NHK杯戦囲碁 許家元碁聖 対 鈴木伸二7段

本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が許家元碁聖、白番が鈴木伸二7段の一戦で、準々決勝最後の対戦です。許家元碁聖の活躍は今さら言うまでもありませんが、鈴木伸二7段は経歴を見るとかなり苦労されてきたようで、たとえば入段の時も2回失敗し3度目にようやく許されています。しかし最近の活躍は素晴らしく、昨年は名人戦リーグに入り一流棋士の仲間入りをしました。しかも現時点でのタイトル保持者の3人に対してすべて勝ち越しているとのことで、これは全棋士中鈴木7段だけではないかと思います。布石は黒が2連星、白が両方小目でした。黒が左上隅に左辺からかかった時、黒はかけて、白はそれに対し出切りを敢行しました。これに対して黒は切られた一子は軽く見て、左辺を重視しました。その後局面が動いたのは右下隅の攻防で白が両ガカリし、黒がツケノビてという攻防で白が右下隅をはねた時黒が受けずに下辺を先着しました。勢い白は右下隅を当てて実利を得ましたが黒が下辺に開き、左下隅の白が薄くなりました。黒は左下隅からの白のケイマの間を分断することを狙っていましたが、白はコスんで受けて、黒は愚形になりますがすぐに出切りを敢行しました。これが厳しく、白はその後をうまく打って左辺と下辺に分断されたのを両方しのぎましたが、左辺の白は完全に治まった訳ではなく、何かと黒の狙いが残る碁になりました。大ヨセに入る前の形勢では地合は若干白がいいかなという感じでしたが、黒は厚みを活かして各所の白に寄り付き、特に上辺の白に対して策動し、何手も手を入れさせて得をしました。こうした寄り付きを積み重ねて、結局最終局面では盤面10目くらい黒がリードということで、白は投了しました。準決勝は今日勝った許家元碁聖と一力遼8段、井山裕太5冠王とい伊田篤史8段の組み合わせになりました。

”Hidden Figures”(隠された数字)(邦題「ドリーム」)2回目

“Hidden Figures”を再度DVDで観ました。素晴らしい映画で2回目でも十分感動的でした。主役の3人の黒人女性も素晴らしいですが、2人の白人男性が格好いいです。1人はケビン・コスナーの演じるキャサリンの上司アルで、キャサリンから「このビルには私のトイレは無いんです!」という叫びを聞き、すぐに行動に移し、「黒人用トイレ」を書かれた表示をハンマーで打ち壊し、「NASAにはもはや白人専用も有色人種用トイレも無い!」と宣言します。
もう1人はアメリカで最初に周回軌道を回って地球に帰還した宇宙飛行士のジョン・グレン。彼は会議でキャサリンの素晴らしい計算振りを見て、心から感動します。そして彼の乗るロケットの再突入点の計算について、IBMのメインフレームが前の日と次の日で別の答えを出して、どちらが正しいかが分からなくなります。アルから電話を受けたグレンはすぐに「彼女に検算させてくれ」と言い、「彼女がOKと言ったら俺は飛ぶよ」と言います。
前に観たときは、キャサリンが何を計算したかが良く分かっていませんでしたが、人工衛星は地球の周回軌道上にある時は楕円軌道を描いており、そこから地球に再突入する際には今度は放物線軌道に入りますが、その軌道の転換が数学(微分方程式)では厳密な解を得ることが不可能なため、キャサリンが古典的な方法であるオイラーの方法を使って、近似的な解を求めることを思いつく、という内容でした。
この映画の邦題は最初「ドリーム 私たちのアポロ計画」でしたが、一部の人から「これはマーキュリー計画の話であってアポロ計画ではない」と言う人がいて、「ドリーム」だけになりました。しかし、アポロ計画は1961年の5月にケネディ大統領によって、「1960年代中に人間を月に送り、無事に帰還させる」という宣言に対して付けられた名前で、広義の意味ではマーキュリー計画もアポロ計画の一部になりますから、決して最初の邦題は間違いではないと思います。実際に最後の方でアルがキャサリンに「月に行けると思うか」と聞き、キャサリンが「もう行ったと思います」と答えるシーンがあります。狭義のアポロ計画は、マーキュリー計画の後、ジェミニ計画があり、その後に行われたものです。更に付け加えると、原題のHidden
Figuresも、映画の中味を見ればこのタイトルは、キャサリンがあるエンジニアの計算を検算するように頼まれたのが、そのエンジニアが黒人女性に自分の計算を検算されるというのが嫌で、中の数字の一部をマジックで塗りつぶしたものを渡しますが、そのことを指していると思います。