NHK杯戦囲碁 芝野虎丸名人 対 瀬戸大樹8段

本日(20日)のNHK杯戦囲碁は、またTOEICのSpeakingのテストの関係で録画での視聴。黒番が芝野虎丸名人、白番が瀬戸大樹8段という好カードでした。この対局は白の名局と言って良いかと思います。序盤で上辺で白が黒をハサミツケていた所に、黒が2線への出を敢行し、結局上辺右の白3子を取り込んだ時点では黒がいいのかなと思っていました。しかし白は手厚く構えて動じません。その後何度も白から仕掛けるチャンスがあり、特に左上隅の劫は白から仕掛ければ、上辺右の取られている白石を復活させる手が劫立てになり、白が面白いかと思いましたが白は決行せず、結局黒が手を入れました。また右上隅で黒が大きく構えたので、白は三々に付けて行きましたが、これも黒のハネにすぐ切り違えを打たずチャンスを伺っていました。それが後になって利いてきて、右下隅の黒の包囲網で黒が膨らんで白1子の動きを制止している所で、その白1子を伸び出しました。これが両にらみの好手で、右下隅を受けると中央が危なくなりますので、やむを得ず中央に手を入れましたが、そうすると右下隅でハネ出して黒地を減らす手が打てました。後は普通に寄せても白が優勢なのでそうするのかと思いましたが、貯めていた力を一気に出す感じで中央の黒に襲いかかり、結局10子ぐらいを取り込んで、ここで白の勝ちが決まりました。その後芝野名人が勝負手を何手か繰り出しましたが、白が的確に受けて、結局黒の投了となりました。名人対8段という立場を逆にしたような白の横綱相撲でした。

ジブリさん有り難う!

スタジオジブリさんが、太っ腹でアニメのセル画を公開しているので、有り難くゲットさせていただきました。大好きな「コクリコ坂から」。でも、これって何だか「マスクを付けましょうキャンペーン」みたい…付けているマスクも1964年ということはおそらく布マスクで、「アベノマスク再活用キャンペーン!」違うか…

安藤英治氏の「中世合名・合資会社成立史」の紹介についての論評

安藤英治氏が、「ウェーバー歴史社会学の出立 ―歴史認識と価値意識―」という本の中で、20ページくらい「中世合名・合資会社成立史」の内容を紹介されており、それについて論評しました。故安藤先生には申し訳ありませんが、かなり厳しめの評価になりました。

ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」のダイジェスト版を公開

ヴェーバーの「中世合名・合資会社成立史」のダイジェスト版を公開しました。
日本マックス・ヴェーバー研究ポータルのアクセス統計を見ていると、この論文の結論部にだけアクセスしている人が非常に多いんです。しかし、この論文の結論部だけ読んでもこの論文の内容はほとんど分りません。何故なら、全体が一つの仮説を提示しそれを論証するといった結論がはっきりしているものではなく、いわゆる決疑論を広範囲の地方の法規に対して展開しているのがこの論文であり、個々の法規の評価の部分が重要で、結論で簡単にまとめられるような内容ではありません。
ダイジェスト版といってもWordで17ページありますが、せめてこの位は読んでいただきたいと思います。

 

スタートレックのファーストシーズンの”Charlie X”

スタートレックのファーストシーズンのCharlie Xを観ました。いやー、やはりスタートレックは脚本がいいです。アーウィン・アレンのチープなお話とは格段の差があります。しかし、視聴率はアレンのドラマの方が良かったのですから、不思議なものです。このお話はCharlieというある惑星上のコロニーみたいな所で事故で他の人間が全員死んで一人生き残って17歳まで一人で育ったCharlieという少年がエンタープライズ号に連れてこられますが、それまで人間の女性を見たことなく、初めて会ったカークの秘書のジャニスに一目惚れするけど、女性へのアプローチの仕方が分らずなどでフラストが貯まり、やがてCharlieがテージアンという別の種族の超能力を身につけていることが分り、Charlieがその力を使ってクルーを消したり、宇宙船を爆破したり、ついにはエンタープライズ号のコントロールを全部支配してしまって、という話です。まあありがちと言えばありがちですが、そのCharlieを何とかしようとするカーク、スポック、マッコイの努力が見物という話でした。結末はちょっとあっけなかったですが。

井上寿一の「戦争調査会 幻の政府文書を読み解く」

井上寿一の「戦争調査会 幻の政府文書を読み解く」を読了。先の戦争で不思議なのは、いわゆるPDCAが十分行われないで、今後また間違えないようにする、という意識が徹底しなかったことです。しかし、1945年11月に幣原喜重郎が、その当時の政治家、官僚、軍人から聴き取り調査を行い、学識経験者が40回の委員会を開いて、戦争の原因と敗因を調査しようとしていたのを初めて知りました。この試みはしかし、当時別に東京裁判が進行中で、戦勝国の立場から日本を裁くということで、それ以外に日本が独自で自分達の過去を調査することが、また将来の戦争につながるんではないかというほとんど言いがかりみたいなクレームがイギリスやソ連から入り、アメリカは反対ではありませんでしたが、それらの国の反対を論駁出来ず、途中で調査会は解散になります。そのため調査は途中で終っているのですが、まあ興味深いのはポイント・オブ・ノー・リターンがどこだったかということで、アメリカとの戦争を決定づけたのが、三国同盟と南部仏印駐留だったとしています。一部の委員は戦争の原因を明治維新にまで遡ることを主張しますが、そこまでやると発散してまとまらないということで採用されなかったようです。東京裁判の結果として、戦争の責任者の多くが戦犯として処刑され、それらの人から聴き取りをすることも不可能になります。私の個人的意見ですが、日本人は当時も今も、目先の、せいぜい1年先くらいのことについては比較的に計画的にやってやり遂げますが、5年先、10年先といった戦略を立てるのが下手のように思います。当時、将来に文明の衝突的に日米が対決すると予想していた人は多くいましたが、まさかそんなすぐにアメリカと戦うことになるとは予想出来ていなかったと思います。残念ながらこの本で知った新しいことというのはあまり多くありませんでした。

ローランド・エメリッヒの「ミッドウェイ」

「ミッドウェイ」観てきました。なかなかの出来だったと思います。いつぞやの「パールハーバー」とは大違いで、どうでもいいラブストーリーなどは入らず、実在の人物を使った話が進行していきます。いきなりミッドウェー海戦になるのではなく、まずは真珠湾攻撃から始まります。山本五十六長官(豊川悦司)が「眠れる獅子を起こしてしまった」とつぶやくのは「トラ・トラ・トラ!」へのオマージュでしょうか。その「トラ・トラ・トラ!」と同じく、日本軍もそれなりの役者によって演じられていて、決して一方的な悪者という感じでは描写されていません。今回のゼロ戦は「パールハーバー」の時みたいに、緑色に塗られた52型とかではなく、ちゃんと灰緑白色の21型でした。ただ惜しむらくは戦闘中も落下増槽を付けたままだったのはイマイチ考証不足でした。間にドゥーリトルの日本空襲をはさみ、ミッドウェー海戦ではアメリカ側の情報部隊の活躍が強調されています。日本の敗因はこの情報戦で敗れたのと、開戦以来の連勝による奢りでしょう。特に事前の机上演習で空母二隻が撃沈されるという結果が出ていながら、そんなことは起こらないとしてそのまま戦いに入ってしまいます。今回の映画の撮影ですが、CGは使っていない感じで、もし使っているのならCGも大した進化だと思います。空戦と空母爆撃のリアル感は素晴らしかったです。しかし、アメリカ側も決して余裕があったのではなく、もしミッドウェーで敗れたら、アメリカ西海岸が爆撃されるのを心配していたのは初めて知りました。日本もドゥーリトル空襲のせいで、米軍の残存空母を撃滅しないとと思っていたのですが。

NHK杯戦囲碁 伊田篤史9段 対 山下敬吾9段


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が伊田篤史9段、白番が山下敬吾9段の注目の対戦です。この対局の見所は白番の山下9段が2手目で5の5,4手目が高目という意欲的な布石でした。左上隅は黒が三々に入って地を取り、左下隅は5の5のまま放置され、それが働くか働かないかが焦点でした。右下隅にかかった白が挟まれた後ツケ引いて、その後隅の黒に迫り競い合いになりました。その後白は右辺に打ち込み、単に逃げるのでは無く、逆に右辺の黒を攻めようとしました。右辺の白は最悪2線に切って劫で活きる手があり右辺の競い合いは白に希望のある戦いでした。結局その後白は中央で黒石を切って行き、その戦いの中で左下隅の5の5の石が中央の黒を攻めつつ左下隅を大きく囲う一石二鳥の手になり、山下9段のリードとなりました。しかし黒は左下隅に手を付け、劫になれば御の字の所を巧みに無条件で活き、かなり盛り返しました。しかしそれでも白のリードでしたが黒は更に右下隅で劫を仕掛けて勝ち、形勢は混沌として来ました。その後も黒がヨセで好手を放って白を追い詰めましたが、結局白の半目勝ちとなりました。ユニークな布石を打つのは誰でも出来ますが、それを最大限に活用して勝ちに結びつけた山下9段の芸が光った一局でした。