「巨人の惑星」の”The Crash”

アーウィン・アレンの1960年代の最後のTV作品である「巨人の惑星」の第1話”The Crash”を観ました。ロサンゼルスからロンドンへ宇宙空間を通って飛行するシャトルのスピンドリフト号が途中で磁気嵐に襲われ、目の前に出現した星に着陸したら、それは全てが地球のものより20倍以上巨大な「巨人の惑星」だっという話です。それでいきなり、アーウィン・アレンの得意技の「トカゲ恐竜」が登場したのは笑えました。ただこの世界では「恐竜」ではなくちょっと変な格好のトカゲに過ぎませんが。操縦士のスティーブと令嬢のヴァレリーが外を彷徨っている時に、見え見えの鼠捕りみたいな罠に捕まって巨人の科学者に連れ去られます。それを仲間が助けに来て、という話ですが、第1話を観た限りではわくわく感はあまりないですね。特撮もそんなに難しくなくて、セットを作るか光学合成で出来ますので、技術的に高度なものはありません。放送は1968年から70年にかけてですが、ドラマの中の設定は1983年になっていました。

宇宙家族ロビンソンのProsとCons

宇宙家族ロビンソンの合計3シーズン、全83話を観終わったので例によってProsとConsを。
Pros
1.1965年という段階で、人類のはるかはなれたアルファケンタウリへの移住というテーマの斬新さ。
2.ロビンソン一家というある意味理想的な一家に、パイロットのドン、そして悪漢のドクター・スミス、更にはロボットという組み合わせの登場人物の多彩さ。
3.ドクター・スミスというとことんどうしようもない悪漢でありながら憎めないキャラクターの魅力。
4.そのドクター・スミスとロボットの毎回繰り返されるやりあい。特にドクター・スミスの多彩な悪口。
5.ロボットのキャラクターの進化。最後は非常に人間的な感情を持つに至った。
Cons
1.初期のハードSFが途中からほとんど喜劇的な話ばかりになった。
2.この作品に限ったことではないが、脚本ライター陣の安直なストーリー作り。
3.ほとんど人間と変らないエイリアンの多用。
4.ほとんどの回でのプアー極まりない特撮。
5.これもこの作品に限ったことではないが、エイリアンや怪物のひどすぎる使い回し。
後、今回通して観て気がついたのは、子供の時あれだけ何度も観ていながら、ドクター・スミスとロボットのやり取りは良く記憶にあるものの、ストーリーとしては「ああ子供の時観た」というのがほぼ1話もなかったこと。これはつまりストーリーはどうでも良くて、ドクター・スミスとロボットの掛け合いの方がはるかに印象的だったということだと思います。
キャラクターで、ドクター・スミスは前にも書きましたけど、両刃の剣でした。ドクター・スミス無しにはこの作品の成功はなかったでしょうが、ドクター・スミスが当初のハードSF路線を台無しにしたという点も否定出来ません。しかし、ジョナサン・ハリスの演技と台詞回しの見事さは誰も否定出来ません。おそらくシェークスピア劇のような古典劇の素養もあるのだと思います。また、ドクター・スミスの台詞から色々な新しい英語表現を学ぶことが出来ました。
ロボットは、最初は本当にロボットでただ命令された通りにするだけの存在でしたが、ライバルロボットが登場してそれに嫉妬するあたりからキャラが立って来て、最後は愛と友情の権化ともいうべき存在に進化しました。回路がトランジスターで記憶装置がテープというのがいかにも60年代的ですが。
ロビンソン博士は、快傑ゾロで人気を取った人だけあって、中心になって活躍する時は格好いいですが、そもそもドクター・スミスにくわれて活躍する場があまり無かったように思います。
奥さんのモーリーンは、いかにも60年代の女性の扱いという感じできわめて聡明で優しい女性ながら、同時に男性に保護されないと生きていけない、という風に描かれたのは残念でした。ただ、ジューン・ロックハートは本当にお母さん役が似合う人でその点は良かったです。
兄弟姉妹では、長姉のジュディですが、美人ながら一番活躍するシーンが少なかったと思います。ドンとの恋仲も、シーズン中で発展することは無く、たとえばドンと結婚して子供が産まれるとかあれば良かったのでしょうが、残念ながらこのお話の後半はほとんど子供向けで、そういう展開にはなりませんでした。
妹のペニーについては、アンジェラ・カートライトは非常に可愛らしかったですが、第3シーズンではちょっと大人になりすぎてジュディとかぶったように思います。また何かと言うとピュアな性格でそれがエイリアン他に愛されてというワンパターンな展開が多かったと思います。
ウィルについては、ロビンソン一家の中で一番活躍したのは間違いなく彼でしょう。ドクター・スミスによって引き起こされたトラブルを何度もウィルが知恵や勇気を出して一家を救います。ウィルの年齢の子供こそ途中からまさにこのドラマの視聴者の優先年齢層になったのだと思います。
最後にドンですが、ロビンソン博士の重要なパートナーというのと同時に、常にドクター・スミスに対する糾弾者という感じで、何か独自の性格付けが弱かったように思います。こちらもジュディとの仲がもっと進展していれば良かったのに思います。
まあ、色々ありますが、子供の時に好きだったドラマを、日本で放映されなかった第3シーズンを含め、全部オリジナル版で観られたのは本当に良かったと思います。これで1960年代のアーウィン・アレンの作品の内、タイムトンネル、原子力潜水艦シービュー号、宇宙家族ロビンソンを観終わりました。

轟由紀子の「お使いは自転車に乗って」/杉浦幸雄の「銃後のハナ子さん」

古関裕而の曲集めから、戦前の流行歌にちょってはまっていて、その中で発見したのが轟由紀子の「お使いは自転車に乗って」で、昭和18年2月の戦争の真っ最中とはとても思えない明るい曲です。
https://www.youtube.com/watch?v=cPTwt3qKXYE

この曲は「ハナ子さん」というミュージカル(!)映画(当時は敵性語禁止で、「歌合戦映画」とされています)の主題歌です。元は杉浦幸雄の「銃後のハナ子さん」という漫画を映画化したものみたいです。それでそれが載っている「主婦の友」昭和13年11月号を取り寄せてみました。元々この漫画の主人公の「ハナ子さん」のモデルが轟由紀子なんだそうで、それを映画化したものにその本人が出演しているということになっています。漫画としては四コマではありませんが、戦後の「サザエさん」をちょっと彷彿させるほのぼの系です。但し主人公は独身です。(恋人はいます。)映画の方はその恋人が出征するのをオカメのお面で泣き顔を隠して明るく見送るといったもののようです。ちなみに上記の「お使いは自転車に乗って」の作詞は、上山雅輔であの金子みすゞの実弟です。

宇宙家族ロビンソンの”Junkyard of Space”

宇宙家族ロビンソンの”Junkyard of Space”を観ました。これが宇宙家族ロビンソンの全83話の打ち止めです。しかし、結局、何ら最終回的な話は無く、ロビンソン一家のこれからがどうなるのかはまったく分らずに突然終了します。ロビンソン一家は、宇宙のジャンク屋の星にトラップされ、何かの宇宙カビみたいなものですべての食料がダメになり、一家は飢えかけます。ドクター・スミスはチャップリンみたいに自分のブーツを食べようとしますが、そこにジャンクの星を管理しているロボットのジャンクマンが取引を持ちかけ、ロボットのスタビライザーを渡せば食料を渡すと言い、ドクター・スミスはすぐにそれに乗ります。ジャンクマンの要求はエスカレートし、トランジスターやロボットのメモリーまで結局ジャンクマンに取られてしまいます。悲観したロボットは自らジャンク星の溶鉱炉の中に自分を投じてしまいます。ジャンクマンはドクター・スミスを使ってジュピター2号を乗っ取って一家を後に残して発進します。しかしウィルがポッドに乗って、ジャンクマンの中のロボットのメモリーに呼びかけたためウィルはジュピター2号に乗り込み、ジャンクマンの説得に成功します。ジャンク星に戻った一行はロボットを探しますが、ご都合主義でロボットは溶かされずに無事でした。パーツを全部ロボットに戻して、一応ハッピーエンドでした。
なお、特典映像に1995年のウィル役のビル・マミーのインタビューがありますが、実は彼が本当の最終回の脚本のアイデアを作ったのですが、その後映画で当ててもうTV番組には戻りたくなかったアーウィンがそれを採用せず、結局お蔵入りとなったみたいです。

宇宙家族ロビンソンの”The Great Vegetable Rebellion”

宇宙家族ロビンソンの”The Great Vegetable Rebellion”を観ました。この回の特撮のプアーさは有名で、ほとんど昔の「8時だヨ!全員集合」の着ぐるみのレベルと同じです。植物が意思や感情を持っている星という設定は悪く無いので、もうちょっと特撮をちゃんとしたらそれなりの話になったかと思うのですが。後は終わり方が非常に唐突で、良く練られたストーリーとはとても言えないです。ドクター・スミスが何故かセロリになってしまうのが笑えますが。ともかく敵の主役が「人参人間」で何か怖くも何ともないですし、どうやってこの星全体をコントロールしているのかの十分な説明も無いです。またウィロビーという敵の部下が出てきますが、これがヒューマノイドで、植物との関係がどうなっているのかも良く分りません。ともかく後1話を残すだけになりました。

宇宙家族ロビンソンの”The Flaming Planet”

宇宙家族ロビンソンの”The Flaming Planet”を観ました。最後から3番目の話ですが、比較的まともでした。例によってドクター・スミスが勝手にオレンジだという植物をジュピター2号の中で育てています。ジュピター2号がある放射線帯を通過した時に、その植物は人間と同じ大きさになり動き回り始めます。ドクター・スミスはそれをハッチから捨てましたが、その植物が巨大化してジュピター2号の排気ハッチを塞いだため、ジュピター2号が危機に陥ります。ロビンソン博士は、最寄りの惑星の大気圏に突入して摩擦熱でその植物を焼き殺そうとします。しかし、その惑星から警告のメッセージが発せられ、2発のミサイルが飛んで来ます。ミサイルは何とかかわしたものの、レーザー光線に撃たれてジュピター2号は動けなくなります。ドンがドクター・スミスを無理矢理に連れて、脱出ポッドでその惑星に降り立ちます。そこには以前栄えた好戦的な戦士のエイリアンのただ一人の生き残りがおり、ジュピター2号を攻撃したのもそのエイリアンでした。エイリアンはジュピター2号を解放する代わりに誰かが残って、そのエリアンの死後惑星を守るという条件を出し、ドンがそれに従います。その後自動操縦でジュピター2号に戻ったポッドにのって、ロビンソン博士、ロボット、ウィルが惑星に向かいます。3人はドクター・スミスの案内でエリアンの住む洞窟に向かいます。ドンはエイリアンのテストに不合格で、エイリアンの本当の狙いは、彼の死後誰かがこの惑星を守ることではなく、この惑星にあるもう一箇所の基地を使ってお互いに最後の戦いをすることでした。ドンは良心があってその役割には不適で、ロビンソン博士もでした。ドンはそれなら、とドクター・スミスを推薦しますが、スミスはロボットから良心を司るテープを抜けばOKだと言い張って、結局ロボットが従います。ロビンソン博士一行がジュピター2号に戻ろうとしたときに、焼き払った筈の植物がまだ生きていて姿を見せました。ロビンソン博士はこの植物が単為生殖であることを見抜き、エイリアンにこの植物がエイリアンの星を侵略しようとしていると言って、エイリアンと戦わせようとします。植物はエイリアンのレーザーによる攻撃にも2つに分裂して平気でした。そうなるとエイリアンはもうその戦いに夢中になり、その間に一行は無事にジュピター2号に戻りました。という話で、エイリアン役の俳優(Abraham Sofaer)が中々渋いいい味を出していました。

宇宙家族ロビンソンの”Fugitives in Space”

宇宙家族ロビンソンの”Fugitives in Space”を観ました。ある監獄惑星の強制労働から逃げ出した囚人がドンとドクター・スミスの所にやってきて倒れます。目を覚ました囚人はドクター・スミスと服を替え、逃げます。そこに監獄の星の看守達がやってきて、ドンとドクター・スミスを捕まえます。二人にはコンピューターによる裁判で囚人を逃がした罪で有罪になり、監獄惑星に送られます。そこは気温が65℃という猛烈な暑さの星ですが、決められた労働のノルマをこなさないと寝るために必要な氷の塊がもらえません。ウィルとロボットは爆弾入りのケーキを作って二人を助けようとしますが、ドクター・スミスがその仕掛けに気付かず失敗します。ドンとドクター・スミスと最初に逃げ出した囚人の三人は、最初に逃げ出した囚人によって彼の逃亡計画に協力させられます。それによると彼はデトロニュームを隠していて、それを持って逃げれば匿ってくれる者は沢山いると言います。結局最後にその囚人は爆死します。結局ドンとドクター・スミスはそのデトロニュームを看守が探そうとしていたのの道具に使われて無理矢理有罪にされただけでした。その看守のサディスティックな看守ぶりがなかなかいけます。看守というより捕虜収容所長みたいですが。

宇宙家族ロビンソンの”The Promised Planet”

宇宙家族ロビンソンの”The Promised Planet”を観ました。「謎の円盤UFO」でもありましたが、60年代後半風のサイケ調のいかれたストーリーです。ジュピター2号がついにアルファ・セントーリに到着します。しかしジュピター2号が宇宙を彷徨っている間にそこには既に地球から派遣された部隊が到着していて基地を作っていました。しかし到着して迎えに出てきた司令官のバーソロミューはどう見ても20代の若者です。基地の人間は何故かペニーとウィルだけを家族から引き離し、「再調整プロセス」にかけます。その「再調整」の内容が、60年代調のいかれた音楽に合わせて踊ったり、大人を敵対視したりとか、要するに当時の若者風俗そのものに合わせることでした。実は地球人と思われたのはエイリアンで、彼らは何らかの原因で成長することが出来ず子供のままで、何とか大人になるために、ペニーとウィルを使おうとします。笑ってしまうのがドクター・スミスが長髪になり、ロックに合わせてゴーゴーを踊ったりすることで、ジョナサン・スミスも芸域が広いというか、何でもこなします。

宇宙家族ロビンソンの”Time Merchant”

宇宙家族ロビンソンの”Time Merchant”を観ました。シーズン3の中では一番見応えのあるなかなかスリリングなストーリーでした。ウィルが宇宙嵐による雷をトラップしようと実験している所に間違えて、クロノスという名前の時間商人を引っかけてしまいます。彼はビジネスを邪魔されたことに腹を立てウィルを自分の世界に連れ去ってしまいます。ロビンソン博士とロボット、そしてドクター・スミスが後を追います。ドクター・スミスは例によって自分だけ地球に戻ろうとし、首尾良く時間を遡ってジュピター2号の発射直前の地球に戻ります。そしてドクター・スミスがジュピター2号に乗り込まなければ軌道は変わらず、アルファ・ケンタウリへの旅は上手くいく筈ですが、そうすると過去が変わってしまうため、クロノスは軌道にない小惑星とジュピター2号が衝突して全員死ぬと言います。その運命を変えるには、ドクター・スミスを再度ジュピター2号に乗り込ませるしかありません。その目的でロボットが送り込まれましたが、ドクター・スミスはうんと言いません。しかし最後に珍しく人情に目覚めたドクター・スミスがロボットと一緒にジュピター2号に乗り込み、無事に過去は変わらず、という話です。しかし今回ロボットは、アルファコントロール発射基地の警備員を2回殴り倒します。ロボット三原則はどうした?という感じです。

22日のエール 「山崎育三郎の『船頭可愛や』」

22日の「エール」で山崎育三郎が演じる佐藤久志が流しで「船頭可愛や」を歌うシーンがありました。しかし、全体に音が不安定で、特にサビの「ええええー、せんどーかーわーいーいいいいや」の「いーいいいい」の所でかなり音を外したのに気がつきました。この人一応東京音大の声楽コース中退みたいですが、ちょっとねー。(一応録画でも再確認しましたけど、間違いなく音を外しています。)この三橋美智也の歌と比べてもらえば誰でも分ると思います。
最近、毎日「船頭可愛や」を聴いていて、音丸だけじゃなくて、都はるみ、三浦環、美空ひばり、その他までチェックしていますので、厳しく評価しています。この歌、ちょっと聴いた感じでは簡単な民謡調に聞こえますが、実際は冗談じゃなく歌手の実力を露わにする難曲です。