8月14日のNHK杯戦囲碁は、黒番が伊田篤史9段、白番が関航太郎天元です。実は伊田9段は天元戦の挑戦者に決まったので、この戦いはその前哨戦です。また今をときめく一力遼棋聖を倒して20歳にして天元位を取った関天元がどのような碁を打つのか興味がありました。布石は伊田9段が得意としているかなりの変則布石で、右上隅が三々、右下隅は目外しから普通の小ゲイマジマリより一路高く構えるというものです。黒が左下隅に下辺からかかったのを白がはさんだことにより、ここから戦いが始りました。途中の競い合いで、黒が下辺から一転して左辺に展開し、白は当然その間を裂いていったので、下辺から中央に延びる黒の石は弱くなり、その後ずっと攻め続けられるという、二人の棋風からすると反対の展開になりました。白はこの黒を攻めた代償に中央が非常に厚くなりました。また黒を攻めながら上辺にも地を確保した後、更に右下隅の黒の変則構えに付けていってここを活き、地合で先行していた黒を追い上げます。右辺で劫争いが起き、黒が右下隅に劫立てしたのに白は受けずに劫を解消し、黒模様だった右辺に白が居座り、この別れは白が良かったようです。白は結局厚みを活かして中央にも地を作り、黒はコミを出せない形勢となり投了となりました。関天元の自在の打ち回しが冴え、これなら一力遼棋聖に勝ったのはまぐれではないなと思いました。この二人の天元戦が楽しみです。タイトルは防衛してこそ一人前と言われますので、関天元にとっても大事なタイトル戦です。
NHK杯戦囲碁 伊田篤史9段 対 関航太郎天元(2022年8月14日放送)
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