E.M.フォースターの「モーリス」

E.M.フォースターの「モーリス」を読了しました。この本を買ったのは出たばかりの1988年で、実に36年間積ん読状態でした。私は元々フォースターのファンですが、1988年になってこの本はようやく出版され、その理由は男性の同性愛を扱っているからということのようです。しかしフォースター自身の説明によると、男性の同性愛を扱ったこと自体が出版出来なかった理由ではなく、結末がハッピーエンドだったから、ということだったようです。要は主人公のモーリスがその性的嗜好の「罰」を受けて不幸になる、という話だったらOKだったみたいです。しかしこの話は要するにモーリスがダーラムという大学での友人と同性愛関係になるけど、二人が社会人になってからダーラムが「普通の」女性愛に目覚めて結婚して、モーリスは振られた形になり、その腹いせではないのでしょうが、ダーラムの家の召使いだった若い男と関係を結んで、結末では二人が一緒に暮しはじめる所で終ります。しかし私はちっともハッピーエンドとは思えず、そもそも地位も違う二人で、当時同性愛は犯罪でした。この二人の将来が明るいものとはとても思えませんでした。全体に読んでみたらどうということはなく、大体フォースターもメンバーの一人であるケンブリッジ大学出身者のブルームズベリーグループは「ホモグループ」としても有名で、ケインズもその一人です。まあ36年経っていまやLGBTQは普通のこととされ、時代も変わりました。この小説の映画もあり、Blu-ray持ってますので観てみるつもりです。

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