1石トランジスターレフレックスラジオ

以前ヤフオクで買った、1石トランジスターレフレックスラジオです。何故こんなものを買ったかと言うと、小学生の時に始めて自分の小遣いで買って組み立てたラジオが、このものとずばり同じではないですが、やはり1石のレフレックスラジオでした。(MAXという会社のキットでした。)それで、1石とはいえ、イヤホンで聴く分には結構感度が良くて、また音質もクリスタルイヤホンというのはインピーダンスが高くて良かった記憶があり、それを再確認したかったからです。まず、感度についてはアンテナをきちんと付ければイヤホンがかなりの音量で鳴ります。人によってはボリューム付けて絞りたくなるぐらいまで聞える場合もあります。また音質もノイズが少なく明瞭な音でした。実はこのクリスタルイヤホンは今では売っていなくて、今はセラミックイヤホンになります。昔のはロッシェル塩の結晶(クリスタル)を使っていたのでクリスタルイヤホンと言いました。レフレックス式というのは、1石だけのトランジスターで出来るだけ感度を稼ぐための回路で、まず高周波で1度増幅した後検波して低周波に落とし、それをまたトランジスターで増幅するという、1石で2度増幅するものです。なお、このやり方は発振とほぼ同じであり、昔作ったのは2本のリード線をねじる程度を変えることで、信号の強さを調整し、発振する直前でねじるのを止めると感度が最高になるという仕掛けでした。今回買ったのにはそういう仕掛けは付いていません。
なおラジオの回路ではレフレックスに似たのに「再生式」というのがあり、似て非なるものです。こちらはいわゆるNF(ネガティブフィードバック)を位相を反転させないで行なって感度を稼ぐものです。(正帰還)こちらも一種の発振であるのは一緒で、それ自体が電波を出して、他のラジオの受信を邪魔します。

PCL86、MAZDA 1本、ITT Lorenz 3本追加

今日もeBayからPCL86が4本届きました。Mazdaが1本と、ITT Lorenzが3本です。例によって測定の結果、MAZDAはようやくマッチドペアと呼べそうな組み合わせが出来ました。Lorenzの方も今超三結アンプで使っている2本と特製が良く揃ったのがもう1本見つかりました。後1本でプッシュプル用のが揃います。しかしMAZDAにしてもLorenzにしても、色んな国にライセンス先があったようです。ブランドだけ同じだからという理由でペアにしても合わない、というケースは多く出そうです。

Rogers LS3/5A (16Ω初期型)

久しぶりに思い立って、Rogers LS3/5Aを引っ張り出しました。社会人になって買った最初のスピーカーで、当時2本で16万くらいだったように思います。今は何社かから復刻版みたいなのが出ていますが(このスピーカーはRogersが設計したのではなく、BBCが設計してRogersに作らせたもので、他のメーカーでも作ることが出来ます)、大体2本で30万円くらいします。また、私が持っているのはインピーダンスが16Ωの初期型で、これは中古市場でプレミアが付いていて、ヤフオクでの平均落札価格は2本で12万円以上です。
実はオーディオマニアの元上司に2ヵ月間くらい貸していたことがあり、それで戻って来た梱包を開けないままでした。そして今日久しぶりに聴きましたが、最新のスピーカーに比べると若干高音が濁っているかなと思うくらいで、このサイズでこのスケール感はやはり素晴らしいです。私は普通はスピーカーのサランネットは外して聴くのですが、このスピーカーだけは外すととても安っぽい感じになり、付けたままにしています。
なお、出力音圧レベルは82.5dBと非常に低く、真空管アンプではさすがに強音時に音が崩れます。W数の大きなアンプで、出力音圧レベルの低いスピーカーを鳴らすというスタイルを作ったのは実はこのスピーカーが草分けかもしれません。

PCL86-今日はSiemens2本とMAZDA1本

またeBayでPCL86をゲット。今日のはSiemensが2本とMAZDA。MAZDAは既に2本持っていますが、特性がかなりばらついているのと、1本がほとんど死にかけているため追加でゲット。
例によってetracerで測定。(MAZDAは比較のため既に持っている2本の特性も載せました。)Siemensは3極管部はあまり揃っていませんが、5極管部はまあまあペア管と言ってもいいレベルかと思います。MAZDAは既に持っている2本のどちらともあまりマッチしていませんが、正常な方と何とかペアで使えるかも。最終的に出力されるのが5極管から、ということを考えると5極管が揃っていればいいのかとも思いますがまだ良く分かりません。単に左右の音量差だけが問題なら、バランス用ボリュームを付ければいいだけの話です。(これから作ろうとしているKT77プッシュプルは左右独立ボリュームにしようと思っています。)音質の差をきちんと判定するのはなかなか難しいです。

ビクターの真空管ラジオ

真空管趣味が昂じてヤフオクでこんなものを落としてしまいました。ビクターの真空管ラジオです。データを書いておきます。
1.製造会社:ビクター
2.発売時期:1962年頃
3.製品名:5A-2217 GRAY
4.価格:推定で6000円~7000円くらい(現在だと5万円くらい?)
5.仕様:中波と短波(オールウェーブ)と外部入力(電蓄など)、5球スーパー(微小電界用)
6.使用真空管、回路:12BE6-12BA6-12AV6-30A5-35W4のいわゆる5球スーパー(スーパーヘテロダイン)。この構成は当時のトランスレス5球スーパー真空管ラジオの定番で、他の会社のもこれと同じ構成だったようです。真空管はすべて9ピンのミニチュア管です。最後の35W4は傍熱型の整流管です。(35が示すようにヒーター電圧は実に35Vです!電源トランスが無いので、100Vに抵抗つないで電圧落としても35Vぐらいが限界だったのでしょうか。→これはトランスレスの特徴で、全てのヒーターを直列につなぎます。12V+12V+12V+30V+35Vで101Vになります。アメリカで電源電圧が115Vだった場合は、最後の整流管のヒータ-が50Vになります。)電源トランスは無く、いわゆるトランスレスで、増幅用の真空管のプレート電圧も100Vです。
ご承知の通り、最初のトランジスターラジオがソニー(当時東京通信工業)から発売されたのが1955年であり、この当時生産量では既にトランジスターラジオの方が多くなっており、価格も既にトランジスターの方が上でした。日本で真空管ラジオが最後に生産されたのは1964年で、こういった製品はほぼ最後の真空管ラジオということになります。子供の頃家にこれと同じような松下製の真空管ラジオがありましたが、ほとんど使った記憶がありません。
作られてから60年近く経っていますが、状態は良好でガンガン鳴ります。整流管が傍熱管なので、電源を入れてから聞けるようになるまで一分くらいかかります。なお、ボリュームをスイッチが切れる直前にまで回しても音は出ています。切り忘れを防ぐためにわざとこういう仕様にしていたようです。

真空管アンプでクリプトンのKX-3Pを鳴らす。

真空管アンプで現代のスピーカーを鳴らすには、アクティブサブウーファーの助けを借りれば良い、という仮説の検証のため、以前真空管アンプを試して惨憺たる結果だった、クリプトンのKX-3Pをサブウーファー付きで、8W+8WのKT77のシングルアンプで鳴らしてみました。結果は見事に成功で、サブウーファー無しだと高音が耐えられないほど歪むのが、サブウーファーをONにした瞬間ぱっと歪みが消えて無くなります。これでまた楽しめます。このスピーカーはその昔、ビクターから出ていたSX-3というソフトドームスピーカーの設計者の渡邉勝さんがクリプトンに移って開発したものです。筐体が本物のピアノとまったく同じ塗装仕上げになっており、そのせいもあってかピアノの音がとても良いです。
もちろんJBL4307も素晴らしいですが、小型は小型の凝集した音があって良いです。

Philips製のPCL86

約一月前にeBayで購入したPhilips製のPCL86が2本やっと到着しました。早速etracerで測定してみましたが、3極管部でgm(相互コンダクタンス)が一方が他方の+4.4%、5極管部で+1.3%で非常に良く揃っており、これは十分にペア管として使えそうです。端子部を見ても、使い込まれたものは通常黒錆が発生していますが、これはそれも少なく、おそらく新品の状態でそのまま保管されていたものだと思います。

アンプキット組み立て開始:ファストリカバリーダイオードを試す

確定申告の作業がかなり進んだので、次の真空管アンプの準備に取りかかりました。今回のはKT77のプッシュプルでほとんどが手配線のキットです。今回もかなりの部分の部品を交換して作ります。写真はブリッジダイオードの代りに使う、ファストリカバリーダイオードで作ったブリッジです。左がロームのスーパーファストリカバリーダイオード、右がビシェイのファストリカバリーダイオードです。電流が逆になった時の回復時間が非常に短く、切れの良い音を出すと言われていますが、今回が初トライです。ユニバーサル基板を使い、それにピン端子をくっつけたのですが、なかなか作業は大変でした。まあせっかく2つ作ったので、アンプが完成したら通常のブリッジダイオードも含めて聴き比べてみたいと思います。

Mullardの自称マッチドペアのPCL86

PCL86という真空管は、オークションサイト以外で売っているのは、エレキットのeKジャパンのサイトだけです。そこで最初に2本買ったPCL86はEDICRONブランドのものでしたが、三極管部のIa値が一方が片方の1.45倍という、ペア管としてはまったく使えないレベルのものでした。なのでもう2本買ってその中から選ぼうとしたのですが、何と今度はEDICRONではなくMullard、しかもMade in Great Britainです!(現在新品として売られているMullardの真空管は多くがロシア製です。)更には2本の箱がシールでくっつけてあって「Matched Pair」とあります。おお!と思いましたが、etracerで測定してみたら、三極管部のIaが一方がもう一方の+21%、gmが+9%で、ペア管とはとても言えないレベルでした。こういう風にペア管と称して売っていても、実際はまったくペア管ではないというのは非常に良くあることだと思います。

PCL86再測定-マッチドペアの条件とは?


昨日PCL86の測定をしてから、一般的に真空管でマッチドペアとして売られているものの測定方法とその判定条件をネット上で調べました。昔からある真空管測定器が測っているのはgm(相互コンダクタンス)のようで、これが一番重視され、次がIaの電流値のようです。etracerはQuickScanというモードで、Ia、内部抵抗、gm、μ(増幅率)の4つの値が取れます。なので、もう一度全ての手持ちのPCL86でデータを取り直しました。結果として、最初から販売元によりマッチドペアとして送られて来たEiのが値が揃っているのは当然として、私がある意味勘で選定したITT Lorenzのが非常に似通ったペアになっていて、3極管のgmに至ってはわずか0.6%しか違いません。一般的にはシングルアンプに使うのであれば5%以内ぐらいにあればいいみたいです。というか聞いて問題無ければそれでいいということです。(シングルアンプの場合。プッシュプルではペアの2本が揃っていないとトランスに直流が流れてコアを磁化して歪みが増えるということになるようです。)
なお、Ei以外で最初に買ったMazdaの内一本はかなり電流値が低くなっています。もう寿命が近いのではないかと思います。