真空管アンプの棚卸しの最後-JB300B Ver.3

真空管アンプの棚卸しの最後、サンバレー(キット屋)のJB300B Ver.3です。一番最初に組立てた真空管アンプです。このアンプのせいで真空管や300Bの音が「甘い」と誤解をすることになったアンプです。まだこのアンプにPSVANE WE300Bを刺して聞いてなかったのでやってみました。悪くは無いですが、音が雑で余計な残響がくっついているような音になりました。このアンプは通電していると、いつ故障するかと冷や冷やします。実際に中のセメント抵抗がグリスが染みだしたようになっていて劣化していますので。かといって今さらこれの部品を総取っ替えして音質向上を目指そうという気にもちょっとなれないです。

P.S. 2時間ぐらい聴いたら演奏中に勝手にフェードアウトして電源のパイロットランプが消えて音が出なくなる現象が出ました。一旦電源を切って何分か後にONにするとまた音が出ますが、その後10分くらいで駄目。おそらく電解コンデンサー辺りが死にかけているのかと。→廃棄することにしました。やはりここの真空管アンプは耐久性に欠けるということがまたも実証されました。

さらに真空管アンプの棚卸し-エレキットのTU-8200R

真空管アンプの棚卸しは続きます。今日はエレキットのTU-8200Rです。元々は6L6GCシングルアンプですが、このアンプはバイアス電圧の自動調整機構が付いていて、まったく調整無しで、KT66、KT77、KT88、EL34、5881などのオクタルピンの各種ビーム管・五極管に差し替え可能です。それで今挙げた真空管は全てペアで持っています。こういうのを球転がしといって、なかなか楽しいですが、気を付けないと真空管のソケットというのは、そんなに頻繁に抜き替えることを想定していませんので、やり過ぎるとソケットが壊れます。後それから、NF(負帰還)をかけたアンプでは、出力管を変えても音の変化というのはほんの微差です。ブラインドテストをやったら聴き分けられる人はほとんどいないでしょう。
このアンプは出力管が差し替えられる以外に、増幅の方式として、普通の五極管接続、ウルトラリニア(UL)接続、三極管接続に、ジャンパー線の変更で切り替えられます。なので真空管入門としては最適のアンプだと思います。価格はキットで実売6万7千円くらいです。エレキットの真空管アンプはプリント配線板を使っていますので、組立てるのが楽ですし、マニュアルも非常に良く出来ています。

トライオードのTRV-88SER

なんか年末大掃除じゃなくて、手持ち真空管アンプ棚卸しみたいになって来ました。これはトライオードのTRV-88SERです。KT88のプッシュプルで35W+35Wのプリメインアンプです。さすがにこれだけパワーがあると余裕を持ってゆったりと鳴ります。300Bみたいな繊細な感じではなく、大らかに包み込むような音で、オーディオマニアより音楽ファン向けのアンプです。作っているのは中国ですが、品質は非常に良いです。ただリモコンの電池ボックスだけはリード線付きの市販品そのままでこれはちょっといただけませんが…初めての真空管アンプにお勧めです。といっても18万円弱くらいしますが、私は逆に手配線のアンプで、よくこの価格で出せるなと思います。

超三結アンプ再び

真空管アンプを聴きなおしが続いています。今日の組み合わせはこれ。
LUXMAN CL-38uC + 音の工房 SK-60KT(PCL86超三結アンプ)。
これがなかなかいいです。超三結アンプは前は高音の独特の輝きみたいのが強すぎる感じがありましたが、しばらく聴かないでいたらそれなりに熟成したように感じます。私としては全段差動プッシュプルアンプよりもこちらの超三結アンプの方が音としては好みですね。定位とか音像の実在感は全段差動プッシュプルアンプがいいですが、何というか全段差動は音が太めな感じで、真空管アンプらしさが減じているように思います。
超三結は3W + 3Wで現代スピーカーを鳴らすには非力ですが、CL-38uCが上手く補ってくれる感じです。この超三結アンプは音の工房のキットの部品を7割方取っ替えて、私なりにベストの音を出そうとして作ったものなので思い入れがあります。良く超三結アンプの音をドンシャリと評する人がいますが、私に言わせれば普段真空管アンプのカマボコ形の周波特性の音ばかり聴いているから、超三結の音がドンシャリに聞こえるんだと思います。私としては超三結アンプの方が自然な音に聞こえます。

久しぶりに全段差動プッシュプルアンプ

明日、冬用のタイヤに交換するのでタイヤを取りに行ったついでに、4ヵ月ぶりに全段差動プッシュプルアンプを持ってきました。ルネ・フレミングのクリスマスアルバムを聴いています。久しぶりですけど、これはこれでいい感じです。全段差動らしく定位は非常にいいですが、300Bシングルに比べるとちょっと音が太め、という感じがします。

真空管アンプで低能率な現代スピーカーを鳴らすには

このブログで何度も紹介していますが、何故かインターネット上で他に見かけることがないので、改めて独立記事として書いておきます。
真空管アンプ(パワーアンプとプリメインアンプ)をこれまで7台使った経験があります。真空管アンプの最大の欠点は能率(出力音圧レベル)の低い現代スピーカーを上手く鳴らせない場合が多いことです。特にシングルアンプは厳しいです。ここで能率が低いスピーカーとは、出力音圧レベルで87dB/W・m以下ぐらいが目安になります。上手く鳴らせない、というのを現象で言えば、再生音の高音で音割れがすることです。特にピアノの高音の強打で顕著です。誰が聴いても分かるひどい音です。
この現象を回避する手段が一つあります。アクティブなサブウーファーを追加することです。私はFostexのサブウーファーを3種類(CW250A、PM-SUBmini2、PM-SUB8)持っていますが、どれも効果があります。これによって今まで盛大に割れていた再生音がぴたっと正常になります。但し、Fostex以外のサブウーファーでは確認していません。
このサブウーファーの追加で音割れが無くなる理由ですが、以下は私の推定です。サブウーファーを入れると、100Hz以下などの低域の信号が多くサブウーファー側に流れるようになり、真空管アンプに流れる低域の信号が減ります。これにより、パワーの無いシングルアンプなどで低域を無理して再生することで高域が歪んでいた(つまり低域の歪で高域が揺すぶられた混変調歪)のが無くなるということだと思います。この方法で、3W+3Wのシングルアンプが出力音圧レベル86dBのスピーカー(KriptonのKX-3P)を問題無く鳴らせています。
なお、今回PSVANE WE300Bを入れたエレキットのアンプ(TU-8600S、9.2W+9.2W)ですが、能率88dBのKriptonのKX-1.5は問題無く鳴らせますが、能率85dBのTannoyのAutograph/mini GRを鳴らすとやはり高音が割れます。しかしPM-SUBmini2をかませることで問題無く再生出来るようになります。
この事実があまりWeb上で出ていない理由ですが、真空管アンプを使っている人は、アクティブなサブウーファー(通常D級アンプ)という真空管アンプ以外のアンプを追加することに抵抗があるのだと思います。私は以前からハセヒロのブックシェルフタイプのバックロードホーンの低音が不足するため、元々サブウーファーをずっと使って来ています。
なお、真空管アンプの音割れはシングルアンプだけではなく、出力30W+30W程度のプッシュプルアンプでも発生することがあります。この場合もサブウーファーの追加でOKになります。

PSVANE WE300Bの簡単なレビュー

ヤフオクで6万円で落札したPSVANEのWE300Bペアが到着しました。オリジナルのウェスタンエレクトリックの300Bを構造・材料を含め可能な限り忠実にコピーしたものです。
3時間ほどCDを掛けっぱなしした後、10枚ほど手持ちのCDをとっかえひっかえして聴きました。以下が感想です。
評価環境は、以下の通りです。
・SACDプレーヤー:アキュフェーズ DP-570
・プリアンプ:LUXMAN CL-38uC
・パワーアンプ:エレキット TU-8600S(アムトランスパーツ使用、12AX7と12AU7はMullard製)
・スピーカー:Kripton KX-1.5

(1)S/N比が高く、細かな音が良く聞こえる。そのため残響やハーモニックスが他の300Bより長く続く感じがします。
(2)低音が締まっていてダンピングが利いている感じ。
(3)音に独特の艶みたいなものがある。ある意味音を付け加えているとも言えます。
(4)音像が引き締まり、音場も密度が濃いです。ただ、本当の意味の繊細な音という感じではなく、気持ち音の粒子の径が大きい感じ。
(5)分析的というより、音楽を楽しませてくれる方向の音。

これで6万円は非常にコストパフォーマンスは高いと思います。10万3千円した高槻電器工業の初代TA-300Bよりこちらの方が好ましいです。
ご本家のWE300Bの音はヴィンテージ管、復刻管ともに聴いたことはありませんので、このPSVANEのがどこまでオリジナルを再現出来ているかどうかは分かりません。ただ、何となくWE300Bオリジナルの音の傾向は分かるような気がします。
なお、上記の感想は差をある意味誇張して書いていますので、他の300Bとの差は客観的に見ればわずかです。ブラインドテストをやって聴き分けられる人は少ないと思います。

300B(真空管)4種比較

真空管アンプの世界で一番のブランド真空管は何といっても300Bです。元々ウェスタンエレクトリックが、映画館がサイレントからトーキーに変わる時に、映画の音声の再生のアンプ用に開発した真空管です。種類から行くと3極管で、ヒーターとカソードが兼用になっている直熱管であり、出力管としてはもっともシンプルです。シングルアンプで使っても8Wぐらいの出力が出せて使いやすくて、また回路をシンプルに出来て音が良い、ということと、また元々業務用の真空管で一般には販売されていなかったという稀少性もあって、非常に人気の真空管になりました。今はこの300Bと称する真空管が、中国、ロシア、東欧、日本などで作られていて、その種類はおそらく30種を超えます。ただ本家本元は何と言ってもWE=ウェスタンエレクトリックです。今年、アメリカのWEが久し振りにWE300Bの復刻版を発売開始しました。日本でも最近売り出してマッチドペアで23万円くらいします。ちょっと手が出ませんので、その代りといっては何ですが、中国のPSVANE(プスヴァン)が本家のWE300をかなり忠実にコピーしたPSVANE WE300Bをヤフオクで6万円で落としました。明日着きます。
そういう訳でしばらくSPECのD級アンプばかりを聴いていましたが、久しぶりに300Bのアンプ(エレキットのTU-8600S、アムトランスパーツ使用)を取り出して、手持ちの300B(4種類)をちょっと比較試聴してみました。以下ごく簡単なレビュー。
(1)Sun Valley Prime Ver.4
2011年に購入、ペアで26,000円。中国製。最初に組立てた真空管アンプがサンバレー(キット屋)のJB300BVer.3ですが、それに付いていたもの。ハイ上がりの華やかな音で、悪く言えば素人騙し。コクとか味わいは乏しいです。でもそれほど悪い球ではありません。一般的にはこれで十分かも。
(2)高槻電器工業 TA-300B(初代)
これも2011年に出たばかりの時にSun Valley品に満足出来なくて購入。価格はペアで定価10万3千円くらいでした。高槻電器工業は昔松下ブランドの真空管を作っていた会社です。日本製としてはこれが久し振りの300Bです。音像が引き締まってかっちりとした音で、どこにも破綻が無いです。真面目な日本的な音です。今売られているのは2代目でペアで18万円くらい。初代との違いは不明ですがラックスマンの300Bのシングルモノラルアンプに採用されていて、300Bとしては価格的にもトップクラスになっています。
(3)JJ300B
JJはスロヴァキアのメーカーで、昔のTeslaの製造ラインを引き継いでいます。他の300Bより明らかに重く、サイズも大きいです。ガラスの厚みが他の物よりあります。ペアで36,000円くらいです。音のコントラストがちょっと抑えられている感じで、その代りに全体に音場が溶け合ったような密度の濃い、品位の高い音です。本格的な音でクラシック音楽向きだと思います。
(4)エレクトロ・ハーモニックス 300B EH Gold
ペアで33,000円くらい。エレハモというと、イメージ的に安物という感じですが、どうしてどうしてこれは中々の球です。音楽に躍動感と暖かさがあり、聴いていて快いです。値段もお手頃だし、推薦できる球です。
それで今回買ったPSVANEの300Bで満足出来たら、おそらくご本家のWE300B復刻版は買わないでしょう。ご本家といっても、本当の昔のヴィンテージ管とはおそらく別物ですし。

TU-8600SとクリプトンKX-1.5の組み合わせ

昨晩、超三結真空管アンプを久しぶりに聴きましたが、音そのものはいいのですが、やはりパワー不足で、能率の低いスピーカーと組み合わせると強音で割れや歪が目立ちます。なので今日はエレキットのTU-8600S(アムトランス製パーツ使用)を使ってみました。出力管は高槻電器工業のTA-300B(初代)です。これとクリプトンKX-1.5の組み合わせは初めてでしたが、これが中々に良かったです。SPECのD級アンプの音には満足していますが、それでもやはり300Bシングルの音というのは独特の魅力があります。実は先日、ご本家のWE300Bがリニューアルされて再発売されることが発表されています。ペアで21万円で今お金が無くて買えませんが、やはりご本家の音というのも一度は聴いてみたいものです。とはいえこの高槻のTA-300Bも素晴らしいと思います。
なお、高音歪み防止のサブウーファーは今回の組み合わせでは無くても問題ありませんでした。

久しぶりの真空管アンプ

久しぶりに超三結真空管アンプを取り出し、8cm自作フルレンジにつないで聴いています。これはこれでとても良い音です。サブウーファーは、フルレンジの低音を補う意味ももちろんありますが、小出力の真空管アンプの歪を減らすのには欠かせないアイテムです。要は低音をサブウーファーが引き受けてくれることで、真空管アンプがかなり楽になるみたいです。