原子力潜水艦シービュー号の”Deadly Amphibian”

原子力潜水艦シービュー号の”Deadly Amphibian”を観ました。今回はWelch脚本ではありません。冒頭のクレジットでそれを確認するだけでほっとします。ただお話はまたも荒唐無稽な両棲人の登場で、シービュー号を音響砲で攻撃してダメージを与えます。どうでもいいけど、毎回のルーチンですが、シービュー号はちょっとでも衝撃を受けると盛大に艦内で火を吹きます。核ミサイルを16基も搭載している潜水艦がこんなに簡単に火を吹いていいのか。TVを観ている視聴者を楽しませようとしているのかも知れませんが、潜水艦ものとしてリアリティーを大きく損なっていることは否めません。両棲人は人間を動物と呼んで馬鹿にしますが、自分では原子力を発明出来ていなくて、シービュー号を乗っ取って原子力エンジンの出力で音響砲をパワーアップし、地球を征服しようとします。例によってネルソン提督が両棲人が使っている武器と同等のフォースフィールドみたいなのをあっという間に開発し、最後は核弾頭魚雷を発射して両棲人の住んでいる洞窟みたいなのを吹っ飛ばします。核弾頭魚雷なんて本当にあったのかと思って調べたら、Mk45というのが本当に1963年から実戦配備されていました。おそらく実際に潜水艦相手に発射されたことはないのだと思いますが。

Thiers Issardのシンギング・ハローのストレートレザー

Thiers Issardのシンギング・ハローの SING-5/8-275-1196-A AMOURETTEが到着しました。最近買ったレザーでは、フルハローだと思って買ったらハーフハローだったというパターンが続きましたが、さすがにこれは「シンギング」と言っているだけあって、間違いなくフルハローです。これまで買ったストレートレザーの中では、やっぱりThiers Issardのが一番いいと思います。当然シェーブ・レディの状態で到着し、革砥だけ往復50回ほどかけて使ってみましたが、気持ちの良い剃り音がして快適でした。

IELTSのライティングの添削

IELTSのライティングの試験(結果5.5)で思い知ったこと。AEONでのライティングコースは、英語を書く機会を作るという意味では有用でしたが、AEONの先生(ネイティブ)による添削の内容ははっきり言ってIELTSのライティングで要求されるようなレベルのものではまるでなかったということです。AEONは7月末で止めますので、ライティングの添削サービスをインターネット上で探して、ILETS Advantageというサービスの添削を取り敢えず5回受けてみることにしました。$115です。1回辺り約2,500円ということになります。AEONのは20回の添削で3万円ちょっとでしたから、1回1,600円くらいです。
昨晩第1回目の課題を提出して、添削されたものがほぼ24時間で返って来ました。AEONのしょうもない添削と違って(言ってみればAEONのは小中学レベル、このサービスは高校・大学レベルです)、真っ赤っかですがとても有用な添削です。というか、英語の問題よりも、日本人が学校でほとんど訓練を受けていないロジカルなライティングの組み立てが問題なんだ、ということが良く分かりました。評価は、

Task Response (課題への対応の適切さ)6
Coherence and cohesion (主題との関連性、まとまり)5
Vocabulary (語彙)6
Grammer (文法)7
Overall (全体)6

でした。この間の本番が5.5だったからそれよりはいいですが、どこで減点されるかが良く分かりました。とにかく、問われていることをストレートに議論しないといけないということで、ちょっとひねった新聞のコラムみたいなスタイルは駄目ということです。次回からはその辺りは改善出来ると思います。

NHK杯戦囲碁 鶴田和志6段 対 王銘エン9段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が鶴田和志6段、白番が王銘エン9段の対戦です。序盤で黒が左辺から左上隅にかかり、白がコスんで受けた後黒は同じく左辺から左下隅にかかりました。これに対し白がコスミツケて、黒を立たせた後一間に開いたのがAI登場後の最近の打ち方です。個人的には未だに違和感があります。白が地に辛いといっても隅にはまだ三々他の手段が残っています。黒が左辺のどこに開くかが注目でしたが、黒は上方を重視し左上隅にかかった石から二間に開きました。白はすかさずその開いた石の右斜め下に肩を付き、これもAIが好きな打ち方です。黒は這わずに沿い上げて、ここで競い合いになりました。その後の戦いで黒が左下隅にかかった石から中央に一間飛びしそこからケイマにあおった所を白が出切りました。この出切りは成功し黒は左辺と下辺に分断されてどちらかが取られそうでした。しかし黒が中央の白に利かしに行った時、白の受け方が問題で、黒から飛び付けられていっぺんにダメが詰まり、打ち方が制約されました。白は左辺で下がって黒のワタリを止めに行きましたが、黒から出切られて、中央の白を逃がす必要があり、その間に左辺の白4子を取り込まれてしまいました。これは黒から見ると取られそうだった石が逆に白を取り込んで活きたのであり、これ以上ない結果でここで黒が優勢になりました。その後王9段が勝負手を連発し局面はもつれて差が縮まりましたが、結局鶴田6段が逃げ切り、黒の1目半勝ちでした。

ヒッチコックの「救命艇」

ヒッチコックの「救命艇」を観ました。1943年の作品で、私がヒッチコックのベストと思っている「疑惑の影」と同じ年に撮影されたものです。これで1934年の「暗殺者の家」以降のヒッチコック作品は2本の短い国策映画を除いてすべて観たことになります。お話はドイツ軍のUボートの魚雷によって沈没させられた客船の救命艇に生き残った10人くらいの人々のお話です。そこにこれまた沈没させられたUボートの乗組員が乗り込んで来ます。最初は足の怪我が壊疽になったガスの手術を買って出るなど、善人を装っていましたが、実はコンパスを隠し持っていて、船をバミューダの方ではなく、ドイツの補給船がいる方向に導こうとするなど、正体を現します。英語はしゃべれない振りをしていて、実は英語もフランス語も堪能という怪しさ満点の人物として描かれています。まあそのドイツと戦争をしている真っ最中に作られた映画なので、ドイツ人が悪者扱いされるのは仕方が無いかと思います。一部で有名なヒッチコック自身のカメオ出演ですが、さすがに人数が最初から決まっている救命艇に突然自分を出演させる訳にもいかず、何と生き残りの一人が読んでいた新聞の広告に、やせ薬服用の前と後、というシルエット姿で登場します。

原子力潜水艦シービュー号の”Blow Up”

原子力潜水艦シービュー号の”Blow Up”を観ました。「またも」Welch脚本。そして最低の脚本を更新。ネルソン提督がミサイルの燃料が漏れているのを修理している時に爆発が起き、その時クレーン艦長から渡された非常用呼吸装置を使った後、性格が変わって被害妄想になり、やたらと威張り散らして権威主義になり、シービュー号を危機に陥れ、あげくの果てはランデブー予定だったアメリカの艦隊に対し魚雷を発射するという話です。リチャード・ベースハートは自身の演技力を示すことが出来てご機嫌だったのかもしれませんが、ヒーローであるべきネルソン提督にこんなひどい役柄を演じさせてはいけません。

IELTSの第一回目受験の結果…爆死…

IELTSのGeneral、初受験の結果が出ました。受験から13日目の午後に結果が出るというのは手書きのテストにしてはなかなかスピーディーです。
結果はかなり残念でした。まあ、IELTSは1回で望みの結果が出ることはまずないそうなので、次に9月末に再トライします。
ただ、リーディングが8.0というのは予想外でした。大体、リーディングの冒頭でトイレに行って3分くらいロスしているのに、これが一番いいというのは不思議です。ちなみにネイティブでもレベル9を取る人はほとんどいないということで、英語の教師でやっと8.5くらい。普通のネイティブは8ぐらいみたいらしいので、リーディングに関してはネイティブ並みに達したということになります。まあ、リーディングの問題は英語のテストというより国語のテストという感じで、国語のテストに関しては高校時代から一番得意な分野なので、その能力が出た、ということだと思います。
また、ライティングは結構自信があったのですが、実はIELTSの中ではライティングが一番タフみたいです。(リスニングは集中力が切れて出来が悪かったのは自覚していたのでまあこんなものだと思います。)以下のページに、留学してMBAを卒業した人でも5.5だったという記事があります。多分英語だけの問題ではなく、内容的にも大学のレポートで優を取れるような内容を書かないと高い評価は出ないのだと思います。(そういう意味ではAEONの教師の添削はほぼ無意味です。)
https://ielts.xsightplus.com/2017/01/09/writing70/
スピーキングに関しては、rubbishが分からなかったり、ある単語が思い出せなくて口ごもったり、お題に関するスピーキングであまりに早く終わりすぎたり、と色々と減点ポイントがあったので、まあ次回以降に期待です。

ウディ・アレンの「ラジオ・デイズ」

ウディ・アレンの「ラジオ・デイズ」を観ました。ゴールデンウィークに日本ラジオ博物館に行ってから、すっかりラジオ少年の血がよみがえり、その一環で観たものです。まだテレビが無くて、ラジオが日常の娯楽のほとんどすべてだった1938年から1944年ぐらいまでの、ウディ・アレンの少年時代を描いた作品です。冒頭でいきなり、ある家に押し入った強盗二人組の所に、ラジオの曲当てクイズの番組から電話がかかってきて、思わず出てしまい、3曲見事に当てて、その2人は50ドルくらいの物を盗んだだけなのに、次の朝それをはるかに上回る賞品がその家に送られてくる、というのでまず笑わせてくれます。ラジオがいいのは、テレビだと皆画面を見入ってしまって、お互いの会話とかほとんどありませんけど、ラジオだと皆自由に聞いて会話も成立する、という所です。ミア・ファローの演じる歌手志望の女性がチャンスをつかんでいくエピソードで、たまたまある店で殺人の現場を目撃して、目撃者として殺されそうになったのに、その殺し屋が実は同じ町の出身と分かってすっかり仲良くなり、その殺し屋のコネでチェーホフのラジオドラマの役をもらいます。その本番中に、突然ニュースのアナウンサーがスタジオに乱入してきて、「日本軍がパールハーバーを攻撃しました。」というニュースを読む、という演出がいいです。そこから戦争になりますが、灯火管制とかもありますが、日本とは豊かさがまったく比べものにならなかった、というのがこれを観るとよく分かります。その他、例の「火星人が襲撃してきた」というラジオドラマが本当だと受け取られてパニックになるという話と、主人公の叔母さんでオールドミスで常に結婚相手を探しているビーが、相手にほったらかされてしまう、というエピソードとからめていて、上手い演出です。全体に肩が凝らない楽しめる作品でした。

フェザー プロフェッショナル アーティストクラブSS レザー ブラック

これは、「フェザー プロフェッショナル アーティストクラブSS レザー ブラック + プロガード PG-15 15枚入り セット」です。いわゆる現在の理髪店で使われている、通称Shavette(これは元々Dovoの商標みたいです)と呼ばれる替刃式のストレートレザーです。海外のサイトでお勧めのストレートレザーのリストを見ると、必ずこれが上位に入っているので興味が湧いて買ってみました。ちなみに刃にはいわゆる「すべらなーい」の横滑り防止がついています。なので刃を爪に当てても当たりません。
実際に使ってみた感想ですが、基本的には良く剃れて問題はないです。両刃の安全剃刀よりも良く剃れます。ただ、普通のストレートレザーは肌に対して30°くらいの角度で剃りますが、このレザーは刃が固定部から少し顔を出している構造なので、もう少し立てないと刃がうまく肌に当たらない感じです。35~40°ぐらいの感じでしょうか。また、フルハローのストレートレザーでは、剃る時の音が気持ちいいですが、このレザーはしっかり固定されているので音は出ず、その点では楽しくはなく、ベタ刃のストレートレザーの剃り味に似ています。それから、下唇の下の顎部を剃るのは、皮膚をうまく引っ張って剃らないとストレートレザーでは肌を切りやすい箇所ですが、このレザーではあんまり気にしないで剃って肌を切ることもなく綺麗に剃れました。ただ、鼻と上唇の間の部分は、このレザーでも難所であり、一応綺麗には剃れましたが、深剃りしたらちょっと血が滲んでしまいました。この点はストレートレザーと大きな差はありません。後は使い捨てなので、コストの問題さえ無ければ(このプロガードの刃は1枚70~80円ぐらいです。理髪店では衛生管理の理由で使い捨てでしょうが、同じ人が使う分には普通の安全剃刀と同じで最低でも5~6回は使えると思います。)、革砥で磨いたりクリーニングしたりする手間がないのは優れていますが、個人で使っている分にはその辺もまあ楽しみの一つなので、大きなメリットではありません。トータルの感想としては、さすがにプロが使う道具だけあって、出来としては優等生的だと思います。ただ、問題点は刃を挿入するのは比較的簡単ですが、取り出すのがどうやればいいのかちょっと分からず、結局ラジオペンチではさんで引っ張り出しました。

E.M.フォースターの”Aspects of the Novel”(小説の諸相)

E.M.フォースターの”Aspects of the Novel”(小説の諸相)を読了。1927年に発表されたもので、フォースター流の「小説の読み方」「小説ガイド」的なものです。元は何かの教養講座みたいなものではないかと思います。最初邦訳を探したのですが、見つからず、原語で読みました。普段TimeやNewsWeekといった雑誌を読んでいてもほとんど出てこないような単語が沢山出てきて、語彙のいいお勉強になりました。この本を知ったきっかけは、小林信彦が評論家に何かの氏の小説について「登場人物が類型的過ぎる」といった批判を受け、それに対する反論として「それはフラットキャラクターである。知らないのであればフォースターの『小説の諸相』を読め。」と反論していたことです。
全体の構成は、
1.序論 2.ストーリー 3.登場人物 4.登場人物(続き) 5.プロット 6.ファンタジー 7.予言 8.パターンとリズム 9.結論
という風になっています。「フラットキャラクター」「ラウンドキャラクター」は4.の「登場人物(続き)」で出てきて、まあこの本の白眉と言っていいと思います。
フラットキャラクター(平面的なキャラクター)とは、フォースターによれば、類型的に描写されていて、しばしばカリカチュア的に描かれ、常にといっていいほど同じように行動し、同じようにしゃべる、というキャラクターです。これに対し、ラウンドキャラクター(立体的なキャラクター)とは、性格がある程度複雑で、ストーリーの進行に従って変化していき(多くは成長していき)、そのストーリーの中心を成すような人物(つまりは主人公)のことを言います。
ディケンズの「デイヴィッド・カッパーフィールド」の例で言うと、主人公のカッパーフィールドは、これはディケンズ自身の投影ですから当然ラウンドキャラクターで、また最後に主人公と結婚するアグニス・ウィックフィールドも多分ラウンドキャラクターと言っていいでしょう。しかしその他の登場人物はほとんどがフラットキャラクターであり、たとえば貧乏で次々に不幸に襲われながら、楽天的な気質を失わないウィルキンズ・ミコーバー(英語ではミコーバーは楽天家の代名詞になっています)や典型的な悪役で汗でぬめった両生類のような手をしていると初登場時に描写されるユライア・ヒープはフラットキャラクターの代表例です。
その他、同じディケンズの作品の「クリスマスキャロル」のスクルージ爺さんも、少なくとも3人のクリスマスの精霊によって改心する前はこれ以上ないフラットキャラクターであり、「強欲」の代名詞です。
これに対して例えばジェーン・オースティンの「プライドと偏見」について言えば、登場人物のほとんどがラウンドキャラクターとして描かれています。
どちらの手法にも一長一短があると思いますが、フラットキャラクターの多用は、
(1)作者の労力の緩和
(2)読者も登場人物の違いを1回覚えれば済む
(3)主人公をより強調して描くことが出来る
といったメリットがあると考えられます。
これは以前書いたことがあるのですが、マックス・ヴェーバーの社会科学での方法論である「理念型」(Idealtypus)も、おそらくは文学におけるこうしたフラットキャラクターの例を社会科学で応用したのではないかと思います。もちろんフォースターのこの本が出た1927年にはヴェーバーはもう死んでいますので、直接的にフォースターの分類を借りた訳ではありません。しかし、フォースターはヴェーバーの15年後に生まれていて、おそらくそれぞれが読むことが出来た小説については、二人とも当時の典型的インテリということを考えれば、結構共通しているのではないかと思います。ヴェーバーはおそらく19世紀の小説における人物の類型的・カタログ的描写から、「理念型」(ある概念の純粋型で、実際には100%ぴたりと当てはまるものが現実には存在していなくとも良い)を考案したのではないか、というのが私の仮説です。ヴェーバーにおいては純粋型である理念型と実際の歴史上の諸事例を照らし合わして、その差を調べその差を説明するために理論を組み立てていく、というのが主要な方法論の一つです。(なお、昔「理想型」という訳がされたことがありますが、例えば「売春宿」の理念型も考えられ、必ずしもポジティブなものだけに限定されないため、「理念型」という訳に落ち着いています。元をたどればプラトンのイデアとも当然関係があります。)ヴェーバーが有名な「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」という論文の中で、それまではなかった「資本主義の精神」というものを体現する理念型としてベンジャミン・フランクリンを使います。しかし、そのフランクリンは実際のフランクリンの著作等をそのまま使ったのではなく、キュルンベルガーという作家が「アメリカにうんざりした男」という小説の中で「フラットキャラクター」として「時は金なり」といった功利的なことだけを唱える者として描写したフランクリンです。
この「フラットキャラクター」「ラウンドキャラクター」以外にも色々面白いことが書いてあるのですが、残念ながらフォースターが次々に引用する小説の内、私が読んだことがあるのは2割もないので、フォースターの言わんとすることが今一つ良く理解出来ない場合が多かったのは残念です。また、リズムの所でベートーヴェンの第5交響曲を小説との対比で例に出します。「ハワーズ・エンド」でも、この交響曲のコンサートの話が出てきました。フォースターのお気に入りだったのでしょう。