トワイライト・ゾーンの”I Shot an Arrow into the Air”を観ました。アメリカから人類初の8人が乗った有人宇宙ロケットが打ち上げられました。打ち上げは成功でしたが、その後太陽光のフレアか何かで通信に障害が起き、それが回復していた時にはロケットは行く先不明になっていました。その8人はある小惑星らしきものの上に不時着しており、8人の内4人は死に、残る4人の内の一人も死にかけていました。無事な3人の内、コーリーは死にかけた者に水を与えるのは無駄だと言って、上官に逆らいます。その星はひどい暑さですが、一行に残された水は数ガロンだけでした。奇妙なことに太陽は地球から見るのと同じ大きさで、ということは小惑星は地球と同じ軌道中にあることになります。重傷の一人は結局息を引き取り、上官のダンリンはピアソンとコーリーにその星の調査に向かわせます。しかし数時間してコーリーだけが帰って来ました。コーリーはピアソンと別の道を行ったと言い張りましたが、ダンリンはコーリーがピアソンを殺したのでは無いかと疑い、コーリーがピアソンと別れたという場所まで案内させます。そこには怪我をしたピアソンがいました。ピアソンは死ぬときにメッセージを残そうとしましたが、それが何を意味するか分かりませんでした。しかしダンリンがピアソンを介抱していた間にコーリーはダンリンの銃を奪い、ダンリンを殺してしまいます。その後、コーリーは必死に山を登り、水や食物を探しましたが、ようやくたどり着いた頂上で彼が見たのは何と電信柱でした。看板にはネバダ砂漠の中のリーノまで何マイルという看板がありました。ピアソンのメッセージはこの電信柱でした。何の事は無い、一行の乗ったロケットは地球を脱出すらしておらず、元のアメリカのネバダ砂漠の中に不時着しただけでした…
有名な陰謀説で、アポロによる月面着陸は嘘で、あの月面のシーンはアリゾナかネバダの砂漠で撮影されたというのがありますが、それを思い出しました。
月別アーカイブ: 2022年6月
ジョー90の”Big Fish”
ジョー90の”Big Fish”を観ました。おそらくイギリスの原子力潜水艦が敵の商船らしきものを2発の魚雷で沈没させます。しかし海中に潜って次の魚雷を装填しようとした時に、魚雷のハッチが十分に閉まっていなかったため潜水艦は浸水し、二人の乗り組み員は脱出ポッドに入って逃れ、ヘリに無事救助されます。しかし潜水艦が座礁したのはキューバのような中南米の敵国であり、潜水艦が見つかると非常にまずい事態になるため、ジョー90に命令が下されます。ジョーはビッグラットでスキューバダイビングの名人の脳波パターンを与えられ、潜水の名人になります。その国に父親であるマクリーン教授と向かい、釣りであると称して船を借ります。昼間の潜水で潜水艦の位置を確かめたジョーは、夜中にもう一度船を出し、潜水艦の中に潜りこんで潜水艦を動かそうとします。エアーは20分しか保ちませんが、後3分と言うところでジョーはシャコ貝の殻に足をはさまれてしまいます。船にいた教授と現地人の船頭は、やってきたパトロール船に捕まります。しかしジョーはなんとかシャコ貝から逃れ、壊れていた魚雷の発射口から潜水艦の中に入り、潜水艦を無事その国の外の海に動かします。
まあ大したお話ではありませんが、今回使用した脳波パターンはあらかじめライブラリに記録してあったということで、この先おそらくどんなパターンが来ても大丈夫、ということかと思います。なおビッグラットとの通信は今回は眼鏡ではなく、潜水用マスクに仕込んであったという説明です。
オーランド・ファイジスの「クリミア」
オーランド・ファイジスの「クリミア」を読書中。19世紀のクリミア戦争に関する本です。最初日本語訳を買おうとしたら、上下分冊で2冊で14,000円以上するので、英語版を買ったもの。こちらは1,800円です。なんでクリミア戦争の本を読んでいるかというと、どこかで今回のロシアのウクライナ侵攻とクリミア戦争について結構共通点が多いとあったからです。
まだ二割くらいしか読めていませんが、確かに色々と共通点があります。
(1)今回はロシアのウクライナ侵攻ですが、クリミア戦争の直接のきっかけはロシアのポーランド侵攻です。それで欧州での反ロシア機運が盛り上がりました。
(2)今回のプーチンのウクライナ侵攻をロシア国内のギリシア正教会が支持していますが、クリミア戦争の性格は、ギリシア正教会(ロシア)とイスラム教(オスマン帝国他)とカトリック(フランス)とプロテスタント(イギリス国教会)の戦いです。(一種の変形した十字軍。オスマン帝国の首都イスタンブールは元の名前はコンスタンチノープルでギリシア正教における聖地でした。またエルサレムも当時オスマン帝国が支配していました。)
(3)クリミア戦争では、産業革命を経験したイギリスとフランスと経験していないロシアの兵器の差が如実に出ました。今回ロシアの旧態依然の兵器がNATOの最新兵器で撃破されているのはご承知の通りです。
(4)クリミア戦争では、多くのrussophobia(ロシア恐怖、ロシア嫌い)の人がかなりのフェイクな本でロシアへの恐怖感と嫌悪感を煽りました。今はSNS上でフェイクニュースが飛び交っています。
(5)それまでは「光栄ある孤立」を貫いていたイギリスがクリミア戦争には参加しています。今回のウクライナ侵攻にもイギリスはかなりウクライナへ積極的に関与しています。
(6)ロシアの拡張主義。これはクリミア戦争も今回のウクライナ侵攻も同じです。
(7)クリミア戦争当時のニコライ1世とプーチンの強権的政治という共通性。
クリミア戦争は結局勝者無き戦争だったようですが、果たして今回のウクライナ侵攻はどう結着するか。クリミア戦争は結局20世紀の2つの大戦につながりました。そういう意味でプレ世界大戦でした。
トワイライト・ゾーンの”Third From The Sun”
トワイライト・ゾーンの”Third From The Sun”を観ました。1950年代のどこかのアメリカの軍の研究所のようで、水爆を研究していたり、生物兵器を研究したり、物騒なものばかりが基地の中から外に出てきます。その中の二人は「後48時間で」といった不穏な会話をしています。どうやらソ連(?)との最終戦争が今にも始まりそうな感じです。研究者の一人のスタルカは家に戻りますが、何か心配事を抱えているような様子なのを娘と妻に見とがめられます。スタルカは二人に、後一日やそこらでこの惑星は爆発して無くなってしまうため、今晩宇宙船で脱出すると告げます。夜になって同僚のライデンと、宇宙船が置いてある基地に向かいます。そこで合図をして出てきたのは二人の行動を疑っていたスターリングでした。しかし一行はスターリングを殴って気絶させ、ゲートを突破してUFOのような宇宙船に向かい、首尾良くその星を脱出することが出来ました。そして宇宙船の中でスタルカとライデンは移住先の星について話していますが、その星は恒星である太陽から3番目の星で「地球」と呼ばれている星だと言います!つまり、最終戦争寸前だったのはまったく別のエイリアンの星で、人間そっくりな彼らが移住先として選んだのが地球だ、というオチです。30分ドラマとしては見事な構成とひねりでした。
ジョー90の”International Concerto”
ジョー90の”International Concerto”を観ました。イーゴル・スラディックという世界的なピアニストがジョーの家に来てピアノを演奏しています。ジョーの父親はスラディックの脳波パターンを秘かにビッグラットに記録していました。本人に了解無く勝手にそういうことをやっていいのかと思います。スラディックは世界ツアーの真っ最中で様々な国でコンサートを行いましたが、ソ連でのコンサートでは終了後のパーティーでソ連の高官が彼らの秘密基地の移転について話しているのを万年筆型レコーダーに記録してWINに送っています。実はスラディックはWINのエージェントで、世界平和のために協力していました。しかし、スラディックのスパイ行為はソ連にばれ、彼は拘束されます。しかし元々予定されていたライブ放送だけは行われることになります。そこにビッグラットでスラディックのピアノの実力を身につけたジョーが録音現場に忍び込みます。演奏の途中で地下からやってきたWINのサムによりスラディックは連れ出され、マックレーン教授(ジョーの父親)が車で国境線に向かいます。ジョーはスラディックに変わって演奏を続けますが、それはスラディックそのままなので誰もジョーが演奏しているとは気付きませんでした。(スタジオはカーテンで中が見えないようにされていました。)国境線の検問で兵士がスラディックではないかと尋問しますが、マックレーンはラジオを付けて演奏を聴かせ、スラディックは現在ライブで演奏中だということでごまかして国境を突破します。
まあ毎回のことですが、知識や経験がビッグラットで他人に移せるというのはまあいいと思いますが、ピアノの演奏のような肉体的な訓練を必要とするものが簡単に移せてしまうというのは違和感が大きいです。9歳の少年だったら手の大きさも小さく、大人と同じように演奏するのは困難だと思います。
久し振りにJBL4307
NHK杯戦囲碁 上野愛咲美女流棋聖 対 久保勝昭9段(2022年6月5日放送)
本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が上野愛咲美女流棋聖、白番が久保勝昭9段の対戦です。上野女流棋聖は、先日女流の最強戦で優勝し世界一になりました。久保9段は実に18年振りの出場ということで、64歳というお歳ながら、AIを活用することで往年の力を取り戻し、第46期(2021年)の棋聖戦Cリーグで3勝2敗で見事残留を果たされたようです。序盤は両者研究済みと見えて、黒の実利、白の厚みで互角の進行でした。局面が動いたのは、黒が右下隅で付けてハネに切っていった時でした。白は黒に隅を小さく取らせ厚く打って中央に取り残された黒との戦いになりました。黒が白の一団を中央で切断する手を打った後、下辺左の白にカケを打って利かしに行きました。しかし白は中央の黒を切って両アタリにし、上下の白が連絡しました。しかし下辺では元々白の勢力地であった所に黒はそれなりの大きさの地を作って治まり、黒が打ちやすい形勢になりました。非勢の白は黒の唯一の弱石である下辺から延びる石を攻めましたが、黒も強く逆襲し、結局白は中央左の黒を取り、また黒3子も取りましたが、黒は下辺からの一団が右辺につながった結果、右辺も大きな地になり、ここで黒の勝勢になりました。白はその後の打ち方が非勢な割には緩く(例えば左辺の黒の三間開きに打ち込まず、四線から利かして渡らせただけでした)、結局黒の19目半勝ちになりました。
PCL86全段差動プッシュプルアンプー1ヵ月間試聴結果
PCL86全段差動プッシュプルアンプを作って聴き始めてからおよそ1ヵ月が経過しました。ここでこのアンプの音に関して感想をまとめておきます。
(1)定位の良さ、音場の広さ
これはまさに全段差動回路の効果だと思いますが、左右のセパレーションが良く、音像の定位が明確でまた音場も広いです。「カメルーンのオペラ」という長岡鉄男推薦の二本のマイクだけで録音した本物のステレオのSACD(元はレコード、SACDは数年前に発売されたもの)を聴くと、部屋の中がカメルーンの熱帯雨林になり、虫がちゃんと地面で鳴いています。
(2)S/N比の良さ
フルボリュームしても、ハムもノイズもまったくありません。非常に静かです。なので音楽ソースの細かな音が非常に良く聞こえ、聴感上のダイナミックレンジが広いです。これは、全ての電源にショットキーバリアダイオードを使った結果整流ノイズが少ないのと、定電流回路に三端子レギュレーターではなく定電流ダイオードのみを使ったこと、及び配線において要所でツイストペアーを多用したことの相乗効果ではないかと思います。
(3)安定性
1日12時間ぐらい連続して音楽を聴いても、非常に安定しています。発熱も電源トランスのケース上部がちょっと暖かくなるぐらいで全体的には真空管アンプとしては発熱は少ないです。また、PCL86という複合管のおかげで三極管部と五極管(ビーム管)部でヒーターは共用ですので、電源トランスのヒーター用巻線の定格2Aに対し、その6割の1.2Aしか使っていないので、余裕があります。またそのヒーターの駆動も13.4VDCと低めで無理をしていません。
といった所が長所ですが、逆に短所はこれはこの位の出力(3.1W+3.1W)の真空管アンプでは皆そうですが、オーケストラの強奏の所で歪っぽくなることがあるのと、出力音圧レベル88dB/mのクリプトンのKX-1.5ではまったく問題ありませんが、85dB/mのオートグラフminiGRでは音割れが発生します。
ということで、現在までは非常に満足しており、作って良かったと思っています。
なお、同じPCL86を使った超三結アンプも持って来て聴き比べてみましたが、高音の繊細さはそちらが優りますが、低音の締まりは全段差動プッシュプルの方が上で、トータルでは全段差動プッシュプルの方に軍配を上げます。
豊下楢彦の「昭和天皇・マッカーサー会見」
豊下楢彦の「昭和天皇・マッカーサー会見」を読了しました。久し振りに大きな衝撃を受けた本で、またこれこそ「自分の属する階級の上にも下にも嫌がられることを(けど正しいことを)言う」というマックス・ヴェーバーが言う所の「学者の本分」を全うしている本だと思いました。
この本を読み始めたきっかけが、通説のようになっている昭和天皇とマッカーサーの最初の会見で、昭和天皇の「全ての(戦争)責任は私にある。私の身柄を貴方に委ねる。」という発言が、本当はどうだったのか、という興味からです。
結論から言えば、このエピソードのソースはマッカーサーの回顧録だけであり、それは老人になったマッカーサーが自分の過去をある意味脚色して述べているという文脈の中で述べられているもので、事実関係でその回顧録はかなり信憑性が低い、ということを多数の資料にあたって突き止めています。昭和天皇が一度は「自分が退位して責任を取れば治るのではないか」という考え方を持ったのは事実のようですが、しかしそれはおそらく周りの天皇制存続のための論理にかき消され、結局は東条英機や松岡洋右が自分の意思をねじ曲げて戦争に走った、という風になってしまいます。これについては昭和天皇自身がイギリス王室に書いた手紙に出て来るので信憑性は高いです。また終戦までは自分の言ったことをすぐ実行してくれるということで、東条英機を高く評価していたのに、一旦戦犯の中心という風に見なすと今度は不倶戴天の敵のような見方に変わります。その証拠にある時からA級戦犯が靖国神社に合祀されると、それ以来靖国神社への参拝を取りやめ、亡くなるまで一度も行っていません。
更に驚くのは、日本国憲法が制定され、天皇は「象徴」となり一切の政治的な活動が禁じられたにもかかわらず、サンフランシスコ条約の締結時などに、吉田茂他に働きかけ、方針を変更させたりしています。サンフランシスコ条約の時は朝鮮戦争のすぐ後で、対共産圏への前線として日本国内の米軍基地の価値がアメリカにとっても高くなっており、それを利用して対等な立場で基地の設置を認めるということが可能であったのに、昭和天皇が「アメリカにお願いして駐留してもらっている」ということにこだわり、結局アメリカ側の要求を全て受け入れたような形になります。サンフランシスコ条約だけでなく、その後の安保条約締結まで、その陰に昭和天皇が深く関わっていることが、資料調査で実証されます。
個人的に、今さら昭和天皇の戦争責任や憲法違反を蒸し返せ、とは思いませんが、神話というのは古事記や日本書紀が編纂された当時だけでなく、現代においても作り続けられているのだということを分からせてくれた本でした。未読の方は是非一読をお勧めします。
トワイライト・ゾーンの”The Four of Us Are Dying”
トワイライト・ゾーンの”The Four of Us Are Dying”を観ました。アーチ・ハマーはチンケな36歳の男で、これまでいくつもの職を転々として来ました。しかし彼には誰にも真似できない秘かな特技があり、それは自分の顔と体つきを他人にそっくりに自由に変えられるということです。まずは新聞で見た死んだ音楽家であるジョニー・フォスターの顔になり、ナイトクラブで彼の恋人だった女性に近付き、駆け落ちを約束します。次にギャングの親玉で殺されたヴァージル・ステリッヒの顔になり、その親玉を殺したギャングの所に行って金をせしめます。彼はしかしそのギャングの一味に追われますが、路地のどん詰まりで貼ってあったポスターのボクサーであるアンディー・マーシャクの顔になって難を逃れます。しかしそこで彼はある新聞スタンドの男に会いますが、彼はハマー(マーシャク)を自分の息子だと言い、マーシャクがその母親とある女性に対しひどいことをしたことをなじります。ハマーはその新聞スタンドの男をうっちゃってホテルに戻りますが、そこにある探偵がステリッヒの顔になった彼を捕まえに来ます。ホテルの回転ドアの中でハマーはまたマーシャクの顔になり、探偵を振り切りますが、そこにまた新聞スタンドの男が立ちはだかり、彼を銃で撃ちます。彼は死んでいく中で4つの顔に次々になりながら死に絶えた、という話です。
ところで、トワイライト・ゾーンではお話の最初と最後に、ロッド・サーリングという人が登場しますが、最初この人は俳優だと思っていたのですが、実際はこのトワイライト・ゾーンのシリーズを企画した脚本家のようで、彼が自分で書いた脚本も多く使われているようです。SF仕立てにしているのは、そうすると社会批判がやりやすいから、という理由のようです。