「貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」

最近、企業がHPに載せている通知文とかを見ると、かなりの確率で「貴社ますますご盛栄のこととお喜び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。」という紋切り型が使われています。
私はこれを見る度、すごく気持ちが悪くなります。
何がかというと、
(1)相手を祝賀するのは「お慶び」です。これは元々候文で「大慶至極に御座候」とかを崩したもので、そういう意味でも「喜び」は違和感有り。
(2)「格別のご高配」→今はほとんどの人が思考停止状態でこう書きますが、この意味するところは「本当にあり得ないような高いレベルのご配慮をいただきました」ということになります。たかが年に数回程度取引きするような相手に使うには慇懃無礼、過剰表現もいい所です。男性が会う女性全員に「あなたは絶世の美女です」と言っているようなもの。
(3)「厚く」これも今はこう書く人が多数派ですが、本来は「篤く」です。

以下は、ジャストシステムの日本語入力ソフトであるATOKの定型文入力に入っている文例ですが、「格別のご高配」は一件も使われていません。「厚く」は残念ながら大勢に日和ったのか使われてましたけど。

拝啓
秋冷の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。また、平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

拝啓
平素は格別のご配慮にあずかり厚く御礼申し上げます。
さて、『発注日』付にてご発送の品、本日着荷いたしました。納品書と照合の上、検品いたしました結果、異常は認められませんでしたのでご通知申し上げます。

拝啓
平素は格別のご厚誼を賜り、心から御礼申し上げます。
さて、『受注日』『発注者部署役職名』 『発注者氏名』様より、下記製品について、電話によるご注文をいただきました。つきましては、念のためご確認申し上げます。

拝啓
秋冷の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。また、平素は格別のご愛顧を賜り、厚く御礼申し上げます。

ちなみにChatGPT4oに意見を聞いてみたら、以下の回答でした。

確かに「格別のご高配」は少し過剰に感じることがあります。よりシンプルで適切な表現としては、以下のような言い回しが考えられます:

  • 平素はご愛顧賜り、誠にありがとうございます。
  • 日頃のご支援に厚く御礼申し上げます。

これらの表現は、過剰な敬語表現を避けつつ、感謝の気持ちを丁寧に伝えることができます。