NHKの囲碁の「新春お好み対局」


NHKの「新春お好み対局」を視聴。(1月3日放送)
内容は、
1. 「プロ VS. アマ ルーレット碁対局」
  吉原由香里6段 対 きたろう(俳優)
2. 「脳内プロ・アマ混合ペア碁対局(13路盤)」
  小山空也3段 対 大西竜平3段
3. 「プロ・アマ・AI囲碁混合ペア碁対局」
  林漢傑 七段、AI(DeepZenGo)開発者:加藤英樹
  戸島花(タレント) 対 山田彩(タレント)
の3種類の対局。
1.は途中でルーレットを回して、勝てば白黒逆に出来るというもの。結果は、一度ルーレットで逆にしてもらったものの、きたろうが吉原由香里6段に2回も負けたというものでした。
2.は13路のペア碁ですが、プロは目隠し対局というもの。将棋での目隠しはプロならある程度可能だと思いますが、囲碁の場合は13路でも無理ということが証明されてしまいました。小山3段はそれでもかなり正確に打っていましたが、大西3段が何度も間違えて、穴を出られて突き抜かれたり、アタリを継がなかったりで、碁になっていませんでした。
3.は19路のペア碁で、プロアマとAIとアマという組み合わせです。DeepZenGoにとっては、1回毎にアマの手で読みをリセットされてしまい、また30秒しか無いというのは不利かと思いましたが(私は天頂の囲碁7と対局する時は、天頂の囲碁7側を60秒の設定にしています)、結果は戸島花とDeepZenGoのペアの勝ち。戸島花ちゃんは囲碁講座のアシスタント終了時に初段の認定を受けましたが、その時はオマケ的な初段だと思っていましたが、今日の打ち方を見たら手所で実に正確に打っていて、初段は伊達じゃないなと思いました。

NHK杯戦囲碁 趙善津9段 対 志田達哉7段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が趙善津9段、白番が志田達哉7段の対戦です。志田7段は私が一番注目している棋士です。布石は白が左上隅と左下隅で地を稼ぎ、その代わり左辺の白がやや薄く、この白に対してどのくらい攻めが利くかがこの碁の焦点でした。志田7段は左辺の薄みは放置し、右辺の黒の構えに深く打ち込みました。ここでの黒の打ち方がやや疑問で、壁石の穴を継がずに、下がって白への攻めを伺いましたが、白は右上隅へすべってあっさり治まってしまいました。黒は代償で厚みを得たので、すぐ左辺の白に厳しい攻めを決行すれば、まだ先の長い碁だったと思いますが、ここで黒は右下隅で地だけの手を打ちました。これに対し白は左辺でノゾキに放置していた所を継いで黒のワタリを促し、そして中央に一手備えて左辺の白を補強しました。黒はそれから攻めに行ったのですが、ちょっとチグハグでした。左辺の白は上辺の白に連絡しようとしましたが、その結果劫になりました。白は右辺から中央で継ぎを打ちましたが、黒はそれに受けずに劫を解消しました。白は黒石にカケを打ち、結果として包囲していた黒が取られ、白が活きただけでなく、元々黒の勢力圏だった所に白地が20目ぐらい出来ました。取られた黒は一応攻め取りで黒は締め付けを利かせて右下隅をまとめましたが、白の得た利益の方がはるかに大きく、白の勝勢になりました。その後ヨセが続きましたが、結局黒が投了しました。志田7段はこれで準々決勝進出です。

NHK杯戦囲碁 今村俊也9段 対 黄翊祖8段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が今村俊也9段、白番が黄翊祖8段の対戦です。今村9段は棋風通り厚く打ち進め、ポイントは右辺で白がかけて来たときに、這って受けずに逆にケイマに踏み込んで白の切断を狙いました。結果的に黒も白もお互いに相手の石を取る振り替わりみたいになりましたが、黒は右上隅からの石を安定させられたのが大きく、白はまだ治まっていませんでした。黒は右辺にもう一手かけて取られていた石を助け白の全体を狙いました。白は右下隅の黒の二間ジマリに潜り込んで隅の地を取り、更にその外側の黒を攻めることで白の右辺の石のしのぎのたしにしようとしました。この黒と白の弱い石の絡み合いは下辺左の白にも波及してきました。そのあたりの折衝で白におそらく見落としがあり、右下隅からの黒と左辺の黒が上手くケイマで渡って連絡し、逆に白は中央の石を切り離されて取られてしまいました。これで形勢は黒が盛り返しました。しかし白も確定地が多く、勝敗はまだ分かりませんでした。黒は左上隅の三々に打ち込み、白地を荒らしに行きました。単独ではなかなか活きない所を上手く左辺の白にからめて行きました。ここで黒の好手、白の再度の見落としが出て、左上隅は白地となりましたが、左辺の10子くらいを切断され取り込まれてしまい、ここに30目ぐらいの黒地が出来ました。これで黒がはっきりリードし、その後数手打ち進めて白の投了となりました。今村9段の手厚い打ち方と、それによる攻めの余得の稼ぎ方のうまさが光った1局でした。

NHK杯戦囲碁 瀬戸大樹8段 対 結城聡9段

本日のNHK杯戦の囲碁は黒番が瀬戸大樹8段、白番が結城聡9段の対戦です。二人のこれまでの対戦成績は結城9段から見て何と16勝0敗だそうです。一流のプロ同士でここまで偏るのは珍しいと思います。布石は瀬戸8段の3手目の三々が珍しいです。最近星に打つと、AIの真似でいきなり三々に入る手が流行っており、三々がまた打たれるようになって来ているそうです。この碁の中盤での焦点は黒が右下隅の白に一間に高くかかり、白が一間に受けたのに黒が覗いていったことです。部分的には黒が相当損な手でしたが、黒の狙いは右上隅から延びた白の大石がケイマしている所をツケコシて、白を分断することでした。黒はこの狙いを決行しましたが、白から上手くかわす手を打たれ、中央で白1子を取って若干の地が出来ましたが、それより右下隅の損の方が大きく白が優勢でした。黒はそれでも更に白の一団に食いついていきましたが、ここでも白はアタリの1子を逃げずにポン抜かせて打ち、その代償に下辺で黒1子を先手で取って大石の活きを確保しました。これで白が勝勢になりましたが、黒が上辺で白に付けていったのが勝負手で、白は内側から押さえて受けておけば多少地が損でもそれで勝ちだったと思いますが、結城9段はそこは既に読んでいるという感じでノータイムで外から押さえました。黒は白地の中で二眼作って活きることはできませんでしたが、結局攻め合いで一手寄せ劫になりました。一手寄せ劫といっても劫材は黒の方が多く、また非常に大きな劫で白からはどこにもそれだけの大きさの劫材は無く、ここで白の投了となりました。結城9段はちょっと油断して好局を落としました。瀬戸8段は対結城9段からの初勝利です。瀬戸8段は2回戦でも河野臨9段といううるさ型を破っており、今期のダークホースになりつつあります。