サンバレーの真空管アンプ→やっぱりダメ

サンバレーの300Bのシングルアンプについて、ボリュームを交換して復活した話はここで書きました。それでここ数日ずっと聴いていて「何だ結構いい音じゃないか」と少し見直しかけました。(私はこのブログで過去にサンバレー製品を買うな、という記事を書いています。)しかしそれはやっぱりぬか喜びで、サンバレーはサンバレーでした。
このアンプ、昨日からヒューズが4回飛んでいます。最初に飛んだ時はスピーカーケーブルの交換中だったので、多分間違って+とマイナスをショートさせたんだろうと思っていました。しかし、新しいヒューズ(5A、5mmx20mm)が到着して交換し、音楽を聴いている時には問題ありません。しかしスイッチを切って、あまり間を空けないでまたONにすると、ほぼ確実にヒューズが飛ぶことが分りました。おそらく一度スイッチを切って、コンデンサーにまだ蓄電している状態でスイッチを入れると、そこに流れている定常的な電流に加え、スイッチの接点接触による突入電流が発生し、その相乗効果でヒューズが飛んでいるのだと思います。電源スイッチはオータックスのトグルスイッチであり、定格はおそらくAC100Vで6Aぐらいのものだと思います。この場合想像ですが、定常的な電流は定格の1/4ぐらいで1.5Aぐらいではないかと思います。それに突入電流として、この場合電源は平滑コンデンサーがあるためコンデンサー負荷と考えると、おそらく最低でも6A~7Aに近い突入電流が流れていると想定されます。そして最初から付いているヒューズが5A定格なら、定常的な電流にさらに突入電流が加われば、飛んで当然かと思います。元々このアンプはこの突入電流の対策がまったくされておらず、ボリュームを上げた状態でスイッチを入れるとかなりのレベルのボツッ音がしていました。なので私の方で、岡谷のスパークキラーをスイッチにパラに入れました。これでボツッ音はほとんどしなくなっていますが、しかしスパークキラーで吸収される前にヒューズが飛んでいるのだと思います。
対策として以下を試してみます。
(1)ヒューズを5Aではなく7A定格のものに交換する。
(2)溶断するのが若干遅いタイプのヒューズを使う。
(3)ヒューズではなく、リセット型のサーキットブレーカーに交換する。
Webで検索すると同様にサンバレーのアンプでヒューズが飛んでいる方がいて、その方がサンバレーにクレームしたら、2回それぞれ前のより電流容量を上げたヒューズを送って来たそうです。しかし1回目のはすぐ切れ、2回目のは切れなかったですが、その代りにトランスから煙りが出たそうです…さすがとしかいいようが無いサンバレーの対応です。ちなみにここの初期のアンプ、例えばプリアンプのSV-3は私が持っているADVANCEのEL34プッシュプルと筐体がまったく同じです。おそらく初期のアンプはADVANCEのOEMだと思います。ちなみにADVANCEは社長が亡くなられて廃業されたようで、現在ADVANCEの真空管アンプキットはオークションでの中古以外は買うことが出来ません。

オーディオリニューアルの一応の帰結

色々と機器が増えて、折りたたみ式のテーブルでは荷重に長期的に耐えられず、またスピーカー台としてみてもいいものではないので、AVラックに入れ替えました。サブウーファーの置き場に悩んでいたのですが、何と棚板とかガラス扉とか余計なものをつけなければピッタリサブウーファーが入りました!
今度のは耐圧50Kgですから荷重はまったく問題ありません。またスピーカー台としての質も当然前の折りたたみ式のテーブルよりは上です。一応これで完成形です。しかしPC用のサブシステムだったのがここまで本格的なものになるとはまったく予想していませんでした。
ちなみに天板に載せているはUSB-DACが2台(PC用とNAS型の音楽サーバー用)です。どちらもスイッチング電源のACアダプターではなく、昔からあるトランスを使ったアナログ電源を付けています。(エーワイ電子という会社の製品です。ここは私のこだわりです。スイッチング電源はAMラジオを近づけると分りますが、かなりのノイズを発生しています。)

300Bのシングルアンプ初号機のお色直し

300Bのシングルアンプ初号機、お色直し。
(1)銘板が一部変色していて汚いので、全面的に作り直しかつ”SUNVALLEY AUDIO”の文字を削除し、代わりに使用している真空管名を記載。
(2)ボリューム交換の時に表面の木のパネルに一部傷が付いたんで、全体に壁紙を貼りました。このシール式壁紙、何かと活躍します。

ちなみに昔メインのスピーカーとして使っていたクリプトンのKX-3P(出力音圧レベル:87dB)を真空管アンプで鳴らしてみる実験をやってみましたが、KT77プッシュプル、300Bシングルとも音量はそれなりに出るのですが、ピアノの強奏の時などに音が割れてしまいます。最初スピーカーをずっと使ってなかったせいかと疑いましたが、結局アンプの出力が足りていなくて、強い音が急に立ち上がるときに歪んでいるのだと思います。という訳で10cmバックロードホーンに戻しました。

後、ちなみに元々の格好はこんな感じです。元々のキット屋での品名は”JB 300B Ver.3”でキットの価格は真空管込み(300Bはサンバレー製)で税込み99,800円でした。販売店の宣伝文句は「オーディオ用出力管の中でダントツの人気を誇る300B。その魅力は一体どこのあるのでしょう。本機開発にあたり、我々はその原点に立ち返って検討を始めました。第一に一切の曇りなく抜けるようなワイドレンジな音質であること。第二に300Bの最大の特徴である中低域の厚みを十分に体感出来ること。第三に贅沢な三段増幅回路によりソースに対する追従性の高い高感度なアンプであること。「ジュエリーボックス300B」は整流管整流,オーソドックスな完全手配線アンプとしてここに誕生し、高いコストパフォーマンスと美しい意匠で多くのお客さまにご愛用頂いている最もベーシックで永くご愛用頂ける私どもの原点ともいうべきアンプです。」(2011年8月時点、WayBackMachineで過去のHPを参照)

ちなみに灯りを消すとこんな感じになります。これに比べると300B2号機は電源インジケーターに青色LEDを使っていて、それが目立ちすぎて風情がありません。こちらはネオン管なんで色見が同じでなかなかいいです。

300Bシングルアンプ初号機の真空管を全てJJ製に取替え

本日復活した300Bのシングルアンプ初号機について、300B以外の真空管を整流管も含めてJJ製に交換。気のせいか多少膨らみ気味だった音像が引き締まったように思います。
JJはスロヴァキアの真空管メーカーで、昔の名門のTESLAの製造設備を引き継いでいると言われています。色々最近試した中では、このJJ製が比較的品質が安定していて、しかもそれほど高価ではありません。
この初号機の音が非常に素晴らしいと思っている訳ではありませんが、最初にこれを聞き出した時「ああ、これが真空管の音なのか」と思っていて、ある意味懐かしさを感じます。今シビアに聴くと、色んな所に甘さ・曖昧さがあって決して純粋にHiFiな音とは違うとは思いますが、万人向けの聴きやすい音であることは否定しません。

300Bのシングルアンプ修理→復活!

9年前くらいに、初めて真空管アンプのキットを買って組み立てた、サンバレーの300Bシングルのアンプですが、半年くらいの使用でボリュームが壊れ、丁度そのころメンタル面で不調だったので、修理せずにこれまで放置していました。(このサンバレーという会社の製品に対して色々と不信感が出て来たのも修理しなかった理由の一つです。)それが今回また真空管アンプへの興味が復活し色々知識も増えて来たので、ボリュームを交換して修理しました。結果として、ボリューム交換後3分くらいは歪みの多い音が左チャンネルからしか出なかったのですが、その後正常に復帰しました。サンバレーの”Romantic Glass Amplifier”という300Bのシングルアンプです。(使用真空管は、300B x 2、12AX7 x 2、6BQ5(EL84) x 2、5AR4(整流管) x 1です。)
何点かオリジナルとは変えていて、
(1)付属していたサンバレーブランドの中華300BをJJ製300Bに差し替え。
(2)スイッチオンで「ボツッ」ノイズが出るため、電源スイッチにパラにスパークキラーを付けました。
(3)ボリュームが壊れていたので、アルプスのRK27112A0A100K半田に交換。元のボリュームのブッシングが6φで替えたのが8φなんで、ドリルで穴を拡げ、かつ回転止めの突起用の穴も位置が違うんで別に開けて交換。(ちなみに壊れたボリュームもアルプス製でしたが、今回交換した奴より小型でベーク板が露出しているタイプです。)

このアンプを最初に買った理由は、300Bのシングルアンプのキットの中では一番安かったからだと思います。ただ、安いけどトランスなどは割とちゃんとしたのを使っていて、音は悪くありません。ただ今回中を開けて再確認しましたが、この会社お得意の空中配線が多く、きちんと固定されていない部品が多く、それが音の甘さ(柔らかさではなく)につながっています。とはいえ、一般的真空管アンプの音というイメージには近い音です。

EL34のプッシュプルアンプ(KT77に差し替え)のボリューム交換

ADVANCEのHC-5(EL34のプッシュプルだったのをKT77に差し替え)のボリュームを交換しました。理由は元々ついていたのが接触が不安定で、ボリュームの軸の角度を少し変えるよう押すと左右のバランスが変って不安定だったからです。写真の左が元々付いていたもので、ご覧の通りかなりの安物です。右が今回交換したアルプスアルパイン(旧名アルプス電気)のRKシリーズです。音質がいいかどうかは知りませんが、回した時の感触はこのアルプスのボリュームはとてもいいです。また左右の音量のバラツキも少ないようです。定格(最大抵抗値が100KΩ、Aカーブ→100KA)も同じでした。

ただ、この交換は非常に大変でした。
(1)取付け穴サイズが違う
アルプスの方がブッシング径が若干太く、元々のパネルの穴には入らないため、穴を拡げる必要がありました。また回転防止用の突起を挿入する穴も位置が違うため、これも新たに開けました。

(2)配線が大変
旧と新で端子の配置と数は同じでしたので、配線そのものは旧のものを新で再現しただけでしたが、この半田付けが非常に大変でした。実はこのアンプ、キットで組み立てた時非常に大変で、一応組んだものの動かず販売元に送って手直してもらいました。その大変な理由が今回の作業で分りました。このボリュームの一つの半田端子に何と4本もの線をつないでいます。(信号線のマイナスが2本、ラインアースが1本、左右チャンネルのアースをショートするジャンパー線)
私が勤めている会社でスイッチを作っていてそれには半田端子のものが多くありますが、半田端子は原則的に1本の線だけをつなぐものです。いくらなんでも半田端子1つに4本のラインはひどすぎます。結局左右のアースをショートするジャンパー線にラインを結んで何とか半田付けは出来ましたが、結局徹夜の作業になりました。

それからこのボリューム交換後、電源ON直後には右チャンネルからしか音が出ず、その後30分くらい音楽を流していると左チャンネルが少し鳴り出しますが、結局7:3ぐらいで右が強いという現象に悩まされました。ボリュームの半田付けがちゃんと付いていないのかと何度も確認しましたが、それは問題ありませんでした。結局ある程度の音量でずっと音楽流していたら、突然ポップノイズがして左右のバランスが正常になりました。真空管アンプはこういう不思議なことが良く起きます。高電圧小電流回路ならではの現象なのかもしれません。

ADVANCEのEL34プッシュプルプリメインアンプHC-5

真空管アンプのシングルアンプが2台稼働すると、今度はプッシュプルの音が聴きたくなりました。最初またAmazonで中華アンプを見ていましたがイマイチでした。そこでよく考えたら昔春日無線のキット(ADVANCE)で作ったEL34のプッシュプルアンプが押し入れにありました。これは最初は動いていていつからか音が出なくなっていたものですが、これが本当に駄目になったのか、単なる真空管の不調か分りませんでした。(この故障した頃、私はうつで闘病中で色々と試してみる気力がなく、その後回復した後もそのままになっていました。)試しに取り出して掃除して、ネットで使用している真空管を調べてEL34以外の真空管を新しいものに交換して試したら見事動きました!このキットは作るのが非常に難しく、一応組み立てたけど音が出ず、販売店に送って手直ししてもらった曰く付きのものです。(これまで作った真空管アンプでは、一番組み立てやすかったのはエレキットのもの、次がサンバレーのもの、そしてこの春日無線のプッシュプルが一番難しかったです。春日無線がどうのというより、プッシュプルは真空管ソケット回りが混むので、初めてキットにトライする人はシングルアンプをお勧めします。)このアンプ、春日無線が売っているだけあって出力トランスはかなり立派なものが付いています。次のステップはEL34の4本をKT77の4本に変えてみようかと思います。久し振りに聴いてみた感じは、プッシュプルらしいパワフルさがあり、真空管らしさも十分あります。ただちょっと難点を言えば若干低音がルースな感じです。なお接続はUL接続のようで、出力は20W+20Wです。

ライン入力切り換え器

中華製切換器の中

ラックスマンの切替器の中

中華真空管プリアンプの入力が2系統しかなく、かつその2つの切換えが安物の押しボタンスイッチでイマイチです。私は家では、(1)SACDプレーヤー(2)PC(USB-DAC)(3)NAS型ネットワークサーバー+USB-DACという3種類の入力が最低限必要になります。
それで最初、かなり以前に買ったオーディオテクニカのを含め、市販のものを3種類試しました。オーディオテクニカのはかなり古くて接点がもうかなり酸化しているんじゃないかと思い、パス。続いて中国製の1900円のを買いました。これはコンパクトなのはいいですが、中を開けたらPC基板を2つ使ってその間をいわゆるフラットケーブルで接続しています。オーディオ用には普通フラットケーブルは使いません。何故なら平行配線の極地で誘電容量が上がり音質劣化になるからです。実際にこれで聴いたハイレゾのピアノの音はイマイチでした。続けて12,200円もしたラックマンのを試してみました。しかし中を開けたら、驚いたことに、フラットケーブルこそは使っていませんが、構造は1900円の中華切換器と同じです。(というか中華の方が真似したんでしょうけど。)中の配線も細くてイマイチでした。音質も中華切り換え器よりはマシですが、やっぱり音が劣化しているように感じました。(負のプラシーボ効果というのもあるので、本当に劣化しているかは不明です。)
それで市販のものが無いならロータリースイッチや3投式(ON-ON-ON)トグルを使って自作しようかと思いましたが、配線が結構面倒だし、スイッチの細い端子にオーディオ用の太いワイヤーを半田付けするのは結構大変です。それで発想を変えて作ったのが下のもの。超原始的に手動で30cmのRCAケーブルを切り替えるだけですが、こちらの方は音質劣化が非常に少ないように思います。問題は演奏中に切り替えるとポップノイズが出ることですが、一応普段も切り替える時はボリューム絞ってやっていたので問題ありません。使ったのはタカチのケース、RCAの延長用のメスーメスソケット、30cmのRCAケーブルです。穴はドリルで開け、その後ハサミの片方の刃でぐりぐりやって拡げ、ゼリー状瞬間接着剤で固定しました。

エレキットTU-8500(完成品、パーツ交換)

中華真空管プリアンプに2日遅れて、エレキットTU-8500をサガミオーディオでパーツ交換+組み立てしたものが到着。
結果的に、このプリアンプの利得は、3.1倍(9.8dB)/1.15倍(1.2dB)の2つに切り替えられるのですが(NFの量を変えているだと思います)、後者の1.15倍の方が、300Bのシングルアンプのそのままの良さを一番引き出してくれました。要はアキュフェーズE-350でも、中華プリアンプでも、それ自体の主張がやや強すぎて300Bのシングルの良さを薄めてしまっている所があります。それに対して1.15倍というほとんどあるかないかの利得でこのプリを使うのが、300Bの実力を引き出す上では一番良いようです。では何故最初からこれにしなかったかと言うと、フォノイコライザーという私には不要なものが付いていて(真空管フォノイコライザー単体とMC用トランスは別に持っています)、それ以外のプリアンプ部はあまりコストをかけていない安物ではないかと思ったのと、何故かアムトランスで完成品は売っていますがパーツを交換したものではなかったことです。サガミオーディオはコンデンサーやボリュームを質のいいものに交換してくれています。ただこれでこちらばかり使うという訳ではなく、中華真空管プリアンプも力強さとダイナミックさというメリットがありますので、ソースによって使い分けてみたいと思います。
(写真の上段左がエレキットのプリ、上段右が中華プリアンプ、下がアキュフェーズのE-350。)

中華真空管プリアンプを試す

先日から真空管(プリメインまたはパワー)アンプ(300Bシングルアンプ、KT77シングルアンプ)に組み合わせる真空プリアンプを探しています。最初昔キットで組み立てたサンバレーのSV-3を試しましたが、色んな意味で作りが甘くて気に入らず、しばらくアキュフェーズのE-350のプリメインのプリ部だけを使っていました。これはHiFiという意味では文句ありませんが、メインのシステムがアキュフェーズE-600でそれと似たような音で真空管的な音が後退してしまいます。また、本格的な真空管プリアンプは、ラックスマン、トライオード、ウエスギ、マッキントッシュで一番安いのでも35万円コースです。それでAmazonで売っている10万円以下の中華真空管プリアンプを駄目元で試してみる気になりました。SHENZEN Yi-Xin Audio R&D Studioという所の製品で、送料込みで5万7千円くらいです。
最初製品名の中にある”Shigeru Wada Circuit”というのが何のことか分らなかったのですが、調べてみたら、1969年のラジオ技術という雑誌の2月号にて紹介されている、アマチュアの和田茂という人がその当時の定番の真空管プリアンプだったマランツ7の回路の改良として発表したもので、回路自体の原理を発明したのではなく、他の機器で使われていた回路をプリアンプに応用したみたいです。Amazonの中華真空プリアンプには、「和田茂回路」「Hetian Mao Circuit」と称したものが多く見つかります。ちなみにHetian Maoは「和田茂」をピンイン読みしただけです。で、その回路ですが、日本では和田茂回路と呼ばれることは無く、SRPP(シャント・レギュレーテッド・プッシュプル)と呼ばれています。調べてみたらラックスマンの管球プリアンプもウエスギのプリアンプもSRPPでした。詳細は私には良く理解出来ないのですがプッシュプルといっても増幅に使っているのは片方の真空管だけで、カソードフォロワーという回路で一般に抵抗を負荷とする所を、抵抗の代わりに真空管を使うものです。原理は良く分りませんが、歪みを小さくしながら出力を稼げ、かつ出力インピーダンスを低く出来るというなかなか優れた回路のようです。今回買った中華プリアンプには、片チャンネルに12AX7と12AU7が1本ずつ使われていますが、2段の電圧増幅ではなく、2本でSRPPを構成しているのだと思います。(12月22日追記:このアンプがそうかは分りませんが、https://diyaudioprojects.com/Tubes/ECC802S-ECC82-12AU7-Tube-SRPP-Preamp/ にあるように、12AX7は前段で普通に電圧増幅し、後段の12AU7で12AU7は2つの三極管が入っている双三極管なので、片方を増幅に使いもう片方をカソードフォロワーの抵抗負荷の代わりに使っているのだと思います。)片チャンネルでもう1本真空管が見えるのは整流管で、付いていたのは曙光電子の6Z4でした。
このアンプの第一印象は、結構真面目に作ってあるなということでした。但し、スイッチ類は安っぽく、特に入力2系統を切り替える押ボタンスイッチは切換えポイントも曖昧で、かつ操作感も良くないです。(一応私はスイッチメーカーに勤務していますので、そこは気にします。)実際に一度切り替えたら右側から音が出ないというのがありました。もう一度操作したら大丈夫でしたが。このスイッチは早晩交換するつもりです。
それで肝心の音ですが、一番最初に音出しした時は、「おお結構いい」でした。しかし聴き続けていると、やたらと元気が良くて高音がキンキンするのが気になりました。つないだのは300Bのシングルアンプですが、何だかシングルではなくてプッシュプルになったような音でした。そこでちょっと思いついて、整流管をあらかじめヤフオクで買ってあったRCAの6X4に交換しました。このアンプでは、スライドスイッチを切換えることで両方の整流管が使えます。(ソケットは同じですが、ピンへの回路の割り当てが違います。)6Z4は中国でしか作られていない整流管みたいで入手が難しく、6X4が使えるのは有り難いです。(といっても6X4も現在作られておらず、NECやナショナルやGEやRCAの昔の在庫がオークションサイトで売られているだけです。)6Z4は電流定格が50mAと小さく、6X4の方が70mAと若干大きいため、気のせいかもしれませんが、高音のキンキンした感じが減ったように思います。また、3時間ほどエージングすると、それなりにマイルドさが出て来ました。なお電圧増幅管は12AX7、12AU7ともスロヴァキアのJJ製が最初から刺さっていました。
中華真空管アンプの中には、真空管アンプと称しつつ、真空管はヒーターを点灯させているだけで、実際の増幅はデジタルアンプでやっているといったひどいものもあるみたいですが、今回買ったのは比較的まともかなと思います。ただプリアンプとして見た場合は入力が2系統しかないのは不便で、最低でも3系統は欲しいです。中長期的な信頼性はこれから検証になりますが、第1印象としては以上で、悪くはないです。