本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が羽根直樹9段、白番が佐田篤史3段の対戦です。この碁の最初の焦点は右下隅で白の星に対し黒が右辺からかかり白が三間に高く挟み、黒が三々に入りました。これは定石の進行ですが、黒が隅から跳ね継いだ時に白は継がずに二線に這って受けました。これは最近の流行で先週のNHK杯対局でも出てきました。これに対し黒は最初にかかった石を上に延びて、白に断点を継がせてから下辺へ飛ぼうとしました。しかし白は継ぎは利かされと見て、下辺を曲がって受けました。黒はすぐに切っていき、白は二線をずるずる這って、黒の立派な厚みが出来ました。白は下辺から左下隅に跳ねて左下隅を取りました。しかし取ったといっても攻め取りで後で何手も入れる必要があり、おそらく佐田3段以外に白をもって打ちたいというプロ棋士はいないのではないかと思います。その後の展開は羽根9段が各所で実利を稼ぎ、それに対し白は下辺からの模様で対抗する、という展開になりました。しかし白は上辺で左右に弱石を抱えており、黒はこの上辺の二カ所の白を分断して攻めて、その絡みで下辺を制限すればいいという形勢でした。しかし羽根9段は下辺中央の白石の右横に付けていき、根こそぎ白地を荒らす手段を画策しました。しかし白が上を跳ねて来た時に手を抜いて他を打ちました。結局中央の戦いになり、羽根9段が中央の黒2子を軽く見て、右辺の厚みから下辺を侵略する手を打ちました。これが成功し白地を大きく黒がえぐって、形勢は黒の大差のリードになりました。このまま黒の圧勝かと思われましたが、佐田3段が右上隅に手を付けて来た時に黒は受けないで左上隅の白を攻めました。この結果黒は左上隅で白4子を取り込んで地を増やしました。その後白が右上隅を活きに来た時に、小さく活かせば黒の優勢は変わりませんでしたが、応手を間違え、白に大きく活きられ、黒地がほとんどなくなってしまいました。 こうなると大差だった碁もさすがに逆転気味で、白に半目残りそうな形勢になりました。黒は右上隅で連続している2つの効を全部頑張って1目得しての逆転を狙いました。しかし下辺にもう一カ所半劫があったため、黒の狙いは本来は不発でした。しかし中央の白地の中での黒の劫立てで白は受け方を間違え、白地の中の黒が生還してしまいました。結局黒の中押し勝ちでした。佐田3段にとってはあと一歩で勝ちを逃しました。
NHK杯戦囲碁 羽根直樹9段 対 佐田篤史3段
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