小津安二郎の「晩春」

小津安二郎の「晩春」を観ました。AEON(週1回通っている英会話教室)の英作文課題の”Arranged marriage”(要するにお見合い結婚のこと)の中で、日本のお見合い結婚というものを理解したかったら、小津の映画のいくつかを観ろ、と書いて、実際には私は個人的には小津映画で扱っているテーマって苦手なんで「東京物語」と「秋刀魚の味」ぐらいしか観ていないのですが、勧めといて実際に観ないのも無責任と思って観ました。で、中味はお見合いそのもののずばりのシーンは省略されていますが、典型的な日本のお見合いの進行という感じで選択は間違っていなかったと思います。特にお節介なおばさんがあれこれ動く、というのがそれらしくていいです。ちょっとショックだったのは、笠智衆の演じる父親の年が何と56歳!(今の私より若い。)29歳の時に生まれた娘だとしたらまったく不思議はないんですが、「お父さんはもう長くないんだ」みたいなことを言われるとちょっと愕然とします。
原節子は改めて言うまでもなく美しかったですが、その笑顔に何か人工的なものを感じました。
しかし、この映画の主人公の紀子が現在に生きていたら、おそらく生涯独身で終わったでしょう。個人の意向をある程度無視しても、最終的な本人の幸せを願って無理矢理お節介をやく伝統的な日本社会が良かったというべきか、個人に対する抑圧と見るか、色々な考え方はあると思います。

「謎の円盤UFO」の”Close Up”

「謎の円盤UFO」の”Close Up”を観ました。中学生の時観て、一番良く覚えている回です。ちょっと観ると科学的な内容のようで、実はかなりあり得ない内容の回です。
ストレイカー司令官は、UFOがやってくる星に対する反攻のためのデータ集めとして、特殊な人工衛星の先端に高精細な写真が撮れる電子線カメラを搭載し、UFOがやってきた時、攻撃を中途半端で止めて引き返すようにさせ、その人工衛星で後を追わせます。そしてUFOの母星の写真を撮って地球に転送します。ここまではOKなのですが、撮影距離と倍率データが何故か転送されなかったので、写真は役に立ちませんでしたという結末。技師に対し「こんなに鮮明に写っているじゃないか」と怒るストレイカーに、技師は女性(エリス中尉)のドアップ写真を見せて、倍率がわからないと女性の肌も荒野みたいに見えるとか、あるいは高分子化合物の表面が惑星の表面に見えたりする例で説明してストレイカーを納得させます。
でも、このストーリーは色々な意味でおかしいのです。
(1)まずはUFOの母星の正確な位置を突き止めることが必要な筈なのに、ストレイカーはその星の写真を撮ることにこだわります。写真で一体何をする予定だったのでしょうか。
(2)本来の設定ではUFOのエイリアン側の科学が地球より数百年レベルで進んでいて、地球側のロケットではエイリアンの星に到達できない、ということだった筈です。なのに何故か明らかに低速な人工衛星がUFOを追跡してついていけるのか。
(3)今のデジタル写真もそうですが、ズーム倍率とか距離とかは写真データの中に一緒に入っています。なのに画像だけは送られて倍率とか距離データが送られないというのは変です。
(4)そもそも写真を受信出来るのであれば、UFOの母星の位置は突き止められる筈ですが、そういう分析はまったくしていません。
(5)この作戦はストレイカーの肝いりで、予算は10億ドルとなっています。それだけのお金を使って結果0にも関わらず、ストレイカーに対しては何のおとがめもありません。

という訳でおかしな脚本の回だと思います。写真は珍しく海上を航行するスカイダイバーとシルヴィア中尉。

「謎の円盤UFO」の”Court martial”(軍事法廷)

「謎の円盤UFO」の”Court martial”(軍事法廷)を観ました。一度もUFOが出てこないという不思議な回です。フォスター大佐が、SHADOの機密を新聞社に$10,000でリークしたという嫌疑で軍事法廷が開かれます。フォスター大佐には不利な証拠ばかりが出てきて、最後は$10,000が彼の口座に振り込まれていたというのが決定的になり、死刑宣告が下ります。ストレイカーはたまたままったく同時期に、映画会社の方の機密がライバル会社に漏れてしまい、それも知っていたのはフォスター大佐だけということから、大佐の家を捜査し、巧妙に隠された盗聴器を発見します。それは職業的産業スパイの仕業でしたが、映画会社の機密を探っていてたまたまSHADOの機密を探り当ててしまいそれを新聞社に売ったというのが真相でした。しかしこの真相がヘンダーソンに伝えられる前に、フォスターは逃亡し、最後は追いかけて来たSHADOの兵士に撃たれて…というかなり緊迫した内容の回でした。

「謎の円盤UFO」の”Square triangle”

「謎の円盤UFO」の”Square triangle”を観ました。正直な所今まで観た中では一番出来が悪い脚本のように思えます。UFOが1機でやってきますが、その目的地がイギリス南部と聞いたストレイカーは急にインターセプター3機による迎撃を中止させます。それはいいんですが、ここで既にミスがあって、映像(写真)は核ミサイルを撃ってしまった後のものです。。
この後も変で、ストレイカーはUFOをイギリス南部に着陸させて何をしようとしていたのかが不明です。エイリアンが外に出ている間に何故かUFOは爆発してしまいます。エイリアンはある民家を見つけそこに入りますが、あっけなくそこの女性に銃で撃たれて死にます。実はその女性が間男を作って、ダンナを殺そうとしていた所に、誤ってエイリアンが入ってきて撃たれたものです。SHADOは女性と間男を本部に連れて行ってそこで過去12時間の記憶を消す薬を飲ませて、エイリアン目撃を無かったことにします。しかし、その二人のダンナ殺しの計画は気がついていましたが、「三角関係にSHADOが干渉して四角関係になったが(タイトルはここから来ています)、また元の三角関係に戻すだけ」とストレイカーは言い、結局ラストシーンでは、その女性が亡くなったダンナの墓の前でニンマリ、という感じの何とも嫌な感じの話でした。
余談ですが、スカイ1はとても好きですが、インターセプターはどうもプラモデル臭さが抜けなくて、私はあまり好きではありません。

「謎の円盤UFO」の”The responsibility seat”

「謎の円盤UFO」の”The responsibility seat”を観ました。今回、ストレーカーは映画会社代表としての彼にインタビューに来た女性ジャーナリストにテープレコーダーを仕掛けられ、部下が「ストレーカー司令官」と呼びかけるインターフォンの音声を録音されてしまいます。SHADOの指揮をフリーマンに任せて、その女性からテープを取り戻しにいきますが、結局写真のようなシーンになって…というこの番組がアダルト向けに作られたことの証拠みたいな回でした。(ご本家のイギリスでも、子供の教育に悪いという理由でいくつかの放送局ではこの回は放映されなかったようです。)結局この女性の音声を録音して身元をチェックしたら犯罪歴バリバリで、ベッドシーンは実現しませんが。司令官を任されたフリーマンの方には、月面でロシアの輸送車両がムーンベース目がけて暴走してくるという大変なことが起きますが、フォースターの機転で何とかギリギリで回避します。今回UFOが3機来襲しましたが、UFOはオマケみたいな回でした。ストレーカーを誘惑する女性が普通ならUFO側と何らかの接触がある、というのが本来のストーリーのように思いますが。

「謎の円盤UFO」の”Ordeal”(試練)

「謎の円盤UFO」の”Ordeal”(試練)を観ました。この回もかすかに記憶があります。(といっても最初に日本で放映された1970年では私は9歳で、その時のはほとんど憶えていません。記憶にあるのは中学生の時に深夜に再放送していたのを、親に隠れてこっそり観ていた時のもの。)この回は有名な、フォースター大佐のエイリアンによる拉致られ事件、ですが、フォースター大佐が乗ったUFOが月面に激突して爆発したのに、フォースター大佐だけ生きていておかしいな、と思っていましたが、まさかこんなオチとは…(SFドラマで一番やってはいけないオチの一つです。)
今日の写真はSIDです。Space Intruder Detectorの略です。Intruder(侵入者)という単語はこれで覚えました。日本語吹き替えではこのSIDの声はいかにもその当時のコンピューターによる自動発音という感じでしたが、オリジナルでは割と普通のナレーションで普通の俳優がしゃべっています。
ところで、無線通信などで、「私の声が聞こえますか?」Can you hear me?ではなく、”Do you read me?”です。こういうのドラマとかで実例を聞かないと絶対に覚えられないです。

「謎の円盤UFO」の”A question of priorities”

「謎の円盤UFO」の”A question of priorities”を観ました。何というか、とても暗くて悲しい話です。SHADOの司令官としてこれ以上ない優秀さを見せるストレイカーですが、実は家庭は崩壊しており、奥さんは離婚して別の男性と結婚しています。二人には一人息子がいます。ある日ストレイカーが息子と会って遊ばせた後、家まで送り届けた後、ストレイカーが別れを告げずに去ろうとした時、息子はストレイカーを追いかけて道路に飛び出して車にはねられます。この息子は抗生物質にアレルギーを持っており、それを防いで治療するには、ニューヨークにある新しい抗アレルギー剤を急いで取り寄せる必要があります。ストレイカーは公私混同して、SHADOの輸送機に命じてその薬をロンドンに運ばせます。しかし、その時UFOが地球に侵入しアイルランドに着陸します。エイリアンがそのUFOから出てきてある盲目の老婆に家に侵入します。このエイリアンを捕らえるためにはモービルが必要ですが、もっとも至近距離にいた輸送機はストレイカーが薬を運ばせていたものでしたが、フリーマンが行き先をアイルランドに変更してしまいます。結局、エイリアンは仲間のUFOに射殺され、侵入した別のUFOはスカイ1が撃墜しましたが、ストレイカーの息子は薬が間に合わず亡くなってしまいます。病院に駆けつけたストレイカーに元の奥さんは「二度と顔も見たくない」と言い放ちます…というどうしようもなく救いようのない話でした。

「謎の円盤UFO」の”The Dalotek affair”

「謎の円盤UFO」の”The Dalotek affair”を観ました。SIDがUFO3機の来訪を探知します。直ちにムーンベースからインターセプター3機が出撃しますが、UFOは何故かすぐに引き返してしまいます。そのすぐ後に、小隕石が月面に落下し爆発しますが、それは民間の資源開拓会社のダロテック社の月面基地のすぐ近くでした。その後にムーンベースは突然の通信障害に襲われ、地球との通信が出来なくなります。フォスター大佐はその原因がダロテック社の基地が、当初申告していない周波数の無線を使ったせいだと思い、ダロテック社の基地に行って調査します。しかし証拠は見つからず、ムーンベースに引き上げます。直後、地球と月の連絡シャトルがやってきて、ムーンベースに着陸しようとしますが、またも通信障害が発生し、コンピューター制御からマニュアルに切り替えるのが遅れたシャトルは着陸に失敗し炎上します。フォースター大佐は再度ダロテック社の基地に出かけ、そこの通信装置を取り外してムーンベースに持ち帰ります。しかし、やはり通信障害は発生し、同時にUFO1機が来襲します。ここでもインターセプター3機が発進していましたが、ムーンベースとの通信ができません。一方ダロテック社の3名は隕石が落ちて出来たクレーターに何らかの電子機器が設置されていることを発見します。フォースターはそれが隕石によってもたらされたUFO側の通信妨害装置であることに気付き、ムーンモービルを発進させてその装置を爆破します。これでやっと通信が正常になり、インターセプター3機はUFOを撃墜します。
なおこの回ではフォスター大佐は女たらしぶりを発揮し、ダロテック社の女性エンジニアを口説いていたりします。
写真はインターセプターです。スカイ1がいつもロケットランチャーでUFOを撃墜しているのに、インターセプターだと何故核ミサイルが必要なのかが良くわかりませんが。(どうも本当は直撃しなくても、広範囲のUFOを一撃で撃破出来る、という設定だったみたいですが、実際のドラマでは直撃しない限りUFOを撃墜出来ていません。)

「謎の円盤UFO」の”Conflict”

「謎の円盤UFO」の”Conflict”を観ました。子供の時に観たのをかすかに覚えています。そしてこのシリーズにおけるリアル感という意味で良く出来た脚本の回だと思います。1950年代後半から1960年代にかけて多数打ち上げられた人工衛星やロケットの残骸が月と地球の間に多数残り、ストレーカーの上司にあたるヘンダーソンの率いる国際惑星宇宙局では、少しずつ爆破による除去を進めています。UFOが残骸に隠れてSIDのレーダーをかいくぐる懸念で、すべての宇宙ゴミの即時撤去を求めるストレーカーと、予算が無いのでそれを断ろうとするヘンダーソンの間で議論になります。そうこうする内に、ムーンベースと地球を往復するシャトルが、地球の大気圏再突入の角度設定に失敗し、大気の摩擦で炎上爆発します。実はそれはUFO側がアポロ8号(あの最初の月面着陸のアポロ8号!)の残骸に、シャトルの計器を狂わせる装置を積んだミニ飛行体を潜ませておいて、シャトルに取り付かせたからでした。これこそUFO側の妨害工作だとするストレーカーに対し、ヘンダーソンはパイロットのミスを主張して譲りません。フォスター大佐はそのパイロットにミスが無かったことを証明するため、無断でシャトルを自分で運転し、UFO側の妨害を計算に入れたわざと浅い再突入角度の設定で、爆破されるの回避します。このフォスターの行動で、UFOの妨害を確信したストレーカーは、ムーンベースのインターセプター3機を全機地球とムーンベースの軌道上の宇宙ゴミを爆破させるために発信させます。しかしそれはムーンベースを無防備にする危険な作戦で、UFO側の罠に自らはまるようなものでした。ストレーカーはヘンダーソンと対立し、一旦は指揮官解任を言い渡されながらも、このUFOの最終目的(実はムーンベース攻撃が目的ではなく、SHADO本部の攻撃)を見抜き、UFOが本部の位置探索に使っているであろう電波類を全てOFFにし、最後はあらかじめ命じておいたスカイ1が駆けつけて見事にUFOを撃破する、というものです。ともかく放映時にはまだ記憶に新しいアポロ8号が、10年後の1980年には宇宙ゴミになって、UFO側に利用される、というアイデアがすごいと思います。またUFO側の作戦とそれの裏をかくストレーカーとの知的なゲームという感じもあり興味深いです。

「謎の円盤UFO」の”Survival”

謎の円盤UFOの”Survival”を観ました。前回SHADOに加わったばかりのフォスター大佐は、この回ではいきなりムーンベースの司令官になっています。UFOが1機隕石群に紛れて月面に着陸し、そこからエイリアンが出てきてムーンベースを攻撃します。といっても窓に穴を開けただけですが、エアーが漏れ、インターセプターのパイロットが一人犠牲になります。フォスター大佐はムーンモービル2機で月面にいるUFOの探索に出かけますが、UFOに接近した時、攻撃を受けます。急遽インターセプターが出撃し、飛び立ったUFOを撃ちましたが、UFOは墜落し、ムーンモービル1機の側に落ち、ムーンモービルが破壊されます。それでフォスター大佐1人だけが取り残されます。実はエイリアン1人も取り残されていて、フォスター大佐に銃を突きつけますが、エアーがなくなったフォスター大佐に自分のエアーを提供し、フォスター大佐を助けます。フォスターはエイリアンに友情を感じるようになります。結局新たなムーンモービルが捜索に来てフォスターは救助されますが、エイリアンも助けようとしてその旨伝えようとしますが、無線機が壊れていて通じません。かろうじてマスク同士をくっつけて何とか会話できましたが、「エイリアン」の所だけが聞こえてしまい、救助に来たムーンベースの兵士は無情にもエイリアンを射殺します。
という話なのですが、今回も際どい会話があり、フォスターが一度は死んだと思われ、ストレイカーはその後任の司令官に、ブラッドレーを指名しますが、彼は断ります。その理由として自分の肌を指し(黒人です)、「表面的な差別はなくなっても、まだ心の中の差別は残っている」と言います。このドラマの設定は1980年ですが、10年後でもまだそういう差別がしっかり残っているという設定がある意味非常にリアルです。