スタートレックのファーストシーズンの”Balance of Terror”を観ました。シリーズで初めての本格的なエイリアンとの戦いで、ロミュラン星人が登場します。ロミュラン星人と地球連邦とは100年ほど前にお互いの顔も知らないままで戦い停戦し、現在は非武装地帯が2つの境界を構成しています。ある日、その非武装地帯沿いにあった地球の基地が攻撃を受けます。それはロミュラン星人で宇宙船の姿を消す技術を持っており、また武器は地球の武器を上回る巨大なプラズマ球でバリアも役立ちません。カークは戦うことを決意し、相手が彗星の尻尾に入った時に姿を捉えられることを利用してフェーザーで攻撃します。(光子魚雷はファーストシーズンではまだ登場していません。)相手も巨大プラズマ球で攻撃して来ますが、一定距離逃げられれば威力が急激に落ちることが分り、何とか持ちこたえます。最後はほとんど潜水艦戦のような、お互いにエンジンを切って無音にして、相手が動くのを待つ、ということになります。(宇宙空間なんだから音が伝わる筈は無いのですが…)結局、スポックが間違えてブザーを鳴らしたのを逆に罠にして相手を誘い出し、フェーザーで撃って相手を動けなくしました。それでロミュラン星人なのですが、司令官がヴァルカン星人そっくり(レオナード・ニモイの一人二役)です。そのために、スポックはロミュラン星人のスパイではないかと皆に疑われますが、最後、フェーザーの発射室で火災が発生し煙りでクルーが倒れたのを、スポックが乗り込んでフェーザーを発射します。このエピソードの最初で、クルー同士が結婚式を挙げようとしていましたが、ロミュラン星人の攻撃で式は中止になり、しかも新郎が戦死してしまうというハードな展開でした。
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P・B・シェムランの「博士と狂人」
P・B・シェムランの「博士と狂人」の映画を観てきました。原作を読んだのはもう20年近く前です。
OEDの編集者のジェームズ・マレー博士は、私にとってもっとも尊敬すべき学者の一人であり、以前日本語変換の辞書作りに関わっていて、また色々な外国語に手を出している私にとってある意味アイドルみたいな方です。
博士が大英博物館に採用を希望して送った手紙の一部が映画では博士自身の口で語られていました。そのオリジナルを原作から引用すると、博士が学んで来た言語は「アーリア語族およびシリア・アラビア語族の言語と文学に通じ、(中略)ロマンス諸語のうち、イタリア語、フランス語、カタロニア 語、スペイン語、ラテン語には詳しく、そこまではいかないものの、ポルトガル語やヴォー州方言、プロヴァンス語、その他さまざまな方言の知識もあります。 (中略、以下身につけた言語)オランダ語、ドイツ語、フランス語、フラマン語、デンマーク語、古英語、モエシアゴート語、ケルト語、ロシア語、ペルシア 語、サンスクリット、ヘブライ語、シリア語、アラビア語、コプト語、フェニキア語…」という恐るべきものでした。これだけの言語を大学にも行かず独力で学んだということについて、敬意以外の感情は湧いて来ません。
お話はマレー博士がOEDの編集を行っていた時、各単語の用例の収集が元のチームだけではまったく手が足りなかったため、外部にボランティアを募集します。その中の一人がアメリカの南北戦争の時の従軍外科医だったマイナー博士であり、博士は統合失調症であって被害妄想から殺人を犯します。裁判では心神喪失ということで無罪になりますが、一生を精神障害者用の収容施設で過ごすことになります。その時に、たまたま差し入れられた本の中に入っていたマレー博士のボランティア募集のチラシを見て、マイナー博士は、17~18世紀の英語文献を読んで膨大な数の単語用例カードを作り、マレー博士に郵送します。原作はマイナー博士の貢献に対して御礼のために、マイナー博士の手紙に書いてあった住所を訪ねてみると…という感じでマレー博士がマイナー博士の境遇を知る所がある意味クライマックスになっています。しかし映画はマイナー博士が誤って殺した男性の未亡人と交流するようになり、ついには恋愛関係に陥るといったストーリーが追加されています。まあ映画だからこういうサブストーリーを入れないと、というのは分りますが、私にはちょっと余計でした。もっと辞書作りの苦労をしっかり描いて欲しかったです。
それから、OED(当時はNED=New English Dictironary)の編集に協力したのが精神を病んでいて犯罪歴を持った男というのが新聞に載ってしまい、騒ぎになります。それを何とかするために、マレー博士達が利用するのが何とウィンストン・チャーチルで、マレー博士とチャーチルの生きた時代がかぶっていたのを改めて認識しました。
アメリカ人好みのすべてハッピーエンドではなく、万人向けとは言い難い渋い映画ですが、私には非常に意義のある映画でした。
巨人の惑星の”Ghost Town”
巨人の惑星の”Ghost Town”を観ました。ある時巨人に追われていたバリー(少年)達ですが、バリーが何かの電磁波のようなものに触れて気絶してしまいます。同様に追いかけて来た巨人もその電磁波に触れて死んでしまいます。一行は一度宇宙船に戻って助けを請うて、バリーが気絶していた場所に戻って来ましたが、彼はいません。そうこうする内にフィッチューも感電してしまいます。そこで一行があたりを探していると、何と地球の街に出会います。しかし建物は間違いなく地球のものでしたが、誰もいないゴーストタウンでした。フィッチューが電話ボックスで助けを求めていると巨人の少女が現れます。この街は、ある老人が、ある時地球の船がクラッシュして中の者は全員死亡してしまったのを、そこにあった書物を見て、地球の街そっくりに作った模型でした。そしてこの老人の孫の少女が信じられないほど性格が悪く、トンネルを掘って逃げようとしていたバリーを足でトンネルをつぶして生き埋めにします。また老人が差し入れてくれたシチューを皆で食べようとしていたら、天井から砂を撒いて食べられなくします。またガソリンを撒いてマッチで火を付け、地球人達を焼き殺そうとします。しかし、老人は自分が長い時間かけて作った模型に火を付けた孫娘を厳しく叱ります。地球人達はこれを逆用し、自ら建物に火を付け、孫娘が消火しようとしている間に、ゴーストタウンの回りのフォースフィールドを操作するコントローラーをショートさせて、脱出しようとして、孫娘が上から石を落としたり、建物を壊して押しつぶそうとしたりしたのを何とか回避して脱出するという話です。孫娘は祖父に「また火を付けたな!」ということで、お尻を叩かれて…という結末。
スタートレックのファーストシーズンの”The Conscience of The King”
スタートレックのファーストシーズンの”The Conscience of The King”を観ました。シェイクスピア劇にからめたなかなか重厚なストーリーの回。というかこの「罪を犯した父親がいて、父親はその娘を罪から遠ざけて無垢に育てたのに、いつか娘が父親の罪を知って、それを消し去ろうとして罪を犯す」って、確かイタリアオペラの何かの話にあったように思います。あるいはシェイクスピア劇?
10年前にある星で、何かのカビが大量発生して深刻な食糧不足が生じ、そこの長官が救援が来る前に8000人いた住民の内、自分の判断で4000人を殺すという事件がありました。その長官は死んだと思われていましたが、その顔を知っている男(カークの友人)が、ある劇団の俳優がその長官だと言います。その長官の顔を知っている人間はカークも含めて7人いますが、その劇団が近くにいる時に限って一人また一人と殺されていきます。エンタープライズ号にもカーク以外にライリーという者がいて、飲み物の中に毒を入れられて殺されかけます。カークはその俳優を詰問して、その長官だろうと問い詰めますが、実は目撃者を殺していたのはやはり俳優であったその娘でした。最後はレオンカヴァルロの「道化師」のように、舞台の演技と現実が交錯し、娘が間違って父親をフェーザーで撃ってしまって殺してしまうという結末です。
「巨人の惑星」の”On A Clear Night You Can See Earth”
「巨人の惑星」の”On A Clear Night You Can See Earth”を観ました。何というか、程度の低いマッドサイエンティストもので、発明したのは単なる暗視鏡(ノクトビジョン)です。しかしそれは品質が安定しておらず、すぐに動かなくなります。キャプテン達がこのマッドサイエンティストの家に忍び込んだのは、例によって太陽電池に使うレンズを盗むためです。一応電源を切断して暗闇して忍び込んだのですが、マッドサイエンティストの暗視鏡のおかげで見つかってしまいます。色々あって一行は逃げ出せたのですが、キャプテンはその発明が危険だからという理由で、マッドサイエンティストの家を爆破しようとします。しかし途中で捕まって、仲間が助ける時間を稼ぐため、キャプテンはその暗視鏡で地球が見えたと言います。(単なるブラフかと思ったら、最後の所で本当に見えた、と言っています。)それでマッドサイエンティストをおだてて、この暗視鏡は単なるノクトビジョンよりも高機能なものだ、但し安定していないので改良が必要だ、などといって、等々というストーリー。はっきり言ってナンセンスな脚本で、そんな悪人とも思えないマッドサイエンティストを家毎爆破して殺してしまうのも後味が悪いです。失敗したエピドードです。
スタートレックのファーストシーズンの”The Menagerie, Part 2″
スタートレックのファーストシーズンの”The Menagerie, Part 2″を観ました。Part 1と合わせて、今まで観たエピソードの中ではベストではないかと思われる、非常に良く出来たストーリーでした。スポックが反乱の容疑で有罪宣告を受けますが、それを宣告した基地の長官も、タロス星系の第4惑星人が作った…だったというのはなかなかの捻りでした。また今回出て来る女性がなかなか可愛かったです。Vina(まあ本当の姿は置いておいて)とエンタープライズ号の女性クルー2人の内若い方は良かったです。最後に、Vinaとパイク元船長が、タロス星人の幻想の中で二人幸せに暮すというハッピーエンド(?)で良かったです。しかし、カーク船長というのは何代目の船長なんでしょうか。パイク船長もなかなかのキャラクターで良かったです。スタートレックはアーウィン・アレンのTVドラマと比べると、本当に脚本がしっかりしています。
木下恵介監督の「この子を残して」
木下恵介監督の「この子を残して」を観ました。「長崎の鐘」と同じく永井隆博士を描いた映画で1983年の作品です。脚本を木下恵介監督自身と山田太一が書いています。1950年の「長崎の鐘」の時はGHQによる検閲のため、原爆の被害の生々しい描写を入れることは出来ず、キノコ雲のシーンの後はすぐに焼け落ちた瓦礫のシーンになります。1983年のこの映画は、映画の途中にも悲惨なシーンは出て来ますが、最後にまとめるように、原民喜の「水ヲ下サイ」と峠三吉の「ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ わたしをかえせ」が朗読され、当時の悲惨な情景が描写されます。「水ヲ下サイ」は以前観たジョン・アダムズのオペラ「ドクター・アトミック」の中でも使われていました。(「ドクター・アトミック」は原爆を開発するマンハッタン計画の中心的な科学者であったオッペンハイマー博士を主人公にしたオペラです。)
永井隆博士自身は、原爆の被害を受けたことを、神が信者に与えた試練、燔祭(ホロコースト)と捉えていましたが、それは当然当時の被爆した信者全員がそう思っていた訳ではなく、この映画の中でも浦上天主堂での合同慰霊祭の時に、永井博士が読んだ弔辞に対する「異議あり!」の声や、永井博士の妻の緑のお母さんが博士に対して文句を言うシーンで代弁されています。
「長崎の鐘」は悲惨なシーンが少なく、また古関裕而の音楽の素晴らしさもあって、感動を得られる映画ですが、この映画は非常に重いです。何度も観る映画ではありません。丁度今週「エール」で「長崎の鐘」のエピソードであり、この機会しかないだろうと思って観ました。
スタートレックのファーストシーズンの”The Menagerie, Part 1″
スタートレックのファーストシーズンの”The Menagerie, Part 1″を観ました。2話完結の話なので、まだどうなるか分りませんが、色々と興味深いストーリーです。まず、カークの前のエンタープライズ号の船長だったパイクが登場しますが、その姿は脳だけが生きていて、電動式車椅子でかろうじて少しだけ移動出来、意思はランプ点滅1回がYes、2回がNoというだけの姿です。実は、そのパイクがいる基地にエンタープライズ号が立ち寄るように信号を偽装したのがスポックでした。しかもスポックはパイクをエンタープライズ号に乗せ、カークを基地に置き去りにして、エンタープライズ号をタロス星系の第4惑星に向かわせます。しかしカークと基地の司令官が追いかけて来て、その乗り物の燃料残が既に引き返せない地点まで追いかけます。やむを得ずスポックは2人をエンタープライズ号に収容し、ドクター・マッコイに対し、自分は反乱を企てたので逮捕して欲しいと言います。軍事法廷が開かれ、スポックが裁かれますが、スポックはそこでどうやったのか不明ですが、13年前のパイク船長とスポックのタロス星系の第4惑星での体験を映像に映し出します。そこには以前遭難した地球の宇宙船の生存者がいましたが…以下Part.2へ。
「巨人の惑星」の”Double-Cross”
「巨人の惑星」の”Double-Cross”を観ました。フィッチューが巨人二人が落としたブレスレットに当たって気絶し、記憶を無くしてしまいます。巨人二人は窃盗犯で、フィッチューを使って美術館にあるルビーを盗もうとします。フィッチューは自分は元詐欺師だと言い、窃盗犯に協力すると言います。折から、フィッチューを助けにやってきたベイリーを捕まえ、ベイリーなら鍵穴を抜けられるということで、犯罪の決行に美術館に向かいます。ベイリーが鍵を開け、窃盗犯とフィッチューは美術館の中に入ります。その前に美術館のキュレーターが書類を取りに戻っていましたが、ベイリーを助けに来たキャプテンが、キュレーターが閉めたドアを再度開けるようにベイリーに命じます。キュレーターはこれで誰かが鍵を開けたことに気がつき警察を呼びます。フィッチューは聴診器を使って金庫の鍵を開け、ルビーを盗み出します。悪党どもは、間一髪逃げ出せアジトに戻ります。そこでわざと捕まったキャプテン達はとっさの隙にルビーをワイングラスのワインの中に漬け、悪党達をお互いにルビーを盗ったと疑わせ喧嘩させることに成功します。悪党二人が喧嘩している間に一行はネズミの穴から逃げだし、フィッチューはキャプテンに殴られて記憶を取り戻すという話です。フィッチューの正体が分っただけ、といった回でした。フィッチューは「宇宙家族ロビンソン」におけるドクター・スミスのような役ですが、もう一つ中途半端なキャラです。
スタートレックのファーストシーズンの”The Corbomite Maneuver”
スタートレックのファーストシーズンの”The Corbomite Maneuver”を観ました。これも大昔ムック本でストーリーを読んで知っていました。今まで見た中では異星人とのコンタクトものでは初めてと思います。エンタープライズ号が宇宙のある所で、3色に光りながら回転するキューブ状のブイのようなものを発見します。エンタープライズ号が回避しようとしても逃げようとしても付いてくる上に、何かの放射線を放出しているため、ついにカークはフェイザーで攻撃して消滅させます。そうすると今度は巨大な人工惑星が現れ、そこから通信が入り、ファーストフェデレーションのバロックと名乗る、凶悪そうなエイリアンが、10分後にエンタープライズ号を消滅させると通告してきます。スポックは、チェスならチェックメイトだと言いましたが、カーク船長はこれはチェスではなくポーカーだと言い、相手のバロックに向かい、地球の宇宙船は攻撃された相手を確実に葬るコルボマイトという物質を含んでいる、というブラフを示します。これが利いて、相手はエンタープライズ号を破壊せずに、今度は小型の宇宙船でエンタープライズ号をけん引していこうとします。カークはこれにワープエンジンを焼き切れる寸前までのフルパワーで対抗し、さらにインパルスエンジンも使います。この結果、先方の宇宙船のエンジンも焼き切れてしまいます。先方の宇宙船からはSOSが発信されますが、誰も応答が無い、という状況を見て、カークはバロックを救助することを決めます。そして相手の宇宙船に行ってみれば、実は凶悪そうな姿は単なるダミーで、本物のバロックは地球人の赤ちゃんみたいな風貌で、これまでの行動でエンタープライズ号の平和的な意図が確認出来たとして、友好を結ぼうとします。