ジョー90の”Colonel McClaine”

ジョー90の”Colonel McClaine”を見ました。ある二つの国の間のトンネル工事が行われていますが、爆薬が足らずに開通に至っていませんでした。ジェットヘリで強力な爆薬が輸送されますが、いつも途中で爆発してしまいます。そこでジョー90の登場で、今回は新しいパターンで、爆薬の専門家と、軍用の特殊輸送トラックの運転手の両方の脳波パターンをジョー90が取り込みます。飛行機で駄目だったので、新たにトラックで輸送されることになりました。しかし両国の関係が良くなるのを問題視している者達、実は輸送の邪魔をしていたのもこの者達ですが、トラックの爆薬にも高度が5,000フィート(約1,500m)以上になると爆発する仕組みを入れます。ジョー90を含む3名が運転する輸送トラックが爆薬を運びますが、途中がけ崩れがあり、それを回避するために急斜面をウィンチを使って登りましたが、途中でロープを固定していた樹木が折れ、3台の内の2台は爆発し、一人が犠牲になります。残ったジョー90ともう一人の兵士が最後のトラックの輸送を続けますが、高度が1,500mを超してしまい、爆薬が煙を出し始めます。WINがしかし一味を逮捕し、その1,500mで爆発するというのをジョー90に伝え、ジョー90はかなり危険な運転で崖を滑り落ちるようにして高度を下げ、何とか爆発を回避します。
うーん、2人分の知識を仕入れるというはいいですが、それがあんまり目立ったストーリーではなかったです。見所は2人の兵士が最初ジョー90を見て子供なので服従しなかったのを、ジョー90が中佐として権威的に命令して結局その命令に従う、という所です。

クリプシュのスピーカー RP-160M

実は一月ぐらい前に、アキュフェーズのプリメインアンプ2台をオーディオユニオンに売却しました。1台は買ってから8年、もう1台は15年くらい経っていたのに、買った時に払ったお金の45%で売れました。アキュフェーズ恐るべし、って実はアキュフェーズのアンプは2年に一回くらい新型が出るけど、中身はほとんど同じようなものなので、中古品買っても同じだ、ということで中古品の人気が高い結果だと思いますが。(後、新品は非常に高いので手が出ないけど、中古なら、というのと、またアキュフェーズは会社設立以来の全てのアンプの部品が取ってあって、古いアンプでも適価で修理してくれますので、それも中古人気につながっていると思います。)
ま、それは置いといて、それでオーディオを売却したお金は結局別のオーディオに化けています。クリプシュのRP-160Mというスピーカーを買いました。このブランド、日本ではあまり知られていませんが、昔クリプシュホーンという歴史的名機を作った会社で、アメリカではもっとも売れているスピーカーブランドなんだそうです。日本のAmazonで送料入れてペアで9万円でしたが、アメリカのAmazonではわずか$550です。私が一番最初に買った本格的スピーカー(オンキヨーM77)より安いです。
それで特長ですが、出力音圧レベルがなんと96dB/mもあり、低出力の真空管アンプには最適です。音も開放感あふれるアメリカンサウンドで、気持ちがいいです。(写真右が裏面ですが、高音のホーンの裏側に結構大きめのバスレフポートが開いているので、背圧は少なく、実に気持ち良く鳴ってくれます。)また能率が高くて細かい音が良く聞こえる結果として音場は広く、音像も明確です。ただサ行の子音が多少きつくなるのと、ずっと聴いていると少し疲れる気はします。また価格相応でコクとか艶には乏しいですね。でもコストパフォーマンスという意味では、最高でしょう。このスピーカーが日本であまり売られていない(過去にオンキヨーとかヤマハが輸入販売していましたが、いずれもすぐ止めたみたいです)理由は、このスピーカーのコストパフォーマンスの圧倒的高さが分ると、誰も馬鹿高いスピーカーなんて買わなくなるからではないかと思います。

NHK杯戦囲碁 小池芳弘7段 対 常石隆志5段(2022年7月17日放送)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小池芳弘7段、白番が常石隆志5段の対戦です。小池7段は、挨拶で序盤は完璧に研究して来た、と言い切りました。しかし、左辺から左上隅の攻防で、白が左辺と左上隅を地にし、黒は取られている隅の2子にもう一手かけた理屈で、AIは白が優勢と判定しました。しかしそれはAIがまだ左上隅の石が活用可能なのを見ていなかったからで、その狙いは黒が上辺で詰めた後に炸裂し、左上隅の黒は単独では活きない形ですが、それを取りに行くと、上辺の白も眼が無く、攻め合いで劫になります。劫材は黒が多いため、白は左上隅の黒を活かさざるを得なくなり、黒が互角以上に持ち直しました。白も中央の黒地を半分くらいに値切れたため、後はヨセ勝負になりました。中央の黒も眼がなかったため、下辺で攻防が続き、黒が若干上手くやって細かいながら勝勢になりました。結局黒の2目半勝ちでした。小池7段が左上隅の帰趨を全てあらかじめ研究していたならすごいですが、おそらくは多少の誤算があったのを上手く挽回したのかなと思います。

直熱三極管2A3 8種ダイナミックテスト

先日、2A3の無帰還アンプを購入してから、またも球転がし(rolling tubes)趣味が始まって、夜中に小人が出てきて、勝手にPCを立ち上げ、オークションで入札してしまうんですね。(笑)そういう訳であっという間に8種類になったので、私なりのレビューを上げます。尚、「直熱3極管book」というムックがあり、それにも各種2A3のレビューが載っていますが、テストが行われたのが2000年で、最新の2A3はまったく含まれていません。またWeb上にも300Bのレビューは多数見かけますが、2A3のはあまり多くありません。そういう訳で私のも多少は参考になるかと思ってアップします。

1.テスト環境
パワーアンプ:秋一郎さん設計・製作の2A3無帰還シングルアンプ。整流管は東芝のNOS品の5U4GB(直熱整流管)、電圧増幅部がSYLVANIA 6SL7GT(中古品)
プリアンプ:LUXMAN CL-38uC
SACDプレーヤー:Accuphase DP-570
スピーカー:Klipsch RP-600M(出力音圧レベル:96dB/m)
テストCD:村治佳織「CAVATINA」、河村尚子 ベートーヴェンピアノ・ソナタ Vol.2、リンレコード The Super Audio Surrounding Collection Volume 2

真空管の特性測定:etracerを使用

2. テストした2A3 8種
(1)JJ 2A3-40、実売ペアで4万7千円くらい、新品
(2)SOVTEK 2A3、ペアで2~3万円、新品
(3)PSVANE 2A3 Tii、ペアで4万5千円くらい、新品
(4)RCA JAN 2A3、1952年製、ヤフオクで入手、ペアで2~4万円くらい
(5)RCA 2A3、2枚(H型)プレート、製造年不明、ebayで入手、ペアで4~5万円くらい
(6)RCA 2A3、シングルプレート、製造年不明、メルカリで入手、価格は秘密ですが、訳あり品(片方が振るとカラカラ音がする→中の絶縁部の一部が欠けて落ちたもので、音質には影響なし。)。一般に良品はペアで15万円~25万円程度。
(7)松下電産 UX-2A3、1949~1952年頃の製造、eBayで入手、ペアで3~4万円くらい
(8)エレクトロ・ハーモニックス 2A3Gold、2A3の無帰還アンプに付属していたもの、ペアで2~3万円

3.テスト結果(写真はクリックで拡大します。)
(1)JJ 2A3-40 評価:
特性は左右で、Ia(プレート電流)が61.01/60.33mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が5448/5722℧(Ref値5250℧)と特性的には2A3の仕様に非常に忠実で左右も揃っています。また1枚プレート(十字型)で釣り竿式のフィラメントテンション調整で、これはRCA 2A3の最初期の仕様と同じです。ですが、大きさは通常の2A3よりはるかに大きく、というかこれはJJ 300Bとまったく同じです。(元々300BもJJ製は他の300Bより大きいです。)中身も完全に同じで、おそらく違うのはフィラメント部だけかと思いますが、それは外から見えません。
音は、構造が同じだけあってJJの300Bとの共通点は多く、音が濃密で、直接音と間接音が溶け合ったような独特の音場を作り出します。(おそらくガラスの厚みと硬度が影響しているのだと想像します。)またプレート損失も2A3の数値ではなく300Bのそれだと思われ、余裕があります。Fレンジは広いです。音場は左右が狭く奥に拡がるような感じ。音には適度な力強さがあり、低域もよく締まっています。ボーカルの定位は少し大きめですが、声の再現は悪くないです。長く聞くと少し疲れる音でもあります。以上全体に私の評価は高いんですが、300Bとどこが違うんだ、こんなのは2A3じゃない、という声が聞こえてきそうです。そこにこだわらなければお勧めです。

(2)SOVTEK 2A3 評価:
特性は左右で、Ia(プレート電流)が71.36/68.67mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が6020/5928℧(Ref値5250℧)と標準値を上回る数値になっています。1枚プレート(十字型)でバネ式のフィラメント固定です。
特性値が標準より大きいせいか、音は力強く歯切れが良いですが、逆に言えばやや硬い音でもあります。低音の弾力感は良いですが、高音の伸びはもう一つに感じます。音像は明確ですが但し多少大きめな感じです。ハッキリ

 

、クッキリ系で質実剛健な音ですが、逆に言えば洗練されていないワイルドな音とも言うことが出来ます。こういう系統の音がお好きであれば、価格もリーズナブルですし、良いかと思います。ボーカルが良いと評しているサイトもありましたが、私は特にそういう印象は受けませんでした。


(3)PSVANE 2A3 Tii 評価:
特性は左右で、Ia(プレート電流)が34.14/34.38mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が4020/4029℧(Ref値5250℧)と左右が揃っているのはいいんですが、新品であるにも関わらず標準値からするとかなり低く、本当にこれ2A3?という感じです。(使い込まれている中古品がIa、Gm共に低下しているのは当り前で不思議はありません。)PSVANEの2A3には現在売られているものでは3種類あり、これは中間グレードです。中が見えないのはカーボンスートと言って、一部の真空管で採用されているやり方で、ガラス管に当たる迷走した電子による悪影響を低減するとか、熱の放散を抑え

るとかの効果があると言われていますが、聞いた限りでの効果は不明です。(他にはKen-Radの昔の2A3にカーボンスートのがあります。)おそらくベースとなっているのは過去に燭光電子が開発した2A3ではないかと思われます。(2A3-Zがやはりカーボンスートでした。)それはプレート損失が高く、やろうと思えば2A3よりも出力W数を大きく出来る仕様でしたので、2A3の標準的な条件で測定してIaが低く出るのはそのせいかもしれません。1枚プレート(十字型)にバネ式のフィラメント固定です。
音は全体に重心が低めで高音があまり伸びていない感じで低域寄りに感じます。音像は立体的で特に前後が良く出ます。但し音像はやや大きめです。村治佳織のギター演奏のノイズ(フレットをこする時のキュッといった音など)が何故か少し強調された感じで聞こえます。弾力感はありますが、低音が膨らんで若干胴間声になっている感じです。音に力と品位はあり、また弦もきれいです。もしかするとこの球は2A3の標準的な定格ではなく、もっとプレート電圧を上げて出力を上げた時に本領を発揮する球ではないかと思いました。

(4)RCA JAN 2A3 評価:

特性は左右で、Ia(プレート電流)が52.62/55.38mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が5092/5022℧(Ref値5250℧)とまあまあNOS(新古品)と言ってもいいレベルかと思います。このJANというのはJoint Army & Navyの略で、米国の軍用に使われたもので、一部仕様を簡略化する代わりに逆に堅牢化を行っています。2枚(H型)プレートですが、フィラメントのテンション調整機構は無くなっています。これはフィラメントに使うタングステンに強度があるものを使って、テンション調整を不要にしたもののようです。このJAN品は米軍の倉庫に眠っていたのが市場に多く出回っていて、ヴィンテージ品としては比較的安く買え、また私が入手したもののようにほぼNOSに近いものが多いようでお買い得です。
音はまず音場が広く、まんべんなく拡がります。ただ音像が若干膨らみ気味、低域が不明確、高音に若干の歪みを感じるなど、(5)と(6)のJANではないRCA製と比べると、ほんの少しですが荒さが感じられます。ボーカルの実在感とかは良く、またレンジもそれなりに広くて、モニター的な傾向の音ではあります。価格も比較的安いのでヴィンテージ管入門としてはお勧めです。

(5)RCA 2A3、2枚(H型)プレート 評価:
特性は左右で、Ia(プレート電流)が61.36/66.76mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が5307/5495℧(Ref値5250℧)とどちらもRef値を上回り、完璧なNOS品です。到着した時に箱も付いていなくてプチプチでくるんであっただけなので、測定するまでは不安でしたが、杞憂でした。2枚プレート(H型プレート)で、フィラメント調整無しなので、特性値からしても比較的新しい管かと思います。
まずは音に躍動感があり、また中低域にちょっとしたまったり感がある一方で高音には繊細さもあり、これは1枚プレートとも共通します。またかすかにヴェールが被さったような音場表現ですが、これも1枚プレートと共通です。個人的にはこれはST管の大きなガラスによるマイクロフォン歪みが影響しているのかなと思います。300Bなんかもっと顕著で私は「夜霧」と呼んでいます。音場の広がりは左右、奥行き共に優れています。また定位も良く音像も小さめです。ボーカルが自然で滑らかであり、キツい、汚い音が出ない品位の高い音です。よく、2A3は1枚プレートが全てで、2枚プレートは箸にも棒にもかからない、といった評価をする方がいらっしゃいますが、それは私が聴いた限りでは間違いだと思います。

(6)RCA 2A3、シングルプレート 評価:

特性は左右で、Ia(プレート電流)が65.57/59.55mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が4275/4465℧(Ref値5250℧)であり、NOSではなく間違いなく前のオーナーがいらっしゃいますが、かなり大事に使われていたようで、特性値の低下は少ないです。
プレートは1枚で、現在発売されている他社の1枚プレートは直交する支持板が追加されていますが、こちらは本当に1枚だけです。フィラメントのテンション調整はバネ式です。なお、WEの300Bが釣り竿式のテンション調整なので、そちらの方が特性的に優れていると思われる方もいらっしゃるで

しょうが、それは間違いで、釣り竿式のテンション調整はフィラメントのテンションにばらつきが出やすく、それを改良したのがバネ式です。
音ですが、まずは音離れが良く、音が飛んで来る感じで歯切れが良いです。無帰還アンプは元々そういう傾向があるようですが、この管を使うとそれが更に強調されます。また適度なまったりした柔らかさと高音の繊細さが同居しており、非常に品位の高い音です。但し経年変化なのかどうかは分りませんが、Fレンジ的にはいわゆるカマボコ型の音で、超高域は早めに落ちている感じです。それから中低音は若干ですが膨らむ感じもあります。音場は広いですが、どちらかというと中央部分が濃い感じの音場です。後の音の傾向は2枚プレートとも共通ですので省略しますが、まったりさ+繊細さという特長は鳴らし始めた瞬間にすぐ分り、この1枚プレートを高く評価する方が多いのは分るような気がします。但し価格的には非常に高いですし、また元々この1枚プレートの長期信頼性に問題があったため2枚プレートに変わったのだということを考えると、無理してまで買うものではないように思います。上でも書きましたが、2枚プレートでも十二分に水準以上の音です。

(7)松下電産 UX-2A3 評価:
特性は左右で、Ia(プレート電流)が59.42/52.54mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が5266/4483℧(Ref値5250℧)で悪くはないですが、左右がアンバランスです。松下電産が真空管の製造を始めたのは戦後であり、またパッケージの漢字が旧字体だったので、2本とも1949~1952年頃の製造と思われます。ただ2本のプレートの表面の色が違う(左はアルミ色、右はカーボン色)なので特性値の違い以外にも厳密にはペア管ではありません。ただ、実際に聞いてみたら左右で音が違うという感じはしません。2枚プレートで、フィラメント調整はバネ式です。
音は音像がやや大きめです。また低音にやや締まりがなく、またダンパーにくるまったような音です。ただピアノの高音などの音色はとても綺麗です。音場はあまり拡がらず真ん中にまとまる感じです。ボーカルの実在感は良いです。フルートや弦の高音が若干ですが歪むような感じがする時はありますが、クリップすることはありません。松下の真空管は後にフィリップスブランドのOEM生産をするなどそれなりに高く評価されていますが、この時期のものはまだ試行錯誤しているような感じでしょうか。ただ普通の音楽鑑賞用としてはほとんど問題ないです。このレビュー全体にそうですが、わずかな差異を強調して書いていますので。

(8)エレクトロ・ハーモニックス 2A3 Gold 評価:

特性は左右で、Ia(プレート電流)が34.65/50.53mA(Ref値60mA)、Gm(相互コンダクタンス)が3394/4953℧(Ref値5250℧)と右がまだ新品といって良いレベルなのに比べ、左はかなり使い込まれている感じでアンバランスです。この管だけ私が買ったものではなく最初からアンプに付いていたものなので、こうなった理由は不明です。これも十字型の1枚プレートでバネ式です。
エレハモというと、何だか安物のように評価する方が多いと思いますが、このgoldが付くシリーズは300Bもそうですが、非常にクオリティは高いと思います。この2A3のGoldも、非常に音楽的な、音楽を聴くのが楽しくなる鳴り方です。一つ一つの特性が優れているという感じでなく、全体のバランスで勝負しているような管です。定位は良く音像も明確です。ただギターのハーモニクスの響きがやや弱かったり、ピアノの高音の美しさがそれほどでもない、などうるさいことを言えばそれなりに弱点はあります。価格もそれほど高いものでもないので、オーディオファン向けというよりは音楽ファン向けの管です。

最後に、高槻電器工業が2A3を開発して2022年7月1日より発売を開始ししています。但し問い合わせたら注文が結構入っていて納期が2ヵ月かかるのと、価格がペアで16万5千円もするので、今回の評価には含めませんでした。その内購入するかどうかは現時点では不明です。

P.S. もう1機種、JMTECの2A3のレビューを追加しました。(2022年7月25日)

 

大木毅の「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」

大木毅の「独ソ戦 絶滅戦争の惨禍」を読了しました。今、英語でクリミア戦争の本も読んでいますが、そっちは後1/4くらいです。この本は出た時結構話題になったと思いますが、今日まで読む機会がありませんでした。こういう本読んでまず思うのが、自分がこれまでの戦争について知らないことです。とは言っても、小学校の時は当時戦記ブームみたいなものがあり、太平洋戦争に関する本はかなり読みました。それに対し、欧州方面はどうしても手薄です。
クリミア戦争も色々細かいことを知ると、英仏とオスマン帝国連合軍も、ロシアも色々と凄惨な戦いはやっていますが、どこかまだ牧歌的な雰囲気が残っていて、セバストポリの攻城戦が長期化した中だるみの時期には、時には双方が一時休戦して一緒に煙草を分け合ったり、歌を歌ったり、という世界がありました。また、戦争はしているものの、目的は相手の国を完全につぶすということでは当然無く、どちらもどこで手を引くかということは考えながら戦争していました。
それに対してこの第2次世界大戦の独ソ戦は、ある意味史上もっとも醜く、もっとも凄惨な戦いです。この戦いでの例えば相手捕虜とかの殺害が、ドイツではユダヤ人の組織的虐殺につながった、という指摘にはなるほどと思いつつも、やり切れなさが強く残ります。また、今行われているウクライナでの戦いとも共通する要素は多くあり、春先の雪解けの時期にはロシア西部は道が泥濘化してドイツ自慢の機甲部隊が役に立たなくなる、ということが今でも起きています。また、ドイツは少なくとも敗戦国で大きな代償を払い、このような凄惨な「絶滅戦争」をしかける、ということはしなくなっていますが、ソ連-ロシアについては、戦勝国になったことで、考え方を変えるといったことはまるでなく、今でもこの時の野蛮極まる戦争のやり方を引き摺っているように思います。
また、どうしてもこの戦いを例えば日中戦争とも比較してしまいます。日本は日中戦争で首都の南京さえ陥落させれば戦争は終り、と思って日本全国で提灯行列して祝いましたが、ご承知の通り、国共合作の軍は奥地に逃げて徹底抗戦を続けます。ドイツの方も緒戦での圧倒的勝利までは計画的にやって成功したものの、どうやって最終的に戦争を終らせるかについて、モスクワ攻略を主張する軍部と、石油などの資源の豊富な南部攻略を主張するヒットラーで分裂しており、明確な戦略を決めることが出来ませんでした。
おそらくはこの戦争の全貌は、こんな新書1冊で描写出来るものではないと思いますが、コンパクトに良くまとめた概説書だと思います。

トワイライト・ゾーンの”The Last Rites of Jeff Myrtlebank”

トワイライト・ゾーンの”The Last Rites of Jeff Myrtlebank”を観ました。これはまだシーズン1を観終わっていないのに、間違えてシーズン3のエピソードを観たものです。テーマ音楽とオープニングがシーズン1とは変わっていました。そのテーマ音楽は聴いたことあるもので https://www.youtube.com/watch?v=-b5aW08ivHU あ、これはトワイライト・ゾーンだったのか、という感じです。良く日本のテレビのホラー系の番組で使われていたと思います。
お話は、中西部の最南部(要するにアメリカのど田舎)で、1920年代半ばです。マートルバンクという若い男のお葬式がおこなれています。その男は悪性のインフルエンザで2日前に亡くなっていました。ところが葬式の最中に棺桶の蓋が動き、中からマートルバンクが生きて出てきました。人々は恐れおののいて逃げ回ります。しかしマートルバンクが色々話してようやく彼の家族も恋人も彼が生き返ったことを喜んでくれました。しかし、実家に戻ったマートルバンクについて、両親は以前の彼と違うと感じていました。マートルバンクの恋人もそうでした。その恋人の兄がマートルバンクにもう来るな、と言って喧嘩になりますが、前は弱くてその兄には腕力で敵わなかった筈が、ボクサーのようなパンチでその兄の顎を骨折させてしまいます。家に戻ったマートルバンクを恋人が追って来ます。そこでマートルバンクは彼女にプロポースします。しかし返事を聞く前に彼を悪霊に取り憑かれた死体だと考える人達がやって来て、その村から出て行くようにいいます。しかし、彼は恋人と結婚しここに住む、と宣言し、人々も納得して引き返します。二人きりになった時、マートルバンクはマッチを擦らないで発火させることをして、恋人を驚かせます。そこから何か捻りがあるのかと思ったらこれでお終いで、ただ二人の子供が後に有能な政治家になった、というのだけが付け加えられます。うーん、もう少し話にまとまりが欲しいです。

松下製2A3(UX-2A3)

パナソニックじゃなくて松下電産/ナショナルの2A3ペアをebayで入手。正式な型名はUX-2A3で、作られた時期は不明ですが、箱の底に「正價980円」と旧字体が使われているので(真空管の真の字も「眞」です)、昭和30年よりも前でしょう。(新字体は昭和24年に作られていますが、すぐに社会全体が新字体に変わった訳ではなく、黒澤明の映画でも「黑」が使われているのが、1950年代前半ぐらいまであります。)また品名がUX-2A3でこの品名が使われたのは昭和30年までなんで、おそらくは昭和25~26年ぐらいの製造かと思います。(もっと前という可能性もありますが、戦争中はこんなどちらかというと娯楽向けの真空管は作れなかったでしょうし、また戦後すぐもこんな高級真空管の製造は難しかったんではないかと思います。)
でもその当時で980円は、おそらく今だと1.5万円~2万円くらいのイメージでしょうか。2A3は高級な電蓄に使われる高価な真空管だったので、価格は頷けます。
音質は今聴いていますが、柔らかさの中に芯がある感じでまた大音量でもクリップしにくく、なかなかいい感じです。日本製2A3というと、東芝製の方が有名みたいですが、松下製もなかなか悪くない感じです。無帰還アンプは真空管の違いを良く出してくれます。

P.S.
https://holdings.panasonic/jp/corporate/brand/history.html
に松下/ナショナル/パナソニックのロゴの歴史がありますが、写真右側の丸に「ナショナル」のロゴが作られたのが1937年と1955年の間になっています。なので上記の推定はそう間違っていないと思います。

P.S.その2
https://radiomann.sakura.ne.jp/HomePageVT/Tube_Identify_Date.html#Mat によると、松下で真空管製造が始まったのは1946年でした。またソケット部に「W」と「S」ってあってロットかなと思いましたが、上記ページによればWが1949年、Sが1953年製みたいです。eTracerで測定してみましたが、2A3のプレート電流の初期値が60mAなのに対し、片方が58mA、片方が55mAで少なくとも片方はいわゆる新古品(NOS)のようでした。この2本は、プレートの色が違い、明らかに製造時期が異なっています。

 

ジョー90の”The Fortress”

ジョー90の”The Fortress”を観ました。これは正統的(?)スパイものという感じで、おそらくキューバ辺りがモデルの敵国の要塞に、WINのエージェントが捕まってしまって、WINのネットワークの情報が入ったマイクロフィルムの隠し場所を拷問でしゃべらさせられそうになって、ジョー90がそのエージェントのペアだった男の脳波パターンを得て救出に向かうものです。まあストーリーとしてはありきたりで、見せ場はジョーとエージェントが乗ったホバークラフトがモーターボートの追跡をかわすために、川に横倒しになっていた木の幹をうまく飛び越えて、モーターボートがそれに突っ込んで大破、という所です。しかしこの時代の敵役というと、原子力潜水艦シービュー号でもそうでしたが、ソ連と中国とキューバですね。

トワイライト・ゾーンの”The Monsters Are Due on Maple Street”

トワイライト・ゾーンの”The Monsters Are Due on Maple Street”を観ました。アメリカのある町のメイプル・ストリートの何てことはない夏の夕方、突然空からの光に包まれます。人々はそれが何か分りませんでしたが、おそらく隕石だろうということで家に戻ります。しかしそのすぐ後、全ての家で停電になり、電話も通じなくなります。また隣町まで車で行って様子を確かめようとしましたが、車のエンジンはかかりません。人々が通りに出てあれこれ話している時に、ある子供はこれは宇宙人がやって来て、我々の中に人間の格好をして潜り込んでいると言い出します。その内、ある男が車のエンジンをかけようとしてやはりかからなかったのが、何故か男が車を降りてしばらくしてから自動的にエンジンがかかります。人々はその男が宇宙人なんではないかと問い詰め始めます。男は夢遊病の発作で明け方外に出て空を眺めていることがありましたが、その行動が疑われます。次第に人々はお互いを疑い始め、最初に宇宙人の話をした少年を疑ったり、ついには歩いてきた知り合いを宇宙人と思って撃ち殺してしまいます。そして今度はその撃ち殺した男の家の電気が急に点き、人々はお前が宇宙人でさっき人を殺したのは自分の正体をばらされたくなかったからだろう、と問い詰めます。こんな感じでついに暴動が起き、人々はお互いに殺し合います。これを近くで観察していたのが、先ほどの光の正体であったUFOに乗っていたエイリアンで、「地球人を滅ぼすのに武器は必要無い」と言って円盤に乗って去って行きます…
なんか人々の一人一人を世界の国の一つ一つにすると、現実の世界を反映しているような話でした。やはりトワイライト・ゾーンの脚本はいいですね。

NHK杯戦囲碁 六浦雄太7段 対 結城聡9段(2022年7月10日放送)


本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が六浦雄太7段、白番が結城聡9段の対戦です。左上隅、左辺、左下隅の攻防が興味深く、白が左上隅でツケヒキ定石の最後の手を省略していたのを、通常それを咎めるには3線に横に付けて行くのですが、チキリ飛びのように黒が間を開けて包囲したのが、私は初めて見ました。勢い白は間を出て包囲されたのを切って行ったのは武闘派(?)の結城9段らしい打ち方でした。その後の攻防で、黒が左辺から左上隅に渡るのに、直接3線に渡らず、2線に下がって渡ったのが好手でした。というのは3線に渡るとすぐ切られて、その石は取れますが下がられていわゆる石塔シボリにされ、取られてしまいます。その好手で左辺の手数を伸ばし、左上隅の白に差し込んで、白は断点が2つで両方はしのげず、黒は白の2子を取って9目の地を取って治まり、リードしました。形勢の悪い白は、上辺と下辺の両方で押して行って中央に白模様を作り、なおかつ右上隅で三々に入り忙しく立ち回りました。黒は中央の白模様を消すため、中央の絶妙な位置に石を置きました。これに対して白が受けるとおそらく少し足らないので、黒は外側から打ちました。白は当然白模様に踏み込んで行き、この石の活き死にが勝負となりました。白は白の下方の包囲網の欠陥を付き、中央で利かしを打とうとしました。しかし白も黒が左辺を押したのに受けず、下辺に利かしを先手で打ち、黒からの中央の利かしを無くしました。結局黒は左辺を破って左上隅に渡れましたが、白も上方の黒4子を飲み込み、結局いいワカレになりました。しかしそれは黒のリードのまま、終盤に入ったことになり、白は右下隅の三々に入った後、黒のハネに切っていって頑張りました。しかし右上隅で白が2線に下がったのに受けず、中央で黒が白模様に一間トビで入って行ったのが好判断で、結局攻め合いになり、黒は締め付けるだけでも十分でしたが、一手勝ちで白を取りつつ中央の黒が生還し、ここで白の投了となりました。