NHK杯戦囲碁 本木克弥七段 対 清成哲也九段

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本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が本木克弥七段、白番は清成哲也九段の対戦です。本木七段は初出場ですが、NHK杯戦では3年間記録係の経験があります。清成九段は出場回数30回以上のベテランです。対局で黒本木七段が上辺右の白に上から覗いて仕掛けていき、白が反発したことから、白石は2つに分断されて白が苦しくなりました。しかしながら清成九段は両方ともしのぎ、黒に決定的なリードは与えません。白は下辺を確定地にしながら、左上隅の黒の大ゲイマジマリに手をつけていき、左辺を白の勢力圏にしました。この結果、白優勢でのヨセ勝負かと思われましたが、ここで黒が白の左下隅に切り込みを入れたのが鋭い手で、部分的に地は損ですが、外から締め付けることが出来ました。これを利用して上辺の白と左辺の白を分断しました。白は両方をしのぐことはできず、白の投了になりました。本木七段の一瞬の隙をついた攻めが成功しました。

天頂の囲碁6

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天頂の囲碁6が発売されたので、早速取り寄せました。今回のはアマチュア7段だそうです。アルファ碁には及びませんが、アマチュアとしては最強クラスです。早速、九路盤定先で対局してみましたが、持碁になりました。(一手30秒の設定です。)このソフトは学習が進まないと強くならない感じです。天頂の囲碁5は持っていなくて、4との比較になりますが、4は序盤でかなり踏み込んだというかぎりぎりの手を打ってきますが、6はそれに比べると穏健な打ち方をしているように思います。(後で調べた所によると、最高棋力を発揮させるには1手120秒の設定にしないといけないみたいです。ただ120秒はかなりかったるくてやる気がしませんが。)

NHK杯戦囲碁 王銘エン九段 対 藤沢里菜三段

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NHK杯戦の囲碁、本日は黒番王銘エン九段と白番藤沢里菜三段の一戦。王九段は本因坊獲得歴もあり、隅より辺を重視する銘エンワールドと呼ばれる独特の棋風で有名です。藤沢三段はあの藤沢秀行の孫で碁界のサラブレッドです。まだ17歳ですが、既に女流タイトルの獲得歴もあります。(15歳9ヵ月で会津中央病院杯を、16歳1ヵ月で女流本因坊を獲得しています。)対局は序盤は黒の王九段がうまく打ち回し白は真ん中が薄くなりました。それでも白は右上隅にかかっていき、中央に連絡しようとしましたが、黒にその間を分断されてしまいました。結果的に白は中央で2子をポン抜いて厚くなりましたが、その代わり右上隅の白5子をそっくり取られてしまいました。この右上隅の地が大きく、黒が大優勢かと思いましたが、ここからの白の打ち方が見事で、取られた5子にからめながら上辺に打ち込みました。黒は白5子を取り切るために2手かけましたが、この間に白に中央に連絡されてしまいました。(写真はこの場面です。)この結果、左辺の黒が切り離されて薄くなり、白からいじめられました。ここで形勢は大逆転して白の優勢になりました。その後、白は右下隅の三々に入り、地合はさらに白有利になりました。ヨセで左上隅が劫になりましたが、白は劫立てにほとんど意味のない手を打って10目くらい損しました。その後もヨセでは白はかなり損をしました。でもまだ白が盤面でも優勢で終わってみれば白の7目半勝ちでした。藤沢三段は次は山下敬吾九段との対局で楽しみです。また、今期のNHK杯では女流4人のうち3人(謝依旻、鈴木歩、藤沢里菜)が1回戦で勝ちました。

NHK杯戦囲碁 志田達哉七段 対 趙治勲二十五世本因坊

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本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が志田達哉七段、白番が趙治勲二十五世本因坊の対局。志田七段は25歳ながら、NHK杯戦すでに6回目の実力者。趙二十五世本因坊はタイトル獲得数史上1位で現在も活躍する強豪です。対局は黒の志田七段が3手目に三々を打つなど地合で先行する打ち方。対する趙二十五世本因坊は早めに仕掛けて行き、戦いでは白が優勢でしたが、志田七段も各所で地を稼いで決め手を与えません。形勢は半目勝負で寄せに入りましたが、ここで志田七段の痛恨のポカミスが出て、アタリにされた黒3目をつがないで他を打ってしまいました。10目くらい損して折角の好局をふいにしてしました。白の中押し勝ちでした。

NHK杯戦の囲碁、小林覚九段 対 彦坂直人九段

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今日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が小林覚九段、白番が彦坂直人九段の対戦でした。小林九段はタイトルをいくつも取り、今でも第一線で活躍する棋士で、彦坂九段もかつて十段を取った実力派棋士です。対局は下辺で白がさばきに出て、結局振り替わりになりましたが、この結果は少し白が損したようです。その後、白は頑張って各所で地を稼いで打ちましたが、黒が左辺の4線の白につけたのが鋭い一着で、その後の折衝で、白の左上の壁石が攻められ、結果的に黒は上辺をうまくまとめることができました。結局黒の中押し勝ちでした。

NHK杯戦囲碁 坂井秀至八段 対 山田規三生九段

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本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番坂井秀至八段、白番山田規三生九段の対戦。坂井八段は灘高から京大医学部に行き、医者になる直前にプロ棋士に転向しました。碁聖のタイトルを1回取っています。対する山田九段も王座のタイトルを1回取っている実力派です。NHK杯でも2011年に優勝しています。
対局は序盤右辺から山田九段が仕掛けていき激しい戦いになりましたが、結局劫になりました。この劫は黒が勝ったのですが、解消するのに2手必要で、その間に白は左辺を大きく構えました。その後黒は中央の白石を攻めて、白模様侵略の足がかりとしましたが、左下隅にかかっていった石と攻めていた筈の石が分断され、隅が劫になりました。この劫は何とかしのぎましたが、白がリードしました。その後黒は左上隅に手をつけていき、成果を上げましたが、白のリードが大きく、ここで黒の投了となりました。

NHK杯戦囲碁 淡路修三九段 対 鈴木歩七段

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NHK杯戦の囲碁、先週は三重旅行で見られず、2週間ぶり。今日の対局は黒番が淡路修三九段、白番が鈴木歩七段。淡路九段はロッキーと呼ばれた豪腕の持ち主。鈴木七段は、女流で六段から七段へ賞金獲得額で上がった実力の持ち主です。林漢傑七段の奥さんです。対局内容は、右辺に模様を張った黒に対し、白が手をつけていきますが、右上隅三々に白が入ったのがやや早すぎなのと、その後の打ち方がまずく形勢としては黒に傾きました。しかし、右上と右下の白を分断しようと、黒が頭をぶつけて白を切断に行ったのが良くなく、白二子は取れましたが、右上の黒を薄くしてしまいました。結局この黒は取られてしまいました。その後、下辺の白を攻めて劫になり、この白を取ることが出来ましたが、その代わり上辺に手をつけられて最後はこの黒も取られてしまい、黒の投了となりました。鈴木七段は先週の林漢傑七段と一緒に2回戦進出です。

NHK杯囲碁 謝依旻女流本因坊 対 瀬戸大樹八段

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本日のNHK杯戦の囲碁は謝依旻女流本因坊と瀬戸大樹八段の一戦。謝依旻女流本因坊は、女流名人九連覇を達成し、女流のNo.1です。対する瀬戸大樹八段は、棋聖戦リーグ1期、本因坊戦リーグ3期在籍の実績を持つトップ棋士です。ちなみにこの2人と高梨聖健八段は、Monotoneという歌手ユニットを結成しています。対局は、黒の謝女流本因坊が序盤早い段階で、下辺に踏み込んだ白をツケコシで分断に行き仕掛けます。(余談になりますが、早碁に強い棋士は、概して仕掛けが早いようです。例えば結城聡九段など。)複数の石がからみ合った戦いになりましたが、黒が終始攻勢を維持して寄せに入りました。地合だけなら細かい碁でしたが、黒は白の大石に劫で寄りつき、白は連絡だけの手を打たされ、黒が劫を解消して、ここではっきりと黒リードになりました。終わってみれば、黒の三目半勝ちでした。

井山7冠王雑感

今回、井山裕太棋聖は7冠王を達成しましたけど、将棋の羽生さんの7冠王に比べると事情が違います。将棋は日本でほぼ完結していて、日本のタイトルを独占すればそれ以上のものはありません。囲碁もかつては日本が世界No.1でしたが、最近(2000年代になってから)は、国際棋戦では、中国・韓国の後塵を拝し、日本の棋士はほとんど勝つことができません。井山7冠王にしてからが、国際棋戦では勝率5割くらいの成績しか上げていません。つまりは7冠王といっても、所詮は日本でのローカルチャンピオンに過ぎません。賞金獲得額のランキングでいうと、井山7冠王は世界ランキング4位くらいぐらいになるようですが、とてもその地位にふさわしい勝ち方を国際棋戦ではしていません。井山7冠王は今後は世界を目指して欲しいと思います。
一方で、今後誰が井山棋聖の7冠を阻止するかですが、平成四天王みたいな人達より、今の10代、20代の若い棋士に期待したいです。具体的には一力遼七段とか、今回十段を取られてしまいましたが、伊田篤史八段とか。