塩野七生の「ローマ人の物語 迷走する帝国」[上][中][下]を読了。時代としては211年の皇帝カラカラから284年即位のディオクレティアヌスまでの3世紀の混迷するローマ帝国を描いています。この世紀には73年間に実に皇帝22人ともはや名前も覚えられない軍人出身の皇帝が次々に登場します。最終的にローマを滅ぼすことになるゲルマン民族の侵入が常習化し、東方ではオスティアに代わってササン朝ペルシアが登場し、四方八方で戦いが常習化し、そして皇帝ヴァレリアヌスが何とそのペルシアの奸計に引っ掛かって拿捕され、そのままローマに戻らず死ぬということまで起き、ローマの権威は地に墜ちます。更にはガリアではある軍団長がガリア帝国を宣言して独立、そして東方はパルミラのゼノビアも同じく独立し、ローマ帝国の領土は三分されてしまいます。そこに有能な軍人皇帝のアウレリアヌスが登場し、帝国を再統一し、ゲルマン民族も蹴散らしますが、統治6年で部下に謀殺されてしまいます。そういう危機の時代に、キリスト教がじわじわと勢力を拡大していきます。
という訳で下り坂をひたすらころがっていくという印象ですが、それでも大帝国だけにただでは死なないという感じで、まだまだ色々ありそうです。
塩野七生の「ローマ人の物語 迷走する帝国」
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