中華真空管プリアンプを試す

先日から真空管(プリメインまたはパワー)アンプ(300Bシングルアンプ、KT77シングルアンプ)に組み合わせる真空プリアンプを探しています。最初昔キットで組み立てたサンバレーのSV-3を試しましたが、色んな意味で作りが甘くて気に入らず、しばらくアキュフェーズのE-350のプリメインのプリ部だけを使っていました。これはHiFiという意味では文句ありませんが、メインのシステムがアキュフェーズE-600でそれと似たような音で真空管的な音が後退してしまいます。また、本格的な真空管プリアンプは、ラックスマン、トライオード、ウエスギ、マッキントッシュで一番安いのでも35万円コースです。それでAmazonで売っている10万円以下の中華真空管プリアンプを駄目元で試してみる気になりました。SHENZEN Yi-Xin Audio R&D Studioという所の製品で、送料込みで5万7千円くらいです。
最初製品名の中にある”Shigeru Wada Circuit”というのが何のことか分らなかったのですが、調べてみたら、1969年のラジオ技術という雑誌の2月号にて紹介されている、アマチュアの和田茂という人がその当時の定番の真空管プリアンプだったマランツ7の回路の改良として発表したもので、回路自体の原理を発明したのではなく、他の機器で使われていた回路をプリアンプに応用したみたいです。Amazonの中華真空プリアンプには、「和田茂回路」「Hetian Mao Circuit」と称したものが多く見つかります。ちなみにHetian Maoは「和田茂」をピンイン読みしただけです。で、その回路ですが、日本では和田茂回路と呼ばれることは無く、SRPP(シャント・レギュレーテッド・プッシュプル)と呼ばれています。調べてみたらラックスマンの管球プリアンプもウエスギのプリアンプもSRPPでした。詳細は私には良く理解出来ないのですがプッシュプルといっても増幅に使っているのは片方の真空管だけで、カソードフォロワーという回路で一般に抵抗を負荷とする所を、抵抗の代わりに真空管を使うものです。原理は良く分りませんが、歪みを小さくしながら出力を稼げ、かつ出力インピーダンスを低く出来るというなかなか優れた回路のようです。今回買った中華プリアンプには、片チャンネルに12AX7と12AU7が1本ずつ使われていますが、2段の電圧増幅ではなく、2本でSRPPを構成しているのだと思います。(12月22日追記:このアンプがそうかは分りませんが、https://diyaudioprojects.com/Tubes/ECC802S-ECC82-12AU7-Tube-SRPP-Preamp/ にあるように、12AX7は前段で普通に電圧増幅し、後段の12AU7で12AU7は2つの三極管が入っている双三極管なので、片方を増幅に使いもう片方をカソードフォロワーの抵抗負荷の代わりに使っているのだと思います。)片チャンネルでもう1本真空管が見えるのは整流管で、付いていたのは曙光電子の6Z4でした。
このアンプの第一印象は、結構真面目に作ってあるなということでした。但し、スイッチ類は安っぽく、特に入力2系統を切り替える押ボタンスイッチは切換えポイントも曖昧で、かつ操作感も良くないです。(一応私はスイッチメーカーに勤務していますので、そこは気にします。)実際に一度切り替えたら右側から音が出ないというのがありました。もう一度操作したら大丈夫でしたが。このスイッチは早晩交換するつもりです。
それで肝心の音ですが、一番最初に音出しした時は、「おお結構いい」でした。しかし聴き続けていると、やたらと元気が良くて高音がキンキンするのが気になりました。つないだのは300Bのシングルアンプですが、何だかシングルではなくてプッシュプルになったような音でした。そこでちょっと思いついて、整流管をあらかじめヤフオクで買ってあったRCAの6X4に交換しました。このアンプでは、スライドスイッチを切換えることで両方の整流管が使えます。(ソケットは同じですが、ピンへの回路の割り当てが違います。)6Z4は中国でしか作られていない整流管みたいで入手が難しく、6X4が使えるのは有り難いです。(といっても6X4も現在作られておらず、NECやナショナルやGEやRCAの昔の在庫がオークションサイトで売られているだけです。)6Z4は電流定格が50mAと小さく、6X4の方が70mAと若干大きいため、気のせいかもしれませんが、高音のキンキンした感じが減ったように思います。また、3時間ほどエージングすると、それなりにマイルドさが出て来ました。なお電圧増幅管は12AX7、12AU7ともスロヴァキアのJJ製が最初から刺さっていました。
中華真空管アンプの中には、真空管アンプと称しつつ、真空管はヒーターを点灯させているだけで、実際の増幅はデジタルアンプでやっているといったひどいものもあるみたいですが、今回買ったのは比較的まともかなと思います。ただプリアンプとして見た場合は入力が2系統しかないのは不便で、最低でも3系統は欲しいです。中長期的な信頼性はこれから検証になりますが、第1印象としては以上で、悪くはないです。

2 thoughts on “中華真空管プリアンプを試す

  1. 知鳥楽さま
    私は東京都の中沢誠二と申します。突然のご連絡大変失礼いたします。
    和田茂回路アンプについて大変興味深い記述とても参考になりました。ありがとうございました。
    私も格安の和田茂回路アンプを購入いたしました。私のアンプには6X4と6Z4の切り替えスイッチがないのですが、アマゾンで6C4Pと言う互換の真空管を見つけ、もしそれが70mAだったら購入しようと思い質問してみました。下記のような丁寧なお返事をいただきましたので。ご報告させていただきます。
    6X4とアダプタと6C4Pを購入して聞き比べてみようと思っています。

    順番に回答申し上げます。
    まずはじめに各真空管の定格ですが、
    6C4P(6Ц4П):プレート電流最大定格75mA
    6Z4 China:プレート電流最大定格75mA
    6X4 Sylvania:プレート通常定格70mA
    こちらが代表的な物でございます。
    長寿命モデルや高耐久モデル、高信頼モデル等(-E,-EV,J,A)や製造メーカー
    により差異がある可能性がございますので、ご使用の際は
    機材と真空管に合わせご精査いただければ幸いです。

    差し替えにつきましてですが、何との差し替えかとの記載がございませんでしたため、
    簡単にではございますが、ピン配置より
    6Z4 China = 6C4P ≠ 6X4
    となっており、直接の差し替えは
    6X4→6Z4❌ 6C4P❌
    6C4P→6Z4○ 6X4❌
    6Z4→6C4P○ 6X4❌
    となります。
    こちらもご利用のアンプにより配線が異なる可能性がございますので
    合わせてご精査いただければ幸いです。

    三浦電商 出品者 · 2022/05/18

    • 中沢様
      整流管に関する情報有り難うございます。
      ただ6Z4というのはオリジナルはUYソケットの5ピンのもので、中国製(燭光電子)の6Z4は独自規格の7ピンMT管だとあります。(「実用オーディオ用真空管ガイドブック」P.172)
      つまり6Z4という整流管には2種類あるということです。
      https://chie-pctr.c.yimg.jp/dk/iwiz-chie/que-10225154200?w=999&h=999&up=0

      ロシア製(?)6C4P-EV 
      https://retrostore.eu/files/eshop/download/6c4pev_data.pdf
      は5ピンのオリジナル型のようです。

      私が買った中華アンプに最初付いていたのも7ピンの方でした。これとロシア製(?)6C4P-EVはヒーターのピンも違いますし、そもそもソケット自体が違うため互換性は無いと思います。(7ピンは、3番と4番がヒーター、5ピンは1番と5番がヒーターです。)
      それから電流容量も75mAは嘘だと思います。5ピンのオリジナルでさえ、50mAです。
      http://triodeamp.web5.jp/tubes/6z4.html

      なお、7ピン6Z4のソケットで6×4を使うためのアダプターが市販されています。高さが問題なければこうしたアダプターで6×4を使うことを検討されたらと思います。
      https://www.thetubestore.com/6×4-to-6z4-tube-adapter

      6×4はヤフオクで比較的安価でRCAやGEという一流メーカー品が買えます。
      例: 
      https://page.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/s1050668047

      なお、現在生産されている整流管は品質が今一つでトラブルが多いと思います。品質的には大量に生産されていた1960年代製の方が上だと思います。以前300Bのシングルアンプで整流管(5AR4)をJJ製の現行生産品に変えたらヒューズがやたらと飛びました。それをヤフオクで買った昔の松下製に変えたらピタリと治りました。ご参考まで。

      またこの「三浦電商」さんの言うことはこの回答のレベルから見てあまり信用なさらない方がいいかと思います。

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