黒沼香恋さんのデビュー盤である「フランスの夜会」を聴きました。黒沼さんはまだ東京藝大の4年在学中ですが、既に年少の時から全日本学生コンクールで優勝したりと実績を積み重ねている若きピアニストです。本アルバムにはラヴェルのピアノ協奏曲と、「ラ・ヴァルス」、「逝ける王女のためのパヴァーヌ」、ドビュッシーの「月の光」、そしてプーランクの「ナゼルの夜会」が収録されています。最近の日本のピアニストは昔に比べると技術的には非常に向上していて、黒沼さんも非常に安心して聴ける確かな技量があります。そして黑沼さんんは音が色として見えるという「共感覚」の持ち主のようです。これはフランスのピアニストのエレーヌ・グリモーと一緒です。そういう感覚の人にはこのラヴェルのピアノ協奏曲は本当に色彩感溢れる曲なんだと思いますが、弾いている本人が楽しみながら弾いている感じが良く出ています。他の曲も良かったですが、プーランクの「ナゼルの夜会」は初めて聴きました。これはプーランクがある何夜かの夜会に招かれた時に即興で弾いた主題を元にした変奏曲で、それぞれの変奏曲はその夜会にいた友人一人一人が描写されているようです。在宅が多い中、音楽は本当に癒やしになっていますが、このCDは特にそうでした。これからの黒沼さんの活躍が楽しみです。
黒沼香恋の「フランスの夜会」(CD)
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