NHK杯戦囲碁 上野愛咲美女流立葵杯 対 呉柏毅6段(2024年6月23日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が上野愛咲美女流立葵杯、白番が呉柏毅6段の対戦です。序盤、左上隅で両ガカリからの白の左辺の黒へのツケにいきなりハネ込んでいったのが上野女流立葵杯らしい打ち方でした。結局隅は活き活きになりました。この碁での最大の戦いは、白が黒の右辺の模様に打ち込んでいってからで、黒は白を攻めて行きましたが、白に下辺に降りられて、包囲している左方の黒にも眼がなく、結局下辺で劫になりました。白は劫争いの中で中央を上手く利かし、黒に継ぎを打たせてから下辺右の白を活き、劫は黒に譲りました。そして中央をケイマに飛び出して黒を攻め、これで十分という判断でした。その判断は正確で黒もヨセで食い下がりましたが、どうしてもコミを出すことが出来ず、白の中押し勝ちとなりました。呉6段の上野女流立葵杯の豪腕に負けない正確な読みが光った一局でした。

塩野七生の「ローマ人の物語」の「終わりの始まり」

塩野七生の「ローマ人の物語」の「終わりの始まり」[上][中][下]を読了。五賢帝によるローマの黄金時代も、最後のマルクス・アウレリウスになると、かなり土台の傾きが感じられるようになります。大体「五」というのが数字合わせ的で、本当の賢帝と言えるのはトラヤヌスとハドリアヌスだけじゃないかと思います。(五賢帝を言い出したのはギボンです。)ネルウァは治世が短くその功績と真に言えるのはトラヤヌスを後継にしたというだけと言っても言い過ぎではないようです。ピウスは人格者ではあったでしょうが、せっかくハドリアヌスが固めた前線の守りをメンテすることをまったくしませんでした。そしてマルクス・アウレリウスは哲人皇帝としてもっとも人気が高いローマ皇帝ですが、ミリタリーおたくの塩野七生にかかると、まあピウスのせいですが、まったく前線勤務の経験が無いまま皇帝になり、しかしゲルマン民族他の侵入が激化して前線に行かざるを得なくなりますが、年取ってから戦争をやっても出来る筈がなく、結局前線で病死します。それからマルクスのもう一つの失政は後継者を自分の息子にしたことで、このコモドゥスがまた出来が悪く失政を重ね暗殺されます。ここでまた内乱の時代になり、3人の軍人が帝位を巡って争い、結局セヴェルスが勝ち残ります。しかしこのセヴェルスによってローマ皇帝は完全な軍人独裁化します。
しかし、本当に皇帝という「職業」は大変です。

ウルトラマンAの「セブンの命!エースの命!」

ウルトラマンAの「セブンの命!エースの命!」を観ました。前回はウルトラの父の霊体でしたが、今回はウルトラセブン登場で、ウルトラファミリーがはっきりいって濫用されています。TACが開発中の新兵器を宇宙人が邪魔しようとして、ダンの叔父さんに化けてダンの家に入り込みます。その宇宙人ファイヤー星人は超獣ファイヤーモンスに炎の剣を与え、エースは敢え無くその剣に刺されて死にます。そのままだと最終回なので、ここでウルトラセブンが登場し、エースを復活させます。まあご都合主義。しかし復活したエースは超獣を倒せず、TACの新兵器が超獣を爆破します。この辺り初代ウルトラマンのゼットンの時の展開と同じです。結局エースは巨大化したファイヤー星人を何とか倒し面目をようやく保ちます。

トワイライト・ゾーンの”The 7th Is Made Up of Phantoms”

トワイライト・ゾーンの”The 7th Is Made Up of Phantoms”を観ました。1876年の6月25日、カスター将軍はインディアンのスー族を攻撃しようとしています。歴史的にはカスター将軍はスー族に虐殺されたということになっていましたが、史実はカスター将軍がスー族に対し総攻撃を決行し、数と武器で優るスー族に敗れて戦死したということみたいです。ところが突然時間が1964年6月25日に飛び、演習中だったM3戦車の3人が、何故かその時のカスター将軍の部隊(第7騎兵隊)に起きたことと同じことを経験します。彼らはその歴史を変えようとしますが、不思議なことはせっかく戦車という近代兵器があるのにそれを使用せず、ライフルとピストルでインディアンに立ち向かおうとします。(スー族はネイティブ・アメリカンという呼び方をごまかしだと批判していた過去があるため、敢えてインディアンとしています。)結局3人は死に、彼らを探しに来た隊長はリトルビッグホーンの戦いの戦死者の碑に彼ら3人の名前が入っているのを見つける、という終わり方です。うーん、アメリカ人にとっては有名な史実なんでしょうが、日本人には正直疎遠な題材でした。

ウルトラマンAの「復活!ウルトラの父」

ウルトラマンAの「復活!ウルトラの父」を観ました。放映日が1972年12月22日で、クリスマス特番的な内容で、タイトル通りウルトラの父が霊体?として復活するだけでなく、最後は超獣に目をやられた人を直すため、何とウルトラの父に呼ばれて南夕子がサンタの橇でやって来ます。なお超獣スノーギラスを操っているのは何とナマハゲで、そのセリフが「八百万の神がいるのに異国の神を祭るとか何事か!」で、まるでバールやアシェラなどの異教の神を崇めるユダヤ人に対して「燃える怒り」をぶつけるヤァウェの神のようです。しかしウルトラ一族?は日本の神の味方はせず、ウルトラの父はサンタクロースの格好で現れナマハゲを倒します。一度超獣に敗れたAはウルトラの父の力で復活して超獣を倒します。アメリカのドラマでクリスマス特番的な内容は良くありますが、日本の子供向けドラマでここまでやったのはこれが最初かも。

スター・トレック・TNGの”Evolution”

スター・トレック・TNGの”Evolution”を観ました。エンタープライズ号はスタブ博士の超新星の爆発のエネルギーを使った実験を支援するミッションを与えられています。しかしエンタープライズ号は色々な変な動作が発生します。結局エンタープライズ号を制御しているコンピューターがおかしくなっていました。その原因はクラッシャーで、人体の中で病気の組織をつぶしたりするナノロボットを改良しようとして、2組でお互いに援助しながら動くものを作りますが、それがクラッシャーが徹夜でうたた寝をした間に、エンタープライズ号のコンピューターシステムに入り込み、そのチップのパターンを餌として食べ、あっと言う間に増殖しただけではなく、知能を持つように進化します。スタブ博士は実験が遅れないようにと、ナノマシンに汚染されたチップをガンマ線で攻撃しますが、ナノマシンは全滅せず、逆にスタブ博士をレーザーか何かで殺そうとします。ピカードとデータは、知能を持ったナノマシンと会話が出来るのではないかということで、データの身体をナノマシンに預け、対話を始めます。その結果、スタブ博士が謝罪したのをナノマシンは受け入れ、もっと広い世界を求め超新星の方に移ります。ナノマシンの助けもあって実験は無事に成功しました。なお、今回からエンタープライズ号のドクターがまたクラッシャーのお母さんに戻っていて、自分のミスだと何とか一人で事態を収拾しようとするクラッシャーにアドバイスしたりします。まあまあ楽しめたエピソードでした。

ウルトラマンAの「友情の星よ永遠に」

ウルトラマンAの「友情の星よ永遠に」を観ました。超獣マッハレスは高速な乗り物が発する金属音が嫌いで、新幹線や飛行機を襲い大惨事を引き起こします。その一方で北斗の幼馴染みの加島がマッハを超える速度の自動車を開発しています。加島には真弓という恋人がいましたが、マッハ車の完成が間近で引く手あまたの加島は、孤児で育ったという経歴もあって金と名誉をひたすら手に入れようとし、真弓を冷たく突き放します。そして加島のテストコースをマッハレスが襲い…というお話。Aが戦う時にTACの歌がバックで流れますが、それには南隊員の名前がしっかり入っています。(次のエピソードでまた登場するようで、その伏線?)後はありきたりで、真弓に命と設計図を救われた加島が真弓への愛に目覚める、というものです。今回もAは光線技2つで勝利します。

NHK杯戦囲碁 大場惇也8段 対 福岡航太朗5段(2024年6月16日放送分)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が大場惇也8段、白番が福岡航太朗5段の対戦です。黒の布石は懐かしの低い中国流でした。一時AIによる対策手段が有効ということで打たれなくなっていましたが、その後の研究で特に低い方は打てるということで、またボチボチと打たれるようになっているみたいです。私の世代では特に、第2期棋聖戦の藤沢秀行さんと加藤正夫さんの激闘で、黒を持った方が中国流を採用していたというのを覚えています。序盤・中盤と互角の戦いが続きましたが、黒が白のケイマの間をツケコシて切って行く前に、下辺で白が黒2子取っていた所を利かしに行ったのに、白が手を抜いて中央を打った判断が的確で、これによって黒の右辺から中央の模様の広がりが抑えられ白が優勢になりました。その後白がヨセで若干リードを拡げ、最後右下隅の死活で黒がうっかりしてポカを打って頓死し、ここで黒の投了となりました。

トワイライト・ゾーンの”Probe 7, Over and Out”

トワイライト・ゾーンの”Probe 7, Over and Out”を観ました。このエピソードには何と、原子力潜水艦シービュー号のネルソン提督を演じていたリチャード・ベイスハートが主役で登場します。しかしこの回が放送された当時は、まだ原子力潜水艦シービュー号は始っていません。宇宙飛行士のアダム・クックはトラブルである人が住めそうな星に不時着することになりましたが、着陸に失敗して宇宙船は故障してしまいます。地球とは何とか通信が出来、救助船の派遣を要請しましたが、地球では丁度その時、米ソ間と思われる核戦争が勃発し、結局地球側は「そちらで生き延びてくれ」というメッセージを残して全地球が滅亡します。アダム・クックはその星に誰かいないか探しますが、突然飛んで来た石に頭を打たれ気絶します。結局石を投げたのは、別の星の女性で、その星が軌道から外れて宇宙を彷徨い始めたのに対して一人だけ脱出してその星に来たものでした。その名前がノルダで、最後にイブ・ノルダというのがフルネームであることが分ります。ここまで来ると「なーんだ」ですが、二人はアダムとイブとしてその星で一緒に生きていくことを決意します。
しかしベイスハートはやはり名優ですね。

塩野七生の「ローマ人の物語」の「すべての道はローマに通ず」[上][下]

塩野七生の「ローマ人の物語」の「すべての道はローマに通ず」[上][下]を読了。この巻は、ローマの特定の時代を描いたものではなく、ローマが作り上げたインフラストラクチャーをハードとソフトの両面で概観したもの。感心したのはローマの水道のレベルの高さ。消毒剤というものが無かった時代にどうやって水道の衛生さを保っていたのかと前から不思議に思っていましたが、水源を川から直接取水したりせず、山の中の湧き水などの元がきれいな水を利用していたのと、後は常に流しっぱなしを保ち、それによって水が痛むのを防いでいたようです。この流しっぱなしというのは、料金が基本無料(自分の家まで延長してもらった場合は有料)だからこそのシステムと思います。また先ごろローマのコンクリートが現代のものより寿命が長い理由が解明されていましたが、おそらくローマ人は科学的に解明したのではなく、経験的に知っていたことだと思いますが、そういう「実践知」の素晴らしさがローマの魅力です。
後半の教育の所でいわゆる「弁論術」の話が出て来ますが、この分野について塩野七生が何も知らないのだということが分りました。結局レトリックは世界で共通して「起承転結」だみたいな、トンデモ論を書いています。論文とかプレゼンテーションを準備するのに何でもかんでも「起承転結」で済まそうとする上司達と戦って来た私にはほとんど噴飯ものです。