私のファーストオーディオ:1980~82年頃


私が本格的なオーディオセットを買ったのは大学に入ってからで、1980年でした。
高校時代から、ソニーのフォノイコライザー付きの大きなラジカセ(CFS-686)に、パイオニアのPL-30というレコードプレーヤーに、カートリッジはシュアのMM型のM75EDというのを付けて、クラシックのLPを聞いていました。
大学に入ってから、この写真のような本格的なセパレートコンポを揃えました。

(1)プリメインアンプ AUREX(東芝)SB-730 定価:79,800円
何故AUREXなのかというと、最初に下宿したのが豊島区の雑司ヶ谷で、その近くに東芝の家電ショップがあり、そこの主人がオーディオマニアでした。店に巨大なホーン型スピーカーがあり、時々レコードを持っていって聞かせてもらいました。このアンプはその御主人のおすすめ。
当時、まだオーディオの知識はあまり無かったので、素直にお勧めに従いました。
このアンプ、79,800円の激戦区であまり売れ行きは芳しくなかったようですが、音は悪くなかったです。ただ、面白いことにスイッチONの直後は冴えない音ですが、3~4時間使っていると俄然音に深みが出てきていい音になるという、真空管アンプみたいなアンプでした。これは長岡鉄男もどこかでそう書いていました。このアンプは4年くらい使って2代目はトリオのKA-1100を買いました。

(2)スピーカー
メインは昨日紹介したオンキヨーのM77でした。それ以外に、長岡鉄男のMX-1というマトリックススピーカーを、Fostexのキットで組み立てて、FE103を4本付けて聞いていました。このマトリックススピーカーは低音はあまり出ませんが、テクノ系とかを聴くと音が部屋の中をグルグルと飛び回る、面白いスピーカーでした。またカートリッジとの相性が強烈で、有名なデンオン(当時はデノンではなくデンオンでした)のDL-103との相性は最悪で、非常に痩せた音になりました。逆にShureのV15 TypeIVとかは良かったです。

(3)カセットデッキ ソニー TC-K77R 定価:94,800円
1980年当時、CDはまだ無く、ソースとしてはLPレコードとFM放送でした。エアチェックの全盛期で、私も良くNHKのクラシックのライブ録音をカセットに録音しました。その際に問題になるのがテープの録音時間で、ポップスと違ってクラシックは曲が長いので、テープが途中で切れてしまうことが良くありました。そこでこのデッキの登場で、オートリバースで、1秒くらいでヘッドを180度回転させて録音を継続出来ます。ただそうは言っても、1秒とは言え曲が中断するのはイマイチで、どちらかというとカセットの両面の連続再生で便利でした。これも4年くらい使ってからナカミチの一番安い480(2ヘッド)に買い換えました。

(4)チューナー テクニクス ST-S6 ¥44,800円
当時、チューナーで有名なのはトリオでしたが、値段が高く、お手頃な価格で出たばかりだったこれを購入。これとセットになる室内用の平面FMアンテナを売っていましたが、それは使わず普通のトンボアンテナ(位相差給電方式の小型アンテナ)で聴いていました。クォーツシンセサイザー方式の普及期のチューナーです。

(5)レコードプレーヤー パイオニア PL-50L 定価:85,000円
高校の時、PL-30を使っていて気に入っていたので、その上位機のPL-50Lを買いました。マニュアルですが、最後まで行くと自動的にトーンアームが持ち上げられる機構がついていました。このPLシリーズのトーンアームは全てオイルダンプといって、軸の周りをシリコンオイルで制動する仕組みが付いていました。しかしそれをかけると確かに反りがあるレコードなどでアームが揺さぶられる(その結果高音も混変調歪みが発生する)のは減りますが、細かい音もダンプされてしまうことや、また引っ越しの時などにはそのままでは運べず、シリコンオイルを抜かなければならないなど面倒であり、結局オイルを入れないで使っていました。
カートリッジは、ShureのV15 TypeIVというMM型で当時もっとも評価が高かったのとか、これもNHKのFM局で使われていたデンオンのDL-103とかを経て、サテン(Satin)という京都のメーカーのM21に落ち着きました。このカートリッジはトラッカビリティ(レコードの溝への追従性)はイマイチでビリつくことが良くありましたが、音は繊細で美しく良いカートリッジでした。針の部分をモジュール化して、磁石で本体にくっつけており、MC型なのに針交換が可能でした。また針圧については、「指定の重さの前後の1点にジャストポイントがあり、そこで音質が最高になるので誰にでも分かります」といった説明が書いてありましたが、そのジャストポイントは私の機器ではまったく分かりませんでした。またMC型の中ではかなり出力電流が大きく使いやすかったです。
レコードプレーヤーは結局4年ぐらいして、同じシリーズの最上機種であるPL-70LIIに買い換えました。これはダイレクトドライブの傑作だったと思います。つい15年くらい前まで現役で使っていました。カートリッジは、SATINはどこかのタイミングでつぶれてしまったので、その後はオーディオテクニカのMC型を使っていました。