ローランド・エメリッヒの「ミッドウェイ」

「ミッドウェイ」観てきました。なかなかの出来だったと思います。いつぞやの「パールハーバー」とは大違いで、どうでもいいラブストーリーなどは入らず、実在の人物を使った話が進行していきます。いきなりミッドウェー海戦になるのではなく、まずは真珠湾攻撃から始まります。山本五十六長官(豊川悦司)が「眠れる獅子を起こしてしまった」とつぶやくのは「トラ・トラ・トラ!」へのオマージュでしょうか。その「トラ・トラ・トラ!」と同じく、日本軍もそれなりの役者によって演じられていて、決して一方的な悪者という感じでは描写されていません。今回のゼロ戦は「パールハーバー」の時みたいに、緑色に塗られた52型とかではなく、ちゃんと灰緑白色の21型でした。ただ惜しむらくは戦闘中も落下増槽を付けたままだったのはイマイチ考証不足でした。間にドゥーリトルの日本空襲をはさみ、ミッドウェー海戦ではアメリカ側の情報部隊の活躍が強調されています。日本の敗因はこの情報戦で敗れたのと、開戦以来の連勝による奢りでしょう。特に事前の机上演習で空母二隻が撃沈されるという結果が出ていながら、そんなことは起こらないとしてそのまま戦いに入ってしまいます。今回の映画の撮影ですが、CGは使っていない感じで、もし使っているのならCGも大した進化だと思います。空戦と空母爆撃のリアル感は素晴らしかったです。しかし、アメリカ側も決して余裕があったのではなく、もしミッドウェーで敗れたら、アメリカ西海岸が爆撃されるのを心配していたのは初めて知りました。日本もドゥーリトル空襲のせいで、米軍の残存空母を撃滅しないとと思っていたのですが。

「巨人の惑星」の”The Bounty Hunter”

「巨人の惑星」の”The Bounty Hunter”を観ました。
今回は人間達に賞金がかけられ、それを狙ってハンター達がやって来ます。今回人間達は巨人のテントから拳銃を盗みだし、追いかけて宇宙船までやってきた巨人をそれで撃ちます。巨人は腕を撃たれて引き返しますが、途中出血で倒れます。それを人間達が手当してやります。しかし目を覚ました巨人が人間の女性を捕まえます。しかし、後を追いかけて来た巨人の娘に、手当を受けたことを指摘され、女性を放してやるという話です。まあ前の3話よりはちょっとマシですが、大体こちらの想像通りの展開です。

スタートレックの”The Man Trap”

スタートレックのファーストシーズンのエピソード1の”The Man Trap”を観ました。「巨人の惑星」があまりに詰まらないので、スタートレックと交互に観ることにしました。で、嬉しかったのが、登場した惑星考古学者の俳優が、原子力潜水艦シービュー号のUボートの幽霊艦長を演じた人でした。その惑星考古学者の定期健康チェックのため、その惑星に立ち寄ったエンタープライズとカーク艦長一行でしたが、その考古学者の奥さんはドクター・マッコイの昔の恋人でした。しかし、惑星に転送されたカークとマッコイともう一人のクルーが見た奥さんはそれぞれまったく別の女性に見えて、という話です。さすがに「巨人の惑星」よりはるかに面白いです。ちなみに、ジーン・ロッデンベリーは最初にこのスタートレックの企画をアーウィン・アレンに持ち込んだのですが、その時アレンは「宇宙家族ロビンソン」を始めようとしていてバッティングしたために採用されなかったというエピソードがあります。特撮にしても、アレンの作品よりスタートレックの方が上です。

「巨人の惑星」の”Trap”

ヴェーバーの翻訳が一段落したので、久し振りに「巨人の惑星」の第3話、”Trap”を観ました。何というかこの「巨人の惑星」のパターンとしては、巨人達は地球人の存在を既に知っていて、その科学水準が自分達より優れていることも分っていて、地球人を捕まえてその秘密を知ろうとします。という訳で今回も女性2人が巨人に捕まってそれを他の男たちが助け出すというだけの話です。ポイントは、宇宙家族ロビンソンで言えばドクター・スミス的な役割のフィッチュー中佐(多分イタリア系)が、いつも卑怯というか臆病なことをしていて、今回はしかし最初は貴重な燃料の残りを使って爆薬を作り、それで巨人をテントからおびき出して女性2人を救出するという案に反対していて、結局最後に協力してヒーローになるという話です。うーん、何というかありきたりで、やはりこのシリーズはイマイチですね。

「巨人の惑星」の第2話の”Weird World”

“巨人の惑星”の第2話の”Weird World”を観ました。何か第2話で既に飽きてしまった感が。これまでアレンの3作品はそれぞれ設定は違いますが、毎回バラエティーに富んだ話が展開されましたが、この巨人の惑星は毎回舞台は同じで、話も結局地球人が巨人の住居に忍び込んで、捕まりかけながら何かするというだけで、今回は一行よりも先にこの星に不時着していた船長と会い、巨人達が持っていってしまったその船長の宇宙船を取り戻して地球に帰ろうとします。しかし、その船長が途中で自分の部下の命を犠牲にしたことを思い出して、ヘタレになって動けなくなったけど、最後に子供が巨大グモ(この星では普通のクモ)に襲われていたのを助けて自分は命を落とすという、まあ非常にありがちな話でした。

「巨人の惑星」の”The Crash”

アーウィン・アレンの1960年代の最後のTV作品である「巨人の惑星」の第1話”The Crash”を観ました。ロサンゼルスからロンドンへ宇宙空間を通って飛行するシャトルのスピンドリフト号が途中で磁気嵐に襲われ、目の前に出現した星に着陸したら、それは全てが地球のものより20倍以上巨大な「巨人の惑星」だっという話です。それでいきなり、アーウィン・アレンの得意技の「トカゲ恐竜」が登場したのは笑えました。ただこの世界では「恐竜」ではなくちょっと変な格好のトカゲに過ぎませんが。操縦士のスティーブと令嬢のヴァレリーが外を彷徨っている時に、見え見えの鼠捕りみたいな罠に捕まって巨人の科学者に連れ去られます。それを仲間が助けに来て、という話ですが、第1話を観た限りではわくわく感はあまりないですね。特撮もそんなに難しくなくて、セットを作るか光学合成で出来ますので、技術的に高度なものはありません。放送は1968年から70年にかけてですが、ドラマの中の設定は1983年になっていました。

宇宙家族ロビンソンのProsとCons

宇宙家族ロビンソンの合計3シーズン、全83話を観終わったので例によってProsとConsを。
Pros
1.1965年という段階で、人類のはるかはなれたアルファケンタウリへの移住というテーマの斬新さ。
2.ロビンソン一家というある意味理想的な一家に、パイロットのドン、そして悪漢のドクター・スミス、更にはロボットという組み合わせの登場人物の多彩さ。
3.ドクター・スミスというとことんどうしようもない悪漢でありながら憎めないキャラクターの魅力。
4.そのドクター・スミスとロボットの毎回繰り返されるやりあい。特にドクター・スミスの多彩な悪口。
5.ロボットのキャラクターの進化。最後は非常に人間的な感情を持つに至った。
Cons
1.初期のハードSFが途中からほとんど喜劇的な話ばかりになった。
2.この作品に限ったことではないが、脚本ライター陣の安直なストーリー作り。
3.ほとんど人間と変らないエイリアンの多用。
4.ほとんどの回でのプアー極まりない特撮。
5.これもこの作品に限ったことではないが、エイリアンや怪物のひどすぎる使い回し。
後、今回通して観て気がついたのは、子供の時あれだけ何度も観ていながら、ドクター・スミスとロボットのやり取りは良く記憶にあるものの、ストーリーとしては「ああ子供の時観た」というのがほぼ1話もなかったこと。これはつまりストーリーはどうでも良くて、ドクター・スミスとロボットの掛け合いの方がはるかに印象的だったということだと思います。
キャラクターで、ドクター・スミスは前にも書きましたけど、両刃の剣でした。ドクター・スミス無しにはこの作品の成功はなかったでしょうが、ドクター・スミスが当初のハードSF路線を台無しにしたという点も否定出来ません。しかし、ジョナサン・ハリスの演技と台詞回しの見事さは誰も否定出来ません。おそらくシェークスピア劇のような古典劇の素養もあるのだと思います。また、ドクター・スミスの台詞から色々な新しい英語表現を学ぶことが出来ました。
ロボットは、最初は本当にロボットでただ命令された通りにするだけの存在でしたが、ライバルロボットが登場してそれに嫉妬するあたりからキャラが立って来て、最後は愛と友情の権化ともいうべき存在に進化しました。回路がトランジスターで記憶装置がテープというのがいかにも60年代的ですが。
ロビンソン博士は、快傑ゾロで人気を取った人だけあって、中心になって活躍する時は格好いいですが、そもそもドクター・スミスにくわれて活躍する場があまり無かったように思います。
奥さんのモーリーンは、いかにも60年代の女性の扱いという感じできわめて聡明で優しい女性ながら、同時に男性に保護されないと生きていけない、という風に描かれたのは残念でした。ただ、ジューン・ロックハートは本当にお母さん役が似合う人でその点は良かったです。
兄弟姉妹では、長姉のジュディですが、美人ながら一番活躍するシーンが少なかったと思います。ドンとの恋仲も、シーズン中で発展することは無く、たとえばドンと結婚して子供が産まれるとかあれば良かったのでしょうが、残念ながらこのお話の後半はほとんど子供向けで、そういう展開にはなりませんでした。
妹のペニーについては、アンジェラ・カートライトは非常に可愛らしかったですが、第3シーズンではちょっと大人になりすぎてジュディとかぶったように思います。また何かと言うとピュアな性格でそれがエイリアン他に愛されてというワンパターンな展開が多かったと思います。
ウィルについては、ロビンソン一家の中で一番活躍したのは間違いなく彼でしょう。ドクター・スミスによって引き起こされたトラブルを何度もウィルが知恵や勇気を出して一家を救います。ウィルの年齢の子供こそ途中からまさにこのドラマの視聴者の優先年齢層になったのだと思います。
最後にドンですが、ロビンソン博士の重要なパートナーというのと同時に、常にドクター・スミスに対する糾弾者という感じで、何か独自の性格付けが弱かったように思います。こちらもジュディとの仲がもっと進展していれば良かったのに思います。
まあ、色々ありますが、子供の時に好きだったドラマを、日本で放映されなかった第3シーズンを含め、全部オリジナル版で観られたのは本当に良かったと思います。これで1960年代のアーウィン・アレンの作品の内、タイムトンネル、原子力潜水艦シービュー号、宇宙家族ロビンソンを観終わりました。

轟由紀子の「お使いは自転車に乗って」/杉浦幸雄の「銃後のハナ子さん」

古関裕而の曲集めから、戦前の流行歌にちょってはまっていて、その中で発見したのが轟由紀子の「お使いは自転車に乗って」で、昭和18年2月の戦争の真っ最中とはとても思えない明るい曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=cPTwt3qKXYE

この曲は「ハナ子さん」というミュージカル(!)映画(当時は敵性語禁止で、「歌合戦映画」とされています)の主題歌です。元は杉浦幸雄の「銃後のハナ子さん」という漫画を映画化したものみたいです。それでそれが載っている「主婦の友」昭和13年11月号を取り寄せてみました。元々この漫画の主人公の「ハナ子さん」のモデルが轟由紀子なんだそうで、それを映画化したものにその本人が出演しているということになっています。漫画としては四コマではありませんが、戦後の「サザエさん」をちょっと彷彿させるほのぼの系です。但し主人公は独身です。(恋人はいます。)映画の方はその恋人が出征するのをオカメのお面で泣き顔を隠して明るく見送るといったもののようです。ちなみに上記の「お使いは自転車に乗って」の作詞は、上山雅輔であの金子みすゞの実弟です。

宇宙家族ロビンソンの”Junkyard of Space”

宇宙家族ロビンソンの”Junkyard of Space”を観ました。これが宇宙家族ロビンソンの全83話の打ち止めです。しかし、結局、何ら最終回的な話は無く、ロビンソン一家のこれからがどうなるのかはまったく分らずに突然終了します。ロビンソン一家は、宇宙のジャンク屋の星にトラップされ、何かの宇宙カビみたいなものですべての食料がダメになり、一家は飢えかけます。ドクター・スミスはチャップリンみたいに自分のブーツを食べようとしますが、そこにジャンクの星を管理しているロボットのジャンクマンが取引を持ちかけ、ロボットのスタビライザーを渡せば食料を渡すと言い、ドクター・スミスはすぐにそれに乗ります。ジャンクマンの要求はエスカレートし、トランジスターやロボットのメモリーまで結局ジャンクマンに取られてしまいます。悲観したロボットは自らジャンク星の溶鉱炉の中に自分を投じてしまいます。ジャンクマンはドクター・スミスを使ってジュピター2号を乗っ取って一家を後に残して発進します。しかしウィルがポッドに乗って、ジャンクマンの中のロボットのメモリーに呼びかけたためウィルはジュピター2号に乗り込み、ジャンクマンの説得に成功します。ジャンク星に戻った一行はロボットを探しますが、ご都合主義でロボットは溶かされずに無事でした。パーツを全部ロボットに戻して、一応ハッピーエンドでした。
なお、特典映像に1995年のウィル役のビル・マミーのインタビューがありますが、実は彼が本当の最終回の脚本のアイデアを作ったのですが、その後映画で当ててもうTV番組には戻りたくなかったアーウィンがそれを採用せず、結局お蔵入りとなったみたいです。

宇宙家族ロビンソンの”The Great Vegetable Rebellion”

宇宙家族ロビンソンの”The Great Vegetable Rebellion”を観ました。この回の特撮のプアーさは有名で、ほとんど昔の「8時だヨ!全員集合」の着ぐるみのレベルと同じです。植物が意思や感情を持っている星という設定は悪く無いので、もうちょっと特撮をちゃんとしたらそれなりの話になったかと思うのですが。後は終わり方が非常に唐突で、良く練られたストーリーとはとても言えないです。ドクター・スミスが何故かセロリになってしまうのが笑えますが。ともかく敵の主役が「人参人間」で何か怖くも何ともないですし、どうやってこの星全体をコントロールしているのかの十分な説明も無いです。またウィロビーという敵の部下が出てきますが、これがヒューマノイドで、植物との関係がどうなっているのかも良く分りません。ともかく後1話を残すだけになりました。