宇宙家族ロビンソンの”My Friend, Mr. Nobody”

宇宙家族ロビンソンの”My Friend, Mr. Nobody”を観ました。ペニーが主役の初めての回。一家の中であんまり出来る仕事がなく、何となく邪魔者みたいに扱われているペニーがある日、洞窟の中でこだまのように喋る謎の人格と知り合い、それを”Mr. Nobody”と呼んで、友達になります。しかし家族はペニーが空想の遊びをしているのだと思って誰も信じてくれません。しかし、ドクター・スミスがそのペニーの友達がいる洞窟でダイヤモンドが採れることを発見し、ドンをそそのかしてボリーング装置と爆薬でダイヤモンドを採掘しようとします。(しかし地球上ではないのでダイヤモンドなんてまるで無価値だと思うのですが。)その爆発の衝撃でペニーが倒れてしまいます。それに怒ったMr. Nobodyが大きな地震を起こして…という話です。ロビンソン夫人がペニーのことを理解していることを示そうとして、自分も小さい頃テディベアの中にMr. Noodleという友達がいて…と話してペニーが「テディベアの中に人がいるわけ無いでしょう!」と怒るシーンがちょっと面白いです。

「宇宙家族ロビンソン」でのドクター・スミスのロボット(フライデー)への罵倒語一覧

宇宙家族ロビンソンで、毎回出てくるドクター・スミスのロボット(フライデー)への罵倒語が、いつもあまりにもユニークでかつほとんど聴き取れないし意味も分からないので、一覧を作ってみようかと思いましたが、既にインターネット上にリストがありました。あまりに面白いので日本語訳を付けてみました。罵倒表現ってこんなにあるのかと、実に勉強になります。多分この内のかなりの部分は現在では差別語で放送禁止ではないかと思います。また「裏切り者」とか「シソーラス」とか言っているのは、その時々のフライデーの行動に対して投げかけられたものです。それからほとんどの表現が頭韻を踏んでいるんですよ!おそらく脚本家間で「今週はドクター・スミスにどんな罵倒語を言わせるか」で競合というか遊びがあったのかなと思います。()の中の数字は多分登場回数だと思います。
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Addlepated Amateur (1)(頭の悪い素人)
Addlepated Armorbearer (2)(頭の悪い鎧持ち)
Arrogant Automaton (1)(傲慢な自動機械)
Astigmatic Automaton (1)(乱視の自動機械)
Babbling Birdbrain (1)(おしゃべりの鳥頭)
Babbling Bumpkin (1)(おしゃべりの田舎っぺ)
Bellicose Bumpkin (4)(敵意に満ちた田舎っぺ)
Blithering Blatherskite (1)(くだらないおしゃべりのたわ言)
Blithering Booby (3)(くだらないおしゃべりをする馬鹿)
Blithering Bumpkin (1)(くだらないおしゃべりをする田舎っぺ)
Bookmaking Booby (1)(本作りの馬鹿)
Bow your Bubble (1)(泡だった頭を下げろ)
Bubble-headed Booby (9)(泡だった頭の馬鹿)
Bumbling Birdbrain (3)(どじな鳥頭)
Bumbling Bag of Bolts (1)(どじなボルトだらけの奴)
Bumbling Bucket of Bolts (1)(どじなバケツ一杯のボルト)
Bumbling Booby (1)(どじで間抜け)
Bumptious Braggart (2)(高慢ちきの自慢屋)
Cackling Cacophony (1)(クワックワッと鳴くうるさい奴)
Cackling Canister (1)(クワックワッと鳴くブリキ缶)
Cackling Clod (3)(クワックワッと鳴く馬鹿)
Cackling Coward (1)(クワックワッと鳴く臆病者)
Cackling Cuckoo (1)(クワックワッと鳴くカッコウ)
Calamitous Clump (1)(破滅的な塊)
Cantankerous Cold-hearted Clump (1)(怒りっぽい冷血の塊)
Caterwauling Clod (1)(ギャーギャー鳴く馬鹿)
Cautious Clump (1)(用心深い塊)
Clod-like Collection of Condensers (1)(馬鹿みたいなコンデンサーの集まり)
Clumsy Clod (3)(不器用な馬鹿)
Clumsy Clump (3)(不器用な塊)
Computerized Clod (4)(コンピューター化された馬鹿)
Computerized Clump (1)(コンピューター化された塊)
Confused Compass (1)(混乱したコンパス)
Cowardly Clump (7)(卑劣な塊)
Cumbersome Clod (3)(厄介な馬鹿)
Cumbersome Clump (1)(厄介の塊)
Defective Detective (1)(故障した探知機)
Demented Diode (1)(発狂したダイオード)
Deplorable Dunderhead (2)(嘆かわしい馬鹿)
Despotic Dunce (1)(横暴な劣等生)
Digital Dunce (1)(デジタルの劣等生)
Digitized Dunce (1)(デジタル化された劣等生)
Disreputable Dunce (2)(評判の悪い劣等生)
Dipety Dunce (1)(??の劣等生{dipetyという単語はOEDにも無し})
Disreputable Dunderhead (1)(評判の悪い馬鹿)
Doddering Dunderhead (1)(よぼよぼの馬鹿)
Elephantine Adam (and Eve) (1)(のっそりしたアダム{とイブ})
Ferrous Frankenstein (1)(鉄製のフランケンシュタイン)
Floundering Flunky (2)(もがき苦しむ召使い)
Foolish Fop (1)(馬鹿な気取り屋)
Frightful Fractious Frump (1)(醜悪で気難しく古くさい奴)
Gargantuan Goose (1)(巨大な馬鹿)
Garrulous Gargoyle (1)(おしゃべりな吐水口)
Gigantic Gargoyle (1)(馬鹿でかい吐水口)
Great Goose (1)(でかいガチョウ)
Gregarious Gremlin (1)(小悪魔の群れ)
Hard-headed Harbinger of Evil (1)(石頭の悪の前兆)
Hardware Hyena (1)(ハードウェアのハイエナ)
Hopeless Heap of Tainted Tin (1)(救いようのない汚れた錫の固まり)
Hypotensive Hypochondriac (1)(低血圧の心気症患者)
Ignominious Ignoramus (1)(恥ずべき無知)
Ill-informed Ignoramus (1)(大事なことを知らない無知)
Incompetent Idiot (1)(無能な白痴)
Incompetent Imbecile (1)(無能な痴愚)
Ineffectual Ineptitude (1)(無力な馬鹿)
Inept Idiot (1)(無能な白痴)
Infamous Informer (1)(悪名高い密告屋)
Ingot of Ingratitude (1)(恩知らずのインゴット)
Insensitive Idiot (1)(無神経な白痴)
Insipid Ineptitude (1)(面白みの無い馬鹿)
Iron-born Ingrate (1)(金属製の恩知らず)
Jabbering Jackanapes (1)(たわいも無いことをべらべらしゃべる奴)
Jabbering Jeremiah (1)(たわいも無いことをべらべらしゃべるエレミア)
Jabbering Judas (2)(たわいも無いことをべらべらしゃべるユダ)
Jangling Junkheap (1)(イライラさせるポンコツ車)
Juvenile Junk Pile (1)(未熟なガラクタの山)
Lame-brained Lump (1)(馬鹿の集まり)
Lead-lined Lothario (1)(鉛のライニングの入った女たらし)
Lead-lined Lump (1)(鉛のライニングの入った馬鹿)
Lily-livered Lump (2)(臆病な馬鹿)
Ludicrous Lump (3)(滑稽な馬鹿)
Lugubrious Laggard (1)(陰惨な愚図)
Lugubrious Lecture (1)(陰惨な講義)
Lugubrious Lump (2)(陰惨な馬鹿)
Meandering Mental Midget (1)(蛇行した精神の小人)
Mechanical Meddler (2)(機械のお節介焼き)
Mechanical Misfit (3)(機械のはみ出し者)
Mechanical Monolith (1)(機械の一枚岩)
Mechanical Murderer (1)(機械の人殺し)
Mechanized Maidservant (1)(機械製の召使い)
Mediocre Medical Misfit (1)(二流の医学的なはみ出し者)
Mental Midget (3)(精神的小人)
Mess of Metal (1)(機械の寄せ集め)
Metallic Monstrosity (1)(金属の怪物)
Misguided Mechanical Misery (1)(見当違いの機械の悲惨)
Misshapen Mummy (1)(奇形のミイラ)
Monstrous Mechanized Misguided Moron (1)(怪物のような機械化された見当違いの脳タリン)
Monstrous Mountebank (1)(怪物のような詐欺師)
Nattering Ninny (1)(おしゃべりの馬鹿)
Neanderthal Ninny (2)(ネアンデルタール人の馬鹿)
Negligent Ninny (1)(不注意な馬鹿)
Nervous Ninny (5)(神経質な馬鹿)
Nickel-plated Nincompoop (1)(ニッケルめっきの馬鹿者)
Nickering Ninny (1)(いななく馬鹿)
Noxious Ninny (1)(不快な馬鹿)
Obsolete Oaf (1)(廃止になったのろま)
Oversized Oaf (1)(サイズ超過ののろま)
Parsimonious Puppet (1)(ドケチの操り人形)
Pathetic Pomposity (1)(哀れを誘ううぬぼれ屋)
Pedagogical Pip-Squeak (1)(教育学の俗物)
Plasticized Parrot (1)(可塑化したオウム)
Pompous Pig Squeak (1)(横柄な豚のキーキー声)
Ponderous Plumber (1)(太った配管工)
Pot-bellied Prankster (1)(太鼓腹のいたずら者)
Pot-headed Prankster (1)(マリワナ常用者のいたずら者)
Preening Popinjay (1)(羽繕いするオウム)
Presumptuous Pip-Squeak (1)(出しゃばりの豚のキーキー声)
Presumptuous Popinjay (1)(出しゃばりのオウム)
Pretentious Popinjay (1)(思い上がったオウム)
Primitive Pile of Pistons (1)(原始的なピストンの山)
Pusillanimous Pinhead (2)(小心な馬鹿者)
Pusillanimous Pip-squeak (1)(小心な豚のキーキー声)
Pusilanimous Puppet (1)(小心な操り人形)
Pusillanimous Punka (1)(小心な扇風機{この回、ドクター・スミスはロボットに手動扇風機で扇がせていた})
Quivering Quintessence of Fear (1)(恐怖でブルブル震える質)
Ramshackle Romeo (1)(グラグラするロメオ)
Robust Rock Hound (1)(頑丈な鉱石収集家)
Ridiculous Rigmarole (1)(馬鹿げた無駄話)
Ridiculous Robot (1)(馬鹿げたロボット)
Ridiculous Roue (1)(馬鹿げた放蕩者)
Ridiculous Roustabout (1)(馬鹿げた港湾労働者)
Roly-Poly Rowdy (1)(ずんぐりの乱暴者)
Rusty Rasputin (1)(錆びたラスプーチン)
Sanctimonious Scatterbrain (1)(聖人ぶったそそっかしい人)
Scurrilous Scatterbrain (1)(下品でそそっかしい人)
Sententious Sloth (1)(偉そうなナマケモノ)
Sickening Cybernetic (1)(吐き気を催すような人工頭脳)
Silly Sausage (1)(馬鹿げたソーセージ)
Silly Sloth (1)(馬鹿げたナマケモノ)
Silver-plated Sellout (1)(銀メッキした裏切り者)
Simple Simon (2)(間抜けのサイモン=おめでたい奴)
Tarnished Trumpet (1)(変色したトランペット)
Tin-plated Tinhorn (1)(錫メッキしたはったり屋)
Tin-plated Traitor (2)(錫メッキした裏切り者)
Tintinnabulating Tin Can (1)(チンチン鳴る錫の缶)
Tiresome Thesaurus (1)(退屈なシソーラス)
Traitorous Tin Tabulation (1)(裏切り者の錫の表)
Treasonous Tyrant (1)(反逆の暴君)
Tyrannical Tin Plate (1)(暴君のような錫メッキ)
Unctuous Underling (1)(おべっか使いの下役)
Ungrateful Underling (1)(恩知らずの下役)
Wobbling Weakling (1)(グラグラする病弱者)
Worry Wart (1)(ささいなことにくよくよする人)
以下は追加
Aluminum Canary (1)(アルミのカナリア)
Assassin (1)(殺人者)
Automated Oaf (1)(自動式ののろま)
Bloated Blimp (1)(ブクブクと太ったデブ)
Booby (1)(ケツ)
Bubblehead (1)(馬鹿者)
Bumbling Cracker Barrel (1)(へまばかりしている田舎者)
Bungler (1)(へまばかりしている人)
Chattering Magpie (1)(おしゃべりのカササギ)
Clod (2)(馬鹿者)
Clunker (1)(おんぼろ)
Coward (4)(臆病者)
Cybernetic Simpleton (1)(電子頭脳の馬鹿者)
Cybernetic Septic (1)(電子頭脳の腐った奴)
Dunce (1)(劣等生)
Dunderhead (2)(馬鹿)
Fiend in Tin Clothing (1) (錫の服を着た悪魔)
Fugitive from a Scrapheap (1)(廃棄物置き場からの逃亡者)
Ghoul (1)(墓場荒らし)
Goose (1)(ガチョウ)
Hopeless Heap of Tainted Tin (1)(望みのない汚れた錫の山)
Hulking Mass of Mechanical Ignorance (1)(図体の大きな機械的無知の固まり)
Incompetent Walking Ingot (1)(無能な歩くインゴット)
Judas (2)(ユダ)
Lagger (1)(仮釈放の囚人)
Mealy-Mouthed Rogue (1)(自分の考えをはっきり言わないならず者)
Mechanical Dunderhead (1)(機械仕掛けの馬鹿)
Meddler (2)(お節介焼き)
Metallic Ham (1)(金属のハム)
Mr. Wrong-Way Computer (1)(邪道のコンピューター氏)
Ninny (27)(馬鹿)
Obsolete Piece of Scrap Metal (1)(廃品の金属の廃止になった部分)
Over-Cautious Concoction (1)(注意過剰の作り事)
Overgrown Ninny (1)(育ちすぎた馬鹿者)
Refugee From a Refuse Pile(くず山からの逃亡者)
Silly Goose (7)(馬鹿なガチョウ)
Silly Old Ninny (1)(愚かな年取った馬鹿)
Sniggering Cinder Box (1)(クスクス笑いする燃え殻箱)
Sorry Specimen of Computerhood (1)(哀れなコンピューターフードの見本)
Tin-plated Snitch (1)(錫メッキした垂れ込み屋)
Traitor (6)(裏切り者)
Traitorous Tin-plated Fugitive from a Junkyard (1)(ゴミ置き場から逃げて着た裏切りの錫メッキした逃亡者)
Troublemaker (1)(トラブルメーカー)
Uncultured Clump (1)(教養の無い塊)
You clinking clanking clattering collection of collagenous junk(ガチャガチャ鳴るコラーゲンのジャンクの集まり)

牟田和恵の「部長、その恋愛はセクハラです!」

牟田和恵の「部長、その恋愛はセクハラです!」を読みました。先に紹介した佐々木力氏の本の中に出てくるので読んで見たもの。良くある「セクハラについてのガイドライン」的な本ではなくて、恋愛との境界線にあるような微妙な関係のケースについて非常に良く分析してあって、かなり参考になります。佐々木氏はこの本について序文にある「セクハラ事件のほとんどは映画の「羅生門」(芥川龍之介の「藪の中」)と同じ(証言する人によってまったく話が違う)」を引用しているのですが、むしろ引用すべきは他にあって、この本を読むと佐々木力氏のやったことはやはりセクハラと糾弾されても仕方がないのかな、と思うようになりました。氏の場合、指導教官として指導する立場にあった台湾人の女性を、フランスでの学会のついでに観光旅行に行き、そこである教授をその女性に紹介するから、旅行への同行を提案します。女性は一度承諾するのですが、後からやはり二人だけで旅行するのはまずい、と思い断ります。それに対し佐々木氏が「約束を破ってはいけない」ということで執拗に女性を非難します。この事実の見え方が、佐々木氏側からと女性側からは違っていて、佐々木氏はあくまでその女性を斯界で有名な教授に紹介する善意のつもりで、女性から見ると、それが必要不可欠でもないのに、それを口実に旅行に誘っていると思い、しかも断るとある意味逆上したように道徳論を振りかざしてその女性を非難してきた、ということになります。まあそれでもセクハラについての冤罪がまったく無いとは思いませんが、自分自身男性であって、それ中心の視点に捕らわれているなという部分はちょっと反省しました。

NHK杯戦囲碁 張豊猷8段 対 石田篤司9段


本日のNHK杯戦の囲碁は、高校野球(神奈川決勝)のため、15:30から。黒番が張豊猷8段、白番が石田篤司9段の対局です。石田9段は実に10年ぶりのNHK杯戦出場とのことです。序盤で右下隅で、白のダイレクト三々に黒が2目の頭をはねて、白が受けた後、すぐ斬り込んでいったのが、張8段の新手でした。結局黒が白1子をシチョウに抱えました。白は左上隅でシチョウアタリを打ち、黒が右下隅でAI風に1子を抜かずにふわってかぶせ、白が左上隅を連打する別れになりました。白はその後左辺で黒3子を取りました。その後の折衝で局面が動いたのは、黒が左下隅の白の三々にかかって下辺を拡げて来ましたが、白が受けて黒がさらに押した時に、白は手を抜いて下辺にすべりました。黒はそうすると左辺に割って入ることになり、その結果取られていた黒3子の動き出しが生じました。結果的に地合は白が良く、黒としては左辺で取られていた3子を動き出したことにより中央に浮いた白と、右辺の白の間を裂いて、カラミ攻めにし、どれだけ得を得ることが出来るか、という展開になりました。右辺の白は黒から打ってもギリギリで活きていましたので、黒は右辺の白に利かせてから、左辺の白の急所に置いて眼を取りました。結局、この白が活きるか死ぬかの勝負になりましたが、黒が打ったギリギリの手が奏功し、最終的に白はどうしても二眼が作れず、大石が死に白の投了となりました。張豊猷8段らしい、攻めの鋭さが光った一戦でした。

ハンス・シュミット=イッセルシュテットの30枚組ボックス

ハンス・シュミット=イッセルシュテットの30枚組ボックス(VENIAS)を聴き終わりました。イッセルシュテットのブルックナーとかマーラーを初めて聴きました。それより驚きだったのがベートーヴェンの第9で、1951年12月の北ドイツ放送響との録音です。イッセルシュテットのベートーヴェンというと、なんといってもウィーンフィルとの最初のステレオでのベートーヴェンの交響曲全集が有名ですが、そちらの演奏はきわめて手堅いオーソドックスな演奏でした。しかしこの北ドイツ放送響との録音は、北ドイツ放送響自体(設立された当初は北西ドイツ放送響)がイッセルシュテット自身が一から作り上げた手兵です。そのためなのか、ウィーンフィルの第9と比べるとかなり自由に弾けた感じで演奏しており、「え、これがイッセルシュテット?」という感じがします。同じような話がバルビローリにもあって、ブラームスの交響曲第1番で、ウィーンフィルとの録音は大人しく、手兵のハレ交響楽団との演奏はかなり弾けています。またそのブラームスの交響曲第1番の演奏で、私が200種類以上聴いてベスト1と思っているのは、フルトヴェングラーがこの北ドイツ放送響を指揮した録音です。もしかすると、この演奏はフルトヴェングラーだけの手柄ではなく、北ドイツ放送響の応答性が非常に貢献しているのではないかと思うようになりました。その北ドイツ放送響をそこまで育てたのがイッセルシュテットであり、昔から好きな指揮者ですが、改めてその実力を見直しました。イッセルシュテットはカール・ベームと同じく日本で一番評価されているように思います。(実際にWikipediaの記述はドイツ語や英語のページより日本語のページの方が量が多いです。)

ロナルド・ニーム/アーウィン・アレンの「ポセイドン・アドベンチャー」

ロナルド・ニーム監督、アーウィン・アレン制作の「ポセイドン・アドベンチャー」をようやく観ました。1972年の映画なので私が11歳の時でその時から知っていますが、観るのは今回が初めてです。私の親はあまり映画が好きではなくて、子供の時映画に連れて行ってもらったのは一回だけでした。(その一回は「トラ・トラ・トラ!/フラバー」でした。亡父は子供の時、長崎の諫早にあった逓信省のパイロット養成学校にいたので、亡父にとって真珠湾攻撃は特別の思いがおそらくあり、これだけは観に行ったのだと思います。)アーウィン・アレンは役者の使い方が下手で、トカゲ恐竜とかモンスターとかメカに頼った画面作りの人というイメージがありますが、この作品に限っては別の監督に任せたせいか、人間ドラマの描写が素晴らしいです。特に太っていて10人のサバイルバル組の足を引っ張ってばかりいたベルが実に格好いいです。牧師のスコットがロープを持って水中をくぐってエンジン室に行こうとした時に、途中で倒れてきた鉄板にはさまれて動けなくなります。この時にベルが「私が行くわ!私はニューヨークの水泳大会で優勝しているのよ!(但し若い時)」と颯爽と潜り、スコットを救い出します。そしてスコットに「水の中では私はまだスマートな女性なのよ」と言いますが、その後心臓麻痺か何かで息絶えてしまいます。その助けられたスコットも、最後にスクリュー室に入ろうとした一行を高温の蒸気が邪魔したのを、神に対し「まだ犠牲者を求めるのか!もう一人が必要なら俺だ!」と叫んでバルブを閉めますが、力尽きて火の海へ落下していきます。最後にそのスコットを批判して文句ばかり言っていたロゴが、「あんたは警察官だろう!文句ばかり言っていないでスコットの最後の頼みを実行しろ!」とハッパをかけられて、最愛のリンダを失った悲しみを乗り越えて、一行の最後の脱出を援助します。という風にネタばらししてしまいましたが、古い映画だからまあ大目に見てください。

外国人労働者への支援

以前ここで移民問題についての書籍を何冊か紹介し、日本における外国人労働者のほとんど「奴隷制」ともいうべきひどい状態について書いたことがあります。あれから色々考え、またEigoxのレッスンでアメリカ人の先生にこの問題を紹介したりしました。その調査の過程で知ったある外国人労働者支援の労働組合の仕事を手伝うことにしました。具体的には英語関係で英訳・日本語訳のお手伝い、外国人労働者との面談の際の通訳、社労士としての労務問題のアドバイスなどです。

佐々木力の「東京大学学問論-学道の劣化」

佐々木力の「東京大学学問論-学道の劣化」を読了。この本を読んだきっかけは、先日の折原浩先生の「東大闘争総括」の書評会で、偶然私の左隣に座ったのが佐々木氏だったことです。それだけだったら佐々木氏の名前も記憶することはなかったと思いますが、氏自身が質問に立たれたのと、その氏に対し、おそらくこの本にも出てくる「労働者の力」(第四インター日本支部のなれの果て)の人と思われる人が更に発言し、まず折原浩先生に対し「父兄」という言葉を使ったことを非難しました。折原先生は当時の学生の親から「息子(娘)を大学闘争に巻き込まないで欲しい」と言われたことを語っただけで、当時一般的だった「父兄」という言い方をしただけだと思いますが、そんなことにとがめ立てするPC派が日本にもいるんだ、とちょっと驚きました。さらに続けてその人は佐々木氏の過去の「セクハラ」事件について改めて糾弾し、日本人以外で女性という二重のハラスメントだ、みたいなことを言っていました。(ちなみにこの「労働者の力」が女性問題にこだわるのは、かつて三里塚闘争の時に、ここのメンバーが4人が女性活動家に対して強姦・強姦未遂を起こした、という過去があるからです。やれやれ。)
それで、その「セクハラ事件」の真相について、佐々木氏の言い分はどうなのかを確認したくて本書を読みました。ちなみに後書きは折原浩先生が書かれています。
結論から言えば、被害を主張している台湾からの学生のある意味思い込みによる一方的告発という感じがします。ただ、佐々木氏の方にも誤解を招くような行動が多く、それは善意から成されているのでしょうが、瓜田に履を納れず、的な慎重さに欠けていることは否めません。例えば、この女子学生が深夜に男性から電話がかかってきただけで大騒ぎするようなある意味病的な潔癖症であるのに対し、この女性が病気になった時に、食事を作ってあげるために家にまで押しかけている(佐々木氏自身はお金を出しただけと言っていますが)のは明らかにやりすぎです。しかし、私としてはE・M・フォースターの「インドへの道」を思い出しました。(「インドへの道」はイギリス人独身女性のアデラが婚約者を訪ねてインドへ行き、そこでヒンズー教のセクシャルな石像を多数見てちょっとおかしくなり、インド人男性医師のアジスの誘いでマラバー洞窟に出かけた時、その中で一種のヒステリーを起こして叫びながら出てきてしまいます。その結果アジズがアデラを洞窟の中で襲ったのだということになってしまい、アジスが冤罪で裁かれるという話です。)
そういうことで、被害者(と称している人)から話しを直接聞ける訳でもないので、セクハラの吟味については保留にしますが、問題はその後の東大側の対応の異常さです。おそらく普段から自分の業績について率直に語り、かつトロッキストという佐々木氏に対するある種のそねみみたいなものが存在したのは事実でしょうが、しかしその程度のことでここまでやるか、という思いを禁じ得ません。折原浩先生が東大闘争時の東大側の対応を鋭く批判しましたが、結局体質はその後も変わっていないように思います。(特に法学部)要するに未だにムラ社会そのもので、そこでは村八分的な陰湿なイジメが今でも横行しているということです。
後は悲しい思いをしたのは、東京大学の駒場のレベルの激しい低下です。大学院大学化と大学の法人化はダブルパンチで、駒場だけでなく東大のレベルの低下を促進したようです。もしかすると私が教養学科で学んだ頃(1983年10月~1986年3月)は、教養学科のピークの頃だったのかと正直な所思いました。確かに、折原浩先生だけでなく、廣松渉先生、杉山好先生、中根千枝先生(その当時は非常勤)、野村純一(民俗学)、石井不二雄先生(ドイツ文学、ドイツリート)などなど、錚々たる方々から自由に好きなことを学べた環境というのは本当に素晴らしかったな、と思います。

半揚稔雄著の「惑星探査機の軌道計算入門 宇宙飛翔力学への誘い」

アポロ11号50周年ということもあって、半揚稔雄著の「惑星探査機の軌道計算入門 宇宙飛翔力学への誘い」という本を買ってみました。じっくり読むつもりはありませんが、つまみ読みしてみます。映画「ドリーム」(Hidden Figure)で、人工衛星の地球周回軌道が楕円で、それが大気圏に再突入する時は放物線軌道になることは前に紹介しました。もう一つの円錐曲線として、双曲線がありますが、双曲線は宇宙船が地球から他の惑星に向けて飛び立つ時に双曲線の軌道になるとのことです。面白いですね。

ストレートレザー16本目

すっかり、ストレートレザージャンキーが止まらず、16本目を入手。ClassicShaving.comでのお買い物。An American Razor & Cutlery Co. という会社のHART STEELという製品。クオーター・ハローとありましたが、断面みたらほとんどベタです。ベタ刃はDovoとかThiers-issardのカタログにはありますが、実際には売っていないことがほとんどで、逆にこの会社のようなマイナーメーカーのはベタ刃のことが多いようです。今回、本体以外に、プロフェッショナル研ぎサービスというのも付けて、カリカリに仕上げてもらったものを買いました。その研ぎという点では確かになかなかなのですが、残念ながら剃り具合はイマイチで、顎髭が何度剃ってもツルツルになってくれずに残ってしまいます。おそらく私がまだベタ刃による剃り方を体得していないせいでしょうが。ちなみに、ClassicShaving.comで前回買ったのもそうでしたが、先端部にRを付けていなくて危ないので、砥石で削って自分なりにRを付けてから使いました。