本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が井山裕太王座・碁聖、白番が田中康湧4段の対戦です。序盤では、黒が白の地模様だった左下隅に潜り込んで地を稼いだのに対し、白がお返しとばかりに左上隅では地を稼ぎました。その左上隅の戦いで、白2子が半分取られたような格好になり、これが動き出せるかどうかがその後の焦点になりました。ただこの石を動いてしまうと、左上隅が劫になってしまう可能性があり、白からのタイミングが難しかったようです。その後右辺の折衝で白が引いていれば無難だったのを伸びたため、黒がハネ込んで白を切断して行きました。ここの折衝の結果、黒が上辺を分断して左側とつながったため、先ほどの白2子の動き出しがほぼ意味が無くなり、ここで黒がリードしたようです。その後も黒が下辺に仕掛けていったりして難しい局面が続きましたが、最後白が左辺で稼いだのに対し、黒が左辺から右辺にまで延びる白の大石を切断しました。その結果白は両方で逃げてどちらも無事でしたが、その利きで黒は上手く下辺の白地を減らせましたし、最後は右側の白の連絡していた石3子を上手く取り込んでこれが決め手となり、黒の中押し勝ちとなりました。
NHK杯戦囲碁 井山裕太王座・碁聖 対 田中康湧4段(2023年11月26日放送分)
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