原子力潜水艦シービュー号の”The Lost Bomb”

原子力潜水艦シービュー号の”The Lost Bomb”を観ました。この回は色々ロジックの穴はあるものの、このシリーズには珍しい潜水艦 対 潜水艦の戦いというだけで多少は評価出来ます。シービュー号は最先端かつ最強の潜水艦と言われているのに、何故か潜水艦相手に戦う話が非常に少ないです。しかしながら、この回の脚本家は、潜水艦同士の戦いの実際の所をまるで分かっていないようです。一例を出すと、シービュー号はバルカンという国籍不明の潜水艦(というか名前ですぐ東欧諸国のどこかだろう分かってしまいます。それに秘かに行動しているのに、名前を船体に表示しているのもとても変)から魚雷攻撃を受けます。クレーン艦長はそれを回避するのに、右とか左に急舵を切るよう指示するだけです。物語の後半でシービュー号から音波信号が出ていることが分かります。つまりバルカン側はシービュー号の位置を完全に把握している訳ですから、どう回避しようと魚雷が当たらない訳はないと思います。さらに不可解なのは、シービュー号はバルカンに完全に後ろを取られている訳で、普通この体制から魚雷を発射してもバルカンに当てることは不可能です。そういえば、シービュー号の魚雷発射管ってどこにあるのか?ポラリス型核ミサイルの発射口は上部甲板にありますが、もしかすると後部についているんでしょうか。
話はセシウム爆弾という一発で地球の半分を吹き飛ばす新型核兵器をアメリカが海底に設置しようとしていましたが、それを積んだ飛行機がバルカンから攻撃を受け、セシウム爆弾は海の中に落ちます。そのショックから爆弾の起爆装置がアクティベートされ(飛行機の爆発のショックで何故爆発しないのかの説明はありません)、爆弾はカウントダウンを始めます。それをネルソン監督が何とかデアクティベートしようとします。このパターンは過去に何回か出てきました。どうでもいいですが、爆発すると地球の半分が吹っ飛ぶということは同時に地球の最後ですから、この爆弾は使うことが出来ない爆弾です。そんなものを海底に据え付けて何をしようとしているのかもまったく不明です。
バルカンに捕らえられたクレーン艦長とコワルスキーが、牢屋から逃げ出して、バルカンの艦内で暴れますが、これも以前一度あったパターンです。
ともかくもこのシリーズ全体に言えることは、脚本家の全般的な知識がきわめてプアーであることです。科学的な考証もほとんどされていないように思います。

原子力潜水艦シービュー号の”The Plant Man”

原子力潜水艦シービュー号の”The Plant Man”を観ました。William Welchの脚本ではないので多少ましですが、またも陳腐な海の怪物もので、海藻が人間みたいな感じで意思を持って動き始めるというものです。ちょっと変わっているのは、双子の兄弟が登場し、弟が科学者でこの怪物を作り出したのですが、兄の方がそれを悪用して世界を自分の意のままにすることを企みます。双子同士はテレパシーで会話出来て、しかも兄の方が弟に強く命令すると弟は逆らえない、という設定になっているのがちょっと面白いです。しかし、最後に弟が逆らって兄をレーザーガンで撃ち、またネルソン提督は液体酸素か何かを海藻人間に吹き付けて倒す、という、以前もこのパターンあったような気がします。

原子力潜水艦シービュー号の”The Haunted Submarine”

原子力潜水艦シービュー号の”The Haunted Submarine”を観ました。第3シーズンはすべて観たと思ってレビューを書こうと思ってタイトルをチェックしていたら、3話飛ばしていました。それでまた観ているものです。そしてまたあの(ミイラ男や人魚の)William Welchの台本です。しかし、今回はまあまあ楽しめました。そして話の内容が結構「タイム・トンネル」と重なる部分があって、ネルソン提督の先祖(お茶の貿易で利益を上げて、代々のネルソン家の当主で一番金持ちだった人、実は奴隷貿易をやっていたことが最後に暴露されます)が出てきて、というのはタイム・トンネルでもカーク所長の先祖が出てきました。またネルソン提督の先祖が時間を止める能力を持っていて、時が止まったシービュー号の中でネルソン提督だけが動き回れるというのも、タイム・トンネルでトニーが一度1968年のタイム・トンネルの制御ルームに戻りますが、時の穴に落ち込んで時が止まったまま、というのがありました。また、この話は第2シーズンでの、ドイツのUボートの艦長の幽霊がシービュー号とクレーン艦長を狙う話がありましたが、それとほとんど同じで、どちらも「さまよえるオランダ人」伝説をバックにしています。
Welchの脚本でおかしな所は例によって一杯あるのですが、リチャード・ベースハートが現在のネルソン提督とその先祖の二役をうまく演じ分けるのと、シービュー号の中で時間が止まっている時の凍結状態シーンの演技が見物です。

原子力潜水艦シービュー号の”Destroy Seaview”

原子力潜水艦シービュー号の”Destroy Seaview”を観ました。これが何というか超レベルの低かった第3シーズンの最後で、それにふさわしくひどい話です。第1シーズンでクレーン艦長が中国かどこかに洗脳されて、その操られるままに動く、というのがありますが、今回はネルソン提督が洗脳されてシービュー号を破壊しようとします。(クレーン艦長の時の教訓はまったく生かされていません。)例えて言うなら、本物のウルトラマンが(ザラブ星人の偽ウルトラマンではなく)、地球を破壊しようとするのと同じです。こんなストーリがOKならもう何でもありで、シービュー号の世界観みたいなのが無茶苦茶になっています。でクレーン艦長の洗脳の時は一応頭に何か電極みたいなのを付けられて洗脳されるシーンがありましたが、今回はただ洗脳された、というだけで、いきなりクレーン艦長とザイクロンという新しい放射性の鉱石を見つけた博士を爆弾で殺そうとします。その後シービュー号に戻って今度はクルー全員を神経ガスで気絶させ、そしてシービュー号の核エンジンを暴走させてシービュー号を破壊しようとします。第3シーズンではやたらとこの核エンジンがらみの話が出てきます。しかし、暴走を始めた核エンジンをクレーン艦長は放射能防護服すら着用せず止めようとします。結局放射能の怖さというものを脚本家もアーウィン・アレンもまるで理解していないんだと思います。結局最後はネルソン提督がスタンガンで撃たれて洗脳が解けるという、陳腐きわまりない筋書きでした。

三木鶏郎のこと

三木鶏郎(みき・とりろう)ってご存知ですか?戦後に活躍した作曲家・作詞家・放送作家等々のきわめて多芸多才な天才肌の人で、日本で初めてコマーシャルソング(小西六の「僕はアマチュアカメラマン」、TVではなくラジオ用)を作詞・作曲した人です。CMソングでは「明るいナショナル」「キリンレモン」「ミツワ石鹸」「グロンサン」「マルキン自転車」「ルル」「グリコ・アーモンドチョコレート」等々、私の世代でこれらのCMを知らない人はほとんどいないと思います。初期のアニメのテーマソングも手がけ、「鉄人28号」や「トムとジェリー」「遊星仮面」などが三木によるものです。弟子には永六輔や野坂昭如、いずみたく、中村メイコ、なべおさみなどがおり、色んな人材を育てました。
作詞での特長はいわゆるオノマトペの使い方がとても上手い人でした。日本語はオノマトペが豊かなのが一つの特長ですが、鉄人28号の主題歌での「バババババーンと弾が来る、ダダダダダーンと破裂する」とかミツワ石鹸のCMでの「ワ、ワ、ワー、輪が三つ」とかマルキン自転車のCMでの「マルキン自転車、ホイのホイのホイ」とか、枚挙に暇がありません。またほとんどの曲が長調で短調が少ないのも特長です。作曲については大学時代の同期に柴田南雄がおり、自身は諸井三郎に師事した本格派です。TV番組については、1960年代に隆盛を極めるバラエティー番組の元を(ラジオのバラエティーで)作った人と言えると思います。永六輔や野坂昭如は最初はTVの構成作家として活躍し、その2人を育てたのが三木です。

原子力潜水艦シービュー号の”Deadly Cloud”

原子力潜水艦シービュー号の”Deadly Cloud”を観ました。ある海域に発生した巨大な雲から発生する何らかの力で、暴風雨、地震、火山の爆発、そして津波が全世界で連続して発生し、地球の崩壊の危機に。例によってシービュー号が調査に向かい、クレーン艦長が何故か一人でフライングサブに乗って雲の調査に出かけますが、そこでフライングサブがコントロール出来なくなり、クレーン艦長は気絶してしまいます。実は雲はある星から来た金属の体を持つエイリアンが発生させたもので、クレーン艦長はそのエイリアンに支配されてしまいます。クレーン艦長はシービュー号に戻りますが、証拠となるビデオフィルムを焼いてしまいます。シービュー号は雲から非常な高温が出ていることを突き止め、そこに熱検知魚雷を撃ち込んで、その後シービュー号も突入しようとします。しかしエイリアンに操られたクレーン艦長がそれを邪魔します。そうこうしている内にネルソン提督はエイリアンによって雲の中に連れ込まれ、彼らの目的を知ります。エイリアンは、彼らがまだ知らない技術が地球にあると思っていて、それを知るためネルソン提督をわざわざシービュー号に戻します。ネルソン提督はすべての、核を含むミサイルを雲に向かって撃つように命じます。そこでまたクレーン艦長が邪魔をしますが、ネルソン提督はミサイルを手動で発射します。そこでエイリアンが出てきて、核兵器の秘密が分かったので、それを逆用してシービュー号を破壊する、といった事を言いますが、何故か核ミサイルは爆発し、雲は吹っ飛び、シービュー号は至近距離にいた筈なのに何故か平気で、クレーン艦長は正気に戻って良かったね、という話です。前半はそれなりに緊迫感があって良かったですが、後半はもうストーリーになっていない感じです。この話がシーズン3の最後から2番目の話ですが、このシーズン3のあまりのひどさで視聴率は低迷したようで、真剣に打ち切りの話が議論されていたみたいです。そういう中で作られたものなので、スタッフももうやけくそで、今までのシーンをつなぎ合わせて作られたような回でした。

原子力潜水艦シービュー号の”The Wax Men”

原子力潜水艦シービュー号の”The Wax Men”を観ました。またあのミイラ男とか人魚とか半魚人の回の脚本家(William Welch)によるものです。シービュー号が何故かアトランティス大陸の彫像をワシントンに運ぶという訳の分からない任務を与えられますが、実際にはその彫像はシービュー号の全クルーとそっくりな蝋人形で、ピエロの格好をした人間がその蝋人形を操ってシービュー号の乗っ取りを企むという話です。クレーン艦長だけが乗船が遅くなったおかげで蝋人形に入れ替えられずに済みましたが、しかし他のクルー全員が敵です。クレーン艦長はフライングサブで脱出しようとして、機械の故障をトーチを使って修理していた所にネルソン提督の蝋人形がやってきてクレーン艦長を襲います。偶然トーチがそのネルソン提督の蝋人形の顔にあたって溶け、クレーン艦長はそれが蝋人形であることを理解します。蝋人形の方が倒れたので、薬品で気絶させられていた本物のネルソン提督が復活し、二人は原子力エンジンの出力を上げて艦内の温度を高くし、蝋人形を全部溶かしてしまいます。最後に残ったピエロは機関銃で二人を撃とうとしますが、銃弾が安定装置か何かに当たってシービュー号の安定が大きく乱れて、ピエロは高電圧の装置に触れて感電死します。
どうもこの脚本家はあり得ない無茶な状況をシービュー号に持ち込むのが好きですが、正直これ以上出てきて欲しくないです。(そう思いましたが、今資料としている本で数えたら、この脚本家、後8回登場します…トホホ)

原子力潜水艦シービュー号の”Doomsday Island”

原子力潜水艦シービュー号の”Doomsday Island”を観ました。今回はエイリアンの地球侵略もので、まあ人魚とか半魚人とかミイラ男よりはマシですが、問題はそのエイリアンのちゃちさ。ほとんど半魚人と変わりません。これが実際に放映されたのは1967年2月26日です。ウルトラマンは1966年7月から既に放送開始されており、この原子力潜水艦シービュー号の第3シーズンとほぼ同時期です。しかし、ウルトラマンの宇宙人の特撮に比べると、このエイリアンの悲しいほどの安っぽさは何とも言えず悲しくなります。お話は、シービュー号が海図に無い島を探索している最中に海底から巨大な卵を拾います。それが孵化して中から赤いエイリアンが出てきます。例によってエイリアンはシービュー号の中で暴れ、コントロールルームのクルーをどこかに消してしまい、シービュー号を自分達でコントロールしようとします。ここでまたネルソン提督のスーパーマン振りが出て、何故かシービュー号に備えられていたレーザーガンで、エイリアンを倒します。一方フライングサブで島の探索に出ていたクレーン艦長とコワルスキーはエイリアンに捕まります。島にはエイリアンの卵が何百万とあり、それをシービュー号の原子力エンジンを使って孵化させて地球を占領するという計画でした。ご都合主義で何故かフライングサブにもレーザーガンが装備されているのを二人は発見し、フォースフィールドをそれで破壊し、エイリアンの装置も破壊します。ネルソン提督は二人がまだ島にいるのを知っていながら無情にミサイル発射を命じ、島はエイリアン毎吹っ飛びます。しかしクレーン艦長とコワルスキーは泳いで(!)シービュー号にたどり着いて無事、という全てご都合主義ストーリーでした。

原子力潜水艦シービュー号の”No Escape From Death”

原子力潜水艦シービュー号の”No Escape From Death”を観ました。この回の脚本も、ミイラ男や人魚や半魚人と同じ人です。でこの回の特徴は、過去のいくつかの異なる回のストーリーやシーンをつなぎ合わせて、新しい話にしているということでしょうか。シービュー号がある国の海底の研究所の調査に向かっている所に、敵国のものらしい潜水艦が接近してきます。シービュー号はエンジンを切ってやり過ごそうとしますが、向こうも同じことをして、結局かなりの速度を持ったままお互いが衝突し、どちらもかなりのダメージを受け海底に沈みます。そこでエンジン室を含むかなりの部分が浸水し、バラストタンクのポンプも故障して浮上できない、そして艦内の酸素は後数時間分、というのは”Submarine Sank Here”辺りとほとんと同じです。シービュー号の中のエアーダクトを通って修理に向かうのも何回も見たと思いますし、そこでクルーが動かなくなった歯車を動くようにして手をはさまれる、というのもあったように思います。その内カメラで外をチェックして目的だった海底研究所を発見しますが、それは何かによって既に破壊されていました。シービュー号の修理でそれどころではない筈のクレーン艦長以下3人は潜水服を着て海底に出ますが、そこでクラゲの化け物が登場。これも既に前に出てきました。更には3人がクラゲに飲み込まれ、その体内を彷徨うのは、以前ネルソン提督と女性科学者が乗ったダイビングベルが鯨に飲み込まれるという話で出てきました。ネルソン提督は手製のバルブでポンプを修理し海底からの浮上に成功しますが、そこに襲ってきた巨大クラゲをデッキミサイルで撃とうとします。その中には3人のダイバーが飲み込まれています。間一髪という所でシャーキーがクラゲに空気を送り込めば飲み込んだ3人を吐き出すのではという機転で、3人は何とか助かります。

原子力潜水艦シービュー号の”Shadowman”

原子力潜水艦シービュー号の”Shadowman”を観ました。狼男や人魚・半魚人・ミイラ男と来て今度は「影男」です。ですが脚本家は違い、多少はマシでした。シービュー号は今回は何故か6人だけで運行されています。(ネルソン提督、クレーン艦長、チップ・モートン副長、シャーキー、コワルスキー、パターソン)この理由はよく分かりませんが、シービュー号はケンタウリに向けて発射される宇宙探査船のコントロールを行うミッションを持ってランデブーポイントに向かっています。その時突然シービュー号が何かにぶつかりダメージを受けますが、何かの内部に入ってしまったようで、まったく外が見えません。その内影だけの影男、実は正体はケンタウリからやってきたエイリアンが船内に現れます。エイリアンは地球人のケンタウリへの進出を恐れ、探査船をストップしようとします。6人しかいないクルーは、チップ→クレーン艦長→シャーキーの順番でエイリアンにコントロールされるようになり、パターソンはクレーン艦長とシャーキーに撃たれて倒れてしまいます。ネルソン提督は何か良く分からない装置をコワルスキーに作らせエイリアンに対抗します。そして最後はネルソン提督とコワルスキーと傷ついたパターソンの3人がミサイル室に閉じこもりますが、最後はコワルスキーも支配されます。そうなると残ったのはネルソン提督一人ですが、提督はシービュー号を包囲していると思われるエイリアンの宇宙船目がけて何と核弾頭の魚雷を発射します。それでなんでシービュー号が平気なのかが分かりませんが、核爆発のエネルギーは宇宙船が吸い取ったという説明がなされます。相変わらずネルソン提督はスーパーマンで、これまでシービュー号のクルーが何かに操られるというストーリーは何回かありましたが、ネルソン提督が操られるというのはなかったと思います。(狼男になりかけたのはありましたが。)