スター・トレック・ザ・ネクスト・ジェネレーションの”Code of Honor”を観ました。何と言うか、これまで観たスター・トレックのお話の中での最悪のお話の一つです。(ワースト1は、オリジナルシーズンの最終話の、女性艦長への偏見に満ちた描写があったものですが、それに続くワースト2でしょう。)1987年という時代にまだこんな脚本が書かれていたとは驚きです。エンタープライズ号がある星で猖獗を極めている疫病のワクチンを求めて、リゴンIIという星の住民と交渉するのですが、その住民の姿が、肌が浅黒く頭にターバンを巻いて、といわゆるシェークスピア作品に出てくるムーア人(アラブ・アフリカのイスラム教徒)のイメージそのままです。その住民達は最初は礼儀正しくピカード船長らと接していましたが、去り際に向こうのトップのルタンがヤール中尉を無理矢理強奪して行きます。そしてルタンがその星で、ヤール中尉を自分の第一位の妻(この順位付けもイスラム教徒への偏見を感じます)にしたいと言い、元々の第一の妻とヤール中尉が決闘することになります。毒針付きのグラブを付けて二人は戦いましたが、ヤールが勝って元正妻は倒れます。ヤールは彼女をエンタープライズ号に転送させて、蘇生させます。元正妻は結局ルタンを見限り、ハゴンというNo.2だった男を自分の夫に選び、その土地と財宝を与えます。ヤール中尉はルタンの妻になるのを拒否したため、結局ルタンは全てを失ったけど、礼儀にはかなっていて名誉は保てた、という話です。全体でこれこそオリエンタリズムそのものの偏見に満ちた描写で、別にリゴンIIという星の住民をムーア人みたいに描く必要性はまったく無かったと思います。
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トワイライト・ゾーンの”A Quality of Mercy”
トワイライト・ゾーンの”A Quality of Mercy”を観ました。時は1945年8月6日、日本人ならすぐに何の日か分る日です。場所はフィリピンのミンダナオ島でした。あるアメリカの歩兵部隊が、洞窟に閉じ籠もった20人くらいの日本人部隊を見張っていました。ベテラン軍曹のカウサラーノは、中の日本兵が傷ついてほとんど戦う力がもう残っていないことを知っており、その洞窟を放置したまま先へ進もうとします。そこに新任少尉のカテルがやって来て、日本兵の皆殺しのための攻撃を命じます。カテルはまだ戦場の経験が浅く、ともかく敵は皆殺し、という考え方しかありません。しかしカテルが双眼鏡を落した瞬間、彼はタイムワープし、1942年5月4日のコレヒドールに移動し、何と日本兵ヤムリ(おそらく家森、八森、ヤモリの間違い、あるいは山森)になってしまっています。その日は日本軍によるアメリカ軍のコレヒドール要塞への総攻撃の日でした。ここでは逆にアメリカ兵が20名程度洞窟の中に傷ついた状態で潜んでいました。ヤムリは上官に、アメリカ兵は傷ついているので、攻撃しないで先へ進むべき、と意見しますが、上官はアメリカ軍は皆殺しだ、それが戦争だ、と聞き入れません。総攻撃の開始の瞬間、ヤムリはまたカテルに戻り、時間も1945年8月になります。そこでは後方部隊から、広島に落した新型爆弾の威力で日本はもうすぐ降伏するだろうから、これ以上攻撃を続ける必要は無い、という指令が来ます…
大平洋戦争の話はこれで2話目ですが、前回もフィリピンの話でした。たまたまなのか、脚本家達に実際にフィリピンで戦った者がいたのかは不明です。ただ8月6日の段階で、日本が降伏するだろうはまだ希望的観測のように思います。
ベン・アフレックの「エア」
「エア」を観て来ました。今月映画8本目で、いい加減に観たいものが無くなって来て、まあ観てみるか、という感じでしたが、なかなか良い「ビジネス」映画でした。1984年当時の話で、その頃バッシュのシェアはトップがCONVERSE、2位がAddidasで、NIKEのシェアはわずか17%で、撤退寸前でした。それが担当者がまだNBAに入る寸前のマイケル・ジョーダンに注目し、3人分の予算をつぎ込んでジョーダンの個人ブランドを作って一発逆転を図るという話です。なんか結構「こういうのビジネスであるある」が多くて、子供には分からない映画ですね。リスクの話ばかりして消極的だったCEOも最後にCEOらしいいい仕事をします。エアージョーダンの大成功でナイキはトップシェアになり、1996年にCONVERSEを買収しているんですね、知らなかった。それからAddidasの創業者の本当の名前が「アドルフ」で元ナチ党員だったというのが出て来ましたが、本当なんでしょうか。(今調べたら本当でした。)
エイゼンシュテインの「アレクサンドル・ネフスキー」
エイゼンシュテインの「アレクサンドル・ネフスキー」を観ました。この映画のDVDは2年前くらいに買ったのですが、ロシアがウクライナに攻め込んだため、いわばロシア愛国映画なこれを観るのを保留していました。この映画は、しかし昔から音楽で知っています。この映画のBGMはプロコフィエフによって作曲されており、それがカンタータとして作り直されています。アバドの指揮する演奏のLPやCDを持っています。改めて映画で観てみて、その音楽が本当にぴたりと内容にはまっているのを確認出来ました。
アレクサンドル・ネフスキーは13世紀のノヴゴロド公国の王子で、まずスウェーデン軍をネヴァ川の戦いで打ち破ってから「ネヴァ川の」という意味の「ネフスキー」と後世呼ばれるようになります。さらにはこの映画で描かれているように、侵略して来た(といよりカトリックのギリシア正教に対する十字軍です)ドイツ騎士団と冬のチュド湖で戦い、これを打ち破っただけでなく、ドイツ騎士団が割れた氷によって湖に落ち、ほぼ全滅しています。(多分偶然でしょうけど、この映画ではアレクサンドルがノヴゴロド軍より重武装しているドイツ騎士団の兵士を、氷が薄い所に誘い込んでそうなった、ということにされています。)
アレクサンドルの時代は、実はロシアは東からはモンゴルによって侵略されており(タタールの軛)ましたが、モンゴルはアレクサンドルの武勇を恐れてノヴゴロドには攻め込まなかったようです。このように、ロシアは侵略ばかりしている国ではなく、歴史上はモンゴル、スウェーデン、ドイツ騎士団、ポーランドといった所から侵略も受けています。だからといってもちろんウクライナ侵攻が正当化される訳ではまったくありません。
ちなみに英語字幕でしたが、かなりひどいブロークンな英語でした。おそらく機械翻訳かと。
ジョナサン・ゴールドスタイン&ジョン・フランシス・デイリーの「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」
「ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り」を観て来ました。まったく予備知識無しで観て、超古典的RPGだなと思ったら、まさにその通りで、1974年のアメリカのテーブルゲームでの同名の元祖RPGを映画化したものです。そういう訳でストーリーもほとんどあるような無いようなもので、男女ペア(女性の方が強いのが今日的)と魔法使いとエルフというチームもRPGそのものです。結局悪い魔女をどう倒すかというだけですが、まあまあ楽しめました。
トワイライト・ゾーンの”Five Characters in Search of an Exit”
トワイライト・ゾーンの”Five Characters in Search of an Exit”を観ました。あるアメリカ陸軍の大佐が目覚めると、不思議な空間の中にいました。そこは円筒形で周りも床も全て金属でした。大佐はそこにピエロがいるのを発見します。更には、日雇い労働者、バレーダンサー、バグパイプ吹きの合計5人がいることが判明します。その誰もが何故ここにいるのか知っておらず、またはお腹が空くことも喉が渇くこともありませんでした。大佐は必死に出口を探しますが、どこにも無く、そういった努力は既に先住の4人が試みていたことでした。しかし大佐はここは地獄に違いない、と言いつつも諦めません。5人でそれぞれを肩に載せれば出口の天井の縁に届くのではないかということで、やってみますが、後ちょっとで届きません。しかし大佐は今度は自分が一番上になり、そこであり合わせの衣服で作ったロープをピエロが持っていたサーベルの柄にくくりつけてそれを投げ、天井に縁に引っかけることに成功します。大佐はロープを伝ってついに天井の縁に届きましたが、逆側に墜落してしまいます。そこは雪の上でした。そこはある町のクリスマスの時期であり、5人が入っていた缶は「孤児達に人形をプレゼントしましょう!」と書いてありました。通りかかった女の子が雪の上に落ちていた大佐の「人形」を缶の中に戻します…
まあそれなりに良く出来た脚本でした。これは1961年12月22日のクリスマスシーズンに放送されたものです。
井上雄彦の”THE FIRST SLAM DUNK”
「The First Slam Dunk」を観て来ました。スラムダンクは、途中まで単行本で読んでてその後中断し、しかし完結した時に最終巻を読んだという程度で、特に大ファンという訳ではありませんが、良く出来た漫画だと思っていました。何で今さら5度目のアニメ映画化なのかと思いましたが、お話しは原作の最後の山王工業戦を描いたもので、当然最後の試合の決着の仕方は知っていましたが、それでも改めて感動しました。また山王工業戦だけだと単調になるのを避けるためか、湘北のメンバーではある意味一番地味な宮城リョータをフィーチャーするものになっていました。この辺は原作者の井上雄彦のこだわりでしょうか。ちなみに監督も井上雄彦自身です。そのため、アニメで良くある原作のコミックと違う、はほとんど感じなかったです。観客は現役世代として40代以上が多いかと予想していましたが、意外に若い人が多く混んでいました。(コナンの新作アニメほどじゃないですが。)
アウター・リミッツの”Keeper of the Purple Twilight”
アウター・リミッツの”Keeper of the Purple Twilight”を観ました。科学者のエリック・プラマーはある装置を研究していましたが、莫大な予算を使いながら最後の2つの方程式を得ることが出来ず苦しんでいました。そこにアイカーという人間に化けたエイリアンが現れ、エリックの感情を彼に与える代わりに、その2つの方程式を教えるという取引きをします。プラマーの恋人であるジャネットはプラマーが突然冷たくなったのに驚きます。プラマーは方程式の力で、全ての物質の磁気的な結合を破壊するという恐るべき兵器のプロトを完成します。研究所の所長はそれが人類を滅ぼすものだとして研究の中止を求めますが、予算を出していた軍の幹部はそれに多大な興味を抱き、予算の提供を約束します。実はエイリアンの目的は、その兵器を自分達の星から持ち込むのが大変なので、それをプラマーに代わりに作らせようとしていたのでした。しかし、プラマーの感情を得たアイカーは、憎しみ、愛といった感情に混乱して、元々自分達の惑星の巨大なコンピューターのようなものの一部として行動していたのが、そこから逸脱し始めたため、味方であった兵士エイリアンから狙われるようになります。アイカーはプラマーに感情を返しますが、その時兵士エイリアン達がまた襲って来て、結局アイカーも兵士エイリアン達もプラマーが作った武器によって消滅します。自分の感情を取り戻したアイカーが、その兵器自身によってコントローラーを破壊し、設計図もすべて破棄します。
冷静でロジカルなエイリアンが地球人の愛や憎しみという感情を得て混乱する、というのは良くあるパターンです。ちなみにプラマーを演じていたウォーレン・スティーブンスは、禁断の惑星、原子力潜水艦シービュー号やスター・トレックなどで何度も観たことがある俳優です。
ウィル・メリックの「サーチ2」
サーチ2を観て来ました。映画の構成は前作で理解していますので、その面の驚きはありません。また前作の時にはまだ使われていなかったITツールが最後に結構大事な役目を演じます。まだ公開開始直後でネタバレになるのでストーリーは書きませんが、前作同様楽しめました。ただ他人のアカウントのパスワードが簡単に分かりすぎ、という疑問は前作と同じです。今後生体認証とかに切り替わった時はどうするんでしょうか。(多分サーチ3があると思います。)またこの映画で示されてる様々な個人の行動履歴の追跡、まさしくジョージ・オーウェルの1984の世界で、中国なんかはそれを国単位でやっていると考えるとぞっとします。
スター・トレック ニュージェネレーションの”The Naked Now”
スター・トレック ニュージェネレーションの”The Naked Now”を観ました。これはファーストシーズンの”The Naked Time”を踏まえた話になっています。エンタープライズ号はある赤色巨星でもうすぐ大爆発して白色矮星と化そうとしている星の監視をしていたツィオルコフスキー号から通信を受け取りそちらに向かいます。しかしツィオルコフスキー号のスタッフからの通信は正気を失ったものでした。やがて爆発が起き、ツィオルコフスキー号は誰かによりハッチを爆破され、そのため急激に温度が低下し、全クルーが死亡していました。転送で艦内に降り立ったエンタープライズ号のクルーがそこで見たのは乱痴気パーティーの後で、ゴミが散らかり、またほとんどの人が裸で、ベッドで抱き合っているのもいました。あるクルーは衣服を着けたままシャワーを浴びようとして凍り付いていました。エンタープライズ号のクルーが戻って感染検査を受けますが、ラフォージがおかしなことを言い出し、またとても暑いと訴えます。ライカーはデータに命令し、「服を着たままシャワーを浴びる」という事例をデータベースから検索させます。そこでヒットしたのが、カーク船長のエンタープライズ号の事例で、ある細菌が体内に入ると、アルコールが生成され、感染者は全員酔っ払ったようになる、というものでした。(ファーストシーズンの第4話。)感染はエンタープライズ号の中にどんどん広がり、女医の子供のウェズリーも感染します。彼はトラクタービームの原理でフォースフィールドを作り、またピカード船長の偽命令を出す装置も作り、エンジンルームを自分のコントロール下に置いてしまいます。そうしている内に、赤色巨星の表面で爆発が起き、大きな岩がエンタープライズ目がけて飛んで来ました。しかしエンジンルームはしゃ断されている上に、何百とある制御チップを酔っ払い状態のエンジニア(日本人だと思います)がオモチャにするため全部抜いてしまい、エンタープライズは危機に陥ります。ようやくウェズリーがフォースフィールドに使っているエネルギー源を切り離し、ライカーらが中に入りますが、チップを全部元に戻す時間がありません。そこにウェズリーが、データにやらせらば速い、と提案し、データがチップを元通りに挿す作業を開始します。しかしわずかながらに時間が足りません。そこでウェズリーがまたもやエンタープライズ号を操作し、ツィオルコフスキー号を牽引していたトラクタービームを切り離し、そちらを先に岩石に当ててわずかな時間を稼ぎます。この間にデータがチップを全部元に戻すのに成功し、エンタープライズ号は危機一髪で脱出します。なおこのエピソードでは、酔っ払ったターシャとデータが肉体関係を持つというアダルトな展開があります。なお、細菌はエンタープライズ号のワクチンデータを使ってワクチンを作り、最初のは利かなかったのが、より変異型にも対応出来るように改良されたワクチンのお陰で駆除されます。
私には結構面白かったエピソードですが、放映時は「新シリーズは結局ファーストシーズンの焼き直しなのか」という批判が出て、低評価だったみたいです。