ティムール・ヴェルメシュの「帰ってきたヒトラー」

jpeg000 214ティムール・ヴェルメシュの「帰ってきたヒトラー」を読了。
ヒトラーが1945年のベルリンから2011年のベルリンへタイムスリップし、TVのコメディ芸人として採用され、TVで政治的な演説をぶち、それが人気を博してYouTubeに載ってアクセスが集中し…という話です。ヒトラーの実際の演説とか「我が闘争」とかを使って、ヒトラーが現在の状況を見たら如何にも言いそうなことを言わせているのがミソです。ヒトラーが政治家として非常に有能に描かれている所がある意味危険ですが、そのヒトラーについていた秘書の祖母がユダヤ人で、家族が収容所で殺されたという設定にして、その秘書にヒトラーのユダヤ人虐殺を非難させて、バランスを取ろうとしているのがちょっと小賢しい感じです。
また、「風刺小説、ユーモア小説」なんですが、如何にもドイツ人のユーモアという感じで、ひねりがもう一つです。また、ヒトラーの「活躍」もTVでの成功に留まっていて、政界に進出するかも、という直前で終わっていて中途半端な感じがします。
ドイツで130万部のベストセラーになり、映画にもなったようです。(って調べたら日本でも2016年6月に公開されていました。)また何と、イスラエルでも翻訳・出版されています。

古今亭志ん朝の「代脈、蔵前駕籠」

jpeg000 203「今日の落語、志ん朝の「代脈、蔵前駕籠」。
「代脈」は先日、三遊亭圓生でも聴いた噺。医者になるのに特に資格とかいらなかった江戸時代ならではの噺。
「蔵前駕籠」は、暗くなって追いはぎが出るというのを無理矢理に駕籠を仕立てて吉原に繰り出す客の噺です。短い噺ですが、オチがしゃれています。