本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が芝野虎丸名人、白番が小池芳弘7段の対戦でした。対局前の挨拶で、芝野名人が「今日は初手を石音高く打って相手を驚かせたい」と言っていましたが、その初手はいつもよりは確かに音がしましたが、それでも「ぽそっ」という感じで、後はいつものように「そっと置く」スタイルに戻りました。それはともかく、黒は2連星から右下隅で一間にしまったのが珍しいです。白が右上隅の三々に入った時、黒がケイマにかけたのに白が付けて、やや大型定石気味の展開になりましたが、黒が上方の3子を捨てて厚みを築くということになりました。結局黒の石を切っている白が逃げ出し、その白と上辺の黒の戦いになりました。どちらかというと白が黒を攻めていたかと思いきや、黒が天元の一路上に割り込んでから白を切って行き(写真の場面)、どちらかの白を取ろうとする攻めが非常に鋭く、AIも解説の三村智保9段も予想していなかった、まさに芝野名人らしさの出た妙手でした。結局白は攻め合いではありますが、右上隅からの白が取られてしまい、ここで黒のリードとなりました。とってもまだ大きな差ではなかったですが、黒は着実に左辺の白模様を侵略し、結局白の投了となりました。白も中央の黒の逆襲が読めていなかったことで、戦意喪失したみたいです。