本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が山下敬吾9段、白番が羽根直樹9段の平成四天王同士の見応えのある対戦です。黒と白が上辺で競い合っていましたが、黒は左上隅で地を取っていたので上辺の戦いは白が有利かと思いましたが、そういう時でもひたすら攻めるのが山下9段です。上辺右の白にはいざとなったら左の白に連絡する保険があったのですが、それをふくらんで、白が押さえたのに切り込んで、この切った一子を取らせて先手で渡りを止め、そこから右辺へと延びた白を切断しました。この結果、上辺の白は攻め合い一手負けで、攻め取りとはいえ取られてしまい、まずは山下9段のパンチが入りました。さらに黒は2つに切られた白のもう一方の石も攻め、なんとこれも取ってしまいました。黒地は概算しただけで90目ぐらいになり、黒の勝勢になりました。しかし白は中央に厚みを築き、中地を囲って何とか挽回しようとします。黒は左下隅にかかっていき、白地の削減を図ります。その折衝の途中で白は上辺の取られていた石に手をつけてうまく劫に持ち込みました。劫材は右辺の取られている白を生きようとする手が何手もあり、白は劫に勝ってこの白が生還しました。その後白は右下隅の黒地に侵入し、また劫に持ち込むことを狙いましたが、その前に左下隅を黒に打たれて、本劫にされてしまいました。黒からは右下隅に侵入した白を取る手がすべて劫材になり、白は両方を持ちこたえることは出来ず、ここで白の投了となりました。一貫して、山下9段の豪腕が見事だった一戦でした。