分かりますが、外盤A級ジャーナルの64番で取上げられている超絶録音です。レーベルはEVERESTで1958年のプレスですが、この頃のEVERESTは録音に35mmの映画用のフィルムを利用していたので有名で、他にも多数ステレオ初期の名録音があります。また指揮者のグーセンスがなかなかスキャンダルの人で、指揮者としての腕は見事なのですが、オーストラリアで「最後の魔女」と呼ばれた怪しげな女性と付き合い、一緒に卑猥な写真をいっぱい撮って、それが空港で見つかって大スキャンダルとなって、仕事をほぼ失ったという人です。私はこれ以外にグーセンスが指揮した幻想交響曲もCDで持っています。魔女で身を持ち崩した人が魔女が出て来る交響曲を指揮していると言う面白いものです。
長岡鉄男はこのLPの「コロボリー」を最後まで聴いた人は必ず「ほーっ」とため息をつく、と書いていますが、確かに終盤の盛り上げ方はすごくて、春の祭典をボレロ風に演奏している感じです。この録音、最近ハイレゾで販売されているというので探しましたが、そっちは無く、Amazonで検索したらオリジナルのLPが意外と簡単に出てきたものです。録音は盤質から来るパチパチノイズと、テープのヒスノイズが若干目立ちますが、それ以外はダイナミックレンジもFレンジも広く、この60年ちょっとのオーディオの進歩ってはたしてあったのかと思ってしまいます。
ヴェーバーの「ローマ土地制度史」の翻訳作業再開
アーウィン・アレンの「タワーリング・インフェルノ」
今さらですが、この歳になってようやく「タワーリング・インフェルノ」を観ました。一つはアーウィン・アレンの1960年代TV作品を全部観終わったので、これもということ。(ポセイドン・アドベンチャーは何年か前に観ています。)それから、もう一つは9/11というこの映画以上の悪夢が起きた後でもこの映画の価値はあるのかの確認という意味です。
いやー、TVドラマではチープでナンセンスな脚本で、予算をけちったドラマを撮り続けていたアレンからするとまるで別人の作品のようです。(ちなみに最後のタイトルロールで、アシスタント・ディレクターの所にウィリアム・ウェルチの名前があって笑えました。)まあアレンは総指揮で実際の撮影他は他の人がやったのが良かったのでしょう。ただ1960年代TV作品の影響は多少見られて、例えばビルの配電盤が火を吹くのは、原子力潜水艦シービュー号で嫌というほど観ています。またポール・ニューマンが親子3人を連れて非常階段で逃げるシーンは巨人の惑星のシーンをちょっと思わせました。その俳優ですが、信じられないくらい豪華です。主役がポール・ニューマン(ビルの設計者)とスティーブ・マックィーン(消防隊の隊長)、ビルのオーナーがウィリアム・ホールデン、ポール・ニューマンの恋人がフェイ・ダナウェイ、老詐欺師がフレッド・アステア、ついでに配電室の所長がO・J・シンプソンです。
脚本は色々突っ込み所はあって、いくら配線材をけちったからといって、あの位で火が出たりはしません。また最後の水タンクを爆破してそれで消火するというのも、水の量が明らかに多すぎます。とはいえ、画面のすごさがそういう脚本のアラを全部カバーしてお釣りが来ます。家の高級オーディオ(?)が実に迫力満点のサウンドを出してくれました。
アーウィン・アレンもこの作品で止めておけば「パニック映画の巨匠」で終れたのですが、1980年の「世界崩壊の序曲」が大失敗し、今まで稼いだ分を全部失ってしまいます。そういう意味では浮き沈みの激しい人です。
最後に、実際にあった9/11で亡くなられた消防士の方々のご冥福を心からお祈りしたいと思います。火というものの本当の恐ろしさがこの映画で良く理解出来ました。
NHK杯戦囲碁 河野臨9段 対 上野愛咲美女流棋聖
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が河野臨9段、白番が上野愛咲美女流棋聖の対戦でした。二人は意外にも初対局です。局面が動いたのは右上隅の黒の小ゲイマジマリに白が肩付きして、その後の折衝で黒が右辺に詰めを打ったのに白がすかさず打ち込んでからです。お互いに眼が無い石が2つずつ絡み合う展開になりました。その後白が上辺を大きくまとめ、更に左下隅でも相当の地を稼いだ結果、中央の黒が厚くなり、中央の白7子をしのげるかどうかの勝負になりました。白は左辺になだれ込んで左下隅の白に連絡を図りましたが、途中黒が中央で覗いたのに継げず、黒は白の2/3ぐらいをもぎ取って26目ぐらいの地を作りました。しかしこれでかなり細かく黒がやや優勢かという局面でした。次に下辺で白が右下隅の黒に対して跳ね継いだ後、黒は手を抜いて他を打ちました。ここに白から手があるかが勝負のポイントとなりました。結果として劫になり、白が左辺の黒を殺す劫立てに黒は劫を解消しました。この結果左辺は全部白地に成りましたが、今度は右辺下方から左に延びる白の一団の眼がありませんでした。白はここが劫だと、左辺の取られている黒を復活させる劫立てが黒から多数あるため、無条件活きしかありませんでした。しかし詰碁の多作者である河野9段の応手は的確で白は死に、投了となりました。上野女流棋聖は「ハンマーパンチ」の愛称で知られていますが、本局ではハンマーパンチを振るったのは河野9段の方でした。
ジェリー・アンダーソンの「スティングレイ」の第1話”Stingray”
ジェリー・アンダーソンの1964年の作品「スティングレイ」の第1話、”Stingray”を観ました。海底パトロール隊が、海底王国タイタニカに住む海底人と戦うというストーリーです。1話30分。まだ全部観るか決めていません。超有名なサンダーバードはこの1年後ですが、2人の乗員が潜水艦スティングレイに乗り込むシーンで、2人の座る椅子が2人を乗せたまま地下に降りていって、そのままスティングレイの操縦室の中に送り込まれる様子などは、サンダーバードにそのまま引き継がれています。笑ってしまうのはスティングレイの仕様で、原子力潜水艦なのはいいとして、何と水中での速度が時速600ノット!1ノットは1.8Kmですから、時速1,000Km以上!!水の抵抗がある水中で、どんな原子力潜水艦でも絶対に不可能です。原子力潜水艦シービュー号は、諸説ありますが、時速70~90Kmぐらいで、もちろんこれもフィクションです。現実の原子力潜水艦は最速で時速60Km以下です。それから海底人の方の魚型潜水艦が、原子力潜水艦シービュー号のネス湖での戦いに出てきた怪潜水艦に良く似ています。スティングレイの方が先です。第1話ではまだ敵の正体が知られておらず、スティングレイの乗員2名は捕虜になって処刑されそうになりますが、同じく海底人の一人で奴隷となっていたマリーンが二人を助けます。ちなみに司令官は二人が行方不明になり、飛行機で捜索しても見つからなかった時に、なんと水爆ミサイルの発射を命じます。フィクションとはいえ、当時の世相が窺えます。
スター・トレックの第2シーズンの”Bread and Circuses”
スター・トレックの第2シーズンの”Bread and Circuses”を観ました。6年前に調査船ビーグル号が消息を絶った場所の近くの星に、カーク達は生存者を求めて降り立ちます。そこは地球に非常に良く似た星でしたが、何故かローマ帝国とほぼ同じものが20世紀の地球と同程度の文明の星に残っていました。そこではまだ奴隷制度が残っていて、TVでグラディエーター同士が戦うのが中継されています。カーク、スポック、マッコイの3人は最初逃亡奴隷の群れに捕まりますが、彼らは太陽神を信仰していて、人間は平等だと信じていました。町に生存者を探しに行こうとしたカーク達は警察に捕まってしまいます。そこには遭難したビーグル号のキャプテンであったメリックが、コンスルの副官となっていました。ビーグル号の乗員はグラディエーターとして戦わされ死んでいました。コンスルはカークに対しエンタープライズ号の乗員もグラディエーターとして戦うことを要求しますが、カークは拒否します。それでスポックとマッコイがまずグラディエーターとして戦わされますが、フラヴィウスという逃亡奴隷だった一人が助けてくれたりして、なんとか無事に試合を切り抜けます。カークはエンタープライズ号のクルーを呼ぶために渡されたコミュニケーターで、スコッティに暗号でトラブルに陥っているが何もするな、と伝えます。カークは処刑されそうになりますが、暗号を理解したスコッティがエネルギー波を送って一瞬停電させます。それをチャンスにしてカークは処刑の場から銃を奪って逃げ、スポックとマッコイも助けます。彼らは武装警官に取り囲まれますが、メリックがコミュニケーターでエンタープライズ号に3人を転送するよう伝えますが、彼自身はコンスルに刺されて死にます。無事にエンタープライズ号に戻った3人ですが、スポックは逃亡奴隷が太陽神を信仰しているのに人間平等を主張するのはおかしい、というとウフーラが、彼らは太陽そのものではなくて、太陽とは神のことだと言います。カークは地球のローマ帝国の時代にキリスト教が生れたように、この星では20世紀相当の今それが起きていることを悟ります。という話でこの話も脚本にロッデンベリーが参加しています。しかし文明批判としてはちょっと中途半端に思います。ちなみにローマで太陽崇拝の宗教というとミトラ教です。
本田美奈子.の”Ave Maria”
レコード針の寿命について
最近、毎日LPレコードを聴いており、平均して10枚/日ぐらいなると思います。そうなると気になるのが針先の寿命です。今使っているオーディオテクニカのAT-OC9XSHはシバタ針というものです。交換針のメーカーのJICOのサイトによると、シバタ針の寿命は約400時間とあります。LP1枚が大体45分とすると、530枚くらい聴くとこの位の時間になります。このカートリッジを使い始めてからもうその位は聴いていると思いますが、今の所音が劣化した感じはありません。シバタ針の開発者の情報によると、シバタ針の寿命はLPの盤面の程度が普通の場合、1500時間、非常にきれいな場合は4500時間となっています。私はJICOの情報よりこちらの情報の方が正しいと思います。まず針先が無垢のダイヤの場合、通常人は消しゴムが減っていくように摩耗していくと思うでしょうが、実際は違います。それからダイヤに比べ大幅に硬度が低い(モース硬度で1未満)の塩ビのレコードの表面をトレースしているだけだったら、寿命は非常に長いです。よく針先の接触面積が非常に小さくてそこに針圧がかかるので針が摩耗すると解説してありますが、これは正しくないです。ダイヤの針を摩耗させるとは、ダイヤに近い硬さのものが針先に当たって、微小な欠けが起き、これが繰り返されることが摩耗という現象の実態です。これは包丁や剃刀が段々切れなくなるのと理屈は同じです。なので、針を長持ちさせたければ、盤面のゴミ・ホコリがなるべく無い状態で再生すればいいということになります。このためにもクリーニングマシンというのは役に立ちます。また、砂埃やガラスの微粉末のような硬度の高いゴミは針先にもっともダメージを与えます。それからカートリッジの音が劣化して来たと思ったら、まずは電動スタイラスクリーナーで1分くらいクリーニングすることをお勧めします。針先の表面に樹脂類やゴミが付着して音を劣化させている場合が非常に多くあります。
スター・トレックの第2シーズンの”The Ultimate Computer”
スター・トレックの第2シーズンの”The Ultimate Computer”を観ました。M-5という人の代りに連邦のスターシップを完全にコントロール出来るというコンピューターが開発され、それをエンタープライズ号でテストすることになります。エンタープライズ号は20名だけを残して後は退艦しました。こういう話はもうワンパターンの展開が読めているのですが、案の定、途中でコンピューターが暴走してまずは無人の輸送船を光子魚雷で攻撃して撃沈します。またM-5の防衛・攻撃能力をテストするために、連邦の他のスターシップ3隻がやって来ますが、それらの演習のための攻撃をM-5は本物の攻撃と思い、人間をはるかに上回るスピードで3隻を攻撃し、乗組員1,600名が命を落とします。連邦からはエンタープライズ号破壊命令が出ます。M-5の開発者のデイストローム博士は、M-5には人間と同じように考える能力を与えたと言います。カークはM-5に対し、M-5が1,600名もの人間を殺したことを伝え、殺人の罪は何か、と問いかけます。殺人の罪は死をもって償うこととして、M-5は機能を停止し、またエンタープライズ号を無防備の状態に置きます。(M-5には演習であることは知らされていなかったので、M-5から見たら正当防衛なので、この判断は変ですが。)カーク達は何とかエンタープライズ号のコントロールを取り戻しますが、シールドもエンジンもわざと切ります。カークはウェズリー船長が無防備な敵を攻撃することはないだろうという所に賭けて、何とか攻撃を回避することに成功します。
という訳でありがちな話なのですが、ただこの話がTVで放映された時はそういうコンピューターはまったくの想像だけのものでしたが、今やAIが運転する車が出てきており、この話と同じようなことが起こらないという保証はないでしょう、ということで今の時代には意味があるエピソードでした。