小津安二郎の「東京物語」

小津安二郎の「東京物語」を観ました。いまさら私がこの名作に何か言っても仕方がないのですが、「紀子三部作」の中ではこの作品の紀子さんが一番不自然だと感じました。
実際の子供たちが冷たいように描写されていますが、非難すべき筋のものではなく、あんなもんだと思います。母親が子供の頃亡くなったのであればそれなりに悲しみは強いでしょうが、子供たちが既に十二分に自立しており親もそれなりの年であれば、愁嘆場はあまりないと思います。むしろ紀子さん出来過ぎでちょっと実在感がないです。彼女はこの先どのように生きていくのでしょうか。
この映画での老母は68歳で亡くなっています。今だとかなり早いでしょうが、1953年当時だと普通ではないかと思います。私の母は67歳で亡くなりました。

「原子力潜水艦シービュー号」の”The fear-makers”

「原子力潜水艦シービュー号」の”The fear-makers”を観ました。潜水艦ものには必ずと言っていいくらい出てくる「圧壊深度」もの。潜水艦ポリドールが最高深度のテスト中に、クルーが突然パニックを起こしたため潜水艦はコントロールを失い、深度4,200フィート(1,280m、現在の潜水艦でも圧壊深度が1,000mを超えるものはまずない)の深海で本当に圧壊してしまいます。実はこの事件は「某国」の陰謀で、ある博士が開発した人間に恐怖心を与えるガスのせいでした。ネルソン提督はこの事故の原因を突き止めるため、今度はシービュー号でその現場に向かいますが、クルーの心理的な調査を行うという名目である心理学の博士が乗船しますが、それに付いてきた助手が某国のスパイで、シービュー号にも恐怖ガスを仕掛けます。シービュー号は圧壊深度で破壊されたポリドールの残骸に衝突し、浮上に使うバラストタンクのポンプが動かなくなります。クルーの一部がパニックを起こします。某国のスパイは博士から恐怖ガスが時間が経つと神経ガスに変わってそれを吸った人間を殺してしまうことを聞き、騒ぎ出してネルソン提督に真相を打ち明けます。ネルソンは博士から室温を上げればガスは天井付近に移動することを聞いて、シービュー号のあらゆる熱源を使って船内をサウナ風呂状態にします。シービュー号のクルーの必死の頑張りでポンプが動き出し、ようやくシービュー号は危機を脱して浮上するという話です。某国の目的はアメリカに深海開発を諦めさせて自分達だけが深海航行のメリットを享受することでした。さすが冷戦まっただ中での番組だけあてそういう設定がきわめて多いです。

原子力潜水艦シービュー号の”The city beneath the sea”

原子力潜水艦シービュー号の”The city beneath the sea”を観ました。ある男が海底に秘密基地みたいなのを作って世界征服をたくらんでいるのを、シービュー号がそれを破壊する話です。まだクレーン艦長がその秘密基地に捕まっているかもしれないのに、何も考えずに魚雷をぶっ放してその基地を完全破壊するネルソン提督。どうでもいいですが、最新鋭の潜水艦の割りには魚雷のセットが手動だったりします。前方のカメラのモニターも明らかにブラウン管で、近未来という感じはまるでなく時代を感じます。

「ペンギン・ハイウェイ」(森見登美彦原作のアニメ)

「ペンギン・ハイウェイ」を観て来ました。なかなか良かったです。主人公が小学4年生の少年のせいか、子供連れの客が多かったですが、ちょっと子供には難しいのではないかと思います。原作は森見登美彦です。私は森見登美彦の小説は全部読んでいるので、この小説も2010年に出た時に読んでいます。その時は森見登美彦もちょっと新しい方向を模索しているな、という感じで、ストーリーもほとんど覚えていません。なので映画で原作とどこが変わっているかは分かりません。印象的なのは主人公の少年が全くの不条理な現象に対しとことん「科学的」アプローチを貫こうとしている所で、また少年のお父さんがいわゆるヒューリスティックス(エウレカ)的な問題解決のアドバイスを与えたりしてなかなか格好いいです。この辺り京都大学農学部出身の森見登美彦自体の少年時代がおそらく反映されているのでしょう。しかし森見ワールドと言うのはそういう合理的・科学的な世界と幻想的な非合理的世界が境界が曖昧なままミックスされていることで、日本の高度なアニメ技術はその辺りをうまく表現していました。またアニメそのものはCGだけに頼らず、かなりの部分手描きが行われていたのだと思います。実際にクレジットにはかなりの数のアニメーターが参加していたようで、タツノコプロの名前も見えました。このアニメはまた少年のVITA SEXUALISでもあります。結構あの年頃って年上の女性に憧れたりしますが、その辺りが上手く描かれ、その少年が好きで「お姉さん」に嫉妬する同じクラスの女性もいかにもありそうな感じで良かったです。

「原子力潜水艦シービュー号」の”Eleven Days to Zero”

「謎の円盤UFO」を観終わったので、今日から「原子力潜水艦シービュー号」の第1シーズン。取り敢えず第1シーズンのDVDだけ買ってあります。第2、第3シーズンも続けて観るかどうかは未定。第1シーズンはまだ白黒です。今回のお話は、2つの巨大地震の発生が予知され、その2番目の地震で世界中の多くの地域で巨大津波が発生することが報告されます。シービュー号のネルソン提督がその大津波を防止するために、北極で核爆弾を爆発させて地震のエネルギーと相殺させて津波の発生を防ぐことを提案します。(どうでもいいですが、映画版でもそうでしたが、核兵器の威力を買いかぶっています。自然のエネルギーは水爆一発なんかよりはるかに巨大です。)この時国連で審議する科学者の中に、タイムトンネルの老科学者の俳優(ジョン・ザレンパ)が出ていました。多分この役者さんアーヴィン・アレンのお気に入りだったんでしょう。そういう訳でシービュー号は北極に向かいますが、それを阻止しようとする某国が登場し、飛行機から機雷を投下したり、また潜水艦で追いかけてきて魚雷を発射してシービュー号を撃沈しようとします。機雷によってソナーが損傷してアンテナ部が海底に落ちてしまったのを、ダイバー3人が拾いに行きます。そこでお約束のサメ(北極の近くにサメがいるとは思えないんですが)と大イカが…(映画版にも出てきたので多分そのフィルムの使い回しでは。)結局色々ありましたが、シービュー号のミッションは成功し、クレーンが正式に艦長に就任します。

「謎の円盤UFO」の全26話の感想

「謎の円盤UFO」の全26話を観終わっての感想。ともかく子供の時から好きだったシリーズをようやく全話観ることが出来たのはとても良かったです。全編を通じて、ともかくストレイカー司令官がほぼ常にメインで話が進むということが分かりました。このドラマは撮影の途中でスタジオの工事の都合で長い中断が入っており、途中で最初に出ていた役者の一部がいなくなります。その一人がフリーマン大佐で、ストレイカーの盟友で副参謀的なキャラでしたが、26話中17話にしか登場していません。ストレイカーに次いで登場回数が多いのがフォスター大佐で、何故元単なる民間のパイロットだった彼が大佐にいきなり抜擢されるのかは理解出来ませんが、彼も色んな女性を口説いたり、エイリアンに拉致されたり(夢でしたが)、死刑判決を受けたりと、なかなか忙しいキャラでした。フリーマン大佐が登場しなくなって代わりに出てくるのがレイク大佐(女性)でしたが、なかなか美人ですがイマイチ存在感に乏しかったように思います。(このレイク大佐を演じている女優、何とあのベネディクト・カンバーバッチのお母さんです!)
ストーリーの展開は、最初はお気楽路線でやたらと女性を口説いたりするシーンが目立ちましたが(どうもイタリア人の脚本家がいたようです)、ストレイカーの私生活の話が混じりだすと、途端に暗くシリアスになりました。ある意味脳天気なアメリカのSFドラマとはそこが違います。またオカルトとか超能力とかサイコ系の話が多いのも特徴で、これはもうイギリス人の趣味としかいいようがありません。
特撮は全体に素晴らしいですが、難点を挙げれば、インターセプターのプラモ臭さが抜けなくて今一つリアル感に乏しいのと、スカイワンの発進シーンで水中からの発進なのに排煙が盛大に上がっていることです。(水中だったら泡になる筈です。)これは多分普通の空気中で撮ったシーンと水中シーンの合成なんでしょうが、スカイワン以外でも魚雷が爆発するシーンで同じように煙りが出ている所がありました。
まあ色々ありますが、私にとってはあらゆるSFのテレビドラマの中で、No.1ではないかという思いは変わりません。このドラマが今一つ視聴率的には良くなく、わずか26話で打ち切られたというのは、内容があまりにも大人向け(女性を口説く、女性がベッドの側で半裸になって誘惑する、何故かスカイダイバーの女性スタッフはブラジャー付けずに網目ユニフォームを着ている{”Sub-Smash”の時の女性クルーは付けていましたが}、仕事が忙しすぎて奥さんに離婚される、レイプや殺人のシーンがある等々)であり、それまでのジェリー・アンダーソンのファン層との食い違いが大きくてTV局側が扱いに困った、と言うところじゃないでしょうか。ただ、アメリカへの売り込みに失敗したサンダーバードと違って、これはアメリカでも放映されたみたいですが。(ストレイカー司令官を演じたエド・ビショップがアメリカ人だったり、イギリスに本部があるのに車が右側通行だったり、と結構アメリカを意識した作りになっています。)

「謎の円盤UFO」の”The long sleep”

「謎の円盤UFO」の”The long sleep”を観ました。これが最終回なのですが、最終回らしき話はまったくありませんでした。日本語版がこの最終回をどのように処理したか分かりませんが、多分ナレーションで「ストレイカー司令官とSHADOのUFOとの戦いはこれからも続くのである」とか言って終わったんじゃないかと推測します。おそらくこれを撮影している時には打ち切りはまだ決まっていなかったんじゃないかと思います。
お話は、10年前にストレイカーが車ではねた女性(突然女性が道路に飛び出したのであり、ストレイカーに落ち度はない)が10年間の昏睡状態の後、意識を取り戻します。女性は跳ね飛ばされた時に「UFOを見た」と言って気絶したため、ストレイカーは意識の戻った女性を取り調べます。10年前にその女性は家出してロンドンにやってきて、ティムという男性と知り合い、一緒に田園地帯の農場の空き屋敷に泊まります。そこでティムとその女性は多分LSDか何かをやって(とても60年代的)、ラリって騒いでいましたが、そこにUFOとエイリアンがやってきます。エイリアンは何かをその屋敷に仕掛けようとしていましたが、その女性とティムがふざけて、そのメカの円筒形の部品を持って行ってしまいます。それで追いかけっこをしている内にティムはふざけて屋根から落ちて死んでしまいます。女性はその後エイリアンに追いかけられて意識を失いますが、翌朝目覚めて空き屋敷を出てヒッチハイクでトラックに乗りますが、その運転手にレイプされそうになって車から降りて走り出して逃げて、ストレイカーの車にぶつかったものでした。結局エイリアンが仕掛けようとしていたのは、一発でイギリス全体を吹っ飛ばすことが出来る爆弾で、ティムと女性が持って行った円筒形のものはその起爆装置でした。エイリアンは死んだティムを操ってその女性に何かの薬剤を注射し記憶を取り戻させ、起爆装置を回収しようとします。SHADOも同じことをしますが、一足遅く起爆装置はティムの手に渡ります。ティムは起爆装置をセットして爆弾を起動させます。SHADOはそれを何とか分解しようとしますが出来ず、結局ロケットに積んで宇宙に持って行ってそこで爆発させるようにします。ティムは自分の役目を終えると白骨死体に戻りました。また女性の方は、ティムとSHADOの手で2回自白剤のような注射をされた結果、急速に老けて老婆と化して死んでしまいます。何か最終回とは思えない後味の悪い話でした。写真の右側はSHADOの医師ですが、ポーランド系の役者さんみたいで、とても独特な英語をしゃべり、かなり奇妙な味を出しています。

「謎の円盤UFO」の”Timelash”

「謎の円盤UFO」の”Timelash”を観ました。この回は中学生の時ではなく、小学生の時の最初の放送の時に観て、強く印象に残っているものです。確か邦題は「時間凍結作戦」。まだ小学生だったので細かい筋は覚えていませんでしたが、最後に写真のようにストレイカーがバーズカで、時間を凍結させている間にSHADO本部を攻撃してくるUFOを一人だけで迎撃するシーンをずっと覚えていました。
お話はSHADOのスタッフの一人のターナーがエイリアン側と通じてSHADO本部のどこかに時間を凍結させる装置を取り付けます。レイク大佐を空港に迎えに行っていたストレイカーとレイク大佐だけがこの凍結を免れますが、SHADO本部に入るとそれまで夜の8時だったのが突然昼間に戻り、また凍結した人間を目撃します。SHADO本部の中で一人だけ動いている者を見つけそれがターナーでした。ストレイカーとレイク大佐はターナーを追いかけますが、ターナーは広い映画スタジオの中を逃げ回ります。その内UFOの音が聞こえてきて、ストレイカーはターナーの追いかけをやめてバズーカを取り出してUFOを撃墜しようとします。しかしターナーがレイク大佐を気絶させ、バズーカのキーを持って行ってしまいます。再びストレイカーとターナーの追いかけ合いになりますが、時間を操れるターナーはなかなか捕まりません。ストレイカーはマシンガンでターナーを撃ちますが、彼が見えている所には既に彼はいない、ということが分かり、360°の方向にマシンガンを乱射して、それがターナーに命中して倒します。何とかキーを取り戻したストレイカーはバズーガで見事1撃でUFOを撃滅します。本部に戻ったストレイカーは時間凍結装置を壊すため、SHADOの装置を手当たり次第破壊し始め、そのどれかが奏功して時間が流れ始めますが、ストレイカーは2週続けて発狂扱いされて医務室に連れて行かれ、そこで強力な自白剤を注射されて真相を語り、ようやく皆が理解する、というストーリーです。
後1話を残すだけになりました。

「謎の円盤UFO」の”Mindbender”

「謎の円盤UFO」の”Mindbender”を観ました。ムーンベースに後一歩という所まで接近したUFOが何故か突然コースを変えてムーンベースから離れ、その後自爆します。その理由を突き止めるためムーンベースにやってきたストレイカーですが、調査に携わったパイロットの一人が突然気が狂ったような行動を起こし、ムーンベースの女性スタッフを殴り倒します。同じような事件がSHADO本部でも起き、そのスタッフはレイク大佐を人質にして逃亡しようとしましたが、フォスター大佐に撃ち殺されます。そして次におかしくなったのがストレイカー司令官その人ということで、幻覚の中で映画の一シーンとして自分の息子を事故で亡くすシーンを見せつけられます。結局、自爆したUFOが残していったガラス状の石に触ったものが全員おかしくなっているということで、偶然幻覚の中のストレイカーがそれを叩きつけて割ったため、幻覚は治まりました、という話しです。どうもこのUFOには、サイコ系のお話が多いようです。

「謎の円盤UFO」の”Reflections in the water”

「謎の円盤UFO」の”Reflections in the water”を観ました。終わりが近づくにつれ、脚本のレベルが上がって来ているように思います。今回はエイリアンはいつものちまちました攻撃ではなく、とうとう50機という大編隊で地球を襲おうとします。更にはその準備として凝っているのが、火山島の中にUFOを潜ませておく基地を作り、さらにはその近くの海底にドームを作り、その中に何とSHADO本部とまったく一緒の設備を作り、そこで働くスタッフもストレイカー司令官を含め全員そっくりさんを揃えています。で、その目的はムーンベースとインターセプター、そしてスカイダイバーに対して、UFOが襲来しても攻撃するなという嘘の指令を出すことでした。しかしよく考えると本物のSHADO本部の方が機能しないようにしている訳ではないんですから、発信場所からすぐばれそうなものですが…今回またもストレイカーは司令官にあるまじき行為で、フォスター大佐と一緒に海底ドームの調査に乗り出し、あわや、ということになります。
最後は、インターセプターとムーンベースに備え付けのミサイル迎撃車、スカイワンの総動員で、50機のUFOを皆殺しにするというある意味カタルシスのある結末でした。インターセプターは3機しかなくて、UFO3機しか墜とせない筈ですが、何故かこの回では途中でミサイルを補給しています。