ジャストシステム時代にかなり調べたのですが、キリスト教の「三位一体」の本来の読みは「さんいいったい」であり、「さんみいったい」ではありません。しかし嘆かわしいことに今のATOKは「さんいいったい」で変換しようとすると「さんみいったい」の間違いなどという情けないメッセージを出します。
「さんみ」は日本での位階であり、「三位の中将」(さんみのちゅうじょう)が有名ですが、元々Samwiと発音したのが一種の音便で「さんみ」になったものです。これは言うまでもなく、一位、二位、三位の三位です。一方でキリスト教の三位一体は、父と子と聖霊という三つの「位格」(ペルソナ)が一つであるということであり、ここに「さんみ」という日本的位階の読みを使うのは間違いです。手元の「新教出版社」の「聖書辞典」も「さんいいったい」です。なおTrinityを「三位一体」と訳すのは明治時代の井上哲次郎の「哲学字彙」が私の知る限りのもっとも早い出典です。そこには「Trinity 三位一体[按、基督教徒中、有以天父神子聖霊、為三位一体者、天道溯原、固一而三、三而一者也]」となっていて、読みまでは書いていません。
それから仏教には「三身」(法身・報身・応身)という概念があり、それと間違えられるという意味でも「さんみ」は適当ではないと考えます。
P.S.
ジャストシステム時代の資料を探して、下記を見つけました。やはり「さんいいったい」が元々の読みでした。
中村正直訳「英華和訳字典」(1879)
Trinity ,a. 三位一有、三位一体、三位一有之上帝 san-i ittai.
ヘボンの和英語林集成の3版(1886)
San-i-ittai サンヰイツタイ Three persons in one substance, the Trinity:
– no kami the triuune God