白井喬二の「先覚者」の連載第1回の分を読了。「苦楽」の昭和23年3月号に掲載されたもの。苦楽の同じ年の5月号には別の作品が掲載されているので、連載といっても2回で完結したのではないかと推測しますが、実際の所は不明です。お話は江戸幕府の手で建造された蝦夷船が、砂金発掘と開拓の目的で北海道に送られます。それに大野木克馬の息子である鉄馬も乗り込んでいましたが、その蝦夷船が品川に戻って来た時に、何故か鉄馬は秘密裏に下船し、姿をくらまします。鉄馬は船内にいた時からつづらを大事そうに抱え込んでいて、中に何が入っているのか船内の人の関心を集めていました。品川で下船する前には、その中身を検めてやろうと船内の人は思っていましたが、その裏をかいて鉄馬はまんまとつづらを持ってどこかに失踪してしまいます。鉄馬の帰りを待ち受けていた克馬は失望します。といった話です。この話も今後の展開が読めません。河出新書の白井喬二の戦後作品集に収録されていない理由も不明です。
白井喬二の「先覚者」
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