KT150を試す


KT-120の試聴結果がとても良かったので、更に同じTSUNG-SOLから出ているKT-150を試してみました。KT-120より高さが増し、高さではほとんど一般的300Bと同じです。ご覧になってお分かりのように、ラグビーボールのような独特のガラス形状をしています。これはマイクロフォン歪を減らすのに効果があるんだそうで、確かに特定の周波数で共振することが少なくなるような気がします。高さが増えたということは、プレートとカソードの電極の表面積が増え、その分より高い電流を余裕をもって流せるということかと思います。後構造として面白いのがゲッター用リングが上部と左右の3箇所に付いています。やはり管の中の容積が増えた分、ゲッター部の面積も増やす必要があったのでしょうか。
まだ聴き始めたばかりですが、低域に関してはKT120よりも更に制動が良くなっていい感じです。外見だけ見ると大味なのでは、と思われる方もいるでしょうが、どうしてなかなか繊細な中高音で気に入りました。ただアンプには負担をかけますね。前に書いたように電源トランスの電気容量的には、片Chしか使っていないので問題ありませんが、KT120でテラークの1812年の例の大砲のCDをかけたら、大砲の発射の箇所で保護回路が働きました。KT88ならクリップして終わりなんですが、KT120やKT150では余裕で大電流を流せるので、アンプがついて行けないんでしょうね。
本来、KT120もKT150もプッシュプルにして、KT88より高い、例えば100W+100Wという出力を実現するのは主目的で開発されたんでしょうが、こうやってシングルアンプで楽しむ分にも十分メリットがあると思います。
真空管のオーディオというと、とかく昔の球を使った骨董趣味みたいになりがちなのですが、こういう風にまったく新しい出力管が開発されるというのはとてもいいと思います。