本日のNHK杯戦の囲碁は、黒番が羽根直樹9段、白番が林漢傑8段の対戦です。黒は序盤各所で地を稼ぎ、余し作戦でした。上辺の白模様を消しに肩付き白の伸びに一間に飛んだのは、軽く捌こうということだったと思います。しかし白が更に伸びた時、愚直に継いで、更に押さえ込んで行ったのは、強情過ぎで誰が見ても重い打ち方でした。白の右側は非常に厚いため、白に中央から煽られ、結局封鎖されました。白が右辺の穴を出て切りを入れたのが当然とは言え機敏で、結局黒は中央を逃げるのに右上隅の黒を捨てるしか無くなり、白の儲けは30目程度あり、ここで白が優勢になりました。ここで白が下辺で中央に一間トビして備えておけば黒の付け入る隙はなかったのですが、ちょっと欲張って左辺の黒地の形成を妨げ気味にケイマで煽ったのが少し失着で、すかさず黒に下辺に打ち込まれてしまいました。ここの戦いで白は2子を捨てざるを得なくなり、若干黒が挽回しましたが、左側の白が安泰になって弱い石が無くなりました。黒は中央にどれだけ地をまとめられるかが勝負でしたが、2箇所侵入口が開いており、なかなか大きな地には出来ませんでした。最後に白が左辺に踏み込み、左辺の黒を分断し、上下どちらかの黒が取られるということになり、黒の投了となりました。この左辺の決め手が無くても、盤面で白が良い形勢でした。
NHK杯戦囲碁 羽根直樹9段 対 林漢傑8段(2022年9月4日放送)
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