「誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」」という詭弁への反論

誤解だらけの「韓国に対する輸出規制発動」という記事が元経産省で貿易管理を担当していたという人より出ています。この内容が詭弁以外の何物でもなく、反論を加えておきます。

一応言っておくと、最初の会社(10年勤務)の時に、半導体用のケミカルを扱っており、輸出許可(EL)やその包括許可についてはさんざん経験しています。韓国への輸出ももちろんやって来ています。

>  まずそもそもこれは、韓国に対して新たに「輸出規制を発動」するものではない。韓国向けの輸出について、2004年から特別に優遇して簡略化していた手続きを、2003年までの普通の手続きに戻すものだ。簡略化した手続きとは、3年間有効な「包括許可」を得れば、いつでも輸出できるというものだ。本来は、輸出の契約ごとに「個別許可」が必要だ。私が担当していた2003年当時は、韓国への輸出は個別許可が必要であった。まさにこの時の手続きに戻すのが今回の措置だと言ってよい。

元々そうだったのでそれに戻すから問題無いという説明。ここにはどういう理由で、何故この時期に以前の状態に戻すのかという合理的な説明が0。そういう説明無しには恣意的な報復措置と非難されても反論が出来ない。

>  なお、この個別許可について、一部の報道では「出荷ごと」に許可が必要となり、日々、工場から韓国に製品を出荷しているようなビジネスが停滞してしまうというような報道によって、輸出企業の現場は混乱しているようだ。これは誤解で、個別許可は”契約ごと”に必要で、一契約で何回にも出荷を分ける通常のビジネスは当然、一度個別許可を得ていれば出荷ごとに許可を得る必要ない。

これもおかしい。今回の措置には半導体用レジストなどのファインケミカル品が多く、それらは通常保冷しても3ヵ月程度の使用期限しかない。なのでまとめて1年分とかを契約してということには通常ならず、在庫を見ながらその都度発注するというスタイルが普通。貿易の世界では通常一つの注文書=一つの契約。しかも分納が当たり前のような書き方をしているがこれもケースバイケースで違う。(金額が高額で納入期間が長期に渡るプラント輸出のようなものであれば一つの契約と一つの輸出許可で分納を繰り返すことはあるだろうが、小口の材料や部品でそれは通常ほとんど無い。)それになにより今回の措置では最初の出荷の際の輸出許可が何ヶ月かかるのかが分からず、場合によっては許可されない可能性も報じられている。1回許可を得ればというその1回が得られるかどうかが不明なのを棚に上げた詭弁。

>  また欧州連合(EU)が輸出管理のうえで特別優遇しているのは日本を含めて8カ国で、これに韓国は入っていない。多少の細かい点を無視すれば、EU並みの手続きに戻したとも言える。それでどうして「自由貿易に逆行する」との批判が各国から出るのだろうか。

この時期に明確な理由(たとえば韓国が北朝鮮に規制物資を横流ししているはっきりした証拠をつかんでいるなど)が見当たらないのに、「EU並みの手続きにした」というのは説明になっていない。何度も言うが、明確で合理的な理由がまったく欠けているから非難されているのである。

>  「世界貿易機関(WTO)協定違反の疑いもあるグレーな措置」とする、ある日本の識者のコメントまである。だが、2003年まで日本はWTO違反をしていたとでも言うのだろうか。日本の輸出管理法制を理解してコメントしているとは思えない。EU並みの手続きにすること、対インドネシア並みの手続きにすることが、どうしてWTO協定違反になりえるのだろうか。韓国側の過剰反応に引っ張られ過ぎではないだろうか。

だから何故今急に2003年以前の措置に戻すのか、具体的な理由は何かという説明がまったく欠けている。
外から見て、補償問題対応への報復としか受け取られない。
「誤解だらけ」と言うが、唐突な発表をして説明を尽くしてしていないのは日本政府の方である。

なお、今年の4月頃、私が現在勤めている会社が所属する工業会で、経産省から「韓国への輸出がストップしたらどのくらいの影響があるか」というアンケートが各工業会に回っていたと聞いています。つまりその頃から検討していた訳で、きちんとした説明を準備する時間は十分あった筈です。

NTCのベタ刃の剃刀の再評価

このストレートレザーは、classicshaving.comというサイトで買った”NTC “DABRIA” CUSTOM STRAIGHT RAZOR”というもので、いわゆる「ベタ」というスキがほとんどない刃のものです。DovoやThiers-issardのカタログを見ると、「ベタ」タイプもあるようなのですが、実際にはインターネット上の販売サイトでは見つけられていません。このベタの刃のロックウェル硬度は62で、59しかないBökerのより硬くていいのですが、今一つ剃った感じが良くなくてあまり使っていませんでした。しかし今回、革砥とペーストによるラッピングで、切れ味を良くしてもう一度試してみて、ベタの刃の良さが少し分かりました。フルハローだと刃が薄くなって、力が刃先にストレートに伝わらないで刃が動く感じですが、ベタの刃は刃の剛性感がとても強く、ブレがほとんどありません。フルハローで力を入れると刃が動いてあらぬ所を切りかねない感じがしますが、ベタだとそれがなくある意味安心して剃れます。それ故、フルハローに比べると深剃りがしやすいです。病院での手術前の剃毛に使われるのがベタの刃みたいなのですが、この辺りが理由なんだと思います。まあ1週間に一度は使いませんが、月に一度くらいは使ってみようと思い直しました。

韓国への特定商品の報復的禁輸措置について

第2次世界大戦の最大の原因と引き金は、1929年から始まった大恐慌の後、複数の先進資本主義諸国が、高関税を張り巡らせた自国とその植民地だけの経済圏を作り、それに対して遅れてきた資本主義諸国であったドイツや日本が、「後から」自分達も経済圏(ドイツは「生存圏 Lebensraum」、日本は「大東亜共栄圏」)を作ろうとして他国を侵略したことだと思います。
だからこそ、第2次世界大戦の後に、GATTやそこから発展したWTOなどの国際機関が作られ、自由貿易を守って互恵主義を維持することこそ、戦争の抑止にもっとも効果があるというのが多くの国の共通の了解だったと思います。
それに対して、トランプのような反動的なポピュリスト政治家が自国中心主義を唱え、貿易相手国に高い関税を課し、なおかつ複数国での相互互恵ではなく一対一の交渉が優先すると主張し、実際にそれを相手国に強いています。
日本もそんな戦後体制の恩恵を受け、貿易によって外貨を稼いで国力を上げ、今はNo.3ですが最近まで世界No.2の経済大国になりました。つまり日本こそ、アメリカには流されず自由貿易体制を維持することを一番強調しなければならない立場の筈であり、実際にG20でそれを確認したのだと思っていました。しかるにそのG20が終わって数日も経たない内に、特定の国との紛争の解決の手段に特定商品の「禁輸」や「輸出規制」をするとは。私は自民党のファンではありませんが、少なくともかつてはこのような幼稚なことをやる政治家は自民党にはいなかったと思います。またそういう幼稚な政治家を支持する人にも危機感を覚えます。

フランクリン・J・シャフナーの「パピヨン」

スティーブ・マックィーンとダスティン・ホフマンの映画「パピヨン」(1974年公開)を実に公開から45年経ってやっと観ました。何故今さらこれを観るのかというと、リメイク版が作られているのを知ったからです。この映画はTVで一度やっていた時に一部だけ観たのですが、全部は観ていませんでした。この映画の主題歌の”Free as the Wind”をエンゲルベルト・フンパーディンク(ドイツの作曲家の方じゃなくてイギリスの歌手)が歌ったのが大好きでした。
45年目の感想ですが、2大スターの共演、本当にいいですね。
しかも舞台が「悪魔島」だったというのを初めて知りました。ドレフュス事件でフランスのユダヤ人将校のドレフュスが流された島ですが、「タイムトンネル」の”Devil’s Island”で出てきました。ただ最後、椰子の実を集めて浮きにして脱出する時に、どうして鮫に襲われなかったのかが疑問に残りましたが。色々ありますが、いい映画でした。

革砥と研磨ペーストによるストレートレザーのラッピング

ストレートレザーを使い出したてほぼ半年が経過し、切れ味が低下してきた剃刀や、また新品だけどシェーブ・レディになっていないのがあって、天然砥石(戸前)で研いではみるのだけど、どうも切れ味が今一つです。それで砥石を使うのではなく、革砥に研磨ペーストを付けて磨くラッピングをやってみました。これが正解でした。ペーストはブッシュクラフトの6000番と12000番を使いました。それぞれで片側30回くらい研磨したら、キレッキレになりました。元々ジョージ・パックウッドが考案した剃刀の研ぎ方がまさにこれなんで、砥石を使うよりむしろスタンダードな研ぎ方です。また砥石と違ってコツのようなものはほとんどなく、ただ刃を密着させて刃の峰側に動かすだけです。天然砥石での剃刀の研ぎ方は、まだまだ研究する必要がありそうでです。

宇宙家族ロビンソンの”Reluctant Stowaway”

「原子力潜水艦シービュー号」を全部観終わったので、いよいよ「宇宙家族ロビンソン」の視聴開始で、第1話の”Reluctant Stowaway”を観ました。見始めてすぐ分かるのは原子力潜水艦シービュー号よりはるかに本格的なSFで気合いが入っていること。このドラマも途中からかなりコミカルに近い路線になりますが、出だしはかなりシリアスです。ドクター・スミスも途中から悪い奴だけどどこか憎めないキャラ的な存在に変わっていきますが、冒頭ではスパイでロビンソン一家とドンの殺害を企む悪者そのもの。ジュピター2号のロボットに、発射の8時間後に破壊工作を行うようにプログラムしますが、途中で別のエンジニアがロボットの電源を切ったため、再度やり直している内に脱出が遅れ、ジュピター2号に取り残され一緒に出発してしまいます。ジュピター2号はドクター・スミス分の重量超過のためコースを外れて小惑星帯に入ってしまいます。ここで大小の隕石がジュピター2号にぶつかり計器類が火を吹いて…でここはシービュー号とまったく変わらない展開です。シービュー号は1話完結でしたが「宇宙家族ロビンソン」はいい所で終わって来週をご期待!のパターンで、第1話では船外のレーダー装置を修理に出たロビンソン博士の命綱が切れ、奥さんのモーリーンがロケットでロープを発射するけど、微妙にロビンソン博士がつかむことが出来ない…という所で終わります。