真空管アンプの製作、ケースが届いたので取り敢えず上部に付ける部品を並べてみてそれらしくなりました。上部真ん中の電源トランスは上下逆で角穴を開けてこの半円の部分をシャーシの中に入れます。
ところでケースって底板は付いていないんですね。Amazonで丁度のサイズのアルミ板が無いんでちょっとあせりましたが、Webで探して指定のサイズに切って一枚から売ってくれる店を見つけて何とかなりました。
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PCL86全段差動プッシュプルアンプのスクラッチ製作に挑戦
これまで真空管アンプのキットを6台組立て、いずれも成功しています。(1台だけ販売店に手直ししてもらいましたが)
それで前からやろうと思っていた、シャーシの加工から始まるスクラッチでの真空管アンプの作成についに踏みきり、部品を集めている最中です。アンプの回路はPCL86の全段差動プッシュプルアンプというものです。既にキットでPCL86の超三結アンプを組立てていますので、今度は同じ真空管で全段差動プッシュプルを作って比べるのが目的です。もちろん回路設計なんて出来ませんから、Webにあったものそのままですが、レイアウトや配線の引き回しなどは自分で考えます。またアルミの1.5mm厚の板のケースを使いますが、余裕を十分持った大きめの箱にしています。(330x220x50)PCL86は三極管と五極管が一緒になった複合管なんで他の真空管は必要無く(整流はショットキーバリアダイオードでやります)、ご覧のようにスペース的には十分ゆとりがあります。
材料代は概算で10万円程度、その内真空管など3万円分は既に持っているものが使えたので、結局出費は7万円ほどです。(工具代は除く。)アルミ板の加工が問題ですが、既にかなり前にボール盤を買っており、またボッシュの電動ドリルやホールソーも揃えています。まあ完成はいつになるか分かりませんが気長にやろうと思います。
なお、レイアウトで普通前面にある電源スイッチが天板にあるのは上杉研究所のアンプの真似です。(上杉のアンプの電源スイッチは私の会社のS-1Aというトグルです。)
KT150を試す
KT-120の試聴結果がとても良かったので、更に同じTSUNG-SOLから出ているKT-150を試してみました。KT-120より高さが増し、高さではほとんど一般的300Bと同じです。ご覧になってお分かりのように、ラグビーボールのような独特のガラス形状をしています。これはマイクロフォン歪を減らすのに効果があるんだそうで、確かに特定の周波数で共振することが少なくなるような気がします。高さが増えたということは、プレートとカソードの電極の表面積が増え、その分より高い電流を余裕をもって流せるということかと思います。後構造として面白いのがゲッター用リングが上部と左右の3箇所に付いています。やはり管の中の容積が増えた分、ゲッター部の面積も増やす必要があったのでしょうか。
まだ聴き始めたばかりですが、低域に関してはKT120よりも更に制動が良くなっていい感じです。外見だけ見ると大味なのでは、と思われる方もいるでしょうが、どうしてなかなか繊細な中高音で気に入りました。ただアンプには負担をかけますね。前に書いたように電源トランスの電気容量的には、片Chしか使っていないので問題ありませんが、KT120でテラークの1812年の例の大砲のCDをかけたら、大砲の発射の箇所で保護回路が働きました。KT88ならクリップして終わりなんですが、KT120やKT150では余裕で大電流を流せるので、アンプがついて行けないんでしょうね。
本来、KT120もKT150もプッシュプルにして、KT88より高い、例えば100W+100Wという出力を実現するのは主目的で開発されたんでしょうが、こうやってシングルアンプで楽しむ分にも十分メリットがあると思います。
真空管のオーディオというと、とかく昔の球を使った骨董趣味みたいになりがちなのですが、こういう風にまったく新しい出力管が開発されるというのはとてもいいと思います。
TU-8200Rのデュアルモノで、TSUNG-SOLのKT120を使う。
TU-8200Rのデュアルモノで、KT120というTSUNG-SOLから出ているKT88上位互換の出力管を試してみました。このKT120ともう一つKT150というのはヒーター電流がKT88が1.6Aなのに対し2Aになっているので、TU-8200Rで鳴らないことはないですが、電源トランスの電流定格をオーバーするので、長時間使うとトランスが最悪焼き切れます。しかし、このデュアルモノでは元々片チャンネルしか使わないので、KT88の普通の使い方で電流が100としたら、100÷2×1.25=0.625となり、全体の2/3弱の容量なのでまったく問題ない筈です。それで実際やってみましたが(余分なヒーター電流を抑えるため、使わない方のチャンネルの真空管は12AU7も含め外しました)、もちろん音は出て、また2時間ぐらい使っても特に電源トランスが熱くなったりもしていませんので、大丈夫と思います。
それで音ですが、元々このデュアルモノは電源に余裕があるので力強さが出る上に、さらに出力トランスをルンダールに変えてさらに低域が伸びています。それとこのKT120という、本来KT88よりも大出力を出すことを狙って作られた出力管の相乗効果で、真空管のシングルアンプとは思えないような、力強くかつダンピングの利いた音で、聴いていると楽しくなるような音になりました。シングルアンプでここまで出来るんだったら、私の環境ではプッシュプルアンプは必要ないと思いました。
TU-8200Rのデュアルモノで問題無いだろうという計算根拠の詳細は以下の通りです。
TU-8200Rのヒーター電源は回路図を見ると6V4Aで、これで左右の真空管計4本のヒーター電流をまかなっています。出力管として6L6GCを2本挿した時のトータルのヒーター電流は2.4Aです。(6L6GCが一本0.9A、12AU7が一本0.3Aです。)KT88が2本の場合は、3.8Aです。(KT88のヒーター電流は一本1.6Aです。)KT120を2本挿した時は、2.0 x 2 + 0.3 x 2 = 4.6Aとなり定格を15%もオーバーしています。それでデュアルモノで片側だけ使用した場合はKT120で合計2.3Aとなりまったく問題ありません。ただこれはあくまでトランスの定格の話であって、他の部品が場合によってはパンクする危険性が0ではないので、もし同じことを試すのであれば自己責任にてお願いします。
ウェスタン・エレクトリックの300B、100時間経過
ウェスタン・エレクトリックの300Bを聴き始めて約2週間、100時間くらいが経過し、エージングという意味では十分ではないにせよそれなりのレベルになったと思います。今日特性を再測定したら、Gm(相互コンダクタンス)で出荷時より3.3%しか減少しておらず、やはりほぼ新品に近い状態だったのは間違いないです。多少左右がアンバランスになってきていますが、これはクラシック音楽のオーケストラだと向かって右の方がW数としては多いからではないかと思います。
途中でアンプの出力トランスをルンダール製に変えたので、初期状態との比較をしても仕方が無いですが、音質の傾向としては以下のようになります。
(1)独特のふわーっとした音場の中に柔らかく音像が現れる感じで、誇張して言うならば夜霧の中に車のヘッドライトが霞む、そんな感じです。
(2)(1)の音はどのような音源を聴いても、耳当たりが良い音に変えてくれます。機器とかソースの差を拡大して見せつける、というのとは正反対です。
(3)PSVANEのWE300Bに比べると、こちらの方が高音にある種の華やかさがあります。低音も良く引き締まって延びています。
(4)女性ボーカルの艶、色気みたいなものは初期状態に比べればかなり改善されましたが、まだちょっと不足気味です。
トータルでは、手持ちの300Bの中ではやはり一番品位とかまとまりという意味では一日の長がある、という感じです。
TU-8600Sのトランスをルンダールに換装(2)
TU-8600Sのトランスをルンダール製に換装する件で、トランスがきちんと固定出来ていなかったのは解決しました。
(1)トランスを置く方向が90°ずれていた。→元のトランスのネジ穴とは別にこのルンダール用の穴がちゃんと空いていました。
(2)元のトランスは上からネジで固定でしたが、このルンダールのトランスは下から固定でした。(要するに取付け穴は単にドリル穴でネジが切っていなかったということです。)
結構試行錯誤しましたが、解決してヤレヤレです。このトランスにしてから、やはり周波数レンジが拡大した感じで、低音は引き締まって力強くなり、高音はより粒子が細かくなって拡がりが大きくなった、そんな感じです。
TU-8200R(2台)もルンダールに換装
TU-8600Sのトランスをルンダール製に交換
TU-8600Sのトランスをルンダール製に変えました。1台4万円以上する高級なトランスにも関わらず、見た目は家内制手工業的な製品で高級感はほとんどありません。(ルンダール社の従業員数は25名だそうです。)何より接続端子が無くて、ワイヤの端部が数cm程度出ているだけです。このままだと配線するのが大変なので、ユニバーサル基板をゲタ基板としてかぶせました。それでも半田付けする箇所が2台で50箇所弱あって、3時間ぐらいかかりました。また、このアンプ用の特注品と聞いているので、元からのトランスと取付け穴の位置を合わせてあるのかと思ったら、全く違いました。仕方がないので今は強力両面テープで仮固定しています。その内、タッピングツールを買ってネジ穴を開けます。肝心の音ですが、まだCD1枚しか聴いていませんが、低音がかなり力強くなったように思います。高域が繊細になったという感じはあまりありません。
ちなみにルンダールのトランスはOEMの方が多く色々な機器で使われています。例えばオルトフォンのMCカートリッジ用の昇圧トランスにもルンダールのトランスが使われているようです。
TU-8600S トランス換装計画
ウェスタン・エレクトリックの300Bもエージングが進むにつれていい音を聴かせてくれるようになってきています。こうなると、アンプの方もグレードアップと思い、出力トランスをルンダール製に換装しようとしています。取り敢えずトランス自体は2台明日届くのですが、配線用のハーネスが在庫無しで自分で何とかする必要があります。ところがそのハーネスに使うJST(日本圧着端子)の5ピンヘッダーが、メーカーのサイトの説明では「受注が多すぎるので現在販売を休止しています」という説明。そしてどこの販売サイトに行っても売り切れで、次回入荷は3月末とかの案内。ひえ~。おそらく樹脂不足の影響だと思いますが、こんなベーシックな部品が手に入らないとは。仕方がないので現在のトランスのワイヤーの途中を切ってそこにルンダールのトランスをつなぐようにする予定です。そもそも、元がキットなのでコネクターを使っていますが、普通は真空管アンプにあまりコネクターは使いません。
TelamのPCL86
ここ一年間くらいずっとPCL86という真空管を、オークションで買っています。元の目的は超三結アンプ用ですが、それ以外にPCL86のプッシュプルを作ってみたくて4本クワッドとして扱える特性の揃ったのを探しています。しかし買ったものをetarcerで測定すると、そのばらつきの大きさにうんざりします。結局4本揃ったのを入手するには、ある程度量を買ってその中から選ぶしかないということで、今回たまたま大箱に入って売っていたTelamというブランドのPCL86を10本買ってみました。その結果、PCL86という真空管は三極管と五極管が両方入っている複合管なんですが、三極部と五極部でそれぞれで4本揃いはなんとか見つかりました。しかし、問題は三極部で揃っているものが、五極部で揃っているとは限らない、ということで、どちらを優先すべきなのか悩んでいます。ちなみに内部の構造を調べたら、このTelamというブランドのPCL86は、ゲッターのリングを支える支柱の形状が違う以外は、後はPolampのPCL86とまったく同じでした。調べてみたら、どちらのブランドもポーランドのZakłady Wytwórcze Lamp Elektrycznychという会社(ポーランドの国営電球会社で1922年創立、元々はフィリップス系だったようです。今はありません。)のものでした。外から見た感じではあまり作りは丁寧とは言えませんが、ネットの評判では品質は悪くないようです。