真空管アンプ、電源回路は完成しました。先日、電源トランスの6.3Vと14.5Vを分離されたタップと勘違いして両方に配線して、電源トランスとA電源の整流用ダイオードから煙が出るという失敗をやらかしました。それでA電源回路をもう一度作り直すために電解コンデンサーを発注しようとしていたら、そもそもヒーターの回路に何で10000μFx3、つまり合計で30000μFもの電解コンデンサーがいるのか、と思い始めました。それでもう一度PCL86全段差動プッシュプルアンプの回路例を見たら、私が参考にしたサイト以外は全部AC点灯です!考えてみれば直熱管では無いのでAC点灯で十分な筈です。そうであれば電源トランスの14.5Vの端子をヒーターにつなぐだけで、実に簡単にヒーターを正しい電圧で点灯させることが出来ました。後はC電源回路(バイアス電圧用)ですが、その14.5Vをパラで取り出して整流して、電圧を落として使おうと思っていましたが、何百KΩという抵抗を入れても電圧が上手く落ちてくれなかったため、やむを得ず先日買った100V→6Vの小型電源トランスを入れました。これでバイアス電圧は-7.5Vがきちんと出ました。後は増幅回路の真空管回りと、定電流回路ぐらいです。ところでこの全段差動プッシュプルアンプですが、元々の設計は定電流ダイオードに温度変化による電流値ダウンの対策の補償抵抗(定電流ダイオードに並列に入れます。抵抗値等はSEMITECのEシリーズのデータシートを見てください。)が入っていません。まあ電流値の多少の変動は無視出来るのかもしれませんが、気持ちが悪いので私は入れます。また電力増幅部の定電流回路はオリジナルは三端子レギュレータですが、私は定電流ダイオードを並列に4本使ってやってみます。
「Audio」カテゴリーアーカイブ
真空管アンプ-A電源の電圧を下げる
真空管アンプ、ヒーター電圧が16.5Vぐらいあって高すぎるので、メタルケース入りの高定格の抵抗を直列に入れてみたり、配線を見直したり色々試行錯誤しました。何のことはない、真空管を4本とも挿した状態で測定したら、13.4Vでフィリップスのデータシートの推奨ヒーター電圧にピタリとなりました。抵抗を入れる方法は、電圧は確かに落ちますが、やり過ぎると電流も落ちるのでヒーターが点灯しなくなります。
それから、一つはまったのは、このアンプには電源トランスがもう一つ、100V→6Vが必要だということが分かったことです。最初同じ電源トランスを使えると思って14.5Vと6.3Vを同時に使おうとしたら、トランスから煙が上がって…この6Vはバイアス電圧用なんで、もう一つトランスを使わないでも、整流用ダイオードの電圧降下を利用して作る方法がありますが、実験したら上手く動いているのかどうか分からなかったので、諦めてトランスを取り寄せました。写真の白い紙の所が追加の電源トランスです。
真空管アンプ-A電源実装
真空管アンプ-C電源取り付け、ついでにオシロ
真空管アンプ、B電源を再度一つ一つ接続を確かめて間違いが無いことを確認し、スペーサーを付けてシャーシーに取り付けました。本当はネジ止めするんですが、面倒なのと、後表にやたらとネジの頭が出ているのは美しくないので、樹脂製のスペーサーを使い瞬間接着剤でシャーシに接着しました。万一修理とかの場合は樹脂性スペーサーをそのままニッパーで切るつもりです。それから今日はC電源(バイアス電源)も実装しました。ここはーの電圧なんでアースにつなぐ方向が逆です。
それからオシロで整流後の波形を取ってみました。上がB電源で下がC電源です。(C電源はマイナス電圧ですが、オシロのプローブは正電圧になるよう当てています。)B電源はショットキーバリアダイオードで全波整流した後、チョークコイルと電解コンデンサー3個で平滑化したのをさらにFETでリップルを除いているので見事にフラットです。
真空管アンプ-B電源回路
高さの低い電解コンデンサーが半分だけ来たので、B電源(プレート電圧用)の回路を組んで接続しました。
トランスの出力が243V、ショットキーバリアダイオードをブリッジ接続して全波整流し、100μFの電解コンデンサー3つとチョークコイルで平滑化し、更にFETでリップル電流を除去し、最終的にはDC330Vになりました。(理論的にはACをDCに全波整流しかつ平滑化するとACでの電圧のルート2倍になりますので理論値はDC344Vになります。但しダイオードでの整流の時に電圧が若干落ちます。)元の参考にした回路だとDC270Vだったので現時点ではかなり高いですが、まだ増幅回路を接続していないので高めに出ているのと、元の回路が整流に普通のブリッジダイオード(普通のシリコンダイオードは電圧降下がショットキーバリアダイオードより大きい)を使っていることなどによります。もし最終的にB電圧が高すぎる場合には、電源トランスの230Vの出力の所に400VAC耐圧のフィルムコンデンサーを入れて調整するつもりです。(ここは交流なので電解コンデンサーは使えません。)オシロスコープで波形を見たい所ですが、電圧が高いので差動プローブを取り寄せ中です。ただテスターの電圧表示はせいぜい変動が±0.1Vくらいで安定しているようです。
真空管アンプ-電解コンデンサーの高さ問題
真空管アンプ、内部の部品取付け・配線作業に入ろうとしているのですが、ここで問題が一つ発覚。電解コンデンサーで5cmの高さのが6本有り、これをユニバーサル基板の上に垂直に取り付けると、シャーシの高さをオーバーしています。これの解決手段は、
(1)シャーシーのリアパネルに穴を開け、コンデンサーの頭を出させる。(インシュレーターの高さがあるので、頭が出ても大丈夫です。)
(2)ユニバーサル基板を垂直に取付け、電解コンデンサーを水平に配置する。
(3)より高さの低い、同じ定格の電解コンデンサーに取替える。
のどれかです。(2)を最初検討しましたが、ユニバーサル基板を垂直に固定する上手い方法が分からなかったのと、電流を流すと振動する電解コンデンサーを水平に空中に浮かしているのが気持ちよくないのでボツ。
(1)は底板の厚さが結構あってホールドリルで開けるのが面倒なのでこれもボツ。
結局、ネットで調べて高さ3cmの同じ定格の電解コンデンサーがありましたので、それを取り寄せ中です。
全段差動プッシュプルアンプ-電力増幅部の定電流回路
ぺるけさん設計の全段差動プッシュプルアンプでは、定電流回路に、電圧増幅部では定電流ダイオード、電力増幅部では三端子レギュレータを使っています。この内後者の三端子レギュレータについては以前から?と思って来ました。三端子レギュレータは電圧を降下させて一定の電圧を得る部品ですから、それに固定抵抗を付ければ定電流になるという理屈は分かります。しかし定電流ダイオードというそれ専用の部品があるのに何故使わないのだろうという疑問です。確かに電力増幅部での電流値は電圧増幅部に比べると10倍以上高いので、「一本の」定電流ダイオードで、例えば今私が作ろうとしているアンプで必要な56mAを賄えず、例えばSEMITEC(旧石塚電子)のEシリーズだと最大のピンチオフ電流は18mAまでです。しかしもっと高い定電流値が欲しいのであれば、複数の定電流ダイオードを並列に使えばいい筈です。実際に、公称15mAのと18mAの定電流ダイオードをそれぞれ20本買い、先日の方法で定電流値を実測し、56mAになる組み合わせを探しました。その結果、
Rチャンネル用:12.3mA + 14.6mA + 15.3mA + 13.9mA = 56.1mA
Lチャンネル用:11.7mA + 15.4mA + 15.3mA + 13.6 mA = 56.0mA
という具合に4本並列にすることで、2チャンネル分でほぼ目的の定電流値の回路を組むことが出来ました。注意点としては定電流ダイオードは発熱するので、あまり近接させて実装しない方がいいということがあります。まだこれで上手くいくかどうかはやってみなければ分かりませんが、少なくともノイズ源になる三端子レギュレータよりもこの方がオーディオ用としてはまっとうだと思います。
なお、電圧は7.8V x 2で15.6Vであり、各定電流ダイオードはDC30VまでOKですので、まったく問題無いと思います。
真空管アンプ-定電流ダイオードの測定
真空管アンプ作り、今日は差動アンプの肝の部品である定電流ダイオードのピンチオフ電流のばらつきを測定しました。定電流ダイオードのバラツキは、実はプラスマイナス20%ぐらいもあってかなりばらついていますので、左右の回路で一本ずつ使う場合にはそのピンチオフ電流が揃っている必要があります。測定方法は下の右の写真の通りで、定電流ダイオードと1KΩくらいの抵抗を直列につないで、スイッチング電源で9Vをかけて、抵抗の両端の電圧を測定し、それを抵抗値で割って電流値を出します。思ったほどよりはばらついていませんが、それでも工程能力指数は1ギリギリでしかも下側に偏っています。今回のアンプには2番と14番のを使います。