[4]SMCペンタックスFズーム70-210mmF4-5.6 – 9群13枚。(隠れED)
[5]SMCペンタックスFズーム80-200mmF4.7-5.6 – 7群11枚。
[6]SMCペンタックスFAズーム70-200mmF4-5.6 – パワーズーム可。8群10枚。
の良く似たスペックの3種類の望遠ズームですが、フィルター径49mm、最短撮影距離1.1mの仕様は共通です。ぱっと見た目では[6]は[5]をパワーズームにする際に少しだけいじったように見えますが、ところが!、[5]はズーミングしても全長が変わらない「インナーズーム」です。3本のうち[5]だけがそうです。というわけで、良く似ていてもこの3本はまったく設計が違うようです。
写りを見ても傾向はわかります。上の写真は、1.1mくらいのところから、最望遠側にズームして開放(F5.6)でカレンダーの細かい文字を撮ったものです。ビューアーで200%に拡大しています。
写真、上中下の順で[4]-[5]-[6]です。
[4]がやや大きく写っているのは210mmだからですが、色収差が少なく他よりシャープなのが確認できます。
[5]はこれに比べるとはっきり色収差が出ています。
[6]は色収差は余り目立たないものの、全体にコントラストが弱く色目も他の2つと傾向が違うようです。
[4]はEDレンズを使用しているのに、製品名に「ED」がつかない(色収差の補正というより小型化のためにEDレンズを使っているもの)「隠れEDレンズ」と呼ばれますが、テスト画像でもそれは確認できます。
全体に、望遠ズームで49mm径というのは、小型を優先したのでしょう。[5]はインナーズームでもあり、その設計方針はある意味徹底しています。これに対して[5]パワーズームをつけたために、全体が大きく重く長くなって、いまいち設計思想がちぐはぐです。(FAシリーズのズームは最初すべてパワーズーム付きで行く計画だったそうなので、無理矢理なパワーズーム化もやむを得なかったのでしょうか…)
[5]の小型軽量さは、持ち歩く上で十分な付加価値があります。
ともかく、ペンタックスのこのクラスの望遠ズームは短期間に右へ行ったり左へ行ったりして混乱しています。このF、FAの時代はペンタックスはAFで出遅れて、それを挽回するために方向性が揺れた時期であり、それがレンズのラインナップにも出ているようです。もし中古で買われるのなら、私は[4]か[5]をお勧めします。(FA80-200mmF2.8という☆レンズがありますが、これは中古でも十数万円しますので、お好きな方はどうぞ、としか言いません。)
最後に撮影例、これも[4]-[5]-[6]の順です。差があるといっても、 わずかです。