白井喬二の「若衆髷」(わかしゅわげ)

白井喬二の「若衆髷」(わかしゅわげ)を、連載の2回分だけ読了。新潮社の雑誌「日の出」の昭和9年の1月号と3月号です。おそらくこの前年から連載されており、全部で何回連載されたかは不明です。昭和11年にサイレン社より単行本として出版されております。地方の図書館で所蔵している所がありますので、その内また神奈川県立図書館経由で貸し出しを依頼するつもりです。この小説の主人公は平井権八(白井権八)で、白井と同じ鳥取の出身の有名人です。2回分を読んだ限りでは、鳥取藩の悪家老とその手下達と対立する正義の武士として描写されています。そして3月号の連載の最後で、父親の同僚であった本庄助太夫を斬殺します。権八はこの殺人で江戸へ出奔することになりますが、そこでの権八は困窮して辻斬りを行い130人もの人を殺した大悪人となります。その過程で遊女の小柴と深い仲になり、結局刑死した権八を偲んで後を追った小柴にちなんで目黒の瀧泉寺に比翼塚が作られたことで有名です。また侠客の幡随院長兵衛との関わりでも知られています。ともかく、まだ権八が江戸に出る前なので、なんとも評しようがありません。

「謎の円盤UFO」の”A question of priorities”

「謎の円盤UFO」の”A question of priorities”を観ました。何というか、とても暗くて悲しい話です。SHADOの司令官としてこれ以上ない優秀さを見せるストレイカーですが、実は家庭は崩壊しており、奥さんは離婚して別の男性と結婚しています。二人には一人息子がいます。ある日ストレイカーが息子と会って遊ばせた後、家まで送り届けた後、ストレイカーが別れを告げずに去ろうとした時、息子はストレイカーを追いかけて道路に飛び出して車にはねられます。この息子は抗生物質にアレルギーを持っており、それを防いで治療するには、ニューヨークにある新しい抗アレルギー剤を急いで取り寄せる必要があります。ストレイカーは公私混同して、SHADOの輸送機に命じてその薬をロンドンに運ばせます。しかし、その時UFOが地球に侵入しアイルランドに着陸します。エイリアンがそのUFOから出てきてある盲目の老婆に家に侵入します。このエイリアンを捕らえるためにはモービルが必要ですが、もっとも至近距離にいた輸送機はストレイカーが薬を運ばせていたものでしたが、フリーマンが行き先をアイルランドに変更してしまいます。結局、エイリアンは仲間のUFOに射殺され、侵入した別のUFOはスカイ1が撃墜しましたが、ストレイカーの息子は薬が間に合わず亡くなってしまいます。病院に駆けつけたストレイカーに元の奥さんは「二度と顔も見たくない」と言い放ちます…というどうしようもなく救いようのない話でした。

磯川全次の「日本人はいつから働きすぎになったのか <勤勉>の誕生」

磯川全次の「日本人はいつから働きすぎになったのか <勤勉>の誕生」を読みました。
筆者は日本人は勤勉と一般的に言われているけど、元々江戸時代などではそうではなかったという仮説を立て、どこで勤勉へとギアが切り替わったかを突き止めようとします。
私は個人的には「今の」日本人がそれほど勤勉とは思っていないので、スタートからすれ違いがありますが、それを抜いても、この筆者の論は仮説の提示に終わって、検証やより突っ込んだ説明というのがきわめて不足しているように思います。
たとえば、第4章で「浄土真宗と「勤労のエートス」」というのがあって、一部の浄土真宗の在野の僧侶が勤勉を説き、それを聞いた信徒が勤勉な生活を送ったとし、要するにマックス・ヴェーバーが「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」で述べたカルヴィニズムの役割を浄土真宗に求めます。しかし、この論理はきわめて杜撰といわざるを得ません。
(1)一部の浄土真宗の僧侶が「勤勉」を説いていたとしても、それが浄土真宗全体に言えることなのか。たまたまその僧侶が「勤勉」を強調しただけに過ぎないのではないのか。
(2)もし浄土真宗にその信徒に勤勉を誘発する力があるとするならば、それは真宗のどのような教義から派生するのか。
筆者は浄土真宗は念仏によって誰でも極楽に行けるから、働く場所がどこであっても気にせず、他国に移されても勤勉に働いた、としていますが、この説明はきわめて変です。念仏で救われることが決まるなら、むしろ信徒としては生活をある形にはめないで自由に生きる、という方向に行くことも十分考えられるからです。
(3)マックス・ヴェーバーは「プロ倫」で「勤勉」だけを説明したのではなく、「勤勉を含む生活全体の合理化」を説明したのであって、単なる「勤勉」の思想だけでは、資本主義を生み出すものとしてはきわめて不十分です。また、この生活の合理化は、「合理的な資本家」を生み出す基盤にもなりますが、真宗での「勤勉」は単に農民として仕事に精を出す、というレベルのものに過ぎません。
この筆者は吉田松陰にまで浄土真宗の影響を拡大しますが、私に言わせれば西日本で一番多い宗派が浄土真宗というだけで、松陰が浄土真宗の影響を受けているとはとても思えません。浄土真宗に限らず、江戸時代の仏教は檀家制度の元でいわゆる「葬式仏教」に堕しており、とても人々に何かのエートスを与えるようなものではなかったと思います。
以上のように、ある意味こじつけみたいな仮説が多すぎて私はこの本についてはまったく感心しませんでした。

「謎の円盤UFO」の”The Dalotek affair”

「謎の円盤UFO」の”The Dalotek affair”を観ました。SIDがUFO3機の来訪を探知します。直ちにムーンベースからインターセプター3機が出撃しますが、UFOは何故かすぐに引き返してしまいます。そのすぐ後に、小隕石が月面に落下し爆発しますが、それは民間の資源開拓会社のダロテック社の月面基地のすぐ近くでした。その後にムーンベースは突然の通信障害に襲われ、地球との通信が出来なくなります。フォスター大佐はその原因がダロテック社の基地が、当初申告していない周波数の無線を使ったせいだと思い、ダロテック社の基地に行って調査します。しかし証拠は見つからず、ムーンベースに引き上げます。直後、地球と月の連絡シャトルがやってきて、ムーンベースに着陸しようとしますが、またも通信障害が発生し、コンピューター制御からマニュアルに切り替えるのが遅れたシャトルは着陸に失敗し炎上します。フォースター大佐は再度ダロテック社の基地に出かけ、そこの通信装置を取り外してムーンベースに持ち帰ります。しかし、やはり通信障害は発生し、同時にUFO1機が来襲します。ここでもインターセプター3機が発進していましたが、ムーンベースとの通信ができません。一方ダロテック社の3名は隕石が落ちて出来たクレーターに何らかの電子機器が設置されていることを発見します。フォースターはそれが隕石によってもたらされたUFO側の通信妨害装置であることに気付き、ムーンモービルを発進させてその装置を爆破します。これでやっと通信が正常になり、インターセプター3機はUFOを撃墜します。
なおこの回ではフォスター大佐は女たらしぶりを発揮し、ダロテック社の女性エンジニアを口説いていたりします。
写真はインターセプターです。スカイ1がいつもロケットランチャーでUFOを撃墜しているのに、インターセプターだと何故核ミサイルが必要なのかが良くわかりませんが。(どうも本当は直撃しなくても、広範囲のUFOを一撃で撃破出来る、という設定だったみたいですが、実際のドラマでは直撃しない限りUFOを撃墜出来ていません。)

「謎の円盤UFO」の”Conflict”

「謎の円盤UFO」の”Conflict”を観ました。子供の時に観たのをかすかに覚えています。そしてこのシリーズにおけるリアル感という意味で良く出来た脚本の回だと思います。1950年代後半から1960年代にかけて多数打ち上げられた人工衛星やロケットの残骸が月と地球の間に多数残り、ストレーカーの上司にあたるヘンダーソンの率いる国際惑星宇宙局では、少しずつ爆破による除去を進めています。UFOが残骸に隠れてSIDのレーダーをかいくぐる懸念で、すべての宇宙ゴミの即時撤去を求めるストレーカーと、予算が無いのでそれを断ろうとするヘンダーソンの間で議論になります。そうこうする内に、ムーンベースと地球を往復するシャトルが、地球の大気圏再突入の角度設定に失敗し、大気の摩擦で炎上爆発します。実はそれはUFO側がアポロ8号(あの最初の月面着陸のアポロ8号!)の残骸に、シャトルの計器を狂わせる装置を積んだミニ飛行体を潜ませておいて、シャトルに取り付かせたからでした。これこそUFO側の妨害工作だとするストレーカーに対し、ヘンダーソンはパイロットのミスを主張して譲りません。フォスター大佐はそのパイロットにミスが無かったことを証明するため、無断でシャトルを自分で運転し、UFO側の妨害を計算に入れたわざと浅い再突入角度の設定で、爆破されるの回避します。このフォスターの行動で、UFOの妨害を確信したストレーカーは、ムーンベースのインターセプター3機を全機地球とムーンベースの軌道上の宇宙ゴミを爆破させるために発信させます。しかしそれはムーンベースを無防備にする危険な作戦で、UFO側の罠に自らはまるようなものでした。ストレーカーはヘンダーソンと対立し、一旦は指揮官解任を言い渡されながらも、このUFOの最終目的(実はムーンベース攻撃が目的ではなく、SHADO本部の攻撃)を見抜き、UFOが本部の位置探索に使っているであろう電波類を全てOFFにし、最後はあらかじめ命じておいたスカイ1が駆けつけて見事にUFOを撃破する、というものです。ともかく放映時にはまだ記憶に新しいアポロ8号が、10年後の1980年には宇宙ゴミになって、UFO側に利用される、というアイデアがすごいと思います。またUFO側の作戦とそれの裏をかくストレーカーとの知的なゲームという感じもあり興味深いです。