本日から第一回目の夏休みなので、国会図書館に行きました。目的は白井喬二の「捕物にっぽん志」の未読のものを読むことです。
幸いにして国会図書館で全24話を全て読むことが出来ました。以下がその内容です。
第1回 石歴翁(しゃくれきおん)を巡る土蜘蛛族と大和族の争い(1)
第2回 石歴翁(しゃくれきおん)を巡る土蜘蛛族と大和族の争い(2)
第3回 白帑喜剣(しらぬ・きけん)の話(神功皇后の時代)
第4回 源平の巻 悪七兵衛景清(1)
第5回 源平の巻 悪七兵衛景清(2)
第6回 後醍醐天皇の隠岐脱出/成田小三郎
第7回 加藤清正と加藤千畳館
第8回 一休禅師
第9回 佐振延吉
第10回 栗山善助/黒田官兵衛孝高
第11回 由比正雪(1)
第12回 由比正雪(2)
第13回 由比正雪(3)
第14回 大岡越前(1)篠原権兵衛の中島立石殺し
第15回 大岡越前(2)篠原権兵衛の中島立石殺し
第16回 大岡越前(3)白子屋おくま
第17回 大岡越前(4)白子屋おくま
第18回 大岡越前(5)白子屋おくま
第19回 大岡越前(6)天一坊事件の真相
第20回 三日月小僧清次と岩亀楼の喜遊(1)
第21回 三日月小僧清次と岩亀楼の喜遊(2)
第22回 前原一誠
第23回 風俗史 お茶ノ水事件
第24回 銀行券紛失事件
全体を通して読んで見て、既に白井が他の作品で取り上げた題材が再度使われているケースが多くあります。(悪七兵衛景清、由比正雪、岩亀楼の喜遊など)もちろん元の作品とはまた描写が違いますが。最初の2回の「石歴翁」の話はかなりユニークでしたが、ちょっと結末が尻切れトンボでした。全体を通してのテーマは「探偵術、捜査術、斥候術」だと言えると思います。ただ全体に色んな話がありすぎて、全体のまとまりという感じはあまりしません。全体の中では16回~18回の白子屋おくまの話が、不思議なお告げをする柱の話とからめて読み応えがあります。また由比正雪(由井正雪)の話も「兵学大講義」で書き切れなかった部分を書いている感じで、悪くないと思いました。