塩野七生の「ローマ人の物語」の「終わりの始まり」

塩野七生の「ローマ人の物語」の「終わりの始まり」[上][中][下]を読了。五賢帝によるローマの黄金時代も、最後のマルクス・アウレリウスになると、かなり土台の傾きが感じられるようになります。大体「五」というのが数字合わせ的で、本当の賢帝と言えるのはトラヤヌスとハドリアヌスだけじゃないかと思います。(五賢帝を言い出したのはギボンです。)ネルウァは治世が短くその功績と真に言えるのはトラヤヌスを後継にしたというだけと言っても言い過ぎではないようです。ピウスは人格者ではあったでしょうが、せっかくハドリアヌスが固めた前線の守りをメンテすることをまったくしませんでした。そしてマルクス・アウレリウスは哲人皇帝としてもっとも人気が高いローマ皇帝ですが、ミリタリーおたくの塩野七生にかかると、まあピウスのせいですが、まったく前線勤務の経験が無いまま皇帝になり、しかしゲルマン民族他の侵入が激化して前線に行かざるを得なくなりますが、年取ってから戦争をやっても出来る筈がなく、結局前線で病死します。それからマルクスのもう一つの失政は後継者を自分の息子にしたことで、このコモドゥスがまた出来が悪く失政を重ね暗殺されます。ここでまた内乱の時代になり、3人の軍人が帝位を巡って争い、結局セヴェルスが勝ち残ります。しかしこのセヴェルスによってローマ皇帝は完全な軍人独裁化します。
しかし、本当に皇帝という「職業」は大変です。