白井喬二の「逍遙の歴史小説論と現代のそれと」を読了。白鷗社の「文藝日本」の昭和28年7月号に掲載された2ページのエッセイ。内容はタイトル通り、白井が昔読んだ坪内逍遙の歴史小説論の紹介と、自分の歴史小説に関する考え方の表明です。坪内逍遙は西洋で歴史小説が盛んになったのが19世紀と言っていますが、ジャブロンカ曰くは歴史学と小説が別のものになったのも19世紀で、その辺りの兼ね合いがちょっと面白いです。また白井は「歴史小説」という場合に、「歴史」と「小説」のどちらに重点を置くべきかということに関し、「小説」だと明確に述べていることは注目に値します。白井の真骨頂は、「フェイク歴史」を作り上げることだと私は思っています。それは悪口ではなく褒め言葉です。
白井喬二の「逍遙の歴史小説論と現代のそれと」
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