原子力潜水艦シービュー号の”Terror”

原子力潜水艦シービュー号の”Terror”を観ました。久し振りにWelch以外の脚本。遠い銀河系からやってきたエイリアンが、蘭の花の形をしていて、そこから発せられた光線で人間に乗り移り、シービュー号の原子力エンジンの放射線を使って増殖し、地球を乗っ取ろうという話です。ネルソン提督は一度エイリアンに乗り移られ、その後一回解放されましたが、再度乗り移らることを予期しており、その際は自分を殺せ、とクレーン艦長に命じます。しかし再度エイリアンが乗り移ったネルソン提督はフライングサブに乗り込み、シービュー号をレーザーで攻撃します。クレーン艦長は魚雷攻撃を命じ、フライングサブは吹っ飛び同時にネルソン提督も死んだかと思われました。しかしネルソン提督は生きておりエスケープハッチからシービュー号に再度侵入し、原子力エンジンの放射線を使って仲間を増やします。クレーン艦長は理屈はよく分かりませんが、エイリアンに過剰なエネルギーを与えてオーバーヒートさせて殺す装置を作り、何とかエイリアンを倒す、という話です。シービュー号とフライングサブの対決がなかなかの見物でした。

アルフレッド・ヒッチコックの「海外特派員」

アルフレッド・ヒッチコックの「海外特派員」を観ました。ヒッチコックの映画は初期の作品を除いてほとんど30代前半くらいに観ているのですが、その中で2つ見逃していたのが、この「海外特派員」と「救命艇」でした。「海外特派員」はその頃土曜日の深夜にTVで放映があったんですが、丁度海外出張中で、VTRの予約録画がうまく行かず見逃しました。それでやっと今観たのですが、実に傑作でした!いつものヒッチコック流の「巻き込まれ型犯罪」が1938年の欧州での戦争前夜の雰囲気と合わさって傑作になったと思います。特に、誰がスパイか明らかになって話が終わりに向かっていた時に、主人公とそのスパイとその娘(主人公の恋人)が乗った民間機をドイツの軍艦が砲撃するというサスペンスがあり、民間機は海に落ちてしまいます。生き残った者は結局アメリカの軍艦に救助されますが、アメリカは中立を守ろうとして、船内からの連絡を禁じます。そこで主人公が使った手がありがちですが、なかなか面白いアイデアでした。
最後はその新聞記者がドイツ軍からまさに爆撃されているロンドンの現場から生中継でアメリカ国民に対し戦争へ参加することを呼びかける、というドラマチックなシーンで終わっています。この映画が最初に公開されたのは1940年のアメリカでであり、その時点ではまだアメリカは参戦していません。それを考えると最後のシーンはイギリス人ヒッチコックんの本音かもしれません。
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原子力潜水艦シービュー号の”Rescue”

原子力潜水艦シービュー号の”Rescue”を観ました。「またも」Welch脚本。あー、もういい加減にして欲しい。ある意味では待望の「潜水艦同士の戦い」なんですが、敵の潜水艦がこの間轟沈されたばかりの”Vulcan”号が何故か復活。登録されていない謎の潜水艦なのに、何故か名前を堂々とボディーに記載しています。通常の潜水艦なら肉眼では見れませんが、シービュー号には観察窓があって、肉眼で見ることが可能です。で、シービュー号の乗組員に敵のスパイがいて、色々妨害工作をやりますが、それがこの回からの新顔のビーチという男で、その裏切り者が何故かいきなりミサイルルームの責任者という重大な任務を任されています。シービュー号のセキュリティーは一体どうなっているのか。
それから大きな謎であるシービュー号の魚雷発射管の位置ですが、今回後ろから追いかけるバルカン号に対し、1号と3号の魚雷を発射していますから、魚雷発射管は明らかにシービュー号の後方にあります。しかしすぐその後に、敵潜水艦の基地を攻撃するのに2号、4号魚雷を発射しますが、それは写真にあるように前からです。しかしミサイルルームでは明らかに4本の魚雷発射管が上下左右に平行して並んでいて、どう考えてもその内2本が逆の方向に発射されるなんていうのはあり得ないのですが。この辺り、アーウィン・アレンのドラマでの特徴で、おそらく脚本家が共同で使う「シービュー号設定集」みたいなものが存在していないのだと思います。シービュー号のプラモデルなどを見ても、魚雷発射管らしきものはありません。

原子力潜水艦シービュー号の”Time Lock”

原子力潜水艦シービュー号の”Time Lock”を観ました。またもWelch脚本ですが、この話は割と楽しめました。ただ、シービュー号の話というより、タイム・トンネルの話と言った方が良く、タイム・トンネルの中にも良く似たプロットの話があります。(どっちが先か分かりませんが、放映時期はほぼ同じ頃です。)ある29世紀の男が、その世界では既に戦争は無くなっていますが、アレクサンダー大王やナポレオンなどの古今の有名な軍人をタイムマシンで拉致し、ある機械でその知識を吸い取った後は、彼の命令するがままに動く人形として扱うことをやっています。その中の一人にネルソン提督が選ばれてしまい、シービュー号の中に突然現れたアーウィン・アレンお得意の顔を銀色に塗ったアンドロイドがネルソン提督を拉致します。実は彼の真の目的は戦争の無くなった時代に戦争の知識を集めて、実は彼自身の戦争を起こして世界を征服することであることをネルソン提督が見破ります。ネルソン提督が未来に飛ばされた後、シャーキーも手違いで飛ばされ、そのシャーキーが銃で撃たれて傷つきながら、血でハンカチにメッセージを書いてシービュー号の中の転送装置に送り、それをクレーン艦長が読み、グレネードランチャーを持って未来に乗り込みます。未来人も彼のコレクションも目が弱く光に弱いことをシャーキーに教えられ、クレーン艦長は携帯ライトを使いながら未来人の基地に侵入し、ネルソン提督を救助し、最後に基地を吹っ飛ばします。

ピーター・ファレリーの「グリーンブック」

今日(13日)は有給休暇を取っています。「グリーンブック」を今さらですが観てきました。字幕が「戸田奈津子」というのを見た瞬間に間違い探しモードに入りました。そして冒頭からやってくれて、「この映画は実話です。」と訳していましたが、実際は「実話にインスパイアされた映画」と言っています。実際にアフリカン・アメリカンのピアニストの遺族から事実と違うと抗議が来ているそうで、この辺りの無神経な杜撰さこそ、まさに戸田奈津子字幕です。
私にとって印象的なシーンは車の中でトニーがシャーリーに家族のことについて聞き、シャーリーが別れた奥さんの名前が「ジューン」であると言います。するとトニーが「名犬ラッシーの女優と同じ名前だ!」と言います。トニーが言っているのは、ジューン・ロックハートで「宇宙家族ロビンソン」でモーリーンお母さんを演じている女優です。
全体的には、先日の「ドリーム」と同じで、この頃のアメリカの人種差別が如何にひどかったか改めて認識出来ました。タイトルの「グリーンブック」とは、その頃南部でアフリカン・アメリカンを泊めてくれるホテルを記載した小冊子のことです。
シャーリーが最後の演奏会で、そこで主賓として演奏するのに、そのレストランはアフリカン・アメリカンに食事を出さないというのに怒り、演奏会をキャンセルします。そしてトニーと2人でアフリカン・アメリカンが集まるバーに行き、そこで店の女性に請われてピアノを演奏しますが、それがいつも彼が演奏しているポピュラー音楽ではなく、ショパン(エチュードの「木枯らし」)だったのが印象的でした。アメリカではクラシック音楽の需要は欧州に比べるとはるかに低く、ましてやアフリカン・アメリカンでは確かにコンサートピアニストとして生きていくのはまず無理だったと思います。
後トニーが酒場で、ケネディ大統領の就任演説の名文句を無茶苦茶に引用するのに笑えました。
全体としてはとてもいい映画でした。しかし、アメリカでは評価がまっぷたつに割れているそうで、それも分かるような気がします。

原子力潜水艦シービュー号の”Fatal Cargo”

原子力潜水艦シービュー号の”Fatal Cargo”を観ました。またもWelch脚本。で、今回のモンスターは白いゴリラです。ある博士がこの白い凶暴なゴリラの脳を完全に操る装置を発明したのですが、邪なその助手が、ゴリラを誘導するペンをその博士の胸に挿して、ゴリラに博士を襲わせて殺します。その後にやって来たネルソン提督は、シービュー号の上陸部隊に命じて(フライングサブで相当な時間を飛行して来たのに、上陸パーティーはほとんど瞬時に到着します。まあWelch脚本で突っ込んでも仕方がありませんが。)、ゴリラをトランキライザーで撃って眠らせ捕まえてシービュー号に持ち込みます。後はお約束で、邪な助手がゴリラを操ってシービュー号の中で大暴れさせて、という話です。でそのゴリラですが、当然のことながら着ぐるみです。なのでゴリラといいつつ身長が人間と変わらないので、あまり怖さが無いのですが。この頃は、こういう着ぐるみ専門のアクターがいて、自分で着ぐるみを作って色んな番組に出ていたみたいです。それで邪な助手について、クレーン艦長は昔から知っていて、有名人の業績をいつも自分の業績のように見せたがる男だったということで、ネルソン提督にその旨報告しようとしますが、男に襲われて気絶させられ、ゴリラが暴れている間はずっと登場しません。

原子力潜水艦シービュー号の”Man of Many Faces”

原子力潜水艦シービュー号の”Man of Many Faces”を観ました。またもWelch脚本ですが、前回のよりははるかにマシです。シービュー号版「二十面相」です。冒頭でいきなりネルソン提督が放送中の番組に押し入り、ネルソン提督と敵対する科学者をTVカメラが回っている前で射殺します。その頃、ネルソン提督はサンタバーバラにいたので、明らかにそれはネルソン提督ではありません。ネルソン提督は殺された科学者が発明した潮位コントロール装置によって、月が地球に引き寄せられて最終的に地球に衝突することを予想し、シービュー号でその装置を破壊に行きます。そのシービュー号の中で、チップ・モートンの偽物、ドクターの偽物、スパークス(無線技士)の偽物、シャーキーの偽物などが次々に現れ、ネルソン提督とクレーン艦長は誰を信じていいのかが分かりません。結局、最後はクレーン艦長に化けた男が、エスケープハッチの中に爆弾を仕掛けて、自身はフライングサブで脱出します。しかし、ネルソン提督はTVの殺人場面を何回も観ることで、犯人の指輪を発見し、先回りしてフライングサブに潜んでいて、犯人を倒して、潮位コントロール装置をミサイルで破壊して一件落着という話です。(爆弾は爆発寸前にクレーン艦長が魚雷発射管から放出しシービュー号は無事でした。)しかし、顔だけ変装しても、体の大きさまで変えることは不可能で、複数のクルーに次々に化けるというのは理屈に合いませんし、大体科学者が何故そんなことに長けているのかまったく説明がありませんが、まあWelch脚本ですから、そういう合理的な説明を期待しても無駄です。

ジョン・ヒューストンの”Moby Dick”(白鯨、1956年)

ジョン・ヒューストンの1956年の”Moby Dick”(白鯨)を観ました。私はこの有名な話の原作をお恥ずかしながらまだ読んでいません。この映画は興行的には失敗だったようですが、原作に忠実な映画化だそうで、重厚で非常に感銘を受けました。これを観たきっかけは、原子力潜水艦シービュー号のネルソン提督を演じている、リチャード・ベースハートがイシュメイルを演じているからです。グレゴリー・ペックのエイハブ船長が、単に復讐の狂気に取り付かれた人間というより、かなり理性的な名船長でありながら、それでもモービー・ディックに対する怒りを禁じ得ないという感じが非常に良く演じられていました。私は、もっと小さな船で、また乗組員も数人で鯨と戦うのかと想像していましたが、技術的には銛を手で撃つなど原始的ですが、捕鯨船そのものはかなり大きな船で予想と違いました。また、海域的にも喜望峰辺りから延々とビキニ環礁の付近まで鯨を追いかけており、こんな大規模なものだとは知りませんでした。ベースハートはシービュー号の時と比べて約10年前でかなり若々しい感じです。スピルバーグの「ジョーズ」はこの映画の影響を受けており、小林信彦はそのパロディーで「ジェリーズ」(大クラゲ)の話を書いて、冒頭を「私の名前だったら石丸としておこう。」で始めています。(注:「白鯨」の冒頭は、”Call me Ishmael. “で始まります。)

ハンナ・バーベラアニメの日本における受容について

昨日の「トムとジェリー展」で思ったこと。1960年代にハンナ・バーベラのアニメがほとんど毎年のように日本で放送されました。その時日本側のスタッフが単に吹き替えで日本語化して、ということだけではなくて、かなり工夫をしているということです。単純にタイトルだけだって、「チキチキマシン猛レース」は元はWacky racesで「いかれたレース」という意味です。また「スーパースリー」も原題のThe impossiblesよりいいと思います。(原題は、Mission impossible スパイ大作戦 のもじりでしょう。)
また、主題歌も全部日本側で独自に作っています。逆の例で、日本の「マッハGoGoGo」がアメリカに輸出されていてかなりの人気だったのですが、主題歌はアメリカ風にアレンジされてはいますが、元のままです。
さらには「大魔王シャザーン」のシャザーンのセリフの「ハイハイサー」とか「パパラパー」とかはすべて日本側が付け加えた物のようです。さらにはこの「シャザーン」の第1回分については日本語吹き替えを2種類作り、どちらが良いか検討することまでやっていたみたいです。ジャパニメーションに対するハンナ・バーベラアニメの影響は誰も否定出来ないと思いますが、その過程ではこんな日本側スタッフの努力があったのであり、頭が下がります。1960年代は小林信彦が言うように、日本のテレビの黄金時代でした。

原子力潜水艦シービュー号の”Sealed Order”

原子力潜水艦シービュー号の”Sealed Order”を観ました。また出ました!William Welchの脚本です。そして彼の脚本の中でも、これまでのシービュー号の全ストーリーの中でも、これ以上ないくらい最低のストーリーです。おそらく脚本家のWelch自身が何かLSDか何かをやりながらラリって書いたとしか思えない脚本です。ネルソン提督は大統領からの秘密の指令を受け取りますが、それはシービュー号が運ぶよう頼まれた弾頭が実は中性子爆弾であって、それを無事にサイロBという海中の核兵器格納庫まで運搬するようという命令です。一方シャーキーとコワルスキーは運んでいた弾頭から放射能が漏れていることを発見し、それを直そうといじって中性子爆弾を作動させてしまいます。ネルソン提督はそれを何とか止めようとしますが、ここからが無茶苦茶で、突然ネルソン提督、クレーン艦長、モートン副長、シャーキーの4人を残してシービュー号のクルーが全員消えてしまいます。シャーキーも消えたクルーを探している途中で消えてしまいます。次にモートン副長は以前出てきた大クラゲを目撃した後、姿を消します。そしてついにクレーン艦長も消え、ネルソン提督だけになります。しかしネルソン提督も変な幻覚を見て気絶してしまいます。その次のシーンではコワルスキーがネルソン提督を起こそうとしています。そしてシャーキーも見つかります。で3人になった所から、変なストップモーションで赤色が消えた緑の画面になりますが、そこにクレーン艦長がやってきて3人に襲いかかります。そして4人が乱闘になり、クレーン艦長はノックアウトされますが、それでようやく正気に戻ります。モートンも戻って来て、コントロール室でのアラートを報告します。中性子爆弾が爆発寸前になりますが、シービュー号の核ミサイル発射装置は大統領の許可がないと作動させられません。(といいつつ、勝手にネルソン提督が核ミサイルを発射している回が何回もありますが、それはさておき。)と思っていたら、フェイルセーフシステムの表示がいつの間にか”War”に変わっており、ネルソン提督はなんとか中性子爆弾を発射して空中で爆発させます。で一件落着はいいんですが、何故クルーが消えたのか、で結局全員無事に戻ったのか、何の説明もなく終わってしまいます。もうストーリーとはまったく言えないデタラメです。