宇宙家族ロビンソンの”The Colonists”

宇宙家族ロビンソンの”The Colonists”を観ました。ちょっと安っぽいけどそれなりに楽しめたお話でした。ロビンソン一家が遠隔地を結ぶ通信装置を組み立てていた時に、その機器がすべて何かの音波で破壊されます。そして現れたのがどこかの星のアマゾネスのような女戦士でした。その星では女性だけが偉く、男はみな奴隷です。ロビンソン一家は全員捕まり、女性は結構な待遇を受け、男性は皆、その戦士の仲間がやって来た時に、呼吸をこの星の大気に合わせるアーチ型の装置の建設をやらされます。ここで例によってドクター・スミスがアーチに絵や彫刻を施し、自分は芸術家であるとアピールします。女性は芸術家に弱いという当時の(今でも?)偏見通りに、ドクター・スミスは女戦士の慰み者の地位を獲得します。ロビンソン一家の男たちは何とか反乱を試みますが失敗します。ただウィルとロボットだけがドクター・スミスがこっそり助けてくれたお陰でフォースフィールドの外に出ることに成功し、プラスチック爆弾を持ってきて、ドクター・スミスが作った天使の彫刻をプラスチック爆弾製にすり替えます。そして見事にアーチを爆破することに成功し、女戦士の仲間は着陸寸前で引き返して行きます。女戦士は女王から処罰を受け、「これからは子供を育てたり、食事を作ったり、洗濯や掃除をしなければならない」と嘆きます。しかし、これを観た当時の主婦の人とかはあまりいい感じはしなかったのではと思いました。逆フェミニズムのドラマみたいで。

宇宙家族ロビンソンの”Revolt of the Androids”

宇宙家族ロビンソンの”Revolt of the Androids”を観ました。冒頭にルビーを食べる雪男が出てきますが、これは原子力潜水艦シービュー号のキャラの使い回しです。しかしこのキャラは本筋にはまったく関係無く、今回は以前宇宙のデパートの自動販売機から出てきたVerdaというアンドロイドが再登場。このアンドロイドは人間性を身につけてより高級なアンドロイドに進化したためロビンソン一家は対価は払わず、Verdaはデパートに引き取られてという話でした。しかし今回Verdaは何かやったのかデパート側に追われていて、彼女を追ってデパート側から破壊用アンドロイドが送られて来ます。まあ人造人間キカイダーの破壊を使命とするハカイダーみたいなものです。その破壊用アンドロイドは出来損ないのスーパーマンみたいな格好ですが、ビルをひとっ飛びも出来ず、機関車を止めることも出来ません。おまけに着陸した時にどこかが壊れていて本来のパワーが出せません。Verdaは自分は人間であるとうまくごまかし、破壊用アンドロイドをある意味骨抜きにします。しかしデパート側は新たなアンドロイドを送ってきて、結局新旧アンドロイドの戦いになり、古い方が何とか勝ちます。Verdaと旧アンドロイドは追跡の手を逃れて別の無人の星に移住して終わりです。まあまあ楽しめる話でした。

宇宙家族ロビンソンの”Treasure of the Lost Planet”

宇宙家族ロビンソンの”Treasure of the Lost Planet”を観ました。第1シーズンで登場した宇宙海賊のタッカーが再登場します。第1シーズンの時は元々地球人でエイリアンに拉致されて海賊になって、とそれなりに真面目な説明がありましたが、今回のはほとんどお笑い調です。タッカーが探している、ビリーボーンの宝というのが、ビリーボーンの星は何にでも金銀を使っているということで、ウィルが賢くもそれならビリーボーンの宝は金銀ではないのでは、というもっともな推測をし、結局その通りでお宝は単なる鉄屑だったというオチです。ロボットは今回は調子が悪くてほとんど活躍しません。昔、子供雑誌の通販で「大仏の首」という鳥や昆虫のオス・メスを当てるというミステリーグッズがありましたが、今回ロボットの首が登場し、その頭が向く方向にビリーボーンの宝があるという良く似た感じのものでした。途中トラップが2箇所もあって欲をかいたものが犠牲になるというお話です。まあ第2シーズンらしいナンセンスな話ですが、海賊のタッカーのキャラクターはなかなか面白くて楽しめました。

宇宙家族ロビンソンの”The Cave of the Wizards”

宇宙家族ロビンソンの”The Cave of the Wizards”を観ました。この辺りひどい話が多いシーズン2の中ではかなり良く出来た話で楽しめました。ただ、原子力潜水艦シービュー号のキャラが沢山出てきた(化石男、宇宙から来た巨大脳、ミイラ男など)には辟易しましたが。ドクター・スミスが岩石採集の時に突然爆発に遭遇し頭を強く打ち、自分の名前も忘れてしまいます。やがてエイリアンの出すビープ音に操られて洞窟に誘い込まれます。そこには宇宙をかつて支配していたドラコニアンの一族のマシンがあり、それらを統率し、ドラコニアンの過去の知恵を集約する人間を求めていて、それにドクター・スミスが選ばれたものです。ドクター・スミスはついうっかりエイリアンのメダルと帽子を身につけすっかりエイリアンに操られてしまいます。一方でロビンソン博士とドンはいよいよジュピター2号の修理と燃料の採取が終わり、この星から飛び立とうとしていました。一度は博士とドンはドクター・スミスとロボット(エイリアンに金色にされ、ゴールデンボーイと名乗っている)を連れ戻しに行きますが、無駄でした。しかしウィルは諦めきれず一人で二人を連れ戻しに行きます。それでもドクター・スミスはウィルの願いをはねつけますが、ウィルがこれまでの楽しかった思い出を話し、それによってドクター・スミスの感情が復活し、エイリアンの催眠術が解けて、という話です。結局一家はこの惑星を出発出来ませんでした。

宇宙家族ロビンソンの”Rocket to Earth”

宇宙家族ロビンソンの”Rocket to Earth”を観ました。今回は魔法使いが登場です。とにかくSFとある意味正反対の者が次から次に登場します。最初はドクター・スミスにしか見えなかった魔法使いが実は洞窟の中に住んでいることが分かります。彼はロケットを持っていて、ドクター・スミスがまた例によってうまくごまかしてそのロケットを使って地球に戻ろうとします。実は魔法使いの側もドクター・スミスを騙していて、そのロケットに積まれていたのは宇宙用の花火ではなく核ミサイルでした。手違いでウィルも一緒に乗ったロケットは地球に向かいます。しかし地球から未確認ロケットとして確認の通信が来ても、こちらから返答することが出来ません。それなら花火を出せば敵では無いと分かってくれるとドクター・スミスは考え、それを打ち出すと実際は核ミサイルですから、すっかり地球側からは敵のエイリアンとみなされ、地球からミサイルが飛んできます。ウィルがロケットを何とか反転させて元の星に戻ります。しかしこの話別に魔法使いでなくて他のエイリアンでも良かった筈ですが、もうすっかりそういうカラーの番組になってしまっています。

宇宙家族ロビンソンの”The Space Vikings”

宇宙家族ロビンソンの”The Space Vikings”を観ました。何とブリュンヒルデが「ハヨトホ ハヨトホ」と叫びながら登場。いいのか。でもワーグナーと北欧神話がゴチャゴチャになっていて、雷神はドンナーではなくトールです。何故かそのトールの手袋とハンマーがドクター・スミスの元に降ってきて、ドクター・スミスはトールと決闘しなければならなくなります。もちろん腕力でかなう筈がないので、ドクター・スミスは言葉巧みにごまかして、トールをすっかり弱気な男にしてしまいます。そうした所に巨人族が攻めてきて、唯一の頼りのトールはドクター・スミスのお陰で腑抜けになって…というお話です。例によって無茶苦茶ですが、でもまあそれなりには楽しめました。もうこの辺り何でもありですね。このブリュンヒルデを演じている女優は後でアーウィン・アレンの奥さんになったそうです。

宇宙家族ロビンソンの”Mutiny in Space”

宇宙家族ロビンソンの”Mutiny in Space”を観ました。解説本によると映画の「バウンティ号の反乱」の低レベルのパロディーみたいです。というかやってくるエイリアンが皆なんらかの地球の人間の格好をしていて英語も最初から喋る、というのが暗黙ではなくて公然の前提になってしまっていて、SFらしさがまるで無くなっています。元の映画を知っていれば多少は楽しめるのかもしれませんが、そうじゃないと本当に観ているのが馬鹿馬鹿しくなる子供だましのレベルで、シーズン2の低レベルのお話の典型です。唯一楽しめたのは例のドクター・スミスのロボットへの罵倒語が今回は7、8種類くらいも沢山出てきたこと。

宇宙家族ロビンソンの”The Toymaker”

宇宙家族ロビンソンの”The Toymaker”を観ました。以前一度登場した、宇宙のデパートの自動通販マシンが再度登場します。前回は女性アンドロイドが出てきましたが、今回は逆にドクター・スミスとウィルがマシンの中に吸い込まれ、二人とも売り物のオモチャとなってしまいます。二人が飛ばされた世界はオモチャの倉庫で、そこで不思議なオモチャ作りの職人がいて、二人をオモチャだと思い込みます。二人は倉庫の窓から地球の丁度クリスマスの様子を眺め、何とか脱出しようとします。(本来はクリスマスシーズンに放送される筈だったみたいです。)脱出は失敗しますが、ロビンソン博士とロボットが二人を救出しに来ます。ロビンソン博士は言葉巧みに、助けてくれたらロボットのようにゼンマイではなく太陽電池で動くオモチャの作り方を教えるといってオモチャ職人を味方に付けます。オモチャの倉庫の世界がちょっと面白いですが、ストーリー的には子供向けという感じです。ドクター・スミスがピエロとしてアンドロメダの子供たち(身長が23m)に売られそうになるのがちょっと笑えます。

宇宙家族ロビンソンの”The Qesting Beast”

宇宙家族ロビンソンの”The Qesting Beast”を観ました。
Jon Abbottのアーウィン・アレンのTV作品の解説本に、「宇宙家族ロビンソンの全話の中でもっとも駄目な話の一つ」とあります。まさにその通りで、ある「宇宙の騎士」(テッカマンではない)が、40年間グンダマーという火を吹く竜を追いかけているのですが、その竜と騎士の服装が、まるで「おはよう子供ショー」といった感じで、きわめてチープの子供だましという感じです。それでもちょっと面白いのは、最初はウィルが騎士にあこがれていて色々学ぼうとしていたのを、途中からただの嘘つきだと思うようになり、きわめてシニカルになってしまうことです。それに対しドクター・スミスが今回は何故か珍しくいい役で、ウィルに対してそんなシニカルな態度は早すぎる、と説教し、騎士を焚きつけて竜が隠れている洞窟を教えて対決させます。でも結局この竜と騎士はある意味なれ合いの遊びでずっと追いかけっこをやっていたことが最後に暴露されます。何だかなあ、です。

「原子力潜水艦シービュー号」のWikipedia記事の移設

引用

Wikipediaでの「原子力潜水艦シービュー号」の項に対し、現在公開されている版の約3倍の量の内容を私が追加したり書き換えたりしていたのですが、例のWikipedia自警団との争いの時に、IPアドレスでの匿名の奴が私の書いた部分を全て削除するという暴挙に出ました。Wikipediaの管理者によってそのIPアドレスはブロックされて元に戻されたのですが、今日見たらその直後また別のIPアドレスで削除されていました。(間違いなく同一人物の仕業です。)もうWikipediaの編集とは縁を切ったので、私が書いた部分を使って記事を全部書き直したものをここで公開します。両方見ていただければどちらが優れた記事かは一目瞭然だと思います。
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原子力潜水艦シービュー号(原題:Voyage to the bottom of the sea)

『原子力潜水艦シービュー号』(げんしりょくせんすいかんシービューごう、Voyage to the Bottom of the Sea)は、1961年のSF映画『地球の危機』を監督であったアーウィン・アレンが映画のセットをそのまま活用して1回60分の連続テレビドラマに再構成したものである。

1964年から1968年まで、アメリカABC系列で4シーズンにわたり110話が放送された。第1シーズンはモノクロで月曜日の夜19時半からの放送だったが、視聴率が良かったため第2シーズン以降はカラー放送で日曜日の19時からの放映になった。日本では、1964年から1965年まで、NET(現テレビ朝日)で「原子力潜水艦シービュー号」のタイトルで第1シーズンのみが放送され、第2シーズン~第4シーズンは1967年から1969年にかけて、東京12チャンネル(現テレビ東京)で「原潜シービュー号 海底科学作戦」というタイトルで放送された。(そのためか、現在日本で発売されているDVDは第2~第4シーズンのみである。)

概要

シービュー号は、ネルソン海洋調査研究所(N.I.M.R:Nelson Institute of Marine Research)の所長、ハリマン・ネルソン海軍提督が設計し建造した、最新の技術を集めた海洋調査を主目的とする原子力潜水艦。第1話で暗殺された初代艦長に替わり、ネルソン提督と海軍で一緒に働いたことがあるリー・クレーンが艦長に就任。海洋調査の他、軍から命じられた諜報活動から、巨大な海の怪物や地球を侵略しようとするエイリアンとの戦いまで、海にからむあらゆる任務に挑むというストーリーである。

映画版とTV版ではストーリーの連続性は無く、映画版と同じ事がTV版の第2シーズンのエピソード18(The Sky’s on Fire 邦題:「燃える南半球」)で起こっているが、途中経過も結末もかなり異なっている。映画版でネルソン提督を演じたのは、「禁断の惑星」でモルビウス博士を演じたウォルター・ピジョンである。コワルスキー役のデル・モンローのみが両方で同じ役を演じている。TV版でのシービュー号内部のセットは映画で40万ドルをかけて作られたものをそのまま利用しているため、低予算のTV番組でありながら豪華なセットとなった。固定されたセットと登場人物を使い、毎週色々な事件に遭遇していくというスタイルは、スタートレックを始めとする後のSF番組にも影響を与えた。

時代設定は放送時から見て、大体10~15年後ぐらいとなっている。

本ドラマのシービュー号のクルーには女性がいないが、これはアーウィン・アレンがリアリティを追求し当時の現実の潜水艦の乗員には女性がいなかったことを反映している。(歴史的にはディーゼルエンジンの潜水艦の中はエンジンの発する熱でかなり暑いため(冷房はあってもどちらかといえば機器を冷却するためであり、また無音航行時は当然空調は切られる)、乗員は上半身裸で勤務している場合があり(ジェリー・アンダーソンの「謎の円盤UFO」に登場する潜水艦スカイダイバーでは、クルーは男女とも裸の上に網目状のシャツを着用している)女性が参加出来るような環境ではなかった。また同時に艦内のスペースが限られているため女性専用のトイレやシャワールーム用更衣室を備え付けるのが難しかった(ほとんどの場合更衣室自体が存在せず通路に脱いだ衣服を置いてシャワールームを利用した)という事情がある。一般に世界の軍隊で女性の潜水艦乗組員が認められるようになったのはようやく2010年頃からであり、日本の自衛隊については、女性の潜水艦乗組員を認めたのは2018年12月になってからである。)

当初のターゲット視聴者は男性の20代・30代であったので、TV局側は毎週ゲスト女優を登場させることを要求したが、アーウィン・アレンは女優の扱いが上手くなかったため、女性がまったく登場しない回もいくつかある。

また全編を通してアフリカ系アメリカ人が登場しないが、これはこのドラマに限ったことではなく、1964年公民権法が成立する前のアメリカのTVドラマではごく普通のことだった。こうした状況が改められるのは公民権法後の1966年スタート後である。なお本作品のゲスト俳優には、ジェイムズ・ダレン(タイムトンネルのトニー)、ホイット・ビッセル(タイムトンネルのカーク所長)、ジョン・ザレンバ(タイムトンネルの老科学者スウェイン)、ジューン・ロックハート(宇宙家族ロビンソンのモーリーン・ロビンソン)など、他のアーウィン・アレンの1960年代のTV作品に登場する俳優が多く登場している。

アーウィン・アレンは低予算で視聴率の良い番組を作ることでは右に出る者はいなかったが、そのためにシービュー号の航行や戦闘などの特撮シーンは、何度も使い回されている。映画「地球の危機」からの流用シーンも多い。特に目立つのは、北極海でシービュー号が氷の間から飛び出すように海面に浮上するシーンである。その他の映画からの流用も行われ、中でも同じアレン制作の「失われた世界」のシーンも何度も使用されている。というか 第1シーズンのエピソード7は、後半はほとんど映画「失われた世界」そのままである。但し映画はカラーでTVは白黒である。クレーン艦長役のデヴィッド・ヘディソンが「失われた世界」でも新聞記者役で登場しているため、このような使い回しが可能になった。なお、「失われた世界」の通称「トカゲ恐竜」(トカゲやイグアナ、ワニなどに飾りを付けた恐竜)はアーウィン・アレンの1960年代の4つのTVシリーズ(「原子力潜水艦シービュー号」「宇宙家族ロビンソン」「タイムトンネル」「巨人の惑星」)のすべてで使い回されている。


本シリーズは、当初は当時の冷戦の激化を反映し、ソ連や中国や東欧諸国を想定している敵国の陰謀と戦うという話や、核戦争危機に関するシリアスな話が多かった。第2シーズンに入ると007映画のヒットに始まるスパイ・ブームの影響を受け、外国などのスパイが艦内に潜入したり、乗組員が諜報活動に従事したりする話も多く作られた。やがて予算の削減と子供向けをより意識するようになったこともあって、宇宙人や怪物などが毎週登場する「今週の怪物」路線が多用された。怪物は海洋の巨大生物ばかりでなく、ドイツの(第1次世界大戦時の)Uボート艦長の亡霊、狼男(2回登場)、人魚と半魚人、蘇生したミイラ、妖精、白いゴリラ、岩石男など、さまざまなパターンが登場し、最新鋭の潜水艦の中を舞台とする意味がほとんど無い話が特に第3・4シーズンで多い。クレーン艦長役のデヴィッド・ヘディソンは、例えば映画「失われた世界」の時でも、名優クロード・レインズ(チャレンジャー教授役)にろくな演技もさせないで、恐竜が主体の映画を制作したアーウィン・アレンに批判的であり、こうした路線が一時的に視聴率的には成功しても、役者にとっては非常に苦痛であったと述べている。ヘディソンはアーウィン・アレンは良いセールスマン、良いプロデューサーであったが良い監督では無かった(役者の使い方がまるで駄目)としている。結局、この路線転換は却って視聴率の低下を招き、第4シーズンで特に最終回的なストーリーも無く中止が決定された。


シービュー号の諸元

ハリマン・ネルソン提督の設計した、最新鋭原子力潜水艦。艦内は3階構造。正式名称は、S.S.R.N. Seaview (Submarine Ship Research Nuclear Seaview)。全長406フィート(124m)、全幅77.5フィート(24m)、全高64フィート(20m)。(シービュー号のサイズについては他に諸説あり。現在残されている撮影用のミニチュア数種の縦横高さのサイズ比が微妙に違うからである。)潜行時の最高速度は推定で40ノット(74Km/時)超。圧壊深度は4,500フィート(1,372m)程度。(深度計のレッドゾーンは4,000フィート~5000フィートになっている。現実の原潜の圧壊深度はせいぜい600メートル程度。)艦首は透明な観測窓となっているが、非常時には観測窓の内側にシャッターが下り、さらに艦首部と操縦ルーム間が可動式の隔壁で分離される。

所属としては軍属ではなくあくまでも民間機関であるネルソン海洋調査研究所の所有物である。第1話では「水に浮かぶ最強の兵器(the mightiest weapon afloat)」として紹介されている。(しかし「最強の兵器」と呼ばれる割りには、敵から何かの攻撃を受けると、艦が左右に激しく揺れそれに伴いほとんどいつも艦内の装置が火を吹き火災が発生する。また、マシンルームにあるメインの制御装置は多くの回路がキャビネットにすら入っておらず剥き出しであり、しばしば中に入り込んだエイリアンや敵のスパイによって簡単に破壊されている。)またアメリカ軍から軍事的任務の委託を受けており、民間所属の潜水艦でありながら戦略兵器であるポラリス型核ミサイルを装備している。

母港は、ネルソン研究所のあるサンタバーバラであり、研究所の地下500フィート(152m)の所に発着ポートがある。

第2シーズンからの番組のカラー化に伴い改修がなされ、観測窓が1列になった。また、艦首下部にフライング・サブを収納するスペースと、さらにその下部に発着口が作られた。

なお、原子力潜水艦であるので当然原子炉を備えているが、第2シーズンまではエンジンルームのシーンは一度も登場せず、放射能危険の表示すら出てこない。それが第3シーズン以降は一転して何度も登場する。しかしながら、クルーが放射線防護服も着用せずエンジンルームに入ったり、制御棒を素手で扱ったりと、ありえないようなシーンが複数の脚本家によって書かれている。(放映開始当時、原子力潜水艦は最高軍事機密であり、その内部に関する情報は公開されていなかった。現在の米国海軍の原子力潜水艦を含む原子力船は通常の原子力発電所と同じ加圧水型の原子炉を使っている。)

シービュー号の主要装備

魚雷発射管:4門。但し各回によって艦前方に発射したり、後方に発射するケースが入り交じっており、発射口の正確な位置は不明。(フォックスが発表しているシービュー号の青写真では発射口は後方。第4シーズンのエピソード9では、4門ある魚雷の内、1番と3番を後方から追走する敵潜水艦に対し発射し、2番と4番を前方の敵の潜水艦基地に対して発射するという離れ業(?)を演じている。しかし魚雷の装填口は4門が正方形に配置されており、2本ずつ前後に発射出来るようにはとても見えない。)相手の潜水艦の熱を感知して追走する熱感知魚雷や超音波魚雷を備える。第4シーズンのエピソード13では核弾頭魚雷も使用された。敵のエージェントなどによって艦内に仕掛けられた爆発物を艦外に放出するためにも何度か使われている。

ミサイル発射管:16門。ポラリス型核弾頭ミサイルを発射可能。戦略核ミサイルの発射にはまずアメリカ大統領が「戦争」を宣言した後、ネルソン提督とクレーン艦長を含む4人が持つキーで4箇所のロックを解除して、なおかつ発射ボタンを押すのに大統領の最終許可が必要であると説明されている回と、そういうフェイルセーフシステムがまったくなく発射可能な回とが入り交じっている。またこの発射管から宇宙船を打ち上げるという回も存在する。その他、航空機に対する迎撃ミサイルも存在する。

高圧電流:シービュー号に海の怪物等が接触した場合には、艦の外殻に原子力エンジンで発電した高圧電流を流して撃退する、というストーリーが数回存在する。

レーザー光線:第1シーズンではシービュー号は近接した敵には高圧電流以外には攻撃手段が無い(近距離で魚雷を使用すればシービュー号自身も爆発のダメージを受ける)状態だったが、第2シーズンでフライング・サブが登場すると同時に、艦首から発射できるレーザー光線が装備された。

ミニ・サブ:2人乗り小型潜航艇。気密性はなく、潜水服着用で搭乗する。フライング・サブの登場で、あまり使われなくなった。これに爆薬を積んで敵の潜水艦を攻撃するのに使われた場合もある。

フライング・サブ(FS-1、FS-2):第2シーズンからカラー放送になり、また日曜日の19時からという子供も多く観る時間帯になったため、テレビ局からより一般受けする工夫を依頼され、アーウィン・アレンが考案したもの。気密性を持つマンタ形の小形潜水艇であり、潜水状態から海面に浮上しそのまま飛行出来、また逆に飛行状態からそのまま潜水に移る能力を備える。水中での最高速度は60ノット、空中での最高速度はマッハ2。艦首下部の格納庫から発進する。原則的に2人乗りだが、それ以上の人が乗っているシーンも存在する。シービュー号本体と同様、レーザー光線を発射出来る。シービュー号よりはるかに高速で移動出来るため、ストーリーの幅が拡がった。

潜水球(ダイビング・ベル):主にシービュー号やフライング・サブで潜行不可能な深海の探索用の球形の小形潜水装置。シービュー号本体から、ワイヤーで下ろされる。海底で座礁した潜水艦の乗組員の救助用にも使用される。

コンピューター:操舵室に、如何にも1960年代的な汎用コンピューターが2台装備されている。単純な計算や分析、暗号通信の解読を行うだけでなく、時にはシービュー号の危険を回避する方法をクレーン艦長に教えたりしている。

エスケープハッチ:ダイビングギアを着用して水中に出るための出入り口。ミサイルルームの中にある。第2シーズンから注水した際の水位計にカラーのボールが追加された。

登場人物とキャスト

ハリマン・ネルソン提督:リチャード・ベースハート(声:黒沢良、家弓家正)
ネルソン海洋調査研究所の所長であり、シービュー号の設計者兼最高責任者。同時にアメリカ海軍で提督でもある。天才的な科学者で、しばしば極めて短時間で新規の装置を作り上げている。科学を重視する余り、時にはシービュー号のクルーを危険にさらしクレーン艦長と議論になるストーリーも存在する。家族は実の妹が一人いるだけである。第2シーズンの最初の方では、ジェームズ・ボンド並みのスパイ活動も行い、女性との濡れ場も演じた。先祖には奴隷貿易で巨利を得た者がいる。ネルソン提督を演じたリチャード・ベースハートは、1956年制作ジョン・ヒューストン監督、グレゴリー・ペック主演の映画「白鯨」にもイシュメイル役で出演した名優である。(なお、第1シーズンのエピソード14は巨大な鯨に自分の息子を殺された科学者がシービュー号を使って復讐しようとする白鯨もどきの内容である。)

リー・クレーン艦長:デヴィッド・ヘディソン(声:田口計、納谷悟朗)
第1話でシービュー号の初代艦長ジョン・フィリップが某国により暗殺されたため、ネルソン提督から召喚されアメリカ海軍を離れ、シービュー号の艦長に就任。ネルソン提督とは艦長に就任する前に海軍で一緒に仕事をした経験がある。家族の話は出てこず、おそらく独身ではないかと思われ、ストーリー中では女性とよろしくやっているシーンもある。艦長としてはきわめて有能で、指導力を発揮して数々の危機を乗り越え、クルーから「スキッパー(艦長)」と親しみをこめて呼ばれている。(正式なタイトルはキャプテン。スキッパーは一般的にもっと小規模の船舶の船長のこと。)

チップ・モートン副長:ロバート・ドーデル(声:愛川欽也、二瓶秀雄)
普段はシービュー号の操船指示を担当するが、ネルソン提督とクレーン艦長が不在の際は艦長を代行する。沈着冷静で有能な副官。

 

 

 

カーリー・ジョーンズ:ヘンリー・カルキー(声:諏訪孝二)(ヘンリー・カルキーは1965年に死亡しており、第1シーズンのみの登場)
ミサイルルームの責任者で、ミニサブの管理も担当する。演じていたヘンリー・カルキーは元ボンバー・カルカヴィッチというプロレスラー。(テレビジョンエイジ、1975年8月号によればルー・テーズやプリモ・カルネラとも対戦経験があるという。)

 

 

フランシス・エセルバート・シャーキー:テリー・ベッカー(声:椎原邦彦)(カーリー役のヘンリー・カルキーの死により第2シーズンより登場)
カーリー・ジョーンズの後任として第2シーズンより登場。ミサイルルームの責任者(チーフと呼ばれている)で魚雷やミサイルの発射ボタンを押す役目を担っている。三枚目的性格でしばしば笑いを取るが、正義感と責任感はとても強く、しばしばネルソン提督やクレーン艦長と一緒に行動し、二人をよくサポートしている。

 

ライリー:アラン・ハント(声:市川治)
シャーキーと同様、第2シーズンから登場。演じているアラン・ハントがベトナム戦争に従軍することになったため、第2シーズンの16のエピソードのみに登場。

 

 

 

コワルスキー:デル・マンロー(声:羽佐間道夫)
ミサイルルームで実務を担当したり、ソナーやレーダーを担当している。実兄はアメリカ海軍におり、深海ダイビングの専門家。名前からしてロシア系アメリカ人と思われ、ロシア語が出来る。エイリアンや蘇った海賊などに操られるという話が多くある。

 

パターソン:ポール・トリンカ(声:嶋俊介)
艦内の様々な実務に従事。父親はTVのカメラマン。致死量の放射線を浴びて死にかけたり、銃で撃たれたりと損な役回りを演じることが多い。

 

 

 

スパークス:アーチ・ウィティング(声:緑川稔)
シービュー号の無線担当。外部との通信という重要任務担当のため、侵入した外敵から襲われることが多い。

 

 

 

 

ドクター(艦医):リチャード・ブル(声:千葉順二)
シックベイ(医務室)で、乗組員の怪我や病気の治療を担当するだけでなく、時には新しいウィルスのワクチンまで開発したりする。外部からの侵入者や、何かに操られた乗組員によって暴行を受けることも多い。

 

 

日本語吹替版ナレーター:浦野光

原語版スタッフ
製作総指揮:アーウィン・アレン
製作補助:ポール・ザストゥプネヴィッチ
脚本:全放映リストを参照
監督:全放映リストを参照
撮影:ロバート・J・ブロナー、カール・ゴスリー、ウィントン・ハーチ、サム・リーヴィ、ポール・フォーゲル
特撮:ライル・B・アボット、ハワード・ライデカー
音楽:ポール・ソーテル、レニー・ヘイトン、ハリー・ゲラー、リース・スティーブンス、ヒューゴー・フリードホーファー他

日本語版スタッフ (東京12チャンネルでの放送分)
翻訳:木原たけし/宇都木道子(日本語版第57話~)
効果:東北新社
特殊音響効果:中村忠康
録音:市ヶ谷スタジオ/三栄スタジオ(日本語版第57話~)
調整:前田政信/前田仁信(日本語版第27話~)/笹岡栄太郎(日本語版第57話~)
録音担当:中里勝範(日本語版第19、20、54話)/伊藤敏弘(日本語版第30話)/栗原秀人(日本語版第31、32、53、64、67話)
演出:旭谷暘
監修:福島正実
制作:毎日放送/東北新社/東京12チャンネル(日本語版第57話~)

全放映リスト

別ページにあります。

関連作品

・『原子力潜水艦シービュー号』 : シオドー・スタージョン著、井上勇訳、創元推理文庫(東京創元社) – 映画『地球の危機』のノベライズ版。絶版。

 

 

 

 

 

 

・『深海の宇宙怪獣』(SF名作シリーズ ; 13):スタージョン 作、福島正実 訳、伊藤展安 絵、偕成社、 1968年、 – TV版の「Monster from the Inferno 地獄の使者」と「The Cyborg サイボーグ」のノベライズ。絶版。

目次: 南太平洋の怪物 6 シービュー号出動! 11 ひかる隕石 20 ヘビのような光線 24 クレーン艦長の心配 30 宇宙生物の命令 34 地球人ヲ奴隷ニ! 38 勝ちほこる怪物 46 せまりくるわな 51 もうごめんだ! 58 提督の決意 63 すくわれた艦長 70 成功か蒸発か? 77 ナゼ人間ハ戦ウノカ? 83 サンターバーバラヘ 88 授賞式 94 国際生体工学研究所 99 ウルリッヒの陰謀 105 ふたりのネルソン提督 111 新型電子計算機 116 いがいな味方 120 こちら太平洋艦隊司令部 126 ミサイル発射暗号 130 狂気のトリック 139 さいごの手段 147 あかるい笑い 164 「深海の宇宙怪獣」について(解説) 168

・『シービュー号と海底都市』 : ポール・W・フェアマン著、高橋泰邦訳、創元推理文庫(東京創元社) – 本作のノベライズ版(映画版ともTV版とも違うオリジナルストーリー)。絶版。